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いつどうしてここにいるのか、何も覚えていなかった。
ツォンさんの遺体は、冷凍ポッドの中に安置されている。側でレノ先輩が煙草をふかしていた。
ルード先輩は何も言わないで私の肩を抱いてくれていた。
「オッサン、何か言ってたか。」
「レノ先輩が、これからタークスのリーダーだと…。」
「…それから?」
「お二人に…命は大切に、会社の為に命を投げ出すなんて馬鹿な人間のする事だ…と。」
レノ先輩は小さく舌打ちすると、立ちあがって何も言わずに壁を殴った。壁にひびが入るほど強く。
拳を離した壁には、かすかに血が滲んでいた。
力なく見上げると、夢で見たあの悔しそうな…なにかを迷っているような、あの表情で。
ルード先輩は何も言わなかった。
「あと、ルード先輩に、レノ先輩を頼むって。」
「そうか…。」
奇妙な沈黙が流れた。
「今…どうなってるんですか?」
煙草を足で踏みにじりながら、レノ先輩が吐き出すように言う。
「メテオが発動した。この星が終わるのも時間の問題だ。今、部長連中と社長が会議をや
ってる。」
「そうですか。」
「イリーナ、済まなかったな、と。」
「え?」
「嘘ついちまった。」
「いいえ…誰も悪くありません。きっと、こうなるって決まってたんです。」
レノ先輩は、その時何かを考えているようだった。窓の外で異様なエネルギーを放っている、
あの星の光を見つめたまま…。
その日から、何度もメテオを破壊しようとプロジェクトが実行されたが、どれも失敗に終わった。
正直このまま星が駄目になっても構わない気がした。
でもあの人は言ったのだ、命を大事にしろ、と。
それにしたって、自分達に何が出来るのだろう。このまま指をくわえていたって死ぬのを待って
いるだけ。だけど、神羅が総力をかけて出来ないことが自分達に出来る訳がない。
ツォンさん…私いったいどうすれば…。
「おい!イリーナ!!クラウド達が侵入してきたぞ、と!!」
「え?」
「ルーファウス社長は、どうやらさっきのウエポンの襲撃で逝っちまったらしい。」
「そ、それじゃぁ。」
「あぁ、もうこの会社はおしまいだ。」
その言葉の意味が頭に浸透するまで時間がかかった。会社がおしまいということは、
タークスもおしまいということ。あの人が築き上げてきた物が終わるということ。
「そ、そんな。」
「だが、俺達タークスにはまだやることがある。ツォンさんの遺言が残ってる、仕事が残
ってるぜ、と。」
ルード先輩も頷いている。私には何のことか分からなかった。
促されるまま地下に行き、クラウド達が通るであろう道筋で待ち伏せをした。しばらくすると
本当に彼らがやってきた。