
「ホントに…来ちゃった、どうするんですか?先輩。命令なんて、もう。」
「イリーナ、甘えるなよ、と。」
「俺達はタークスだ。」
タークス…。私達に与えられた命令は、クラウド達を見つけ次第殺すこと…でも、もうボスも
社長もいない。これ以上こんなこと続けるのに何の意味があるって言うんだろう。
どうせメテオが落ちれば、私達もクラウド達も死んでしまうのだから。
「さて、仕事だ…。」
レノ先輩はクラウド達の前に立ちはだかった。
「おまえ達は…。」
「なぁ、クラウドさんよ、この世で1番大切な物って何だと思う?と。
1.金
2.女
3.なにがなんだかわからない。」
レノ先輩は改造した自慢のナイトスティックを肩でトントンやりながら、クラウド達に突然
変な質問をふっかけた。
「?」
彼が答えないでいると、レノ先輩は「どれも不正解」といった。ウータイで聞いたようなやり取りだ。
緊張した空気がピリピリと肌を刺激する。その沈黙を破ったのは、クラウドその人だった。
「全ての命だ。」
ニヤリと笑うと、先輩は武器を引っ込めた。小さく深呼吸をして、内ポケットから取り出した煙草を
くわえると、吐き出した煙をぼんやりと目で追う。
煙は、一瞬人の形をかたどった様に見えたが、すぐに掻き消えた。
「俺達の最後の仕事は、生きることだ、と。だが、俺達ではセフィロスに歯がたたない。
でもアンタ達なら…なんとか出来るんじゃねーか、と思ってな、と。」
「先輩!?」
「他人任せは好きじゃない、でもな…実力が伴わない物に首を突っ込めば、待ってるのは
死のみだ。…頼まれてくれるか?…アイツはボスの仇なんだ。自分で仇が打てねえのは
死ぬのと同じくらい悔しいけどな、と。」
クラウドは何も言わずに頷いた。
「商談成立だな、と。…お前らも死ぬなよ。命あっての物ダネだぞ、と。」
レノ先輩がきびすを返して走り出したので、私も後を追って走る。レノ先輩の言っていた最後の
仕事とは、この事だったのだ。
命を大事にする…レノ先輩にしてみれば、最後の賭けだったのだろう。駆け上がってきた道の
全く違う彼らに、理解を求めることはある意味屈辱だったに違いない。
「先輩…これからどうするんですか?」
「リーブ部長が、ミッドガル市民を非難させてる。俺達も手伝うぞ、と。」
「は、はい!!」
「ツォンさんは、約束の地にいけばホントに、平和な未来が約束されるって信じてた。あ
の人はこの会社を、ここに暮らす人達のことをマジで大事に思ってたよ、と。意志を継
いでやろうぜ、と。」
寡黙なルード先輩も、珍しく私の背中を押して走ってくれた。
「俺達は仕事の為といって多くの命を犠牲にしてきた、その事で一番心を痛めてたのはあ
の人だった。償いきれないかもしれないが、今出来ることをしよう。」
「ええ!!」
闇は消え、光が訪れる。
クラウド達の手で、平和は守られた。そして人間の欲望の塊が、暴虐の限りを尽くした哀れな
バベルの塔は崩壊した。ミッドガルと言う名の塔が…。
ツォンさん。今私達タークスはジュノンで何でも屋をしています。
レノ先輩は得意の機械いじりで、子供たちのオモチャ直してあげたり、車直したり市民の役に
立ってます。ルード先輩は料理が上手かったので、出張コックとかしてるんですよ。
意外でしょ。
私は…事務所の雑務してるんですけど…相変わらずドジでそそっかしくて、ムードメーカーと
しては役に立ってるのかな…。
貴方のことは忘れません…そしていつか貴方より素敵な人見つけて、幸せになろうと思ってます。
精一杯の強がりだけど…。
その時まで…貴方のこと好きでいてもいいですよね…。いつか訪れるであろうその時迄…。
