医 療 過 誤

● '98'8'25 裁判所へ提出した準備書面(三) ●
(原文を記載)98'9'9 UP

一 . 小腸穿孔発見後の被告などのとるべき措置

(一)

A子は1月29日以降2月1日8階への転室まで腹痛を訴えていた。
この時点で腹部の触診、聴診、打診等を慎重に行い、その上で超音波(エコー)やCTスキャン、腹部単純レントゲン,注腸造影レントゲン写真等の検査をやるべきだった。
しかし被告などはこの検査をやらなかったため腹痛の原因が小腸穿孔による急性腹膜炎である事を看過してしまった。
この点については前回の準備書面(二)の第3項「腹痛に対する被告側の診断」で述べたとおりである。

(二)

若し、被告側が小腸穿孔による急性腹膜炎を発見していたら次の措置によりA子は救命されていた可能性は充分にあると思う。
すなわち局所麻酔を行い、両側下腹部を切開しドレナーゼ術を施行し腹腔内に漏出していた腸管内容物を体外に誘導排除する。
ドレナーゼ手術前から点滴,心電図モニタ、輸血などで全身管理をしながら体力の改善を計り、可能なら直ちに腹部正中切開して穿孔部を切除し、正常腸管の吻合術を施行する。
若し、体力の改善が計れなかった場合は、ドレーンを入れたまま2〜3日体力改善を計り、その上で穿孔部を切除し腸管吻合術を施行する。

二 . 死後硬直について

(一)

第3内科のカルテ2月2日の午前7時35分の部分には当直医が、口に挿管しようとしたが、すでに死後硬直があり挿管出来なかった旨の記載がある。
また、看護日誌にも午前7時40分第3内科の当直医師が開口器で挿管しようとしたが、硬直あり開口できずの記載がある。
このようにA子には午前7時35分頃死後硬直が出ていた。

(二)

死体の筋肉は、死亡と同時に弛緩する。
ある時期が経過すると純化学的現象として筋肉組織は凝固、短縮し、生体の筋収縮と類似の状態となる。
これが死後硬直である。さらに時間がたつと硬直は寛解する。
このような死後硬直はすべての筋肉について発生する。
発生の順序は顎の筋肉が一番早い。そして顎の筋肉の硬直が発生するのは死後2〜3時間後とされている。

 (三)

2月2日の午前7時35分頃にはA子にはすでに死後硬直が現れていたのであるから、A子は少なくともその2〜3時間前に死亡していたことになる。
したがって看護婦による形だけの巡視が明らかになる。

A子の昏睡を傾睡と誤診した被告病院の過失によって放置されたまま死亡してしまったのである。




By・・・Masao Mochizuki


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Ver.1.0 1998.2.15 Last updated '98.07.07