医 療 過 誤

●A11 '99/2/26 被告病院よりの準備書面(四)●
1999/2/26

準備書面(四)

原文のまま掲載してあります

一:小腸穿孔について

 原告の主張は、既に1月29日において、小腸穿孔が存在した事を前提としている。
しかし、被告準備書面(三)12頁に記載したように、小腸穿孔は2月1日午前11時以前には生じていなかったと考えられるから、それ以前の時期に小腸穿孔を診断すべきであったという原告の主張は主張自体失当である。

なお原告は解剖結果において、400mlの腹水があったことを問題にしているが、そもそも400mlというのは多量と言えず、これをもって2月1日午前11時以前から小腸穿孔があったとはいえない。


 仮に万一、2月1日午前11時以前に小腸穿孔が生じたとしても腹膜刺激症状が生じていなければ、腹膜炎すら診断のつけようがない。
訴訟前からの経過説明である乙一号証、また準備書面(三)の経過概要で述べたように被告病院では腹痛に付いてはその都度対応し、腹膜刺激症状がない事を確認していた。
仮にA子の状況から小腸穿孔が生じているにもかかわらず、腹膜刺激症状がなかったのだとしても、それでは開腹手術をする理由がその時点ではないことになる。原告の主張は結果論になってしまっている。

A子は IVHを挿入しなければ生命に危険があるような状態であり、開腹手術のリスクは健常人に比較してきわめて高い。
したがって、そのリスクを上回るような必然性がなければ手術を行う事は出来ない。
その必然性を道芽ルような事実(具体的に本件では腹膜刺激症状)がなければ手術をするという判断はできないから内科的に経過観察をするにとどまらざるをえない。


 乙一号証の四の解剖診断報告にあるようにA子にあっては心筋の著明な萎縮があり、小腸穿孔後ショック状態になった場合もち応えられなかった可能性がある。
ショック状態では通常人でも開腹手術は困難で、術中死亡も多い。
A子にあってはどの時点で発見されたにせよ外科的手術で救命できなかった可能性は高い。

二:死後硬直について

2月2日7時40分に駆け付けた内科医師が器官内挿管をしようとしたところ顎関節が硬く開口困難であったため、死後硬直かと診断した。
器官内挿管が不可能だった事は事実で、その為それ以上の蘇生は難しかった。
しかし、前後の状況(6時のモーニングケアの時には顎関節が硬くなかった事、死後処置で体に硬直がなかったこと)からすると7時40分にの開口困難は、死後硬直ではなかった可能性もあるといわざるをえない。
夜間の巡視は複数(2人)の看護婦により、看護記録に記載の無いものも含めほぼ1時間毎に行われていた。6時50分のオムツ交換では215gの尿(Hr.)を認めており、生体反応があった。
従っていずれにせよ死亡後何時間も放置されていたような事実はない。

三:摂食障害について

A子の被告病院入院以前の経過は、甲六号証37頁から43頁の○○○○○からの書類にある(分かりやすいのは43頁の看護経過要約)。
それによれば既に平成6年から下剤を乱用していた。
また以前にもIVH管理となる状況があった。また自己誘発嘔吐も以前から存在し、傾眠傾向があったこともある。
被告病院入院後は不眠を訴えていた。重症の拒食症の患者では睡眠ー覚醒リズム障害は必発であり、当日まで不眠の訴えがつづいていたため、転棟後はそれまでの反動で軽眠状態になったと考えられるた。

摂食障害としてはA子には既に転帰が悪いとされる過食後の自己誘発嘔吐、下剤の乱用、自殺企画の既往があった。被告病院入院後の状況からしてもやせ願望、肥満恐怖は強固なものがあり、治療には相当な困難が予想される症状であった。

摂食障害にもとずく死亡例の原因では栄養障害とそれに基づく循環不全、代謝異常が半数異常を占めるという報告がある。
A子も心筋の著明な萎縮が生じている状態であったから、死亡の危険は十分あった。
将来的に回復する可能性がないわけではないが、治療には相当期間を要したと考えられる。
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