書道芸術入門講座<基礎編>

| NET書道芸術講座 | 白泉書道会主宰 | 講師 望月鶴川 |
★ミーメーシスの概略を知る
★ミーメーシスの概略
◎ミーメーシス
・・ギリシャ語で「まね」「模倣」と日本語訳されています。
<この「まね」「模倣」に付いては解釈の分かれるとこかと思いますが一つの基準を作りながらの説明に入ります「まね」(模写)は単に形態、事実などの写した物として「模倣」は形態、事実などを観察しその内にある物を写し表現する事と解釈します。
◎過去の様々な芸術の世界において「創造」が高く評価されてきました。シェイクスピアはある時期まで先人の劇のストーリー、歴史上の伝説などを自分の作品にとりいれ自己作品を創造し、モーツアルト、ピカソ等も模倣を取り入れ作品を作り上げています。各分野で大芸術家と言われる人がミーメーシス(模倣、再生、再現)しているのです。
端的になりますが写真の世界などは分かりやすい例です。其の中で、人を感動させる作品があるのは何処に違いがあるのか、風景画に付いても同じ事が言えます。模写ではないのです。
このように芸術がミーメーシスの世界の中で作られています。
もっと詳しく知りたい方は図書館などで調べてみると芸術全般の知識も増え視野が広がりどの分野においても有意義な事だと思います。
★模倣について
◎模倣について考えてみます。誰でもが最初は字を習う場合に先生のお手本(独学の場合も本を見たり)を見て同じに書く事から始めます。順序としてある程度進むと古典に入り簡単な条福作品を手本を見て書き、更に自分で辞書を引き、くずし方を学び自分の作品を自分の手で作り上げていき、更に独創的な作品を制作に入る。仮名の世界もほぼ同じで古典の良さを取り入れ自分の個性を生かす事になります。これが習う場合の標準的な順序になります。
簡単な説明ですが実際には古典ひとつをとっても一生かけても終わらないほど大変な事です。
以上の学習の中でシーメーシスや模倣がどのように関わっているか又、其の重要性を検討してみたいと思います。
★模倣をどう解釈するか・・その重要性
私達が始めて習い事をする場合先生の手本なりを模倣する事になるが、この場合どちらかと言うと模写の方でその意味を解さず、まず真似をします。これがスタートになり繰り返し繰り返し習います。その修練の積み重ねが判断力を付け自ずと見る目が養われ、将来への力が蓄積されて行きます。
よく聞く事ですが古典を習ってもそれがどのように作品に生かすか?、またいくらやっても字は変わらない。上手にならない、古典は古典で別物になってしまう。絵画においても同じで、似たように書く(描く)事は出来ても自分で作品制作となると今迄の勉強の成果が現れない。
それは何処に原因があるかと言うと手本を見る目の力の差であり観察力なのです。
手本を写す事は良くないとされていますが、それはその段階で終えてしまうからです。写す事が良くないのでなく模写に終わり、そこから得ている物が形態だけに過ぎないからです。
写すのはひとつの段階で次に手本から書道で言えば点一つにしても筆の研ぎ方、入れ方、方向、強さ、速さ、付ける墨の量、そしてそれらを決める理由がある訳で、もっと考えれば言葉の意味、其の後がどのように続くかによっても全てが違ってくるはずである。
その手本の中から貴方が何を学ぶ事が出来るか、それが大事な事なのです。そこに至って始めて自分の作品と言える物が作り上げられていくのです。
其の為にはまず興味を持ち、つまらない事でもやって見て、良否を考え自分の判断をしてその判断が正しいか他に考え方があるのか、いろいろな角度から考えるといいです。
たとえそれが間違っていても続けていく事により必ず修正されていくものです。始めは写す事から又は見た通りに書く事から。そして其の中から1つだけでも何かを学び取って下さい。それが模倣であり、其の1つの積み重ねが将来の糧になります。
もう一つ大事な事は書道だけでなく絵画、工芸、写真、彫塑など沢山の良い作品を見て下さい。底辺に共通している部分は多いはずです。本を読む事も大事な事で本質に触れる力が付きます。
自分に照らし合わせると私も書に関する事だけでなく各分野の本を読み作品を見ます。それは書く事以上に役に立っています。
実例を見て説明します
| ▼サンプル・6 |
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A:お手本<解説>
高校生の為に書いたお手本ですが草かんむりの滲みは生徒に写させた為です。B:高校3年のK君の作。
手本も何も見ずに書きました。C:K君が手本を写して書いた作。
手本を下に敷き丁寧に時間をかけて筆の入れ方など注意深く写しました。D:K君が再度手本を見ずに書いた作。
2回ほど手本を写し、その後何度か手本を見て書き最後に何も見ずに書いた作です。
A・この手本は某競書誌の手本に忠実に書きました。
B・特に注意する事もなく普段のままにリラックスして書いてもらいました。。
C・写す時には筆の入れ方に特に注意し、形を見てどの角度か、力の入れ方はどうか、終筆はどうなっているかなど最初と最後を観察してもらい丁寧に書き写しました。。
D・再度書く前にもう1度手本と見比べて観察してもらい、頭の中にイメージが出来たところで手本を見ずに書きました。
<考察>
上記の事から考えて1.無心に書いた場合、意外と普段の勉強が生きてこない。もし出てきたとしてもそれは何分の1かで迷いの中で困惑しながら書いてしまう。
2.写す時の基準を決めて覚える意識を持ち、何度もその作業を繰り返し身に付ける事が必要である。出来た時点で止めてしまうと、それは写すと言う作業をしただけでその後の意味を持たない。繰り返す事により生きた学習につながって来る。
3.イメージが自分の中に出来た時に始めてその学習したことが役に立ち作品の中に取り入れる事が出来る。
4.この実験では書く時間より見て観察する時間の方が2倍くらい使いました。其の位見る事は大切な事です。
<<参考作品 No.003>>
これは色紙に書いた小作品で「春夏秋冬多佳日」と言う言葉で皆さんもご存知の言葉です。丸い額に四角い色紙、扇型の模様に思いきり四角に字を作りました。
これだけでは面白くないので長方形にして3行に配置してその上中心をずらして視線の変化を試みました。
付け加えると額と言っても数百円のボール紙で出来たこぎれいな物で色紙と合わせても千円以内です。
自分の部屋に有名な作家の作品を飾るのも善し、こういった安い費用で自分らしい作品を飾るのも素晴らしいと思います。生活の中に生きていく美の世界は、貴方のすぐ身近にあるはずです。
スポーツで言うウォーミングアップです。
その中で持ち方や力の入れ方で線の調整が出来るようになります。
その時に始めて何故基本がそこにあるのかわかってきます。筆を寝かしたり立てたりいろいろ試みる事も違いを知る上で大切な事です。
何をどのように書くか.学習の方法は沢山あります講座を見て感じた事、素朴な質問(わからない時はごめんなさい)メール受け付けます。方法を考えてそれが良いか悪いか使い方だと思います。
自分に合った方法を考えて試して見て貫きとうす事も大切です。
写す事も同じで何処まで徹底的に写しそれから何が得られたかが大切なポイントです。