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書道芸術入門講座<基礎編>

書と美の空間

NET書道芸術講座
白泉書道会主宰
講師 望月鶴川


[Lesson :1 ] [ Lesson :2 ] [ Lesson :3 ] [ Lesson :4 ][ Lesson :5 ][ Lesson :6 ][ Lesson :7 ][ Lesson :8 ][ 作品展示室 ]
◆Lesson 3.【 模倣と模写 】
★ミーメーシスの概略を知る

★ミーメーシスの概略
◎ミーメーシス
・・ギリシャ語で「まね」「模倣」と日本語訳されています。
<この「まね」「模倣」に付いては解釈の分かれるとこかと思いますが一つの基準を作りながらの説明に入ります

「まね」(模写)は単に形態、事実などの写した物として「模倣」は形態、事実などを観察しその内にある物を写し表現する事と解釈します。

◎過去の様々な芸術の世界において「創造」が高く評価されてきました。シェイクスピアはある時期まで先人の劇のストーリー、歴史上の伝説などを自分の作品にとりいれ自己作品を創造し、モーツアルト、ピカソ等も模倣を取り入れ作品を作り上げています。

各分野で大芸術家と言われる人がミーメーシス(模倣、再生、再現)しているのです。

端的になりますが写真の世界などは分かりやすい例です。其の中で、人を感動させる作品があるのは何処に違いがあるのか、風景画に付いても同じ事が言えます。模写ではないのです。

このように芸術がミーメーシスの世界の中で作られています。

もっと詳しく知りたい方は図書館などで調べてみると芸術全般の知識も増え視野が広がりどの分野においても有意義な事だと思います。

★模倣について

◎模倣について考えてみます。誰でもが最初は字を習う場合に先生のお手本(独学の場合も本を見たり)を見て同じに書く事から始めます。

順序としてある程度進むと古典に入り簡単な条福作品を手本を見て書き、更に自分で辞書を引き、くずし方を学び自分の作品を自分の手で作り上げていき、更に独創的な作品を制作に入る。仮名の世界もほぼ同じで古典の良さを取り入れ自分の個性を生かす事になります。これが習う場合の標準的な順序になります。

簡単な説明ですが実際には古典ひとつをとっても一生かけても終わらないほど大変な事です

以上の学習の中でシーメーシスや模倣がどのように関わっているか又、其の重要性を検討してみたいと思います。

★模倣をどう解釈するか・・その重要性
私達が始めて習い事をする場合先生の手本なりを模倣する事になるが、この場合どちらかと言うと模写の方でその意味を解さず、まず真似をします。これがスタートになり繰り返し繰り返し習います。

その修練の積み重ねが判断力を付け自ずと見る目が養われ、将来への力が蓄積されて行きます。

よく聞く事ですが古典を習ってもそれがどのように作品に生かすか?、またいくらやっても字は変わらない。上手にならない、古典は古典で別物になってしまう。絵画においても同じで、似たように書く(描く)事は出来ても自分で作品制作となると今迄の勉強の成果が現れない。

それは何処に原因があるかと言うと手本を見る目の力の差であり観察力なのです。

手本を写す事は良くないとされていますが、それはその段階で終えてしまうからです。写す事が良くないのでなく模写に終わり、そこから得ている物が形態だけに過ぎないからです。

写すのはひとつの段階で次に手本から書道で言えば点一つにしても筆の研ぎ方、入れ方、方向、強さ、速さ、付ける墨の量、そしてそれらを決める理由がある訳で、もっと考えれば言葉の意味、其の後がどのように続くかによっても全てが違ってくるはずである。

その手本の中から貴方が何を学ぶ事が出来るか、それが大事な事なのです。そこに至って始めて自分の作品と言える物が作り上げられていくのです。

其の為にはまず興味を持ち、つまらない事でもやって見て、良否を考え自分の判断をしてその判断が正しいか他に考え方があるのか、いろいろな角度から考えるといいです。

たとえそれが間違っていても続けていく事により必ず修正されていくものです。始めは写す事から又は見た通りに書く事から。そして其の中から1つだけでも何かを学び取って下さい。それが模倣であり、其の1つの積み重ねが将来の糧になります。

もう一つ大事な事は書道だけでなく絵画、工芸、写真、彫塑など沢山の良い作品を見て下さい。底辺に共通している部分は多いはずです。本を読む事も大事な事で本質に触れる力が付きます。

自分に照らし合わせると私も書に関する事だけでなく各分野の本を読み作品を見ます。それは書く事以上に役に立っています。


実例を見て説明します

▼ 《サンプル・6》を見て下さい

▼サンプル・6
データ006

A:お手本
高校生の為に書いたお手本ですが草かんむりの滲みは生徒に写させた為です。

B:高校3年のK君の作。
手本も何も見ずに書きました。

C:K君が手本を写して書いた作。
手本を下に敷き丁寧に時間をかけて筆の入れ方など注意深く写しました。

D:K君が再度手本を見ずに書いた作。
2回ほど手本を写し、その後何度か手本を見て書き最後に何も見ずに書いた作です。

<解説>
データ007A・この手本は某競書誌の手本に忠実に書きました。
B・特に注意する事もなく普段のままにリラックスして書いてもらいました。。
C・写す時には筆の入れ方に特に注意し、形を見てどの角度か、力の入れ方はどうか、終筆はどうなっているかなど最初と最後を観察してもらい丁寧に書き写しました。。
D・再度書く前にもう1度手本と見比べて観察してもらい、頭の中にイメージが出来たところで手本を見ずに書きました。

<考察>

上記の事から考えて

1.無心に書いた場合、意外と普段の勉強が生きてこない。もし出てきたとしてもそれは何分の1かで迷いの中で困惑しながら書いてしまう。

2.写す時の基準を決めて覚える意識を持ち、何度もその作業を繰り返し身に付ける事が必要である。出来た時点で止めてしまうと、それは写すと言う作業をしただけでその後の意味を持たない。繰り返す事により生きた学習につながって来る。

3.イメージが自分の中に出来た時に始めてその学習したことが役に立ち作品の中に取り入れる事が出来る。

4.この実験では書く時間より見て観察する時間の方が2倍くらい使いました。其の位見る事は大切な事です。


参考作品No.003<<参考作品 No.003>>
これは色紙に書いた小作品で「春夏秋冬多佳日」と言う言葉で皆さんもご存知の言葉です。

丸い額に四角い色紙、扇型の模様に思いきり四角に字を作りました。

これだけでは面白くないので長方形にして3行に配置してその上中心をずらして視線の変化を試みました。

付け加えると額と言っても数百円のボール紙で出来たこぎれいな物で色紙と合わせても千円以内です。
自分の部屋に有名な作家の作品を飾るのも善し、こういった安い費用で自分らしい作品を飾るのも素晴らしいと思います。

生活の中に生きていく美の世界は、貴方のすぐ身近にあるはずです。


【 ?質 問 コーナー 】
Q3.
--筆の持ち方が悪いのか、思ったように線がかけません?
手が震えたり、真っ直ぐの線がかけないし思った太さにも書けません?。
Ans.
勉強の順序として基本は大切です。形に余りにもとらわれ過ぎると緊張します。
どちらかと言うと絵でも描くつもりで軽く筆を持ち丸や三角や四角でもマンガでもなんでもいいから書いてみるといいです。

スポーツで言うウォーミングアップです。

その中で持ち方や力の入れ方で線の調整が出来るようになります。

その時に始めて何故基本がそこにあるのかわかってきます。筆を寝かしたり立てたりいろいろ試みる事も違いを知る上で大切な事です。


<今日のポイント>
-----学習の方法は沢山ある----
何をどのように書くか.学習の方法は沢山あります

方法を考えてそれが良いか悪いか使い方だと思います。

自分に合った方法を考えて試して見て貫きとうす事も大切です。
写す事も同じで何処まで徹底的に写しそれから何が得られたかが大切なポイントです。


◆ Lesson 4.【 学習法理論 】
★学習法を定義する。

★学習法を定義する必要性
◎なぜ、今、学習方をとりあげるのか
レッスン1.2.3で作品を作るに当たっての動機付けとしての説明をしてきましたが、現実に作品を作る時、良い手本があり、良い先生にも就きそれでも思うように行かない。

根本的な学習の意味を考えて習う事に定義を付けてみました。

学習法理論

1).習う順序にこだわらない

先生に就き習い始め、また本を買い独学で習い始めても始めは楽しみがあり、その内、難しさの余り挫折の道へ。これがパターンとなってますが、ここを乗り越えましょう。

手本と同じに書けなくても良いので、それが当たり前の事と思い先へ先へと進みましょう。

考えてみても横線一本でもお手本は何十年と練習を積んだ先生が書いた物で、同じに書けなくて当たり前なのです。先に進む事により、前の事の復習をしているのです。

各書体を学びながら先へ進みましょう。出来なかった事が知らず知らずに出来るようになります。

2).お手本の動きを見る
それではお手本を見る時は、どのようにみれば良いのでしょうか?
先生のお手本、書道誌、雑誌、何でもいいのですが、

●形を見る
四角い、丸い、菱形、三角、様々ですね。何度も何度も真似をして書いて見ましょう。それでも旨く書けない時は写してもいいです。形を頭の中にイメージしましょう。
写した後は、写さずに何枚も書きます。繰り返します。

●太さを比べる
字のバランスとは微妙で、多少の太細で変わってきます。丹念に丹念に、定規で測ってもかまいません。この横線はあの縦線の2倍の太さだとか、具体的に確認してみます。

●緩急をつける
一言で言うと速さです。これがとても大切です。太さも形も同じでも、速さが違うだけで全く印象が違います。所謂、字が生きているか、死んでいるかの違いです。
始めは筆を入れる時、曲がり角、離す時はゆっくり、直線に近いのは速く書くと良いでしょう。又速さの変化で変わる事を試して見ます。

●用紙における手本のバランスを見る
文字はその用紙にバランスよく配置し、調和しなければいけません。
旨く書けたと思っても、どこか良くない、意外とこの余白に原因かも知れません。余白と思わずに白い字と考えて、見えないとこにも同じに気を遣いましょう。(後述)

3).見る事に時間をかける
書いたら見る、見たら書く、この習慣を付けて下さい。
書いたすぐと、数時間後、数日後、それぞれ印象が違います。壁に張って客観的に見て自分で鉛筆でいいですから、先生になったつもりで直します。
この方法は効果があり、前述の余白が如何に大切か、又美術館に行った時に鑑賞する力が付きます。
書く事、見る事、これは一体なのです。
4).書きたくない時は書かない
当たり前の事ですが、意欲が湧かない時があります。
そんな時は休みましょう。何日も、又、数ヶ月、筆を持たずに休養します。書きたくなっても我慢します。美術館に行くといいでしょう。
頭の中で書いて見ましょう。筆で表現できないところが、空想の世界で、思いどうりの線が書けイメージも膨らみます
人には休息は大切でエネルギーは適度に蓄積しましょう。
5).お手本の心を読む
書かれているお手本の心を読む・・理解して下さい。
そのお手本を書く為に先生は何枚練習したのでしょうか?。1枚で書き上げた?、10枚、100枚かもしれません。

せめて習う方はそれ以上は書かなければいけませんよね!。又どんな気持ちで書いたのか。そのお手本の蓄積された重みを感じ取って下さい

6).手を見る(目を閉じて書く)
一般的にどうしても書いていく字を見てしまいますが、書いた字を見るのでなく、書いている手を見るのです。

書道塾、中学、高校、大学で先生が書くのを見る時、字は後でゆっくり見れます。書いている手を、腕の動き、筆を見るのです。緩急から他の事まで呼吸をみます。

これが習う時に最も大事な事で、字は後で何度でもみれます、動きはその一舜だけです。

そして練習の時に、思い出して、自分が先生になったつもりで目を閉じてイメージだけで書きます。思い出しながら。これこそ先生に就いた最大のポイントなのです。

7).時間をかけて書く
1枚を時間をかけて書くという事は、ゆっくり書くという事だけではありません。

より丁寧に書くという事です。それにより、筆の入れ方、抜き方などに、又、お手本を見る時に、その習慣が注意力の向上につながります。

注意力の向上は、今迄気が付かなかった事に、気がいき、過去の間違いを訂正していきます。

お手本を見た時に、そこから得る物が多くなります。
将来につながる事なのです。

8).自分を下手だと思い、そして上手と思う
どんなに頑張っても1年は1年の、10年は10年のキャリアしかありません。しかしその1年にもいろいろあります。

持てる力をフルに使った1年でありたい物です。其の為には自信を持って書きます。習う時は謙虚に!、書く時は自信を持って!、これが私の字だと!。自信を持って書いた字には、将来へつながります。その上に、未来へつながる反省点が出て来ます。自信を持たずに書いた作品には、大切な反省点が出てこないのです。今の貴方の持てる力を出しきりましょう。

9).自分を表現しよう
作品を書くという事は、自分の権化、化身であり、画家の故岡本太郎氏の言う「爆発」なのです。

貴方の心の中が字や絵になりかわって、この世に出てきたのです。
そう考えて一途に書きましょう。良い悪いは人の評価で、何も気にする事はありません。

書く事をもっと楽しみましょう。

その心は必ず字に出てきます。

10).思いやる
10番目、これが最後です。 上手に書くだけならコンピューターでも出来ます。

やさしさに、思いやりが人にはあります。

書く人の意志があるのです。これは全てにつながることで、先生に就いている人はこの事を考えて欲しいと思います。

30年位前に私の書道の先生がある時、ふっと言いました。
「職場でどんなに、いやなことがあっても家に帰って生徒がどんなのを書いてくるかを思うと、みんな忘れてしまう、何よりの楽しみだ。」

先生に付く時、貴方自信が良い生徒である様、努力しなければいけません。

芸術、美とは、人の心と心が織りなすもので、感じる心、感動があるのです。


【 ?質 問 コーナー 】
Q4.
--今、古典を勉強していますが実際に作品に生かすことがで来ません。どのように取り入れれば良いのですか。
Ans.
ある程度勉強してきた人にとって、古典は必須です。

確かに 「古典=作品」 とは行かないのが現実です。
原因の一つに多いのが、古典が独立しているという事です。古典を書いた後に必ず自分で何か書いて下さい。出来れば漢詩の中から詩を選び自分なりに書いて下さい。

又いろいろな人の作品を見て其の中に何か古典の一部が使われているはずです。探して見て下さい。古典と創作・・これは一体で考えましょう。
互いにその良さを引き出し合わなければ勉強の意義がありません。


<今日のポイント>
-----学習法の基本を理解する----
学習法の基本を理解する・・この一言に尽きます。沢山ある資料、それを生かすも、唯の資料のままでお終わらすかは貴方次第。
もう一度、原点に返り、ゆっくり考える事も、時には必要です。

長い一生を心豊かに暮らす為に!(今回は理論だけに なりました、次回から再び見本を見ながらの勉強になります。)


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