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■■1998年06月24日■■「情報」を疑え
「T's 関係の資料」に、さらに情報を追加した。
実は今回追加した、「DSM IV」や「ICD 10」は、私が自分で調べて掲載しようと思ったのだけど、他のホームページを見ても、書店で本を探しても、比較してみるとたいていどこかが違っていて、どれが正確なのかが判らない・・・(^^;)。
そこで今回も、「フェアリークリニック」の、YUKIさんにお願いした。また、そもそも「DSM IV」や「ICD 10」とは何か、という説明も、今回一緒に掲載することとし、その説明もお願いしたところ、貴重のお時間を割いて、すぐに【EON】(パソコン通信)を通じて情報を送ってくださった。
特に「ICD 10」は国際規格であり、日本でも使われているため、総務庁告示のものを指定して、YUKIさんにお願いした。そのため今回掲載したのは、いわば日本における「ICD 10」の公式日本語訳である。
したがって、各情報の掲載の順番も並び替え、元になった情報を上に、また「ガイドライン」のようにそれを参考に国内で作ったものは下に置くようにした。ただし、日本語訳と英原文は、見やすいように並べて置いた。
なお、文中に若干の字句の間違いがあるが、これはYUKIさんが原典の間違いまで正確(?)に入力したためで、YUKIさんの責任ではない(ただし、5月に掲載した分については、その事情を知らない私が一部、勝手に修正した部分がある)。
私がこうした「情報」に細部にまでこだわるのは、「伝言ゲーム」でも判る通り、「情報」というものが変形しやすいものだからだ。人間は情報を誤って受け取ったり、発信したりしている。単なる錯誤の場合もあれば、情報を扱う人間の考えや欲求がフィルターとなって、半ば意図的に変形することもある。
だから、他のホームページでに掲載されているものでも、書店で販売されている本に掲載されているものでも、いくつかを照らし合わせて「おかしい」と思ったら、裏付けを取る。今回「T's 関係の資料」に追加した情報も、その原則に沿った結果である。
パソコン通信の【EON】や、この【EON/W】の主宰の私がいうのも何だが、「情報」というものはよほど気を付けてかからないと、いくらでも間違いの元になる、やっかいなものだ。間違っても、本に書いてあったからとか、新聞やテレビで流していたからといって、鵜呑みにしてはいけないものだし、まして個人で作成できて何の校定も入らないホームページは、もっとあぶない。下手をすると、専門家が作ったものでも信用できないことがある。
だから私は長いこと、女性ホルモン等については【EON】や【EON/W】で扱わなかった。正確に言うと「扱えなかった」。私は、情報を「疑う目」は持っていても、その中から「正しい情報」を選び取る眼(専門知識)がないからである。先月になって、「フェアリークリニック」の紹介を始めたのは、何度か直接会って話をした上で、YUKIさんが「情報の疑い方」を知っている「専門家」だと確信できたためである。単に「専門家」の肩書きがあるというだけでは、私は人を信じない。まして、【EON/W】で流す情報は、今や多くの人に影響を与えるようになってしまった。その責任上の問題もあって、女性ホルモン等については先月までまったくノータッチだったのである。
私にはごく簡単な法医学の知識しかないし、治す(医学)より壊す方(武術)が専門なので物騒な例になるけれども(^^;)、毒薬には致死量というものがある。「この毒薬は、これくらい飲むと人が死ぬ」という、毒薬の分量のことだ。しかし、これはあくまでも目安でしかない。「青酸カリ」は、名前だけにせよ、おそらく知らない人はいないというくらい有名な毒だが、これも致死量の一割ほどで死亡する人もいれば、致死量の二倍でも死なない人もいる。「致死量」というのは、これくらいアテにならない「目安」なのだ。
人を殺す時だけでなく(^^;)、治す時でも同じ事で、薬というのは大雑把に言っても、まず服用する人の体の大きさで量が決まる。詳しくは知らないが、体質の違いなどを別にすれば、一応は体表面積に比例するらしい。もっともいくら自分の身体でも、体表面積を知っている人は、あまりいない。もちろん私も知らない。だから体重で代用する。体重ならおおよその自分の体重はほとんどの人が知っているし、知らなくても簡単に量ることが出来る。ただし、市販の薬ではこれも省略して、1回の服用量を年齢によって数段階に分けている。この場合「大人」というのは15歳以上のことが多いようだ。
察しのよい人はもう判ったと思うが、これはかなり無茶な話だ。「15歳以上」でも体表面積や体重にはかなりの個人差がある。それに同じ量の薬を飲ませるのだから、乱暴な話である。ちなみに「15歳以上」というのは体重でいうと「50kg以上」なのだそうで、小柄な女性の中には、「大人」の分量では多すぎるという人もいるはずである。こうなると、薬の注意書きの「情報」もあてにならない。ただし、市販薬の場合にはあまり薬が強くないので、それでも認められているらしい。処方箋を必要とする薬なら、おそらくそれでは済むまい。
また、薬というのは文字通りの「薬品」であるから、ただ飲んでも仕方がない。体内の何かと化合するわけで、つまり化合する相手が体内に必要である。ホルモンならば受容体と呼ばれるものがある。だから、ホルモンを服用しても、何らかの理由で受容体に支障があれば効果はない。また、体内に入った薬品は分解もしくは排泄される。だから分解や排泄の機能が低ければ、処理しきれない薬品が体内に溜まる。この能力にも個人差がある。
素人の私が考えても、薬の服用には、これだけいろいろな問題がつきまとう。女性ホルモンの影響についての論文を見かけることがあるが、よく見るとそれが欧米のものだったりすることが少なくない。そこに使われているデータが事実だとしても、平均的な体格が異なる日本人に、それをそのまま当てはめて考えることは出来ない。同じ日本人でさえ、数倍から数十倍という大きな個人差があることは、上の青酸カリの例でも判るだろう(むろん青酸カリに限らず、他の薬物でも同じことである)。
こういう論文やデータを見掛けた人は、くれぐれもそこに上げられている数値をそのまま自分の身体に当てはめて「科学的な判断」をしたつもりになってはいけない。素人の私がここに挙げたファクターすら、ごっそりと取りこぼしたような判断は「非科学的な判断」でしかない。理数系(と英語)の劣等生で、物理では仮単位で進級したこともある私がいうのも何だけど(^^;)、せめて、この劣等生でさえ考えるくらいのことは考えて欲しい・・・。
だから、こちらのいうだけホルモン注射をしてくれて、その影響についての検査を何もしないというのは、どう考えても「医療」ではありえない。物事の程度を決めることを、昔から「さじ加減」というが、この「さじ」とは薬の調合に使う「薬匙」のこと。その「さじ加減」をしないで、さじを投げてしまっては医師として失格だろう。それは単なる「商売」でしかなく、これは当然のこと、そういう医師にも問題がある。しかし、そこに通う方にもかなり問題がある。
フェアリークリニックでは、そういう検査もきちんと行なっているし、ここに挙げたような説明も、(たぶん私が書いた以上に)きちんとされているようだ。いずれ、「情報の疑い方を心得ている専門家」としての意見を、文章にまとめていただこうと思っている。
それから、YUKIさんから伺ったところでは、ただ「ホルモンをやりたい」とか、「ホルモンはどこで手に入るか」というような、「1行メール」が多いらしい。時には私のところにも、来る(^^;)。
どうも、診療所(クリニック)と薬局の区別が付いていないようで(笑)、ただこれだけのメールをもらっても返事の仕様がない。もっとも、YUKIさんは、こういうメールに対しては(数が多いからだろう)、返信用の定型文を用意して対処しているらしいので(私は、その内容はまだ見たことがないけど ^^;)、「1行メール」については、そういうメールを送らなくても、その前に「ここを読みなさい」というようなページも、作成して設置するようにして行きたい。
