4話 苦肉の策・・・


VERSUS内は完全にミーサの一挙手挙動に振り回されていた。
ミーサがローカを歩く時には補助が付いた、
ただでさえ重量がある上に足元がまったく見えない超ボテ体型である、さらに、その腹は辛うじて自重を支えているのがやっとという爆発寸前状態だ、もし転倒でもしたら大変な事になる。
もちろん、荷物を持たせるなぞ問題外だ。そしてミーサの周囲3m以内では、傷を付ける可能性のある突起物の持ち込みが禁止になった。刃物や工具、針などはもちろん、ブローチやピアス等のアクセサリ、果てはボールペンやに至るまで、徹底的に「ミーサ破裂防止策」が取られた。
(もっとも、この呼び方をするとミーサがパニックとなるので口には出されない 例の一件の後、ミーサは「破裂」という単語に過敏になっている)
おまけに、ホルモンバランスのせいか、やや情緒不安定気味な事も手伝い (マタニティブルーってヤツだね)
一同は割れ物・・・いや腫れ物を触るような感覚でミーサに接していた。さながらミーサはVERSUSの女王のようだった・・・世にも珍しい、泣き虫で気の弱い女王様
いや、この場合は女王蜂か女王蟻かもしれない(笑)

そんなある日、食事時・・・

「もう、がまんできないわ!」
こんな一声が沈黙を破った。ミーサである
「こんな何でもかんでも人任せで、何もさせてもらえないなんて、わたしイヤ!」
珍しく(比較的)機敏な動きで立ち上がった
「それに、この食事!ストックされている食材をそのまま調理マシンに突っ込んだだけなんて、栄養士として放っておけません!」
厨房コーナーに入ろうとするミーサ、入り口に巨大な腹が引っかかるが、押し込んだ(^_^;
「大丈夫かなぁ?包丁とか使うんでしょ?手が滑ってオナカに落っことしたりしたら、パァ・・・んーっ!」
禁句を口に出しかけたキャウを押え込むルシカ、ミーサが涙目でキャウをにらむ
「まぁ、少しは動いた方が健康に良いのは正論やしワシもメシはうまい方がいい・・・」
「ただし、刃物だけは控えた方が良いのでは?その工程だけは機械に任せても問題無いと思うが」
Drに続けてフォローを入れる艦長ことミラ。


「じゃ、作ってみるね」
ミーサが愛用のフライパンに右手を伸ばし、左手を添えようとした・・・・が・・・
「う・・・ムネがつっかえる・・・」
両手でフライパンの柄を掴もうとすると、その間にはバスケットボールより巨大な2つの風船が・・・
「ぐ、ぐ、ぐ・・・」
力任せにムネを圧縮し、何とか両手でグリップする。
「わっ・・わわ・・割れちゃいそう・・・」
ミーサに聞こえないように小声でルーラがつぶやく左右から押さえられた風船は、当然前と上(下にはもっとデカいのがある)にせり出し、ブラウスのボタンを弾き飛ばす。
「うん、これでよしっと・・・な・・・なんか重いわね」
当然である、ミーサの腕の上には1つ5kgは下らないミルクタンクが2つも圧し掛かっている。
「では、コレをこっちへ・・・せーの・・・・」
何時の間にか『重くなった』(と、本人は思っている)フライパンを持ち上げようと、息を大きく吸う
なんだかまた少し膨らんだような気がした
「ん〜〜〜〜〜っ!!」
下腹部に力を入れて、一気に持ち上げる!
ところが、ミーサの伸ばされきった腹筋は、その腹圧を支えきれない!!
腹自体の重量も手伝って、むくむくっと下腹部がせり出し、スカートのすそからはみ出した。ミーサの表情がうつろな状態になる。また例の内圧無限ループ(2話参照)だかすかにメリメリッという音までする、
全員が飛び掛かって止めた。


先程の件で「ほわぁ〜っ」となっているミーサを除いて、対策会議が開かれた。
「なんとかしないと、こりゃヤバいかもね」
一応、コードF時のまとめ役であるルーラが口火を切った
「・・・で、対策はあるのかね?」
「何かに付けてぷぅぷぅと膨らんじゃうのがコワイんだよね」
「誰かさんが、あそこまで大きくしちゃったモンやからな・・・」
「圧力の作用する面積かぁ・・・パスカルの原理ってヤツだね」
モニカを除いて全員がが突っ込んだ
「きっかけはなんであれ、とにかく発育する構造になっているのよ」
大汗マークを付けながらも弁解するルーラ
「一応、地球型人類の存続がかかっているのだが・・・」
眉間を押さえるミラ
「要は、パンクさせなきゃいいんでしょ?」
半分ヤケのルーラ
「・・・・・」
無言のモニカがルーラをつつく。 手にしたハンディDATAビューア(本みたいなもんだぁね)に、大昔の雑誌の広告が映っている
「なに?・・・腹帯??・・・そっかぁ!!」
「サポーター作ろうっちゅーワケやね?でも、素材はどないすんねん、あの重量と圧力は通常のサポーターでは支えきれないで」
モニカがルシカを指差す
「オレの防弾ボディスーツかい?アレなら強度もあるし、刃物も熱も通さねえな」
「デザインは、私がやろう。昔、趣味でやっていた」
と、ミラ
「強度計算と、型紙の設計はCAD使えるよ」
キャウが得意げに胸を張った
「・・・・・加工・・・まかせて・・・」
最後にモニカが、本日初めてのセリフをはいた(笑)


「・・・しっかし、この素材は何だ?真っ黒で分厚くて、レザーみたいだ・・・それに、絶対的に面積が足りない・・・」
「艦長、しかたないよ。オレとミーサじゃ体型が違いすぎる」
「やっぱ、一部露出はしかたないね、どこをサポートしたら効率いいかシミュレートしなきゃ」
・・・難航はしたが、なんとかサポーターは完成した。


「ええ〜っ、なんなのぉ!!コレぇ」
「・・だ、だから、体型保持の為のサポーターだと言っておろうが・・・」
「か〜んちょ、自分のシュミで、デザインしたんとちゃうかぁ?」
「ま、まさか、材料が足りなくてこうなったに過ぎん・・・ホントだ」
狼狽するミラの前、一同の揃う中で赤面し半ベソをかいているのはミーサ
今まで通り「超ぼて娘」に変わりはないが、着ている物が違っていた黒いレザーの様な素材のボディスーツ、デザイン的には所々に隙間があり、ボディスーツというよりはベルトの集合体である。
(なんとなく「フィフス・エレメント」に出てきたコスチュームに似てなくも無い)
ただ、着ているのがポンポンのミーサだけに、皮ベルトで縛りまくったゴム風船にしか見えないのは仕方が無い・・・
「まぁこれで、むやみやたらと膨れ上がって危ない目に会う事もなかろう。 それに、胸と腹もしっかりとサポートしているから、以前みたいにユサユサせずに動きやすくなったと思うが」
「そういえば、そうね・・・」
「月齢が進んで、さらに発育したとしても、脇にあるバックルで調整できるようになっている」
「さらには、防弾・防刃・耐熱・耐衝撃の素材だ、たいていの事からは中身を守ってくれる」
「そう考えるとイガイといいかも・・・」
「けっこーカッコイイぜ、ミーサ」
ルシカがフォローを入れる(案外マメな奴である)
「あと・・・これ・・・」モニカがおずおずとメタルパーツの付いた黒いグラブとロングブーツを差し出した
「おなか・・・重いでしょ・・・パワーアシスト付いてるの・・・」
確かにミーサの体重は最初の頃から比べると2倍・・・いやそれ以上になっていた
もちろん、全て巨大化した胸と腹の重量である。
元から筋肉量の少なく(その分脂肪が多い)非力なミーサは、近頃は歩く事すらやっとの状態だったのだ。
「ありがとう、みんな・・・」
黒いロンググラブにロングブーツ、所々に露出のあるレザー風ボンテージなボディースーツ全装備(笑)を装着したその姿は、あと顔さえ隠せば、悪の女幹部か、女王様・・・
ただし、ぱっつんぱっつんに膨らんだ、臨月オーバーの超ぼて女王様だ(^〜^:)
だが、この“とてつもなく恥ずかしい格好”に異を唱える者はVERSUS内にはいなかった・・・



※4話後書き(読みたい人だけどうぞ)

ずいぶんとお待たせいたしました。VERSUS番外編「コードF」第4話でした。
・・・で、今回のストーリーは、やもすればパンクしてしまいそうなミーサに、まわりが振り回されるというお話でした。
はっきりと言います。今回のお話は「つなぎ」です。Hシーンすらありませんでした・・・m(_ _)m謝罪
さらには、今回の挿し絵CGは、2枚の予定でしたが、挫折してしまいました、スミマセン。
プロテクタースーツのCGは、5話の方にて描きますので、もーちょっと待ってて下さいね。
 さて、次回の第5話では、いちおーコレもSFなんだぞ!と、ゆー事で、「宇宙モノSF」のお約束に挑戦してみたいと思います。多少遅れるかもしれませんが、見捨てないで下さいね。