− 第1部 −

第2話 動き始めた時代



どこかは判らないが、巨大な企業のものであることだけは確かな一室
中にいる面々も、ビジネススーツに身を固めた企業人ばかりだ

「なんだね?この数値は・・・」
一番大きな椅子に腰掛けた男が声を荒げる

「しかし、まだプロジェクトも始動していない今、
 現在の風潮では、いたしかたない所でして・・・」
少し若いのが低身低頭で答える

「もう、これは早急な対応が必要なのかもしれないな・・・」
上司は確認するように一人ごちた



「そ〜れっ」
「きゃあっ、そっち、なんとか返してぇ」

またしても久しぶりの登校日、体育の授業風景・・・
高校生の体育なんて、お遊びの延長である
しかし登校日本来の目的である、集団性を学ぶには最適らしいので比較的多くカリキュラムに組み込まれている。
座学系の勉強はネットでもできるというわけだ。

「古典ビデオで見た イナズマサ〜ブ!!」
「あ、千奈、そっちいったよー!レシーブお願いね〜!」

白いバレーボールは正面から飛んできた。
少しだけバックステップして両手を組み前に伸ばす、基本的なフォームだ
ただちょっとだけ反応がおくれたため、慌てた動作になってしまった
ボールはひじより内側、かなり根元の方に来てしまう
そこには左右から挟まれて、腕よりも飛び出してしまっている千奈の胸があった(笑)

「きゃあっ!」

ボールはうまく上に上げたものの、千奈は転倒してしまった

「いったぁ〜〜〜い・・・」

ムネをこねるようにさすりながら、立ち上がる。少々オシリが重たげだが・・・

となりの区画には男子たちがいる

「大谷っていいかもな・・・」
「フツーあの状態で胸には当たんないよなー」
「けっこー天然グラマーだし・・・」

どの時代になっても、こーいった会話はなくならないらしい・・・

「アレで腹がボボ〜ンと膨らんでたらなぁ」
「いいね〜、オカズにしちゃうよ」
「オレ、ネット局に売込みに行っちゃうゼ」

たとえ、風潮や流行が変わってもである・・・



「千奈、今日の帰り、よってく?」
放課後、声をかけてきたのは、いつものグループの一人
ドイツ系の銀髪娘、ミアだった

「うん、いーわね、今日はおこづかい余裕あるから、ジャンボパフェ狙っちゃおうかな?」
「ユーリは、スペシャルのバケツパフェいくですぅ〜」
ミアは、千奈の今日ぶつけた胸元へ視線をやると
「やっぱ、そのムネの秘密は適度な運動と栄養だったんだな」
感心するようにうそぶいた
「ボールぶつけるのが運動なの?」
ツッコミをいれる初香
「じゃあ、刺激と言い直したほうがいいかな?」

「ん、もうっ! 関係ないでしょ!! おっきな声でぶり返さないでよ」
千奈が赤面して、食ってかかった

実を言うと千奈には原因が判っている“遺伝”なのだ
認めたくはないが、千奈の胸のサイズは、母親とトントン、やや勝っていたりする
(身長もほとんど同じ)
もっとも現在格段の差があるのは、母親が妊娠中なためである

「んぐ、千奈さん、羨ましいですぅ〜・・・」
片手に購買のパンをつかんだままの友人、ユーリが、もぐもぐ言いながら
千奈をなでまわす

「や、やめ、ユーリ! まだ痛いのっ!」

「ん〜、ユーリなかなか育ってくれませんですぅ〜」

千奈の胸より、ユーリの大食らいの方が、よっぽど“謎”である



またしても某社、豪奢な会議室・・・
壁の一面は巨大なスクリーンになっている。
そのスクリーンを睨んでいる「いかにも”お偉いさん”」な面々
スクリーンに次々と映し出されるのはどれも10代の少女達・・・
登校風景、クラブ活動、体育の風景、活動の様子が生き生きと画面に現れている
しかし、言っちゃ悪いが みな盗撮だ

「これも良くはないな・・・」
「うむ、これでは仮想モノに対抗できないな」

やたらと重苦しい女子高生鑑賞は数時間にも及んだ。

「では、最終的に絞り込まれた面々のデータを出してくれ」

「はい」
まだ若手のオペレータがスクリーンを切り替える

画面には、ピックアップされた少女たちの名前や年齢、身長・体重から3サイズ、家庭環境から両親のデータなど、びっしりと事細かに表示されている
本来なら公開を禁じられているDNA情報関係さえも・・・

必死にデータを検討する“お偉いさん”達・・・
その作業はさらに数時間を要した

「うむ、これなら行ける!」

そして、ついに結果が出たらしい
すかさず全社に司令が行き渡る

「よし、プロジェクトP 第2フェーズ始動!
 なんとしても、目標を手中に収めるのだ」



学校からさほど離れていない喫茶店
メニューに甘味系が充実しているため、女性に人気が高い
既に千奈たちのグループの溜まり場と化している店である

「前に言ったネット局、ついに本格的に動くみたいよ

「どこが中心になってるの?」
根が冷静なミアが聞く

「メインはCNCみたい、というよりBNC以外は一丸となってるみたいよ」
「最大手じゃない」

CNC“セントラル・ネットワーク・コーポ”は、この時代のメディアを牛耳る最大手である。
通信にたとえるならNTT、パソコンに例えるならDos/Vと98をあわせたくらい、
全世界のメディアのほとんどを管理・運営する企業である。
唯一の対抗勢力であるBNC“バーチャル・ネットワーク・コーポ”ですらCNCの持つ回線上にデータを流しているサードパーティでしかない。

「どんな内容かわからないの?」

「え〜っとぉ・・・“NA計画”内の“プロジェクトP”って名前まで・・・
 う〜ん・・・セキュリティ硬いよ・・・」

「それだけじゃ、わかんないわよ」

「じゃーん! なにも正攻法だけが、情報収集ってわけじゃないよっ
 予めあちこちのホストに常駐させといた、ワームちゃんの記録したデータをぉ・・・
 ちょいちょいっと集めるとぉ・・・ほらぁっ!でたぁ」

「アンタね、ワームなんてバラまいてたの?」

※ワーム:ネットやコンピュータ内を徘徊するロポットプログラム(実体は無い)
 検索エンジンなんかが情報を集めるのに使っているらしい
 勝手に増えたり、悪さをするものはウィルスといい、ここでは区別する

「いいでしょ! で、これでネット内の情報の流量と方向がわかるの
 つまり、CNCが集めてた情報と、それがどこにながれて行ったかがね」

「で、結果は?

「えへへー、ケーキセットで手を打つわ」
「あ、ずる〜い」
「こっちだって、アブナい橋渡ってんだもん」
「いいわ、アタシが出す」
ジャンボパフェを2/3くらいまでたいらげた千奈が奥のほうから声をかけた
「あれ?ネットにうとい千奈リンが・・・? ま、いっかぁ」

「流れていった情報は、アタシ達と同じ高校生のデータ、ただし女子のみ
 その流れ込んだ先はCNNの芸能部門のサーバーよ 千奈リン、ごちね!」

「するってーと、ネットアイドル関係かな

「え〜・・・アイドル関係って今低調じゃない
「ねーねー知ってる?アイドルってプロポーションの為に整形とかするんだって」
「あ、あたしもやろーかなー」
「整形ってたいへんだよー」
「あたい、雑誌で読んだー、エアーバッグってヤツでしょ」
「アレって、オナカん中にフーセン入れるよーなもんだよねー」
「今の爆腹アイドルって、みんなそうみたいよ」
「ホントに妊娠したら、踊ったりできないからじゃないの」

「あとはネット修正かな・・・バーチャアイドルってヤツ」
「アレきらいー、作りモンでしょー」
「実在のだって大同小異じゃないの?」

「ねーねー、一時的にしか持たないらしいけど、直接ガス注入する人も多いらしいわよ
 今度やってみよーと思うんだけど」
「そんなのだれでもやるじゃない、お手軽なセットも売ってるしね」

・・・などど、たわいのない会話が続いていた所

「はふー・・・今日は腹八分目にしておくですぅ」

大食い自慢の成人男性でも持て余すといわれている、超巨大パフェ、別名“バケツパフェ”を一人でたいらげたユーリが、スプーンをおいた。

一同が、思わず一瞬凍りついたのは、言うまでも無かった。



冒頭でもあった企業の一室、上司の叱責が飛ぶ

「この部門は完全にBNCに水を開けられているではないか」

「ええ、それは如何とも・・・やはりバーチャルアイドルは人気があるようでして」

「何が“バーチャル”だ!所詮は高密度ポリゴンに過ぎぬではないのか
 “人間”無くして、何の芸能界だ」

「しかしですが、現在では実在アイドルとはいえ、人工的に体を創っている者がほとんどでして・・・
 やはり『同じ人工物なら理想的な方が』というユーザの声もあります事でして・・・」

「だったら、創ればよいのだ。プロジェクトは始動している。
 今こそポリゴンなんかに負けぬ天然アイドルを世に出す時なのだ」

・・・同時刻、この企業、CNNの別働隊は、既に動きはじめていた・・・



第2話 後書き

さて、この後書きまで1話から引いてしまいました m(_ _)m
今回第2話では、描写上1回も“ぼて”が出てきません。
まことに申し訳有りませんが、このシリーズでは全話を通して主人公
千奈のぼて化して行く様を描いてゆく予定ですのでご了承ください。
さて、1話後書きの続きですが、
ここでは、キャラクターについて解説してゆきたいと思います。
まずは主人公、千奈ですが、キャラ出生の由来がユナというのは前に述べたので割愛します。
性格は、やや“おっとり”で、“少々ボケ”流行にはやや疎く、けっこうお気楽極楽です。
今回の話でもありましたが、少々運動音痴です。(単にカラダが重いだけ?)
HPの絵を見ていただければお分かりだとは思いますが、骨格は比較的華奢
(骨太じゃありません)、筋肉量は至って少なめ、それでいて丸っこいという、
体脂肪率の思いっきり高そうな娘ですが、至って健康、元気いっぱいです。
ひとえにコレは、Alのシュミを集約したからです。(ゴツゴツしたのは女の子ぢゃなぁぁいっ!!)
そして、サブキャラ
ドイツ系銀髪娘 ミア、グループ一番のキレ者という設定です。
フルネームは、ミアヴェルト・ロイエンシュタインといいまして、
モデルはもちろん、ポリリーナ様ことリアちゃんです。(ほとんど、そのまんまやんけー!(笑))
つづいて、大食い大ボケ娘、ユーリ、ほとんどひねってませんから、お分かりでしょう
性格も大食いもそのまんま、違いは人間である事だけ、モデルはアンドロイド少女ユーリィ・キューブです。
ちなみに本編での呼び名、ユーリは愛称で“木生 悠里”が本名です(「木生」は「きうぶ」と読みます)
コイツもほとんど(まったく)そのまんまー!!(爆)
元ネタ(ユナ)では主人公よりグラマーな彼女ですが、本編では、幼児体形です。
でも、ミアちゃんよりは幅があります。(でもミアちゃんは出るトコでてるのよ)
グループ最後は、ネットマニアの初香、この娘はオリジナルキャラです。
フルネームは“八曽根 初香”(やそね はつか)、語路合せのネーミングです。(パソコン+ハッカー)
イメージ的にはハイ・ステップジュン(古ぅ〜!)を眼鏡っ娘にしたよーなもの
チビでロリロリ、どーもAlは、コンピュータ使いはメガネつけちゃうみたいです(VERSUSのキャウとか)
あ、忘れてはいけない人がいました。
そう、“千奈のママ”和奈です。
はっきり言います。このキャラは“サービス”キャラです。
シリーズ後半になって、やっとぼて化する千奈だけでは、
読者の方々に悪いと思って登場願ったキャラです。
ストーリーの本筋には一切関係ありません(きっぱり)
余談ですが、千奈の父親は千一郎といいまして、めったに帰ってきません
(母子家庭ではないのだよ)千奈は両親から1字ずつもらってるってワケです。

さて、ずいぶんと長い後書きになってしまいました。
では、第3話でお会いしましょう。