Bluelight magic(light) 

 不思議な夢を見た主人公はかつて共に過ごした従姉妹のところへと向かう。一見、普通の女子高生である従姉妹たち三姉妹は、実は超能力者であり、謎の組織に狙われていたのです。

 ストーリー紹介を読んでくださった方ならおわかりでしょうが、取りあえず頭を切り換えてください。まじめに取り組むゲームではなく、斜めか楽しむゲームですから。
 なんでこのゲームを買ったのかといえば……、ええと、なんだったかな。ああ、そうでした。雑誌の攻略記事を何の気もなく見ていたら面白そうに見えたから、でした。結果論で言えば明らかに気の迷いだった訳ですが。
 もはやお約束の感ありですが、このゲームも修正ファイル有りです。このゲームに最初に喋るキャラである春野あさがお(名前です。念のため)が「会いたかったよ、お兄ちゃん」と言いません。言おうとするとゲームが止まります。音声無しにすればプレイできるようですが、他にも不具合があるようなので素直にダウンロードしときましょう。

 まずはシステムですが、このゲームはこれを抜きに語れないというほどのものに仕上がっています。残念ながら悪い方向に。
 このゲームはそのシステム構成上において、いくつかの要素を組み合わせることによって、ある意味で絶妙のプレイ環境を構築しています。
 まず一つ目はメッセージスピード。これは変更は可能なのですが、驚いたことにNo waitが存在しません。それでも最速状態が早ければ文句はありませんが、見事に遅いです。十分イライラするレベルと言えるでしょう。
 二つ目にメッセージの表示の仕方。これは主人公の独白や状況説明においてですが、そのほとんどの文章が一つ目の句点で画面切り替えとなってしまっているのです。最大3行まで使用可能なメッセージ枠がまともに3行目まで使われることは滅多にありません。さらにメッセージの切り換えに間が出来ることもしばしばです。
 三つ目は画面切り替え。これがまた本当にハードディスクにインストールしているのかと思いたくなるほど遅いです。特にフェイドイン及びアウトの処理は遅いです。
 以上三点によりこのゲームは実に快適な遅さを実現しています。さらにこれにボイスも加わりますから、シナリオの量に比べて体感時間はかなりの長さになります。
 ゲーム期間はわずか5、6日。1日の密度も低いので、驚くべき短さです。
 シナリオは評価が少し難しいです。素材はそれほど悪くないが、調理法が良くないといったところでしょうか。
 このゲームは恐ろしいことにコメディとシリアスが日付ではっきりと分かれてしまっています。ついでに言えばキャラクターもそれぞれの担当が決まってしまっていて、前半のギャグ担当のキャラは後半になるとロクに出番がありません。
 各ヒロインのシナリオについても疑問があります。登場するほぼ全てのヒロインは同じ家に暮らしているというのに、個別シナリオに入るとそれ以外のヒロインはほとんど登場しません。これはどう考えても不自然です。

 シナリオ構成は「痕」に代表されるエンディングを見る度に新たな選択肢が追加されるというタイプです。しかし、シナリオの筋道はほとんど一緒です。ではなにが変わるのかと言えばラスボスが変わります。これがまた少年ジャンプ的な悪役のインフレ現象が起きていてなんとも言いがたいものがありました。っていうか恋愛物のハズなんですけどねぇ。
 このようにシナリオは今一つですが、キャラクターは(ややステロタイプではありますが)魅力的な面々が揃っています。
 天然を地で行く長女「桜子」、単純だが情熱家の次女「はる」、おにいちゃんな三女「あさがお」、一途な人形少女「ユキ」、大ボケトリオの「ハカセ」、「リム」、「シア」などの面々です。
 設定上の魅力だけでなく声優の熱演がキャラに魂を宿らせています。特に桜子役の歌織さんの演技は必聴の素晴らしさです。

 CGは原画の魅力を損なわないものに仕上がっていますが、背景がやや弱いでしょうか。人物に比べて一段レベルが低いと感じられました。

 音楽はなかなかレベル高いです。ボーカル曲は3曲あり、なかなか効果的なものが揃っています。特に挿入歌である「ほんとうのこころ」は各ヒロインのシナリオにおいて全く同じ使われ方をするのですが、それにも関わらず心を動かされてします。

 まとめ。非常に惜しいゲーム。バグやシステムの不備が改善されるだけで、かなり印象が良くなるでしょうし、ゲーム期間を増やして各キャラを絡ませたシナリオにすれば大化けする可能性があったと思います。
 お気に入り:桜子さん
 評点:67

 以下はキャラ別感想。ネタバレ要注意。







1、ユキ
 耳飾りがイカス。簡単に裏切る様がいいですね。

2、春野あさがお
 バグのせいでどうもいい思い出が。ぱじゃまでばんざいは良いです。

3、百合子
 この人、苦手です。色々な意味で。シナリオも最も唐突だし。

4、春野桜子
 彼女の秘めた部分というのは完全に納得がいきませんが、キャラ的には最高です。桜子さんのためにこのゲームがあるといっても過言ではない。まさに獅子奮迅の活躍ぶり。

5、春野はる
 なんだか彼女の名前に愛が感じられないのは私だけでしょうか? いや、悪い子ではないんですよ。この家において突っ込み役は貴重ですし(苦労も耐えないでしょうが)。

6、ハカセ、リム、シア
 面倒なのでひとまとめ。このゲームに置ける明らかな前座。少し気の毒です。キャラ的にはいい奴らなのだが。ハカセに声があるのは個人的にすごく良かったです。