ちぇ~んじ!~あの娘になってクンクンペロペロ~(May-Be SOFT)

 天坂悠介(名前のみ変更可能)は遅れてスマートフォンを使い始めたことで不思議な力を手に入れる。それは同じアプリを使っている相手と肉体を入れかえるチェンジ能力。しかも、入れかわった相手はその間、麻酔で眠っているという至れり尽くせりの機能付き。こうなれば思春期の男子がすることはただひとつ。しかし、期限はわずか1ヶ月。1分1秒が惜しいとばかりに動き出すのだった。

 May-Be-SOFTの新作は「へんし~ん!」シリーズの流れをくむアドベンチャー。
 購入動機は一応、ブランド買い。
 初回特典はブラジャー。様々な色やデザインがあるそうです。ちなみに通常版はノーブラ版とも言うそうです。

 ジャンルはマップ移動っぽい要素のあるアドベンチャー。
 足回りは相変わらず進歩なし。メッセージスキップは既読未読を判別して高速ですが、カレンダーやチェンジ演出がちっとも早くなりません。回数が非常に多いだけに馬鹿にならず、時間がかかります。「既読文章を自動でスキップする」も「選択肢後もスキップ継続」をチェックしないといちいち停止して再開するために数クリックが必要になるなど、なかなかに思い通りになりません。おかげでボリュームの割りに2周目以降も手間と時間がかかります。
 バックログは別画面にて行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能です。ただし、イタズラするかどうかの選択肢表示の際はホイールによる起動はできません(他の選択画面ならば可能)。それなりに戻ることができます。ロード直後にも使用できます。
 メッセージ速度の変更には複数の手順が必要で、ノーウェイトにしようとしても最速にしただけでは地の文しか反映されず、初期状態でチェックの入っている「音声と文章を同期」を外す必要があります。
 クイックセーブ&ロードはプレイ中のみしか使うことができず、終了してしまうとデータが消えてしまいます。当然、タイトル画面からクイックロードはできません。
 ボイスの発声中にクリックしてボイスをカットできるようになりました。これぐらいしか良くなった点は見当たりません。

 シナリオは「へんし~ん!」シリーズ以上にクセが強くなりました。能力に制限らしい制限がないのは同じですが、チェンジした主人公がいつもしている妄想をヒロインの声で垂れ流す一人芝居が各所に加わったため、その性的嗜好にかなり同意できないと薄ら寒くなりやすいです。また、この点からもわかる通り主人公の独り善がりっぷりはより悪化していてプレイヤーをふるいにかけやすくなっています。
 それらを踏まえた上でヒロインに対しては主人公の行動パターンがまるで同じなため周回を重ねるごとにハッキリと飽きてきます。シチュエーションも似たものが多く、よほどヒロインのことを気に入らないとどんどん苦しくなってきます。一度しか出番のないキャラの単発イベントの方が様々な意味でよほど印象に残りやすいです。
 やりたい放題の主人公が碌に接点のないヒロインに実は好かれているという都合の良すぎる設定が3/4を占めています。いくら惹かれ合う過程など期待していないとしても、このチュートリアルなみの温さには呆れ果ててしまいます。
 日常の掛け合いはほとんど存在しません。主人公の独り言の方が圧倒的に多いです。古めのギャグを繰り返し繰り返し使う傾向があります。しかも、それがボケでもツッコミでもない孤独な呟きやモノローグなのですから笑いはちょっと難しいです。
 全体的にシューティングゲームの無敵モードをプレイしている感覚に似ています。最初こそ楽しく痛快ですが、進めていくうちに緊張感のなさにプレイ意欲が失われてしまいやすいです。
 Hシーンは主人公との相性次第。すでに述べたように同じことを繰り返したりしているので、エロくても次第にそうと感じられにくくなってきます。特性上、本番は少なめです。個人的にはヒロインよりもそうではない使い捨てキャラたちの方がシチュエーションも凝っていてエロく感じました。

 CGは意外にもわりと普通です。考えてみれば当然なのですが「変身」ではなく「チェンジ」であるため、外見上に特別な変化はありません。それを意識してか姿見にヒロインを映したCGを縦長にスクロールさせたり、変わった構図を用意したりと試行錯誤が感じられますがインパクトはもうひとつというところでしょうか。
 お馴染みのアニメーションは健在。ただ、予想外の場所で動くせいなのか、単純に数のせいなのか、あまり効果的には感じないケースが多いです。

 音楽は馬鹿ゲーっぽさを意識した曲がほとんど見当たりません。普通の学園アドベンチャーでもそのまま使えそうな曲ばかりでいささか地味な印象は拭えません。ボーカル曲がないこともそれを後押ししてしまっています。
 ボイスは女性キャラ限定。ただし、主人公がチェンジするとそのキャラクターの声で喋ります。件の妄想が溢れるためコンフィグで選択できるといいのですが、残念ながらできません。デフォルトネームのボイスフォローはなし。演技の方は特に問題ありませんが、結果的に主人公も喋るためかヒロインの声が似通って聞こえるようになってきます。

 まとめ。普通に人を選ぶ作品。アイデアは悪くなかったと思うのですが、練り込みが足らず予想外に地味な感じになってしまいました。主人公のアレさ加減が一番の特徴になってしまっているような気がします。「へんし~ん!」シリーズ以上に合うかどうかが重要です。
 お気に入り:特になし
 評点:60

 あまり思い入れもないのでキャラ別感想はありません。