注射器2(Aypio)

 借金取りに追われる主人公、中谷武(名字は変更不可、名前のみ可能)は突然の腹痛に襲われる。気がつけばそこは病院。保険料も払っていない武は借金取りを巻くため、そして快適な生活を送るために仮病を使って居すわろうと企むのだった。

 のっけからため息をつきたくなるようなストーリーでAypioの復帰作は始まります。まぁ、ストーリーはないと思ってもらって問題ありません。そーゆーゲームですから。
 
 システムは場所選択型のアドベンチャー。ただし、「とらハ」シリーズのように誰がどこにいるかは行ってみないとわかりません。結構、難しめです。
 午前と午後、それぞれ5回選択すると夜になりますが、同じ所なら何度選択しても移動回数は増えません。ちなみにこれに気がつかないと完全クリアは難しくなります。
 夜になるとナースコールをするかしないか聞かれます。このあとのイベントが終わると1日が終了。全日程は7日。時間にすれば3~4時間くらいでしょうか。
 足回りは有名なビジュアルアーツシステム。このシステムってメッセージの巻き戻し機能ってありませんでしたっけ? 記憶ではあったような気がするのですが、今作には搭載されていません。まぁ、読み返すようなシナリオでもないので(さり気なく失礼な言い回し)、問題ないでしょう。
 メッセージスキップはやや不便。場所移動にはつきものの、ハズレメッセージがあるんですが、これがどれも同じであるにも関わらず、どんな時でも2度目でなければ飛ばしてくれません。これぐらいは処理してくれてもいいと思うんですけどね。
 セーブも少しばかり使いにくいです。どうしてか場所選択のシーンでセーブすることが出来ません。なぜこういった仕様なのかわかりません。首をひねりたくなりますね。

 シナリオは前述した通り、ないに等しいです。ヒロイン個別のストーリーというのもほぼないですから。まぁ、そんな期待をするゲームではないということでしょう。
 主人公の性格は途方もなく破綻してます。もともと倫理や道徳といった言葉は持ってないのですが、鬼畜というほどではありません。普段はそれなりに普通なので、いざHシーンへと移る段になると突然、発情したような状態になります。ほとんど動物ですね。まぁ、ヒロインの方も似たようなものですが。
 このゲームではHシーンへ繋がらない小イベントが結構、あるんですがこれがどうにも寒いです。ギャグでもなければ、ゲームに則したお馬鹿な会話でもない。妙に普通なんですよね。かえって浮いてしまっているように思います。やはりゲーム全体に合った会話は重要だと改めて感じました。

 CG、というかデザインはのけぞるような出来。ナース服(白衣と呼ぶには抵抗があります)は色違いは当たり前、デザインまでひとりひとり違います。ブランド品のオーダーメイドか、さもなくばこのゲームは実は戦隊モノなんでしょうか……、ってな具合です。
 加えてスタイルが異常な域に到達していて、効果は倍増。そのレベルは「彼女はデリケート」級といえば少しはわかるでしょうか。
 汁ゲーということで量がすごいです。バケツ一杯分は余裕でありそうな感じです。拭き掃除がいかにも大変そう。いくら清拭が看護婦の仕事のひとつだとはいえ。

 音楽はテーマ曲がI’ve提供なんですが、オープニングデモのようなものはありません。店頭デモみたいなのはあったんですけどね。ではどこで流れるかというと、全く変化のないタイトル画面で延々と流れています。ずいぶん変わった使い方ですね。
 ゲーム中の曲はひどく古めかしい感じを受けました。I’veの曲のパワーが強く、ややチープな印象が残ってしまいます。

 エンディングロールは驚くほど簡素。専用のプログラムは必要なさそうなほど(メッセージ枠にスタッフ名が表示されて、あとは背景と立ちCG及びフェイスウインドウが順番に変わるのみ)。
 取りあえず、演出にはなにも言いませんから飛ばせるようにして欲しかったです。毎回、これを見るのはきっぱりと苦痛なんですけど。

 まとめ。紛れもない抜きゲー。それ以外の価値はないと断言していいでしょう。個人的にはこういうゲームは簡単な方がいいかと思います。だらだらと時間かけるのもね。
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 評点:45

 どうにも思い入れのないゲームなんでキャラ別感想はありません。