イブニクル(アリスソフト)

 聖母イブの司るこの世界ではひとりの人間が生涯に伴侶とできるのはたったひとりだけ。ところが、田舎の魚鮮島に住むアスタリスクは双子の姉のような存在を2人ともお嫁さんにしたいと考えたいた。悩んだアスタは戒律から外れる、いわば例外の存在である騎士を目指して旅立つことに。果たしてアスタは何人までお嫁さんを増やせるのか。

 アリスソフトの新作は「RANCE QUEST~ランス・クエスト~」(以下ランスクエスト)を下敷きにしたフィールド型RPG。ブランド初の世界を自在に動き回れる作品となりました。
 購入動機はブランド及びジャンル買い。
 初回特典は特になし。

 修正ファイルが出ています。重大なものは含んでいませんが、念のためにあてておきましょう。

 ジャンルはすでに書いたようにフィールド型RPG。コマンドなどではなく世界を自分で歩いて進めていきます。ただし、街の中は例外でマップは用意されていません。ダンジョンに入ると画面が切り替わります。処理的には3Dですが、感覚的には見下ろし視点の2Dマップと言っていいでしょう。
 フィールドを歩いていると戦闘以外にも様々なイベントが発生します。嫁とのいちゃラブイベントなんてのも数多く用意されています。
 戦闘は最大味方5人のパーティーバトル。コマンドバトル制を採用しています。敵のみ3Dです。もちろん、女の子モンスターも。イメージ的には「ランスクエスト」とほぼ一緒なので経験者は迷うことなくすんなり入れるでしょう。
 アリスソフトおなじみの気力制ではなくなりましたが、代わりにBPというものが導入されました。最大5まで溜めることが可能で、基本は自分の順番が回ってくると1増えます。ほとんどの戦闘コマンドはこのBPが必要になります。戦闘コマンドがそのままスキルであるあたりは「ランスクエスト」と同じです。様々な方法で入手して戦闘前に各キャラにセットする必要があります。セットしないといくら持っていても使うことができません。ということで本作ではHPが残っていれば理論上は永遠に戦い続けることが可能です。ここが「ランスクエスト」との最大の違いでしょうか。
 そして、なんとなく気付いた人もいるかもしれませんが、この最大の違いはパーティーメンバーの入れ替えがない、という事実を示しています。
 女の子モンスターの捕獲はもちろん、用意されています。一緒に戦ってくれているのかよくわかりませんが、捕まえるとアイテムとして装備することが可能です。様々な効果をもたらしてくれます。
 アリスソフト恒例のレベル神……、はいませんが同じ役割の人ならいます。ただし、1回呼ぶ毎に1レベルアップではなくなりました(可能な限り上昇)。気をつけましょう。今回もレベルアップすると全快します。
 街に入ったり、ダンジョンで特定のアイコンに触れたりするとAVGパートに入ります。この際は一部の機能が制限されます。
 ゲームが進むと自宅を持つことになります。ここでは愛情ゲージが満タンになると嫁とのイベント(Hシーン含む)を見ることができるように。サブイベント扱いですが他にもいいことがあります。
 RPGパートは「ランス」シリーズに比べて難易度が低く抑えられているので、わりとサクサク進める印象です。最初はできることも少ないですが、パーティーメンバー(=嫁)が増えるとできることも多くなっていって、賑やかに楽しくなってきます。全員が揃ってから本番と言っていいでしょう。

 足回りはAVGに引けをとらない機能を備えています。メッセージスキップは既読未読を判別して高速です。
 バックログは別画面にて行います。RPGパートでもホイールから起動可能でロード直後にも使用可能になりました。かなり戻ることができます。
 フィールド画面ではステータスウインドウの各キャラが色々と呟いてくれます。中にはヒントや現在の状況を教えてくれるものもあってなかなか便利です。

 シナリオは適度に謎を持たせながらも基本オーソドックスな作りなので安心して遊ぶことができます。シナリオの進行と嫁探しが同時進行してくれるのでストレスなく遊べるのも地味ながら大きなポイントです。プレイヤー毎にマイペースで楽しみやすいでしょう。寄り道しようと思えば、それなりに多くのサブイベントが用意されています。
 嫁たちとのいちゃらぶイベントや通常のシナリオの掛け合いなど実に賑やかで楽しめます。ただし、それはパーティーを組んでいる嫁たちが前提で、留守番組はどうしても出番が少なく扱いも軽くなってしまっています。お気に入りの嫁が戦えないキャラだとちょっと残念度が高まってしまうかもしれません。
 Hシーンは嫁ごとに大きな差があります。登場順とパーティーメンバーかどうかで地位が決まるという無情っぷりが本作の基本です。なので嫁探しが目的の割りには意外とHシーンは多くありません。また、エロ度もおとなしめです。

 CGは全体的に明るい色調で見た目も鮮やか。フィールドマップは旅をする楽しさを意識しているように感じます。
 立ちCGは各キャラの名刺がわり、というくらいしっかりしています。しかし、その反面イベントCGは自由奔放とでも言えばいいのか、かなり冒険している感じで勢いはありますが安定していないカットが多いです。中にはあまり同じキャラには見えないものも散見されます。けして出来そのものが悪い訳ではないだけに悩ましいところです。

 音楽は作風に合わせてかRPGらしからぬ穏やかな曲が多いです。それでも、繰り返し聞いても飽きにくいだけの曲にはしっかりと仕上がっていると感じます。珍しく世界が舞台なので地方に合わせた曲作りがされているのも特徴です。
 ボイスはパートボイス。さすがにセリフ数が多すぎるので止むを得ないかと思います。相変わらずアリスソフトはキャラに合致した声優を選んでいるな、と感心させられます。各キャラが実に活き活きとした演技を聞かせてくれます。

 まとめ。安心して楽しめる作品。尖ったところは少ないですが、老舗の実力を遺憾なく発揮していてとても遊びやすいです。手本とするに十分ですが、ほとんどのブランドはとても手が出ないというところ。今後の作品も期待できる、そう思えるレベルに仕上がっています。
 お気に入り:グリグラ、キャスリン
 評点:85

 以下はキャラ別感想。ネタバレ要注意。







1、リッシュ
 なんとなく損な役回りなんですかね。どうも、ひとり不評を買いがちなセリフが目立ちます。妊娠関係とかね。まぁ、性格がそんなに良い訳でもないのも事実なんですけど。勝手に動いてしまうタイプなので主人公以外だと大変です。

2、ラミアス
 孤独騎士であったのが基本的に妥当な扱いというのがポイントですね。要所要所でそういうところが出るんですけど、さもありなん、なんですよね。だから、あんまりかわいそう、という感情は湧きにくいという。まぁ、いい年こいて落ちているエロ本を物色せずにはいられない、という段階で色々とアレなのは明らかなんですけど。

3、グリグラ
 レンジャーであって忍者ではないんです。ということであんまり強くはありません。けれど、他の役職も似たようなものなので目立ちはしませんけど。やはり、「ランス」シリーズの英雄クラスを考えちゃいけませんね。パーティーの清涼剤。ある意味、キャスリンの弱点。

4、キャスリン
 最近、流行りの(?)引きこもり系天才キャラ。ひたすらに墓穴を掘る様が楽しい。胸が小さいのも良いアクセントになっています。二次元にしては引きもこりのスタイルが良くないという珍しいリアル度が売りです。しかも、ストーリーが進むとカップサイズでグリグラに負けるあたり涙を誘います。永遠に成長しないとかトドメを刺されますからねぇ。
 カードゲームで熱くなって友達を割っちゃうところが素敵です。

5、ティオ
 他の嫁にも言えますが留守番組はどうしても存在感に問題が出ますねぇ。嫁イベントが発動する度に留守番組のミニイベントも発生して欲しかったです。いちゃらぶイベントがパーティーキャラにしかないんですから。著しい差別ってやつですよ。
 2章ではそれなりにイベントがありますけど、以降はパッとしません。

6、キノウ&キョウ
 なんか色々と言ってますけど、スタート時の主人公のレベルは1なんですけど。にもかかわらず勝ち誇られてもねぇ。正体がドラゴンなのでほとんど何もできないあたりキャラ的にはとても中途半端。QDがいるから余計にね。

7、エリモ
 冗談抜きで男だと思ってました。オープニングデモなんて1回見たきりだったんで、すっかり忘れてましたし。なんか知りませんが主人公の引き立て役になることがしばしば。

8、トワ
 章ごとにわかりやすい出番があって良い感じでした。次に会う時が楽しみな感じで。ただ、トワは正直に言って立ちCGが圧倒的に可愛いので、それに比べてしまうとイベントCGは残念なものが多かったです。本作は大なり小なりそういう特徴がありますけど。

9、クロア
 一番最後にお嫁さんになる人なのだから、尺の短さもありますし特別さが必要なんですけどクロアはねぇ。ぶたバンパラに凌辱されました、がそれじゃねぇ。イベントも特筆するものがないし、数合わせと言われてもしょうがない感じです。