行殺(はぁと)新選組ふれっしゅ(ライアーソフト)

 リニューアル版なのでストーリーは省略。主に変更点に主眼を置いて書いていきます。
 
 これまでライアーソフトのパッケージの形は色々と変遷を経てきました。スリーブ型、横開き薄紙、横開き厚紙というように。今回は6800円という定価もあってかDVDパッケージが採用されました。
 あんまりそういう人はいないでしょうけど、シリーズを順番に棚に刺していると嬉しくないんですよね。お世辞にも見栄えが良いとは言えないので。

 購入動機は旧版が気に入ったから。これに尽きます。って当たり前ですか。正直、リニューアル部分に期待はほとんどなかったんでやっぱりファンの義務というやつなのかもしれません。

 リニューアル版であろうともバグを欠かさないのがライアーソフトのいいところ(?)。システムの安定度が今ひとつのようなので必ず落としておきましょう。私のところではこれをあててもなお、既読未読の管理におかしなところがありました。読んでいないのにイベントの頭を飛ばしていることが。

 システムはそれなりに変更されてます。
 「真剣勝負」は「キンノーファイト」に。内容はすごろく形式からカードゲーム形式に変わりました。
 乱暴に言えばブラックジャックに近いルールになってます。巡回する隊士と主人公のカードにはパラメータを左右する数字が書かれています。戦闘に勝った時だけこの数字が有効になります。そう、今回は正義の新選組も負けることがあるのです。
 しばらくカードゲームを繰り返せばわかることですが、配られるカードの内容が変化に乏しく、パターンも少ないです。この部分だけで遊べるようにしろ、とまでは言いませんがもう少しなんとかして欲しかったです。結局、キンノーファイトは偏ったパラメータにするためだけに存在し、何度となく繰り返さなければならないのですから。
 「押し借りクイズ」はジャンルが追加されただけで基本的にはそのまま。ただ、簡単にするためかセーブしたデータをロードすると必ず同じ問題が出るようです。
 パラメータの種類は同じ。旧版よりは意味があるようですが、偏った数字にしないといけないのは一緒。意味を持った時はそれまでのシナリオが途切れることがほとんどなので、やっぱりあまり意味はないような気がします。まぁ、シミュレーションかRPGでなければ細かい数字を有効に活かすのは難しいですよね。
 足回りはいつものライアー仕様。安定度も同様。
 メッセージスキップはありませんが、代わりに次の選択肢へ飛ぶ機能を備えてます。もちろん途中に未読箇所があれば止まりますが、時にはそれが怪しいことも。一つだけなら戻ることも可能です。
 メッセージの巻き戻しはウインドウ単位で行います。上に書いたような疑いがある時には活躍します。

 シナリオは基本的には同じ。旧版を大事にしているのか、それともライアーソフトらしい手抜きか微妙なところですが、変更点はほとんど旧版に追加という形がとられています。書き直しはほとんどないようです。
 新キャラ藤堂平、永倉新EXがシナリオとしての追加。またライアーソフトホームページから原田沙乃EXシナリオがダウンロード出来るようになっています(要パスワード)。この他に近藤勇子、土方歳江の両キャラに新エンドなどが加わっています。
 目玉の一つである藤堂平のシナリオは他キャラのEXシナリオ的な作り。旧版からのキャラにも負けない存在感は出ているかと思います。テキスト量は少なめ、CGは圧倒的に少ないですが。
 永倉新EXシナリオは他キャラのEXに比べて密度薄め。無理矢理作ったかのようにさえ見えます。愛の差でしょうか。
 原田沙乃EXシナリオは追加CGも多く、旧版を補完する意味でも良いものに仕上がってます。なにか差別のように見えなくもないですが。

 CGは旧版から2年というタイムラグのせいか、原画の八雲剣豪氏の絵柄が微妙に変化していて賛否両論ありそうです。追加CGになったということは、その部分のフェイスウインドウによる寸劇がなくなったということであり、微妙な問題かと。
 新キャラ藤堂平のフェイスウインドウの動きは追加されたキャラという特性を活かしたものでなかなか好感触。攻略度が進むに連れてちょっとずつ顔を出してくるという演出も二重丸。ただ、イベントCGの少なさだけが悔やまれます。
 旧キャラに関しては各2~4枚程度追加されてます。全体的にはまずまず効果的に用意されていると思います。ただ、パッケージにある大幅追加というのはやや語弊があるような気がします。とはいえ、定価が6800円と考えると……。やはり難しいところかと。

 音楽は新曲が追加されて全32曲。エロゲーとは思えない曲数です。今回もノーブランドサウンズ(旧雑音工房NOISE)が担当しているのでレベルの高さも保証付き。特に新キャラ藤堂平のテーマ曲はかなり良い出来です。
 前作でユーザーを魅了した主題歌「みつめて新選組」はボーカルが変更。長崎みなみおねいさんになってます。これがどうにも。歌唱力に優れているとは言い難い方が下手を装うというのは無理があるように思います。せっかくの馬鹿度が減少しているようにも感じます。オチに当たる歌詞が変わってしまっているのも残念です。
 ボイスはいつものロックンバナナ、イエローテイルの面々が担当。代わり映えしないと感じてしまう以外は悪くないと思います。ただ、これだけアクの強いゲームだとイメージが強く形成されているので旧版からのプレイヤーには違和感が付きまといそうです。個人的には何人か厳しい方がいます。
 テキスト自体は元が優れているのでボイス追加による弊害はほとんどないと思います。ただ、今回もボイスは一部のみなのでそのあたりで、やはりない方がテンポが良いと感じてしまいそうですが。ちなみにボイスは主にイベントCGの挿入されるところで収録されています。
 そういや弊害と言うべきかはわかりませんが、ボイスが入ったために主人公の名前は変更できなくなっています。

 まとめ。未経験者ならば文句なくオススメできる作品ですが、経験者で悩んでいる人は買うほどの魅力にはちと足りないかと。
 お気に入り:土方歳江、原田沙乃、藤堂平
 評点:88(無印版を買っていないなら93

 書きたいことは旧版でほぼ書いたのでキャラ別感想はなしの方向で。