ハーレムゲーム~俺はコレのおかげでエロゲーの主人公になれました!~(INTER HEART)

 鈴屋浩樹(変更不可)はどこにでもいるエロゲオタである。この度、通っている学園が女子校と統合されてもなんら変わらない。そのはずであった。ところが、見たこともないエロゲーを拾ったことで浩樹は異次元としか思えない日々に引きずり込まれていく。それはまるでエロゲーの主人公のような日常……。

 INTER HEARTの新作は一風変わった世界観で文字通りハーレムゲーを体験していくアドベンチャー。
 購入動機は体験版がそこそこ面白かったので。馬鹿ゲー的な意味でもそこはかとなく期待がありました。
 初回特典は特になし。予約キャンペーン特典は描き下ろしおっぱい色紙。

 ジャンルは毎度おなじみアドベンチャーですが、「ゲーム」とはとても言えません。選択肢が一切なく純粋な紙芝居ソフトとなっています。
 足回りは最低限度以下の仕様。メッセージスキップは既読未読を判別してほどほどのスピード。ただし、分岐が全くないので使う機会はあまりありません。
 バックログは別画面にて行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能ですがほとんど戻ることができません。ロード直後にも使用できません。
 スクリーン設定を記憶してくれず、起動の度にいじる必要があります。ウインドウ派の人はまだしもフルスクリーン派の人はとても面倒です。

 シナリオは完全な一本道。1周で全ての要素は埋まります。
 本作は世界観がやや特殊で慣れるまでは少し戸惑います。妊娠(受精)回数が女性のステータスで、即日結果がわかり、安全に堕胎が可能。そんな世界です。主人公は謎の「ハーレムゲーム」を拾ったことで、あたかもエロゲーの主人公のような都合の良い能力を獲得していきます。
 日常の掛け合いはほぼほぼ性的な話題しかありません。まともに読むと頭が痛くなるような内容が基本です。主人公はエロゲーを愛好しながらも現実は違うとばかりに、ゲームでは必要ないと思っているものをせっかく得た能力で次々に引き寄せてしまいます。二律背反と呼ぶのも馬鹿馬鹿しいような展開は短い尺の中でも延々と続きます。単調で淡々とした展開はとても飽きやすいです。
 惹かれ合う過程はイカサマなのでもちろんありません。期待する作品でもないでしょう。
 Hシーンは濃淡がとても激しいです。通常の作品のようなまともなHシーンもあれば、わずか数クリックで終了してしまう使い回しのHシーンも数多くあります。ヒロインたちは主人公の言うことをなんでも聞いてくれますが、なぜかハーレムだけは頑なに拒絶します。

 CGはカット毎に出来が大きく変動します。全てに色紙のようなクオリティを期待すると痛い目を見るでしょう。差分を用いて衣装が変わっただけの使い回しが圧倒的で、繰り返し繰り返し使われるそれは次第にギャグのようにも感じてきます。ソフトハウスキャラの作品の経験者はアレをイメージしてもらえばそれほど大きくは離れていないと思います。
 差分抜きでイベントCGは63枚。SDカットも一切なく、テキストの尺から鑑みれば適正かもしれませんが、かなり寂しい数字であることは否めません。また、こんなタイトルでありながらハーレムのカットはわずかに5枚。序盤から妊娠、受精と言っている割りにはボテ腹カットはまるでなく、出産なんて影も形もありません。自己矛盾がちょっと激しすぎるようにも感じます。

 音楽は世界観やテキストに比べて非常におとなしい印象です。邪魔をしない程度に盛り上げるといった役割に徹しているようにも。
 ボイスはヒロインのみフルボイス。演技は一部のキャラでやや怪しい人がいます。

 まとめ。色々と物足りない作品。もっとずっと面白くできたのではないか、そう思えてなりません。現状ではボリュームが乏しいのに、退屈すぎてそれが長くさえ感じるという悩ましさ満点の仕上がりになっています。メタ的な要素とシリアスな視点をもっと強弱つけた方が良かったのではないでしょうか。どこまでも遊んでいるようにしか見えないのに不必要な要素がしばしば出てくるのはとても成功とは言いにくいです。
 お気に入り:特になし。
 評点:50

 ご覧の通りなのでキャラ別感想はありません。