ひまわりヶ丘総合病院へようこそ(BLACK PACKAGE)

 山田太郎(変更可能)は健康だけが取り柄のフリーター。しかし、鬼の霍乱か体調を崩してしまう。フラフラになりながら近くの病院に駆け込むと迎えるはなぜかクラッカーの嵐。なんでも太郎は記念すべき1万人目の患者で特別なキャンペーンの対象者だという。果してその入院生活とは。

 最近は一作ごとに原画だけでなく方向性まで変えてくるBLACK PACKAGE。どうやらそこにはブラパなりの戦略があるようです。連続して買うことのない私にはわからぬことですが。今回は「病院で巨乳に囲まれてうはうは」という非常にわかりやすいコンセプト。一応は大越秀武氏の原画買いになるのですが、デザインや属性的にはもう一歩に感じてました。以前に購入した「スク×スク」のサブ原画が印象に残ったから、というのが正直なところ。

 大した事ではありませんが修整ファイルが出ています。該当する症状があるようなら落としておきましょう。

 システムは特筆するところのないアドベンチャー。
 足回りはかなり多機能。メッセージスキップは既読未読を判別して高速ですが、どうも速度が安定しないのが困りもの。
 バックログは別画面で行います。ロード直後でも使用可能でホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能になってます。戻れる量もこの手のゲームにしては多いです。
 ブラパ特有の回想モード「女の子の気持ち」は今回は用意されていないようです。どこか間の抜けたアレが個人的には好きだったので残念。
 今回はメッセージスキップが不安定でしたが、それでもここのシステムはかなり完成度が高いです。ほとんどのユーザーにとって不満の少ないものに仕上がっているのではないかと。個人的にはバックログを開始すると問答無用でボイスが鳴るのは肌に合いませんけど。コンフィグで設定可能ですが。

 シナリオは説明の必要があるのかどうかさえ怪しいところ。絵に描いたようなご都合主義の古典的なエロゲーです。それでも書くならば基本は病院で看護婦や女医を相手にシチュエーションは受けがメイン。ただし、主人公は攻め型なのでシーン全体としては受けはあまり多くありません。ヒロインズは一人を除いて最初からエロエロなのではなく、段階を経てそうなっていく感じ。もっともそのスピードは非常に早いですが。ラストは綺麗にまとめようという意図があり、ゲームの方向性に対してあまりにも不似合いなのでどこか笑いを誘います。
 Hシーンはライター複数制ゆえか、シーンごとに微妙に印象が異なります。主人公のノリや嗜好に隔たりが感じられて、それがそのままシーンの違いとなって現れているかと。基本には「乳」がありますが、主人公はフェチではなく結果的にそうしたシチュエーションが多く集まったという感じ。もちろん、医療機関ゆえのお約束やトンデモシチュエーションなども用意されています。
 問題とも言えるのが多人数プレイ。本作をプレイするまで考えてもみなかったのですが、多人数のHシーンに必要なものとはなんでしょうか。何があれば良くて何がなくては駄目なんでしょうか。答えは簡単には出ないでしょうが、本作はあまりユーザーの賛意を得られなさそうです。3人までなら特に問題ないのですが、それ以上となると急に雲行きが怪しくなります。ただヒロインが絡んでいるだけで本番があるのはたった一つ、それも一人だけでは納得しようがない気がします。

 CG。彩色の方向性が大きく変化。暗い系統の色をほとんど使わずに明るい見た目になりました。ただ、青をあまり使っていないので却って偏ったようにも見えます。ブラパのラインナップを見ても珍しい色使いではないでしょうか。
 イベントCGは当然のように「乳」がメイン。ほとんどヒロインがメートル級ということもあって色使いの関係とも相まって見た目の賛否が非常にハッキリしそうです。

 音楽はそれなりに多彩な曲が用意されていますが、ゲームを終えてしまうとまるで印象に残りません。こうして改めて音楽鑑賞で聞くことによって思い出した次第。ただ、Hシーンでよく用いられた曲がやけに能天気なものであったことだけは強く印象に残ってました。
 ボイスはヒロインのみフルボイス。演技に問題らしい問題はありません。キャラに見合ったキャスティングがされているかと。

 まとめ。古式ゆかしいお約束に安心する作品。お手軽なエロをお望みの方に。ストーリーやフェチズムなど「本格」を望む方には向いていません。他を当たりましょう。ご都合主義こそが本作の魅力です。
 お気に入り:工藤ななみ
 評点:52

 あまり思うところがないのでキャラ別感想はありません。