姫裸(創美研究所)

 お忍びで城を出た姫とお付きの侍女が、国を騒がす黒騎士一味(名前変更不可)に誘拐されてしまう。果たして二人の運命は……。

 「ぱちもそ」が予想外に面白かったので購入したソフト。原画のカワギシケイタロウ氏の絵が気に入っていることも理由のひとつです。
 
 システムはオーソドックスなAVG。
 ゲーム開始時に3人の主人公の中から一人を選んでスタート。主人公によって凌辱の方向性が「無理矢理系」、「受動系」、「特殊系」と変わり、同時にエンディングも決定します。というのも、主人公ごとにひとつのエンディングしか存在しないからです。この手のジャンルはたいてい、マルチエンディングなのですが。
 この主人公選択のシステムはどうもしっくりきませんでした。好みのエンディングがあったとしても、それが好みの主人公でなければ複雑な気分になりますんで。
 期間は6日。ほとんど、ひとつのシーンが1日に相当するのでかなり短いです(しかも6日目はエンディング)。なにせコンプリートまで3時間でお釣りが出るほどですから。いくらボイスがないとはいえ、少し短すぎるのではないでしょうか。もう少しボリュームが欲しかったです。
 選択肢にほとんど意味がないのも問題があるかと。その変わらなさは「選択肢」の意義について考えてしまうほど。
 一応、マルチサイトではあるのですが、これもあくまで一応です。主人公が変化しても与えられる情報にほとんど変わりがありません。変わるのはHシーンくらいで、これならマルチサイトにする意味もあまりないように思います。
 プレイ時間からも推測できると思いますが難易度も低いです。まさにゼロ同然(それでも「Sweet Pleasure」よりかはありますが)。
 
 シナリオはあって無いようなもの。
 黒騎士はもともとは王国に忠誠を誓う騎士だったのですが、王に裏切られてその身を黒く染めます。しかし、忠誠熱い騎士団をなぜ王がわざわざ裏切らねばならなかったのか? 
 2人は仕方がなかったようなことを言いますが、結局のところ真相は最後までわかりません。そもそも真相なんてものはないんでしょうか。
 立場の異なる主人公3人が一緒に行動している理由もよくわかりません。利害もあまり一致していないように思えるのですが(特に黒騎士)。
 一国の姫をさらうなんてことは、よほどの覚悟がなければ出来ないことです。それなのに黒騎士やその従者は1、2日であっさりと自分の行いを後悔した上に改心までしようとします。はっきり言って、その唐突さにはまるでついていけません。感情移入以前の問題で、主人公たちに魅力が感じられないんですよね。
 姫が黒騎士の従者に恋心(?)を抱いてしまうのはこのゲーム最大の謎。ストックホルムシンドロームにしても酷い目にあいすぎているし、時間も短すぎると思うのですが。
 正直、シナリオは穴だらけとしか、言いようがありません。フォローもロクに出来ない有り様です。
 凌辱モノはしっかりとした感情描写が大事だと思うのですが、残念ながらこのゲームではおざなりに扱われています。個人的には「抜きゲーだから」、という言葉は使って欲しくないものですが。

 CGはこのゲームで唯一、満足した点でしょうか。数が少ないのはやはり残念ですが、「ぱちもそ」も同様でしたしね。
 ただイベントCGに比べて立ちCGには少し違和感を感じました。男性キャラは光沢がなさ過ぎで、反対に女性キャラはテカリ過ぎではないでしょうか? なにか同じ世界の人間とは思えませんでしたが。

 音楽は正直、あまり印象に残っていません。ただひとつだけ覚えているのはラブラブH(そーゆーシーンがあるということ自体がすでに……)の曲が全体の中で妙に浮いているな、と思ったことくらい。
 やはりボイスは欲しかったように思います。次回作はなんとかして欲しいです。

 まとめ。抜きゲーでもシナリオは大事。その点、「ぱちもそ」はシナリオと原画の方向性のアンバランスさが絶妙だったのですが、今作はシナリオの方がパワー不足でした。次回に期待したいです。
 お気に入り:レティシア(所詮、50%の確率ですが)
 評点:20

 以下はキャラ別感想。ネタバレの心配はナッシング。







1、レティシア
 お姫様ではなくて「お兄ちゃん」なキャラ。しかしながら、当のお兄ちゃんが興味無いんじゃは意味はありません。設定が無駄だなぁ。
 レティは好きだけど、アルバートは嫌いなんでエンディングはヤな感じ。黒騎士シナリオのレティエンディングが欲しかった。
 上でも書いたけど、どうしてアルバートのことを好きになるのか不明。別に初めての相手という訳でも、過去の思い出がある訳でもないのに。

2、アメリア
 黒騎士との過去は想像するしかないんでなんとも。
 マルチサイトのために2回とも別々に逃げたとしか思えません。
 正直、黒騎士やアルバートの隙を窺っているようには見えないなぁ。

3、黒騎士デュラン
 Hの時でも鎧は脱がない、ある意味で騎士の鑑。
 せっかくレティも因縁の相手なのにほとんど眼中にないようで、お話的にも非常にもったいない。やりようによってはレティとアメリアを衝突させることも出来たと思えるだけになおさら残念。

4、アルバート
 最終日に、目覚めと共にいきなり改心するのはどう考えても不自然。黒騎士を裏切ることになんの躊躇を感じないのも変だよなぁ。
 あと黒騎士を義賊とか言ってましたが、義賊ってのはお姫様をさらったり、堂々と人殺しはしないんじゃないの?

5、虫
 どうせ二人を始末する気なら、薬を盛った時にそのまま助けなければいいような気がするのは私だけでしょうか? そのほうがレティとアメリアにより大きなショックが与えられるしねぇ(外道)。
 それにしても、こいつは結局、人間なんですかね。馬のケツに捕まり続けて落ちないだけでなく、平然としているなんて人間とは思えませんが。