快感戦士バスティー(Cronus)

 バストの大きな女の子は条例で保護されるという奇特な街に住む望月ほのか(変更不可)は白井先生に恋する女子校生。ある日、彼女は宇宙生命体ムラムラから地球を守る戦士バスティーに任命されてしまう。襲われることが使命という戦士の行く末は。

 気がつけばCronusも7作目。月日が経つのは早いものです。その間にこのメーカーがどれだけの成長を遂げたのかは微妙なところですが、進んでいることは間違いありません。ただ、それが迷走でないという保証はどこにもありませんけども。
 購入動機はいつもように原画家買いなんですが、もうここまで来ると宿命ではないかという気すらしてきます。
 さて、今回は変身ヒロインものです。企画の発端は定かではありませんが、少なくとも昨年最も売れたソフトがこのジャンルだった、などという理由ではないと思います。ええ、そんな安易な発想のはずありませんよ。うんうん。
 いつものように初回特典の類はなし。今時では逆に珍しいくらいです。

 今のところ(4月28日現在)特に修整ファイルは出ていませんが、曲の鳴り始めにノイズが入るという現象は健在。もっとも、これは前作でも遂に修整ファイルが出ることはなかったので、この症状に悩まされる人は今回も少数かと。残念ながら該当する人は素直に諦めましょう。

 システムはいつも通りの(?)無難なCronusアドベンチャー形式。ただし、アニメなどのように1話、2話と区切られたスタイルを採っています。全7話でほぼ1本道。ストーリー的な分岐は皆無と言って問題ないでしょう。
 アニメ形式といっても各話にオープニングやエンディングといったものが入ることはありません。予告も同様。ついでに言えばアニメーションもありません。ぶっちゃけADVのネタが変身ヒロインなだけかと。特撮ものだとかのお約束を期待してはいけません。
 「Nursery Song」から「Caliz」へ使い勝手の悪くなった足回りは回復の方向へ。メッセージスキップはかなり快適なスピードになりました。欠点としてはボリュームの少なさが露呈しやすいことでしょうか。
 メッセージの巻き戻しはいつも通りウインドウ単位で。ホイールマウスにも対応しています。残念ながらボイスの再生は出来ません。
 前作で不満であったタイトル画面からコンフィグに行けない点と起動ディスクが必要な点は改善されましたが、今回もボイスのキャンセルが出来ません。次のボイスまで鳴りっぱなしです。後述しますが、それがまた……。

 ごく一部で注目の集まるシナリオ。「ベーゼした」という動詞(?)の乱舞でユーザーを混乱の極みに陥れた富樫たん節はややおとなしめ。これは果たして地の文がヒロインのモノローグであるからなのか、それとも代表取締役から修整が入ったのか、はたまたユーザーの声か、確かなところはわかりません。それでも氏らしい言葉選びは健在。読んでいるだけでIQがこそぎ落とされるようなテキストを満喫しましょう(注・誉めてます)。
 メーカーによると今作のジャンルは変身ヒロイン凌辱されちゃうADV。Cronus症候群の方ならば予想できる通り、凌辱とは言いかねる内容。ヒロインたちはまるで定められた法則の如く流されやすいので、すぐに合意が成立といった塩梅。
 中でもそれを強力に後押ししているのがバスティー最後の策(と言っても二つしか策は存在しませんが)であるVP、つまりはヴァージンプロテクションの存在。これは読んで字の如くと表現していいのか判断に迷いますが、端的に言うなら膜を失わずに行為をすること。これを使ったプレイで満足すれば相手は昇天するのです。と言っても昔どこかのゲームであった無限に再生する膜ということではなく、ヴァーチャルなホールとでも考えた方がいいと思います。ちゃっかり自分も満足しちゃいますし。まぁ、あれですか、言うならば質量のある残像というところではないでしょうか。
 自分で書いてて訳がわからなくなってきましたが、肝要なのは処女のまんまですぐに気持ちいいということ。そんな設定などなくともCronusヒロインは昔からそうだ、などというのは禁句です。
 ともあれこの性感を高めるという機能によってヒロインは浄化のために変身するのか、Hのために変身するのかわからなくなってしまいます。終いには言い訳という名の理論武装まで始める抜け目なさ。
 また今作はCronus初の人妻ヒロインが出てくるのですが、だからと言って人妻属性の方が飛びつくのはたいへんに危険。クラスが違うだけでいつものCronusヒロインですから。ただ、全4名(実質3名)のヒロインの中でこの方が一番個性があるとは思いますが。不覚にもこのゲームで苦笑ではなく、まともに笑ってしまったのは彼女のモノローグ、夫との馴れ初めだけです。「意味がわかりません」は基本ですが効果的なセリフではないかと。
 いつもの純愛Hシーンはほのかとお母さんの2つほど。やはり、エロゲーなのにヒロインが処女のままエンディング、というのは問題があると考えたのでしょうか。前者はある意味でシュールな内容に仕上がってます。
 最後にボリュームはかなり少なめ。シナリオ量的には「Sweet Pleasure」といい勝負でしょうか。

 CGは前作までに比べるとかなり安定しているのではないでしょうか。同一人物に見えない、といったケースは今回は稀です。構図もエロくなるよう考えられていると思います。ただ、立ちCGだけはいつもを踏襲して安定していませんが。特にテニス部の時の立ちCGは如何ともし難いものが。

 音楽は前作に倣うかのように普通、としか言いようがなく。はっきり申し上げれば、富樫たんテキストに合わせるにはもっと脱力するような曲の方がいいのではないでしょうか。
 ボイスは可もなく不可もなく。個人的にはあまりキャラに合っているとは思いませんでした。別に違和感があるという訳ではなく、無難な配役という印象。
 上でも少し書きましたが、今作は地の文がモノローグ状態。それは構わないのですが、どういう訳かモノローグでもヒロインが喋りまくり。加えて次のボイスまでキャンセルできないと、ある種の確信犯的仕様に戸惑います。優れたテキストに優れた配役ならそれも構わないのですが、実際はまるで強制的にポエムを聞かされているようでかなりツラく感じることもありました。それを楽しむことがこのゲームの本質だと言われれば何も言えませんが。

 まとめ。実にCronusらしいお手軽作品。私のような原画家買いか、富樫たん(ライター)買いの人にオススメ。特撮が好き、変身ヒロインが好き、凌辱ものが好き、人妻が好き、などを主な購入動機としない方が賢明。
 お気に入り:望月花穂梨(ママン)
 評点:60

 キャラ別感想を書くほどボリュームはないんで省略。ツッコミどころは山ほどありますが、このゲームではそれも無意味なので。