KISS×500 KISS権、発動(WINTERS)

 ソウゼン(変更可能)の住む島は東京の最南端にあり観光客にもまるで知られていない。この島には奇妙な法律が施行されていた。なんとキス禁止である。屋外だけでなく屋内においてもそれは適用されるという。キスに憧れるソウゼンにとってはまさに悪夢。
 だが、むざむざと黙っているソウゼンではない。まだ見ぬキスのため行動を起こす。

 WINTERSの新作は見た目通りのKISS×シリーズ最新作。
 正直、本来なら購入するはずもなかったのですが原画のミヤスリサ氏は個人的なデフォルト買いの対象作家なので買うことに。
 初回特典は特にありません。

 たいした内容ではありませんが修正ファイルが出ています。気になる方は当てておきましょう。

 ジャンルはごく一般的なアドベンチャー。
 足回りはやや使い勝手が悪いです。メッセージスキップは既読未読を判別して平均的なスピード。
 バックログはウインドウ単位で行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能です。戻れる量はそれなりに多いですがロード直後には使用できません。それと選択肢が表示されている時も使用できません。
 全般的な操作系に言えることですが、それぞれのモードから抜けるために右クリックが使えないことがかなり不便に感じます。ウインドウ消去にも適用できないので右クリックでサブメニューを呼び出してから「ウィンドウ消去」を選択する必要があるのもちょっと面倒です。

 シナリオはかなり異次元風味です。ゲームの舞台は常識が通用するような世界ではなく、独特の価値観や法律が確立されています。それは問題ではないのですが、登場人物、特に主人公がそれらの事情をサッパリ説明してくれないのでプレイヤーは完全に置いてきぼりです。キャラクターが感情を高ぶらせるシーンがあっても、その根拠がまるでわからないのでは反応のしようがありません。
 また、シナリオを最後まで読んでも理解に苦しむ展開が見受けられます。
 例)2人のヒロインとHしたくて主人公がとった行動は服を全て脱ぎ捨てること。Hがしたいけど自分にはどうしたらいいかわからないのでとにかく脱いだ、と発言。ぎゃあぎゃあと騒ぎながらも2人はなぜか応じる。ちなみに場所は屋外。
 とこんな按配なのでまともな神経ではとてもついていけません。色々と緩くして付き合う必要があります。
 日常の掛け合いは設定が設定なので存在しません。というより何がこの世界の日常で何が非日常なのかわかりません。あくまでも通常の感覚ならば見当たらない、ということです。
 惹かれ合う過程はやはりというか、あるはずもなく。基本的に本作は新しく出会うヒロインたちとは出会えばすぐにHまで持ち込めるので仮にあったとしても一瞬で終了です。 
 テキストにはかなりクセがあります。やたらと感嘆符や疑問符が使われていて、過剰と思える言動を登場人物が示すことがしばしばです。また、ルートによる事実確認が甘く、出会ってもいないキャラと親しげに話しだす、なんてことが各ルートごとにありました。
 タイトルにあるようなフェチ要素は主に世界観の方で強く出ていますが、Hシーンなどにはそれほど大きなカラーとして出ていません。主人公もHシーン手前まではこだわりを感じさせますが、それ以降は(他の行為も大事にしているので)それほどでもありません。

 CGはやはりキスに関連したカットが非常に多くなってます。単純なキスシーンはもちろんですが、それ以外においてもタイトルを意識させるようなカットが多いです。
 ミヤスリサ氏の原画ということを考えるとライターの指定なのか、驚くほど半脱ぎ率が低くなっています。他作品と比較するといっそ不自然なくらいです。せっかくデザインした衣装ももちろんですが、エロ度という点からしてももったいないと思います。
 立ちCGは珍しく全身像を描写。しかし、背景との距離感を考えるとやはり不自然に見えます。細かいフォローもないので屋内で土足などおかしなことも頻繁に起こります。

 音楽は状況に合っているのかいないのか、そもそも合わせる気があるのか、と思うような曲が散見されました。良く言えば不思議な迫力があるのでしょうが、悪く言えば空気が読めていないようにも。ただ、それこそがこの作品の曲に相応しいのかも。
 ボイスは女性キャラのみフルボイス。演技は悪くないと思うのですが、テキストがテキストなので判断がつきかねるところがあります。

 まとめ。KISSよりも別のところで間口の狭い作品。主人公とテキスト、設定は相当に人を選ぶと思います。まぁ、シリーズ経験者ならば予想通りなのかもしれませんが。
 お気に入り:特になし
 評点:55

 特に思い入れもないのでキャラ別感想はありません。