マジカルハッピー~魔法はHのてほどき!~(TOMATO)

 普通の人は知らないけれど都の上空にはひっそりと魔法使いを育てる学園がある。ユウマ・アイザワ(変更可能)はここに勤める教師。彼には通常の職務の他に魔法大会へ出場する娘たちを指導する役割がありました。そして、今年もその時期がやってきたのです。

 TOMATOの新作は未熟な魔女っ子たちを特訓という名のHで色々と教え導くAVG。発売間際までは「マジカルアカデミー」という名前でしたが大人の事情で今のものへと変わりました。
 購入動機はエロ分の補充を期待して原画買いというところ。お手軽なゲームであることを望んでいました。
 初回特典は特になし。予約キャンペーン特典はミニAVG「アイぴょんはホワイトバニー~禁断の追加特訓~」。本体とは別々にインストールします。内容は本当におまけ程度なので高すぎる期待は禁物です。

 ジャンルはいつも通りのアドベンチャー。
 足回りはちょっと誉められたものではありません。2008年製としてはかなりお粗末かと。メッセージスキップは既読未読を判別しますが立ちCG表示時には止まったようなスピードになります。これは普通にプレイしてクリックした時も同じように遅くなります。もちろん、推奨環境は十分に満たした上で、です。
 バックログは別画面で行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能ですが、選択肢が表示されている時はホイールマウスで起動することはできません。ログは最初まで戻れるものの、リピート再生は若干、使いにくいです。メッセージをダブルクリックするだけでは駄目な時があり、ホイールで合わせる必要がある時も見受けられました。
 他にも強制スキップができないなどコンフィグ面ではあまり配慮が感じられませんでした。
 一度でもエンディングを迎えると鑑賞モードで声優のフリートークが選択できるようになります。

 シナリオはこだわりを含めた描写そのものがとても薄いです。世界観の説明から始まって日常会話、特訓の内容、Hシーン、魔法大会、エピローグと全てが薄味で調理されています。単純に各要素に費やす文章量もハッキリと少ないです。例えば上のたった数行のあらすじを書くだけでも随分と困りました。それぐらい本作は情報密度が薄いです。もちろん、それは作品のボリュームにも現れていてオールクリアまでかかる時間は6~7時間がせいぜい。ただし、上述したシステムの不備がなければもっと早く終了したと思います。
 ゲーム期間はおよそ一ヶ月。月曜から金曜は3人の教え子に特訓を施すか、それともお休みするかの選択。日曜は魔法大会の予選に出場します。またある程度進めると合同授業(要するに複数人プレイ)が勝手に発生するように。
 特訓はレベル1~5まであり途中の選択肢によって成否が決定されます。特訓をしないか、あるいは失敗続きだと大会に勝てませんが別段、ゲームオーバーになることはありません。もちろん、特定のエンディングに進むにはそれでは駄目ですが。
 通常この手のお手軽作品は主人公によるセクハラによってヒロインたちが半ば無理矢理に変わっていってしまうものですが、本作ではその例には習いません。Hに対しては主人公よりもヒロインの方が乗り気で、特訓を無事にクリアするとご褒美を下さいとヒロインの方から迫ってくるほど。セクハラまがいの内容を特訓と称して受けさせる、そんな必要さえないのです。
 日常の掛け合いは皆無といってよい内容のためヒロインはほとんどキャラが立っていません。外見は異なるものの、中身はほとんど同じです。そんなですから当然、惹かれあう過程なんてものも存在する余地がありません。
 Hシーンは特訓の数である各ヒロイン5回に複数人プレイや魔法大会の敗北による凌辱など。いずれもすでに触れたように尺は短くあっさり目。凌辱もかなりソフトです。特訓はその内容に応じた前半とご褒美の後半という構成になっています。特訓の内容はヒロイン毎に同じなので飽きやすい面も。名目は異なるのですらもっと変化をつけても良かったのではないでしょうか。

 CGはカット毎のばらつきが感じられます。各原画家の得意不得意な構図によって結果が左右されているようです。エロ度もそれに比例しているように見えます。可愛くてエロいカットがあったと思うとどちらももう一歩なカットがあったり。それでも、全体としてはそれほど悪くなりません。あっさり目の設定の割りにはなかなかエロいかと。
 原画家の異なるヒロイン同士が絡む構図は一部にスケールのおかしなものが見受けられますが、基本的には違和感も少なく良い仕上がりです。
 立ちCGはイベントCGと比べてしまうと一段、劣ってしまっています。ポーズや表情も変化に乏しく見ていて楽しいレベルにはかなり遠いです。

 音楽はまじめな方向の曲が揃っていて特訓などのお間抜けな内容と齟齬を感じる場面も。単体で聞くにはちょっと厳しいレベルです。
 ボイスは主人公を除いても微妙にフルボイスではありません。登場人物Aみたいなのには設定されていないようです。主人公の名前は変更可能ですがデフォルトのままでもボイスのフォローはありません。仮にあっても名前を呼ばれる場面は極端に少ないのでほとんど意味はないと思います。
 ヒロイン陣の演技は特に問題ありませんが、女教師役の声優があまりこなれていない印象を受けました。

 まとめ。頭を空っぽにして望むのが相応しい作品。重たいゲームや大作の息抜きに最適のゲームかと。お手軽なゲーム群の中にあってさえコストパフォーマンスはけして高いとは言えませんけど。エロゲーにもC級グルメを求める人にはよろしいと思います。
 お気に入り:アイ・スズキ
 評点:58

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