鬼父2(BLUE GALE)

 事故から無事に目を覚ました牧野賢一(変更不可)。元通りの生活に戻れるかと思ったが予想外の後遺症が待ち受けていた。これまで自他ともに認める良い父親であったというのにどうしたことか、4人の娘たちの姿に欲情するようになっていたのだ。果たして牧野家の行く末は。

 BLUE GALEの新作はタイトル通り続編もの。このご時世のためにサブタイトルが消滅する、なんて珍事がありました。
 購入動機は前作を購入したことからある程度の進歩を期待して。
 初回特典は特になし。予約キャンペーン特典は四姉妹ぶっかけ下敷き4枚セット。

 ジャンルは四姉妹不道徳アドベンチャー。要するにいつも通りのアドベンチャーです。今回は催淫スプレー噴射機能はありません。
 足回りは地味に向上しました。メッセージスキップは既読未読を判別して高速。
 バックログは別画面にて行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能ですが、それほど戻ることはできません。ロード直後にも使用できます。
 クイックセーブ&ロード機能が装備されました。ゲーム性が増しただけにより使い勝手がよくなりました。

 シナリオは相変わらずというか、むしろ退化しているような面が見受けられます。
 ポイントは事故の前の主人公は人格者と呼ぶような人間であったこと。これはうまく使えばシナリオを適度に盛り上げてくれますが、そうでなければ困った事態を招いてしまいます。この設定が本作でどういう効果を伴っているかと言えば、共通シナリオでジャンル名にそぐわぬ和みテイストを生んでいること。昔の仲むつまじさはよく伝わってくるのですが、共通ゆえに主人公に手を出された娘の態度も影があるどころか普段のまま(差分テキストが用意されていないので当然ですが)。さすがに不自然です。また、根本的な問題としてこの共通パートは作品全体に明るさを生んでしまっているので、この系統の「らしさ」がとても希薄になっています。
 主人公の言動と実際の行動に大きな開きがあるのも気になるところです。口では娘であることが大切で、手を出してなお敬われることを目指していた筈なのにやっていることはひたすら精神的に追い詰めるだけ。人格破壊を狙っているようにしか見えず、少しも籠絡してくれません。愛娘という言葉を普通に疑問に感じてしまいます。
 同じ家に暮らす家族という設定を都合の良い面(ヒロインたちは被保護者なので主人公の所業を告発できないとか)だけ用いていて、本当に重要なはずのHシーンへの活用、こだわりがほとんど感じられません。言ってしまえばヒロインが赤の他人でもまるで問題がないのです。ただ、シナリオ上の手間が増えるというだけで。
 エンディングも唐突にやってきます。イベントの積み重ねという過程を完全に無視した終着ばかりで唖然とさせられるばかり。ヒロインの心変わりが本編とエピローグの間で起こっていて、描写もなしでは本末転倒もいいところ。手抜きか未完成にしか見えません。
 姉妹同時攻略というゲーム性が増したために単独攻略はいわゆる外れイベントが増えて間延びした印象があります。この外れ選択肢は和みテイスト増にもちろん貢献しています。
 Hシーンは独断と偏見で四姉妹平等に5回ずつ。パターンが同じなので飽きやすい面が目立ちます。テキストによるエロ度も単調さと主人公の矛盾した姿勢のためにあまりエロさを感じません。ハーレムがありますが、取りあえずある、くらいに考えていた方が無難です。そもそもこれが主人公にとって予期せぬ状況であること自体どうかと思ってしまいます。

 CGは不甲斐ないシナリオに比べて頑張りが感じられます。四姉妹は見た目の差別化も図られていて魅力的に描かれているかと。ただ、次女だけはどうも全体的に原画が安定していません。
 イベントCGのカット割に疑問を感じます。Hシーンの直接的な枚数を減らしてまで、その事前や事後のものを用意するのはどうなんでしょうか。また、全体的に露出度が低めだったように感じました。
 イベントCGは差分抜きで92枚。前作から微増というところですが、上述したカット割のことを考えるとむしろ減ったようにさえ感じてしまいます(ケータイのカットなども含んでますし)。もちろん、それはエロ度にも繋がる話です。中にはきちんとエロいものがあるだけに却ってもったいなさが目立ちます。
 断面図CGは今回も健在。苦手な人のためにいつでも消すことが可能。

 音楽は曲数自体が少ない上に使い方が単調なので余計に少なく感じるという悪循環。場合によってはパターン化しすぎて笑いさえ呼んでしまうことも。状況をイメージしやすい曲ではありました。
 ボイスはヒロインのみ用意されています。演技の方は特に問題ありません。

 まとめ。偏ったジャンルなのにこだわりの感じられない作品。娘が大切に感じられない時点で企画自体が崩壊している感さえあります。コストパフォーマンスもとても誉められたものではありません。
 お気に入り:牧野晶
 評点:50

 思い入れが薄いのでキャラ別感想はありません。