幼なじみと甘~くエッチに過ごす方法(アトリエかぐや)

 後藤荘介(変更可能)には腐れ縁と呼んで差し支えない幼なじみがいる。家族ぐるみどころか建築物ぐるみの付き合いで、もはや同居に近い。そんな近すぎる相手ゆえに家族のようで、女として意識することもなかった。ところが、ふとしたタイミングに幼なじみが他人であり、女であることを強く意識してしまう。
 改めて関係を見直す必要に気付いた時、荘介の前に第二、第三の幼なじみが現れた。彼女たちはそれぞれ幼稚園時代、小学校低学年時代に転居先で共に暮らした幼なじみで、秘めた想いを隠すこともなく伝えに来たのだ。
 そして、三人のうち誰が「真の幼なじみ」かを決める「昔の遊びをどれだけ今も出来るか大会」が開催されることに。

 アトリエかぐやBerkshireYorkshireの新作は「Schoolぷろじぇくと☆」に引き続いてのロリ系デザインのあまりにも文字通りな企画のアドベンチャー。
 購入動機はアトリエかぐやの新たな挑戦の中身が気になって。実際のところ、「Schoolぷろじぇくと☆」に対する勝手な思い込みなのかもしれません。
 初回特典は特にありません。

 たいした内容ではありませんが修正ファイルが出ています。症状が合致する方は落としておきましょう。クリアするには特に問題はないと思います。

 ジャンルは何の変哲もないいつも通りのアドベンチャー。幼なじみランクなんて聞き慣れないものがありますが、要するに好感度表です。
 足回りはさらに便利になりました。不満らしい不満はほとんど出ないのではないでしょうか。メッセージスキップは既読未読を判別して高速です。
 バックログは別画面で行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能です。いつどこで開始してもスタート地点まで戻ることができます。もちろん、ロード直後にも使用可能です。

 シナリオは全体で濃度が変化していきます。二人目、三人目の幼なじみがが出てくるまでは尺もそれなりに使った、きっちり型のシナリオなのですが、それ以降は個別ルートに移行するまでかなり描写が薄いです。個別ルートに入るとさらに描写は薄くなり、複数人による掛け合いも満足に行われなくなります。ひたすらに抑揚もなくHシーンの連続。ラストは超展開があったりもします。
 基本的なノリはあらすじからもわかるように馬鹿ゲーのそれ。ただ、キャラ立てを原画とボイスに強く頼っている感があり、これらを除いてしまうとテキスト上の魅力らしい魅力が残らないのは困りもの。読んでいる(聞いている)だけで楽しくなるような日常会話は望むべくもありません。また、通常のイベントが皆無に近く、Hシーン以外でヒロインの個性を示す場がほとんど見受けられません。
 複数ライター制の弊害もきっちりと出ていて、各ルートで主人公が同じ人物とは思えない時があったり、ヒロインたちの登場頻度に大きな隔たりがあったり、一人称描写の使い方に差があったりしました。
 売りである「昔の遊びを今もどれだけ出来るか大会」は、そもそも昔の遊びが幼児としては常軌を逸しているのでほとんど性行為そのもの。今やればエロいのではなく、今やってもエロいではだいぶ意味が違います。本番がないだけで寸止めHシーンと一括りにできてしまえるあたり、アイデアが活かされていないように感じます。焦らしだけはきっちりできているあたり、逆効果な気も。
 展開としては上記の大会が終わると個別ルートに入る形になり、ようやくHシーンに。選択肢によって展開が二つに分かれますが、その意義はイマイチわかりません。ボリュームがある訳でなく、どうしても見せたいというような展開がふたつ用意されている訳でもなく、どうにも不思議です。
 Hシーンはヒロインごとにテーマが異なるかのような偏った内容が用意されています。エロ度は十分に高いですが、アトリエかぐや内においてはほどほど、ぐらいかもしれません。本作は一応ハーレムルートも用意されていますがあまり期待しすぎない方が賢明です。

 CGは今回もひたすらに可愛さ重視。通常イベントCGが減少し、HシーンのイベントCGが増加しました。個人的には「エロさ」よりも「可愛さ」が勝っているように感じます。前作で気になった胸の描き分けはかなり改善されているように見えました。ほとんど気になりません。
 立ちCGは表情の変化が実に多彩。こんなものまで、と思うようなカットまで用意されています。表情そのものはより漫画に近づいていて、見方によってはイベントCGに比べて劣っているように見えてしまう可能性も。残念なことに本作においても立ちCGの鑑賞モードはありません。
 部分アニメーションは今回も健在。不評であったのか、空中に浮かぶ舌はなくなりました。小道具的なアニメーションですが、これまでより効果が上がってきたように思います。

 音楽はここ最近のBerkshireYorkshire作品に比べておとなしくなったような印象を受けました。ゲーム全体のお馬鹿な雰囲気を考えるとインパクト不足のように感じます。
 ボイスは女性キャラのみフルボイス。主人公以外も一部の端役キャラにはボイスがありません。メインの幼なじみ三人衆の演技は申し分のない高品質。テキストの弱さをかなり補っています。
 ちなみに主人公はデフォルトネームだとボイスフォローがあります。

 まとめ。中途半端なお手軽ゲー。「Schoolぷろじぇくと☆」からシナリオ分が良いところも悪いところもごっそり抜け落ちました。しかし、それならエロ重視のお手軽系作品かというと、それにしては弾け切らないところがあり、どうにも不鮮明な印象です。
 狙ったところが細かすぎてよく分からないような気も。萌えがわからない人間が語るのもおこがましいですが、あまり萌え成分もないように見えますし。少なくとも個人的に期待する、アトリエかぐやの進化への挑戦には見えませんでした。
 お気に入り:特になし
 評点:60

 以下はキャラ別感想。ネタバレ要注意。







1、涼風あすか
 常識の防波堤。彼女こそが最後の砦。あすかがいなければもっと簡単に幼なじみ同士のエロエロワールドに突入していたでしょう。そうすると良かったのか、悪かったのか難しいところです。まぁ、損な役割のキャラが面白いってのはどのジャンルでもたいして変わりませんよね。
 個人的にはあすかが他の二人に対してアドバンテージをやたらと誇示するような展開にならなくてホッとしてました。琴音やエミリーが登場するまでは少しばかりそんな節も感じられたので。
 企画的にシナリオの薄さは仕方ないのかもしれませんが、やはり残念。ましてキャラ立ちがイマイチな本作ではなおのこと。

2、御堂琴音
 方言成分は極めて薄く、極道の娘属性にいたっては気がつくと忘れているほど。ハッキリ言って北都南さんの声(演技)でもっているようなものです。そのせいなのかどうなのか、他のヒロインに比べてやたらとイメクラ度が高め。ただでさえ、イメクラちっくなゲームなのにさらにプラスされてますからねぇ。
 もしかして麻雀対決は薄さのフォローのつもりなんでしょうか。まさか、ねぇ。

3、エミリー・ウィンスレット
 琴音と非常に特性が似ています。シナリオの突拍子もない展開まで一緒。やはり、安玖深音さんの魅力で全てをフォローしている格好です。珍しいのは今時、金髪ツインテールでありながらツンデレではない、ということくらいですかね。
 アイドル編(?)は実のところ全く意味がない。これはHシーンを基準にしてみればよくわかるのですが、テキストの水増し以外に何の役割も果たしていません。ネタとしても留学するとか、親の都合で引っ越すとかいうのと全く変わらない。エミリーは海外娘なのだからわざわざアイドルがどうのなんてネタを用意する必要もないのだけれどねぇ。アイドル生活がHシーンに活かされるというのならまだしも。
 ところで、ハーレムHでエミリーは設定的に英語を喋っているようですが、下手にライターが根性みせて英語のテキストとか用意しなくて本当に良かったです。英語の喘ぎ声なんて聞かされたら(しかも、この絵で)確実に萎えてしまいますよ。それも、安玖深音さんの萌えボイスで、ですよ? まぁ、笑いはとれるし、ある意味では貴重でしょうけど。