聖剣のフェアリース(リトルウィッチ・ベルベット)

 雪輪成深(変更不可)には不幸を呼ぶ痣がある。それは科学的な根拠のない思い込みの産物だと思われていた。だが、そこには確かな力が存在していたのだ。グラン・クロワと呼ばれる能力によって成深は否応なく日の当たらぬ世界の戦いに巻き込まれていく。

 リトルウィッチ・ベルベットのデビュー作はエロ重視、胸もあるよ! なアドベンチャー。
 購入動機は新ブランドとなったコンセプトに惹かれたのと体験版にそこそこ手応えを感じたので。
 初回特典はFAIRIES premiumbookとEXTRA CD。

 ジャンルはごくごく普通のアドベンチャー。Hシーンのみマップ移動のようなシステムを採用しています。最初は決まったものしか選択できませんが、徐々に選べるシーンが増えていくように。同じものを2回選ぶことはできません。
 このHシーンの育成システムでは各ヒロインにHPとグノーシス(経験値的な役割)、レベルが設定されています。HPを消費することでHシーンをこなし、グノーシスを溜めることでレベルを上げていくという流れ。レベルが上がればHPも上昇し、行えるHシーンも増えることに。こんなパラメータがあってもシステム的な戦闘シーンはありません。
 レベルをMAXにすることで個別シナリオへの分岐が確定します。制限は20ターン。Hシーンを一度で全て見ることはできないので回収作業が必要になります。これがなかなかどうして手間と時間がかかって大変です。
 足回りはそれなりに配慮のある設計。メッセージスキップは既読未読を判別して高速。しかし、ウインドウサイズでメインを外れてしまうとスキップに限らず動作が全て停止してしまうのはかなり不便です。
 バックログは別画面にて行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能です。ロード直後にも使用できます。いつでも最初まで戻れるようです。画面自体も非常に読みやすいように感じました。
 ワイドモニターに対応した縦横比の固定ができます。この際に両端にできる黒い部分でもマウスのクリックにしっかりと反応してくれます。
 演出のスキップなど快適に使うためにはカスタマイズが必須です。ただし、育成画面上での演出はカットできません。

 シナリオは全体的にあっさり風味。メインであるHシーン以外の設定、描写は意外としっかりしているように見えますが気のせいです。せいぜい最初くらい。
 物語やHシーンの必要性によってそれらはたやすく無視されてしまいます。シナリオが設定に対してあまりに気をつかいません。具体的には最重要人物である主人公(戦闘力まるでなし)が護衛なく行き先も伝えずに出歩いたり、教師と教え子なのに人目につくところで親密にしていたり。
 情報開示の仕方に問題があります。伏線をあまりしっかりと張っていないので真相が明かされる時はいつも唐突な印象がありました。展開そのものにも同様のことが言えます。
 惹かれ合う過程はほぼ皆無。修行と称するHシーンの繰り返しによって必要な絆が育まれてしまいます。むしろ、個別シナリオ終盤になってまだ恋仲ではないという事実を突きつけられて驚くことがあるくらいです。
 戦闘描写はあってないようなもの。期待してはいけない要素です。
 わりと節操なく視点変更が起こります。見た目には少しも変わらないので慣れるまでは少し戸惑いやすいです。
 Hシーンは育成システム以外でも用意されています。各ヒロイン2回ずつ。尺は短くエロ度はほどほど。
 育成Hは純愛系にしてはパターンが豊富です。けれども、ヒロインによって方向性は固まっています。ここでも設定によって主人公はエロ親父化しています。

 CGはいつもの可愛さ重視からエロさ重視となっています。大槍葦人氏なのに巨乳キャラが存在しているだけでも驚きなのに、この巨乳キャラが最もエロいです。Hシーンに力を入れているという言葉に偽りはありません。エロ度は純愛系にしては高いですが、なにぶんヒロインの体格が華奢なのでエロいというよりも痛々しく見えてしまうカットも散見されました。
 戦闘シーンもあるということで立ちCGは種類が豊富です。同一ポーズにも様々な衣装が用意されていて見た目にも楽しめます。

 音楽は世界観作りとして相応しいだけの曲が用意されています。強い不満を感じることはありませんでした。また、耳に心地よいSEが多く使われていたように思います。
 ボイスは主人公を除いてフルボイス。演技の方は問題なく高レベル。イメージにも合致しています。中でも九澄千鶴役の桜庭翡翠さんは凛々しい時と困った時、それにHシーン時とそれぞれの差が良いギャップを生んでいます。

 まとめ。手軽とは言いにくいエロ重視作品。シナリオに過度の期待しなければエロいリトルウィッチを楽しめると思います。今後はシナリオの扱いが鍵を握りそうです。
 評点:60
 お気に入り:九澄千鶴

 以下はキャラ別感想。ネタバレ要注意。







1、小花川ゆり
 ゲオルギウスが強力すぎることは確かですが、それが戦闘シーンが碌にない理由にはならないと思います。素晴らしく脱力させてくれました。
 屋外プレイが多すぎてちょっと退いてしまいました。内容そのものは構わないのですが、設定というか状況がどうしても呑気に見えてしまってどうも。しかも、舞台は東京っぽい(恵比寿とか?)のに夜12時の公園には誰もいないとか不自然なような。

2、九澄千鶴
 とにかくエロくて可愛いので手がつけられません。あの無駄な抵抗と言っても良い言い訳が良いアクセントになっています。まぁ、彼女を見て苛めたくならないのはなかなか難しそうです。

3、イングリット
 なんとかの一つ覚えの分身が印象に残ってます。役に立ったケースがないようなところも。それに限りませんが、技習得のシーンがその後にまるで活きてこないあたり切ない。