失格医師(MBS TRUTH)

 小笠原亮(名字は変更不可、名前のみ可能)はいつでも双子の兄と比べられてきた。客観的にみて兄は一流、弟は三流だったので風当たりは相当なものだった。また、兄も不出来で自分と同じ顔を持っている弟を憎み、蔑んでいた。
 亮が苦労して入った三流医大を追い出されてからしばらく経ったころ、兄が海外出張に行くことになった。それを好機と見た亮は兄になりすまし、病院にもぐり込むのだった。

 メイビーソフトの別開発室みたいなものですが、個人的にはブランド初買いになります。購入動機はなんでしょうね、なんとなくエロそうだったから、でしょうか。これしかっ! という勢いで買った訳でないのは確かです。
 初回特典はI’veボーカルのテーマ曲及びBGM数曲を収録したサントラ。曲数が少ないのでもしかしたら全曲かもしれません。
 メイビーソフト同様、マニュアルは見開き4ページのみで非常に簡素。これをやる気がないと見るか、可能な限り経費削減と見るかは微妙なところ。どちらにしてもユーザーにはあまり良いことではないのがポイント。

 システムは移動先選択型のアドベンチャー。各時間帯において病院内移動先を選択。3日目午後にルートが確定するまでは移動先表示がシルエットになっていて、そこに誰がいるかはわかりません(いるかいないかだけは判別可能)。
 個人ルートが決定されて以後は移動先に誰がいるかがわかるようになります。また、そのルートのヒロインに会うまでは何度選択しても(誰に会っても)時間が進まなくなります。
 ゲーム期間は7日。これがまた結構長いです。Hシーンが発生するのが3日目以降、一日一回程度だというのに移動先選択は一日に最少で8回から9回もあるんですよ。しかもどういう訳か何もない日があります。全7日という短期決戦でありながら。この間、Hシーン以外はひたすらヒロインに会って同じいたぶり方をするのみ。退屈の極みです。
 また構築されたシステムがこれを助長しています。移動先を選択する際、まずマウスカーソルを目的の場所に合わせます。すると移動先が表示されます。ここでクリックするとカーソルは「決定」のアイコンに飛びます。さらに続けてクリックすると今度は「これでいいですか?」と確認が出ます。これをクリックしてようやく移動が実現。3回もクリックしなくてはならない訳です。つまり移動先を決めるだけで一日当たり24回から27回クリックしなくてはならない計算になります。会話はまた別にして。これはちと多過ぎるのではないでしょうか。意味があるのならともかく。
 ついでにこのシステム、移動場所の階段や廊下、ナースステーションが小さかったり狭かったりしてわかりにくいです。明らかに不親切だと個人的には判断しました。
 足回りはまぁ、そこそこ。コンフィグで色々とカスタマイズ可能になってます。
 メッセージスキップはコンフィグで既読を自動で飛ばすか否かを選択。自動の場合は快適に飛ばせますが、手動の場合はその度にシステムメニューを開かなければならず、少々不便です。またほんの時折、未読の文章を既読と判断して飛ばしてしまうことがありました。
 メッセージの巻き戻しは選択肢を越えては戻ることは出来ません。ロード直後も不可。それほど巻き戻す必要のないゲームなのでこれでも充分かと。
 凌辱シーンにおいて患者ヒロインにだけはアイコンで触れて反応を楽しむという「お触りモード」があります。が、既存のゲームのそれとまるで変わらない、むしろそれ以下という感じで何のためにあるのやらわかりません。部分アニメーションもそうと言ってしまっていいのか不安になるレベル。

 シナリオはあってなきが如し。冒頭のあらすじを読めばわかると思いますが、一歩下がって考えると、この主人公かなり情けないです。
 まぁ、そういうゲームだからと言ってしまえばそれまでなんですが、企みがうまくいっても、ひたすらむなしいというのがどうにもねぇ。シナリオライターも重々わかっているのか、エンディングでは当初の目的はほとんどどうでも良くなっています。まぁ、エロへの入り口(動機)として必要ということでしょうかね。
 シナリオに比べてテキストは非常に気合が入っています。ヒロインを責める描写がたいへん執拗です(誉め言葉)。段階を省略することなく確実に攻め落とすという感じで。普段、あっさり描写のゲームをプレイすることが多いので個人的にはなかなか新鮮でした。
 ただ凌辱というよりは丹念に開発している、というイメージを受けました。たいがいは無理矢理というより、限りなく和姦に近いので尚更です。
 ハーレムエンドのようなものが存在するものの、全体的なものでなく、個人の一ルートでしかないのが残念。そこまでの展開(フラグ)も納得が行きませんでしたし。
 プレイ前は最重要かと思われた兄の婚約者の扱いも軽いです。ちともったいないような気がします。

 CGはテキストの濃厚なイメージに比べて可愛いくてあっさり風味。恐らくミスマッチを狙っているのかと思われます。CG自体は原画の味を殺すことなく仕上がっているのですが、原画の方がどうも今ひとつ。キャラの顔が安定していません。構図的に違う角度が多いことを考慮しても、見事に毎回、顔が違います。正直、同一人物に見えないことが多いかと。特にお気に入りのキャラにその傾向が顕著だったのがツライです。
 立ちCGはしっかりと描かれているものの、ポーズ変化が一切ないのでさみしい感じは拭えません。

 音楽はシーン構成の都合上、暗めの似たような曲ばかりが揃っています。総曲数は不明ですがかなり少ないと思われ。難しいのでしょうが、もう少し多様性があった方が効果的だったのではないでしょうか。
 ボイスは各キャラのイメージに合致する声優さんが用意されています。レベルも心配ありません。

 まとめ。色々な意味でバランスが悪いような作品。それぞれの要素がうまくリンクしていないというか。その中でテキストだけが一際、存在感を放っていたように思います。
 お気に入り:相馬悠美、園山藍良
 評点:52

 どうも思い入れが持てなかったのでキャラ別感想はなしってことで。