スキとスキでサンカク恋愛(ASa Project)

 小森江宗介(変更不可)の両親は幼いころに離婚していた。それからしばし、父親は再婚して新しい家族、義母と義妹ができた。互いが家族として違和感がなくなってから数年、小森江家にちょっとした波紋がやってきた。それは父親の娘、すなわち宗介の妹であった。母が亡くなり、その後、引き取った祖母も老人ホームに入ることになり行き場がなくなったのだ。
 今の血の繋がらぬ妹と昔の血の繋がった妹。優雅に三角形を描いていると、宗介に一目惚れする先輩が現れ、そうなると昔からの訳あり幼なじみも黙ってはいられないと、にわかに周辺が騒がしくなってきた。

 ASa Projectの新作は2つの三角関係に悩まされるアドベンチャー。
 購入動機はブランド買いですが、前作が前作だけにとても心配しながら購入しました。
 初回特典はオリジナルサウンドトラックとボイスドラマ「秘密のガールズトークCD」。後者は冒頭でも言っているようにネタバレはありませんし、収録時間も短めなので気軽に聞くことができます。

 修正ファイルが出ています。それほど重大な内容ではありませんが、念のためあてておきましょう。

 ジャンルはドキドキ三角恋愛ADV。
 足回りは相変わらずもうひとつです。メッセージスキップは既読未読を判別して標準的なスピード。
 バックログは別画面にて行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能ですが、ほとんど戻ることはできません。ロード直後にも使用不可。
 シーンジャンプ機能が搭載されました。シーン単位と選択肢単位を選ぶことができます。

 シナリオはどうにか回復傾向でしょうか。読んでいるだけで楽しいギャグ主体のテキストが帰って来ました。ゲームキャラの範疇を逸脱したメタ発言の数々はもはやお家芸の域でしょうか。まだまだ新しいネタが出てくることに驚きです。もはや発言というより行為と呼んだ方がいいのかもしれません。品のなさにはストップがかかったような、そうでもないような微妙なさじ加減が感じられます。あまり、やり過ぎないように意識したようにも見えます。
 しかし、ASa Projectの永遠の課題なのか、共通シナリオが楽しければ楽しいほど個別シナリオに差す影が大きくなっているようにも感じられます。特に今回は個別シナリオの中身が乏しい上に盛り上がりに欠けています。実際Hシーンを除くとほとんど中身が残らないヒロインもいるほど。
 サブキャラにもシナリオが用意されていますが、ライターもメインクレジットとは異なるだけでなく、尺もとても短いので完全におまけだと思った方がいいでしょう。
 Hシーンは各ヒロイン4回ずつでサブは2回ずつ。いつもの通りシーン自体が短めでエロ度はお世辞にも高いとは言えません。

 CGは立ちCGのいわゆる変顔がマイルドになったせいか、これまでのASa Project作品と比べてもいささか地味なデザインと彩色に感じます。良くも悪くも一般的な作品に近づいた印象を受けました。
 個性的なSDカットは本作でも健在です。他作品との良い差別化に繋がっていると思います。枚数の少なさだけがいつものことながら残念です。

 音楽は毎度のことですが普通の作品のようにしっかりと作ってあります。しかし、本作は普通の作品ではないだけにちと違和感を感じることも少なくありません。飛ばし気味のテキストに比べて実に基本に忠実な曲が揃っています。むしろ単体で聞いた方が魅力を感じやすいかもしれません。
 ボイスは主人公のほか名前のないキャラにはありません。演技の方は特に問題ありません。というか、お母さんがやたらとハイテンションでノリがいいです。担当声優を考えれば当然でもありますが。

 まとめ。なんだか普通っぽい作品。「プラマイウォーズ」からの反動でリハビリの位置づけにあるのかも。次がどうなるか、注目したいです。息抜きを求める方にオススメ。
 お気に入り:木須志衣菜
 評点:65

 以下はキャラ別感想。ネタバレ要注意。







1、小森江すず
 妹の鑑みたいなキャラであってもASa Projectにかかっては汚染も著しく、最終的にはほとんど原型は残っていません。まぁ、オタクな時点で、という話もありますが。ハイライト消し芸が元に戻らない、というのは駄目押しのような感じでした。

2、小森江七瑠
 オタクでなければ七瑠がモテるというのはどうも承服しにくいものがあります。あの性格(変顔含む)は趣味が変わってもあんまり影響がないような気がするだけに。お母さんの存在感がすごかったです。いくらなんでもアシストし過ぎのような。

3、鳴滝真帆
 まるで盲導犬のように懇切丁寧に志衣菜先輩が手を引いてやらないと一歩も進めない幼なじみがなんとも。しかも、うまくいった後はHシーン以外に特に何もないあたり色々としんどいです。格ゲー好きには意外と辛いヒロインなのでしょうか。

4、木須志衣菜
 遂にエロゲーが趣味のヒロインが出現。メタ発言の多いASa Project作品にはピッタリの相性です。しかし、仲間の役には立っても自分自身にはいまひとつ効果を発揮できていなかったいなかったような。どんなゲームでもいけるなんて設定だから真帆シナリオでうまくいく前から寝取られシナリオみたいな流れになってしまいました。なんとも不憫でなりません。というか、自作自演気味の寝取られって嫌だなぁ。

5、和呂田茜
 完全に賑やかし要員。やはり、エロゲーでBL好きというのはさじ加減が難しいのかもしれません。やり過ぎてヒロインを食ってしまうのは色々と問題があるしねぇ。特定ルートでヒロインを腐らせた、とかなったら果たしてASa Projectに苦情とか来るのか、来ないのか?

6、カーラ・オリヴィア
 デブであった頃の方がSNSで目立つ扱いをされていて、痩せたらそれに足りなくて全てのやる気をなくした、という一連の会話はちょっと面白かったです。実際あまりにも素早く痩せてしまってbefore→afterの旨味はあまり出ていなかったように思います。