家の彼女(Argonauts)

 橘木啓輔(変更不可)は働き始めて半年の新社会人。そろそろ仕事にも慣れてきたが疲れも感じるようになってきた。そんな時にいつも思うのが「恋人が欲しいなぁ」ということ。
 そんなある日、帰宅した啓輔を待っていたのは幼なじみの少女、纏絢萌であった。両親が急に海外に転勤となり、受験も控えた身で独り暮らしはとても心配と家族ぐるみで仲の良い啓輔を頼ってきたのだ。当初は啓輔の実家の方へ行くはずであったが……。

 Argonautsのデビュー作は「うちカノ」シリーズと名付けられた連作の第1弾。
 購入動機は制作陣、ということになるでしょうか。MOONSTONEのソフトはだいたい購入してきたので。
 予約キャンペーン特典はHなボイスドラマDLカード。

 ジャンルはごくごくいつも通りのアドベンチャー。
 足回りはMOONSTONEの最新と同じかな、と思えばそんなこともなく。メッセースキップは演出をほとんどカットしないのであまり早くありません。ただ、選択肢がない作品なので基本的にはスキップを使用する機会はそれほどないと思います。
 バックログは別画面にて行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能ですがそれほど戻ることはできません。また、ロード直後にも使用不可となっています。あまり使いやすくはないですが、この画面からのシーンジャンプも可能です。
 前回の続きから始める機能も用意されています。

 シナリオは選択肢がないこと、低価格タイトルであることが相まって予定調和の感がとても強くなっています。丁寧で地に足のついた描写は癒し系のヒロインの魅力を伝えてくれますが、反面イベントらしいイベントもなくあまりにもすんなりとことが進んでしまいます。予想外の事態が起きないために退屈に感じる可能性もけして低くはありません。
 また、近年はやりの連作方式ということで、この作品をどうとらえるかでイメージが大きく変わりそうです。1本限りの低価格タイトルと考えればあまり何も感じないかもしれませんが、フルプライス作品の1シナリオと考えてしまうと共通シナリオの貧弱さも加わってかなり物足りなく感じてしまいそうです。
 惹かれ合う過程はそれほど用意されていません。基本として外堀が埋まっている段階から物語がスタートします。ヒロインの好感度は最初からほぼ最大なので、あとは告白を待つだけの状態なのであまりハラハラするような恋愛描写はありません。
 Hシーンは色々な意味で初心者向けとなっています。会話に「保健体育の教科書」という単語が出てくるという事実で概ね察していただけるのではないでしょうか。純愛系というのはこれくらい徹底した方がいいのかもしれませんね。

 CGは原画買いに後悔しない高品質。ただし、差分抜きで21枚という枚数はやはり寂しく感じてしまいます。初心者向けの影響なのか、Hシーンのヒロインは全裸が基本で着衣していることはとても稀です。
 立ちCGは実質ヒロイン(次回作以降のヒロイン含む。本作ではサブキャラ扱い)にしかありません。かろうじて用意されている2人は輪郭のみの影だけです。

 音楽は耳に馴染みやすいことを意識して作曲したような印象を受けます。シナリオの傾向に符合しておとなしく感じる曲が多いです。タイトル曲だけはなぜか、というくらい勢いがありますが。
 ボイスはヒロインのみ(ここも立ちCGと同じく次回作以降のヒロインを含みます)。キャラに合致した初々しい、どこかたどたどしい感じがぴったりと合っています。ちなみにHシーンにおいても同じようなことが言えます。この作品はほぼほぼ彼女の独壇場なのでその存在感はとても大きいです。まさに看板と言っていいでしょう。

 まとめ。ちょっと寂しいデビュー作。この1本を見た限りではシリーズ全て揃えるとフルプライスの作品になるという感じはしません。3本だと7800円、4本だと10400円。それに見合ったボリュームになるとはとてもとても。
 お気に入り:特になし
 評点:60

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