ワガママハイスペックOC(まどそふと)

 まどそふとの新作は2016年4月に発売された「ワガママハイスペック」のファンディスク。
 購入動機は本編が普通に楽しめたのと原画が気に入ったから。
 初回特典はボーカルアルバム、イラストレーションブック、裸パッチダウンロードカード、LIVE先行抽選申込券。予約キャンペーン特典は早期と通常でそれぞれ色紙が付いてきました。

 コンテンツはオーソドックスにヒロインアフターストーリーとサブキャラの昇格シナリオ。

 ジャンルは当然、本編同様にアドベンチャー。
 足回りはたいへん便利な本編と基本的に同じです。メッセージスキップは既読未読を判別して高速。次の選択肢にジャンプする機能及び前の選択肢に戻る機能が用意されています。本作は選択肢が存在しないのでオープニングデモ、エピローグの箇所が選択肢として認識されているようです。エピローグで次の選択肢へ飛ばすとタイトルに戻ります。
 バックログは別画面にて行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能。恐らくいつでも最初まで戻ることができます。もちろん、ロード直後でも使用可能。シーンジャンプの機能が用意されていて、カーソルを当該メッセージに合わせるとバックログ画面でその場面が再現されます。
 前回終了時から始められるコンティニュー機能も搭載しています。

 シナリオは本編と同じように複数ライター制の弊害が出ています。特にヒロインアフターストーリーはヒロイン毎に差が激しくなっています。ほとんどHしているだけのものもあれば、きっちりアフターとして読ませてくれるものもあります。サブキャラの昇格シナリオはそのキャラ毎に設定の補強度が異なります。ほぼそのままのキャラもいれば、大きく設定が追加されているキャラもいます。惹かれ合う過程はほどほどに用意されている、というあたり。もともとサブであるせいか、主人公の心理はいささか強引で苦しいことが多いです。それでも概ね本編を遊んだプレイヤーが期待するものは備わっていると感じました。
 Hシーンは各ヒロイン4回ずつですが、中にはカウントが微妙なキャラもいます。本編と同じく純愛系にしてはかなりのエロさです。中には本編がフリになっているようなシチュエーションもありました。予定通りなのでしょうか。

 CGのクオリティは相変わらずの高さで安定しています。可愛らしくエロい、がしっかりと実現できています。差分抜きで72枚はファンディスクとしては十分なものの、本作はフルプライスであるため、やはり物足りなさを感じてしまいます。
 立ちCGは恐らく昇格したサブキャラ(とその関係者)のみ追加で用意されました。制作時期の違いを感じさせることなく新作カットが仕上がっています。さすがにカット数は本来のヒロインたちに比べて少なめですが。今回も鑑賞モードで穴が開くまで確認できます。

 音楽はオープニングとエンディングのボーカル曲を除けばほぼ本編と同じです。それほどインパクトの強い曲ばかりではないので、かなり思い入れがないと曲から「ワガママハイスペック」の世界に帰って来た、と浸るのは難しそうです。
 ボイスは主人公を除いてフルボイス。本編と演技が異なる、ということもありません。安心して聞くことができます。HシーンのBGVが単調であるのは今回も変わりません。

 まとめ。良くも悪くも標準的な作りのファンディスク。1年以上が過ぎていますし、値段もかなりお高めと誰にでも薦められるとは言い難いです。コストパフォーマンス的にもちと弱さを感じます。6800円くらいであればかなり良い出来であると思いますが。
 お気に入り:鹿苑寺かおるこ、鷹司千歳
 評点:70

 以下はキャラ別感想。ネタバレ要注意。







1、鹿苑寺かおるこ
 無理すぎる両親の設定が笑いにつながっていてホッとしました。待望の(?)チャイナドレスHが用意されていたのもファンディスクらしくて良かったです。

2、桜木・ルーフォレット・アーシェ
 中身が薄い中で色々やろうとしていて、いかにも中途半端。サプライズも当然のようにサプライズになっていないあたり……。

3、鳴海兎亜
 本編同様、殴りたくなるような妹なので全く主人公とシンクロできず。そのわりには中盤以降は難易度が激下がった感じで戸惑ってました。こちらはかおることは違ってナース服Hはありませんでした。需要の差なのでしょうか。

4、宮瀬未尋
 本編もそうでしたが、どうも苦手なんですよね。キャラ自体はそうでもないのですが、本人のシナリオのノリに合わないというか。むしろ他シナリオの未尋の方が好ましく感じるという。兎亜との連携が崩れやすいのもポイントなのかもしれません。

5、四月一日奏恋
 なんだか不憫さが目立つ娘さん。なぜ、彼女だけ主人公の仕事に口出ししてしまうのか。担任であるくまたん先生でさえ、そんなには干渉しませんでしたよ。無駄に損してしまっている印象でした。演劇要素がどうにもやる気なさ過ぎで説得力に苦慮してました。

6、鷹司千歳
 メガネキャラの復興を祈願したキャラって訳でもないのでしょうが、切ない訴えみたいなのが地味に笑えました。設定は盛りすぎにも程があって、ほとんど「ワガママハイスペック」外伝というノリでした。慌てふためく千歳さんの姿はたいそう魅力的です。無駄な抵抗をするあたりも含めて。

7、岩隈縁
 出だしがあまりにも悲しい先生。そして、あからさま過ぎる主人公に意識する姿を責められて泣いてしまうあたり、新境地の泣きゲーかと思いました(嘘)。まぁ、サルみたいな生徒ばかりだと報われない感じがすごいですよね。しかし、行き着いた先がジャージなのはいいのか、悪いのか。好きな人にとってはまたしても寸止めでした。