Worlds and World's end-ワールド・エンド・ワールズエンド-(root nuko)

 昨日から今日へ。今日から明日へ。変わることなく日常は続いていく。そのはずであった。だが、それが崩れた時どうなるのか。これは昼と夜の世界の物語。

 root nukoの第2弾は意欲的な設定のアドベンチャー。
 購入動機はデビュー作と同じく設定と原画に惹かれて。もちろん、進歩を期待していました。
 初回特典は豪華ゲストカラーイラスト集、オリジナルサウンドトラック「世界の終わる、その日まで」、描き下ろしテレカ応募券。予約キャンペーン特典はアマクライラストブック。今回は漫画がなくて残念でした。

 それほどたいしたものではありませんが、修正ファイルが出ています。気になるならばあてておきましょう。

 ジャンルはオーソドックスなアドベンチャー。ただし、シナリオが大きく4つに分かれていて、タイトルから選択してそれぞれのシナリオへ入ります。最初はひとつのシナリオしか選ぶことはできません。
 足回りは代わり映えしません。メッセージスキップは既読未読を判別して高速ですが、使う機会自体がなかなかありません。
 バックログは別画面にて行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能で、それなりに戻ることができます。ロード直後には使用できないので物語重視の作品としては使いづらいです。
 ワイドモニターの場合、フルスクリーンにすると自動的に画面の縦横比を固定してくれますが、左右両端にできる黒いエリアではクリックが効きません。画面上部にメニューも出るためカーソルの置き場もそれなりに困ることに。

 シナリオは事実上の一本道。主人公が3人用意されていてそれぞれに対応したヒロインが2人います。2本目のシナリオ以降にエンディングがあり、ヒロインを選ぶことになります。重複するのはこの2人という部分のみです。
 シナリオを眺めると全体的に配慮に欠けているように感じます。視点変更が頻繁に行われながら見た目上もテキスト上も違いがわかりづらく、毎度のようにこれは誰なのか、という読み方を強いられます。無論、会話時もセリフの頭に登場人物名は表示されません。テキストからも意識は感じません。意味がないのならわかりやすさは重要だと思うのですが。
 世界観についても同様です。読み手が設定を承知していることを前提に書いている描写が目立ちます。よってわかって当然のことが(予測はたちますが正確には)ずっと後までわからない、なんてケースがしばしばありました。それぞれのオチに関しても重みが感じられず、どこか散漫なイメージを受けました。もしかしたら未完成なのでは、とも感じます。
 日常の掛け合いはやや冗長でどこかぎこちないです。説明調のセリフが多めであることと無関係ではないと思います。それでいて総テキスト量はそこまででもないため(なにせライターが自虐的なネタにするくらい)説明不足やわかりにくさを生んでいます。設定ゆえに仕方のない面もあるでしょうが笑いには期待できません。
 惹かれあう過程はかなり苦しいです。積み重ねるものがほとんど感じられず、その時がくるといきなり恋愛方面に舵をきるのでほとんど置いてきぼりです。
 Hシーンは各ヒロイン(サブも含めて)ほぼ1回ずつ。まるで言われたから取りあえず用意してみました、というくらいのおざなりさを感じます。前作よりはましになりましたが、こだわりが感じられないのもエロくないのも相変わらず。尺も短めです。

 CGは世界観ゆえに暗いものが多く地味になりがちなことを除けば良い出来です。イベントCGも差分抜きで85枚とデビュー作から少し改善されています。ただ、テキストとの兼ね合いのなのか、どうも1枚1枚が軽く感じられました。これぞ、というカットが少なかったように思います。Hシーンにも似たようなことは言えて、コスチュームを意識させながら半脱ぎ要素が弱いです。
 立ちCGはややバランスが悪いです。性格と表情がやや合致していなかったり、せっかくのお着替えにあまり意味がなかったり。問題の根本はわかりませんがちょっともったいないです。
 メインの世界観だけに夜の背景はさすがの存在感。雰囲気がよく出ていて、廃工場などチョイスもうまいです。

 音楽はBGMの言葉通りに要所は押さえながらも引き立て役に徹している感があります。世界観には合っていると言えますがインパクトあるシーンの緊張感などの表現はもう一つだったように感じました。主題歌は心に残る出来なだけに惜しまれます。
 ボイスは主人公を除いてフルボイス。主人公も自分の視点でない時には喋ります。演技の方は特に問題ありません。

 まとめ。まだまだ成長途中な作品。現時点の実力としても抽出の仕方があまり良くなかったように思います。コストパフォーマンスもあまりよろしくありません。
 お気に入り:特になし
 評点:55

 ご覧の通りなのでキャラ別感想はありません。