胸キュン!はぁとふるCafe(ユニゾンシフト)

 喫茶店で住み込み店員をする主人公、香坂信也(変更可能)。オーナーがコーヒー豆の買い付けで留守の間、店長代理を任されることに。そんな折、血のつながらない双子の妹を卒業まで預かることになったのだった。
 
 なんだか書いていて脱力しそうなストーリーです。ご都合主義炸裂! といったところでしょうか。
 広告の、思わずのけぞりそうな四コマ漫画を見て、黒い笑いを期待して購入。妹属性も持ち合わせていないというのに。そのへんをご理解の上、この先はお読みください。

 初回特典は原画家の藤原々々氏のオリジナルイラストレーションズがついています。これはなかなかいい感じかと。想像以上にページ数も多かったですし。

 インストール後にはいつものお約束です。色々と不具合があるので、修整ファイルをダウンロードしてください。7月16日現在、これでもまだ致命的バグが残ってます。私の場合はチカルートにおいていきなりフリーズする現象が起こりました。セーブはまめに行った方がいいでしょう。

 システムはオーソドックスなアドベンチャー。ゲーム期間はクリスマスから卒業式までの三ヶ月ですが、実質は一ヶ月くらい。プレイ時間は3時間くらいでしょうか。
 前半は一日単位で進行。この間に双子の妹のご機嫌(好感度)をとります。その結果によって後半はルート分岐します。こちらは数日単位で進行。
 足回りは及第点くらいかと。メッセージ枠にシステム関係のコマンドが出ているのですが、これは人によって好き嫌いが分かれそう。セーブ、ロードだけウィンドウ枠というのもどうかと思いますね。
 マウスカーソルが画面外に消えるとメッセージ枠も消え、ゲームも一時、止まります。設計者のセンスがよくわからないなぁ。
 メッセージ送りは律儀にボイスを鳴らしながら進むので、はっきりと遅いです。どのみち未読メッセージは判別してくれるので、ボイスオフにしてから使用するのがいいでしょう。面倒ですが。

 シナリオはどうにもツライ仕上がりになっています。やきもち+いもうと、ということで「やきいもラブコメアドベンチャー」と銘打っていますが、そこがなにより今一つです。
 システムでも書いた前半パートにおいて、双子の妹はなにかと二者択一の選択を迫ってきます。3番目の解答がありそうなケースでも主人公はどちらかを選ばなくてはなりません。
 選んだ方はいいとして、選ばれなかった方は気分を害し、主人公に当たってきます。これがずっと続く訳ですから、プレイヤーは理不尽さを感じ続けることになります。
 デートに誘ってくるときもやはり同じ。わざわざ同じ時間に、異なる場所での待ち合わせを強要し、自分との約束を選ばなければ、すかさず妨害工作に走ります。
 その後には待ち合わせ場所の確認まで選択しなくてはなりません。しかも、これが「駅前」とか「商店街」とか覚えにくい場所名で、二人はデートごとに場所を入れ換えたりするのでたいへん、紛らわしいです。
 そこまでしてするデートの中身は非常に薄く、記憶に残るようなものはほとんどありません。まぁ、デートの場所からして想像がつくかと思いますが。
 あげくに帰ると、デートしなかったほうの冷たい仕打ちが待っています。自分たちが仕組んだというのにですよ? 私には嫌がらせとしか、感じられませんでした。
 個別パートに進んでも問題は続きます。
 どういう訳か、Hシーンを初めとしてイベントの後半をはしょるケースが多く見受けられるのです。初Hで後半のシーンが削られているというのはどういうことですか?
 さらに恐ろしいのは二人の個別ルートの内容がほとんど同じであること。Hシーンのバリエーションやその順番、恋敵の存在やその問題点、終いにはエンディングまで同じなのです。
 いくら双子だからとはいえ……、いいえ。双子だからこそイベントにはしっかりと変化をつけるべきではないでしょうか。
 正直、これは手抜きと言われても弁解しようのないレベルです。しかもヒロインは3人(正確には2.5人くらい)しかいないのですから。
 キャラクターデザインにも疑問が残ります。性格が正反対に設定されているハズなのに、ほとんど違うように見えません。まぁ、そのへんは私に妹属性がないからとしても、中身に対しては納得がいきません。高校生ということになっていますが、どう考えても中○生、あるいは小○生にしか見えません。特に精神年齢の低さは目を覆わんばかりです。個人的には喫茶店というより託児所にいるような感覚でした。

 なにか書いても書いても終わらないような気がしてきました。ですが、もう少しだけ。
 ツッコミを入れたくなるのはヒロインだけではありません。主人公もかなりの駄目人間です。留守を預かっている身だというのに、一週間に一人の客も入らない状態で平然としています。経営努力をするどころか毎日毎日、平然と職場放棄して街を無目的に徘徊します。
 しかも、妹たちがコスプレして売り上げを伸ばしても忙しいのが嫌という素敵すぎる理由でそれを禁じます。もちろん、お客はゼロに逆戻りです。
 ただ一人の客にもただでコーヒーを飲ませたり、無料講習会を開いたりとその社会不適応者ぶりは徹底しています。資本主義社会というものをどうとらえているのでしょう。
 こんな人間に任せて数ヶ月も帰って来ない店主もかなりの人格破綻者に違いありません。
 とにかくこんな主人公は嫌ですよ。実際のところ。

 CGは可もなく不可もなくでしょうか。あくまでも私的には、ですが。柔らかい感じのCGが揃っています。しかし、前述した人数の点からおわかりかもしれませんが、枚数は少なめです。
 立ちCGはイベントに比べてスタッフの愛が感じられません。どう見てもイベントの表情の方が魅力的なんですよ。喜怒哀楽の表現がイマイチうまくいっていない感じです。

 音楽は平均点クラス。ゲームが好きな人なら加点、といった印象。ボーカル曲も含めて、個人的にはもう少しネジの外れた能天気な曲を期待していたので残念。
 ボイスは総じておとなしい演技という感じ。レベルは高くもなく、低くもなく中庸。ある意味、最もこのゲームを端的に表している部分かも。

 まとめ。妹属性過多の人でもきっついのではないかと。全体的にはそこそこのものに作り上げているのが、かえってタチが悪いかも。
 私自身も買うソフトはもう少し選ぼうと反省。もちろん笑える箇所などありませんでした。プレイ中のテンションも異常に低かったです。
 お気に入り:いるはずもなく
 評点:30

 以下はキャラ別感想。ネタバレのあるゲームではないです。







1、香坂ちより
 こういうタイプはいらいらします。はっきりしないところも苦手。すいません。どこから見ても可愛くありません(容姿の問題でなく)。
 見た目小学生、精神年齢は幼稚園児。

2、香坂チカ
 どうしてこうも似た名前をつけるのか。親の愛情を疑います。
 ローラーブレードで何度も蹴られたので嫌いです(このシーン、SEがうざったいんですよね)。その分、「ちより」よりは感情が働いているかと(苦笑)。
 前半はまるで超能力者のような勘の鋭さを見せるが、ちよりルートに入るとなぜか軟体動物並に鈍くなる不思議なキャラ。
 見た目、精神年齢ともに姉と激しく競う。

3、三塚亜矢
 激しい年齢詐称の疑惑あり。大学生? どう考えてもなにかの冗談としか。
 正直、ヒロインの一人と呼ぶには抵抗があります。出番も存在意義も薄いなぁ。

 はぁ。なんかやっと終わったような気がします。