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[[[ Talking and Thinking (about Lantis/MAZDA323F)

なんでランティスは一般受けしなかったか?
・・・言いたい放題 with RSも好き!さん

別府の宮崎さんからコメント(5周年祝言?)が来ています。 本頁に添付していますのでどうぞ。


挨拶代わり

編:ところで、どうしてランティスって一般受けしなかったか、について 対談させて頂きたいんですが。いかがでしょう?

:いいですねぇ、やりましょ、やりましょ!


広告展開はあれで良かったのか?

:言いたい事あるんです。まず、わたし、広告業界にいるものとしては、 あの宣伝が悪かった、と思います。トヨタのように 衝撃吸収ボディーに名前をつければよかったのに、ねえ!

編:やっぱりトヨタさん、うまいっていうか、ずるいっていうか・・・ 今となっては、「マツダは衝突安全をしっかりやっている」なんて 普通の人は皆忘れてますよね、きっと。 「安全ならトヨタだなー」なんて感じで。
TVCFだって、スターレット+GOAでやりつくしたような陳腐な内容を、 マツダはミレーニアで後からやってましたよね。 あの、道路の大玉から危険回避するやつ。 当時のランティスでああいうのをやっておけば面白かったかも しれませんが・・・

:そうですね。けど、忘れちゃいけないのは、ここまで衝突安全が 注目されたのはトヨタの宣伝のおかげだという事です。 あの当時、宣伝をここまでやれる体力がマツダにあったかどうかは、 疑問でしょ?
もうひとつ、ランティスってスタイルと 足回りが自慢の車でしょ?そういう車に 「ぶつかっても大丈夫ですよ。」というアプローチが正解だったかは、? ですね。

編:なるほど・・・スタイルと足回りを宣伝したか、というと、 「ランティス=GOODスタイルと足回り」なんてこと認識してるのは 今オーナーとなっている一部の方々だけだから、してませんね、きっと。 そういえば、私、初めてクラッシュテストのフィルムを見たときって ちょっと恐かったのを憶えてますね。
あのダミーがダミーに見えないっていうか、うまく説明できませんが 本能的な不気味さを感じて「イヤだな」と。 ナチスのガス室を覗いたような気分でした。 そうだ、クラッシュテストをネタにした子供向け玩具があったんですよ、当時。 オモチャのクルマを壁にでもぶつけるとダミーがバラバラになるんですね・・・ けっこうブラック・・・でも私買ったんですけど(笑) それが米国では受けたけど日本では全く受けなかった。 今思えば、当時の一般的日本人のレベルを的確に現していたケースだったかも しれません。
ランティスの衝突安全性のCFは、当時、そのあたりの免疫が無い人々に とっては 逆効果だった・・・スタイルと足回りをメインに宣伝すべきだった・・・ は一つの見解という感じがします。
GOA+スターレットのCFのタイミングは、一般の免疫が出来てきていたドンピシャの タイミングだっただろうし、あの、のほほんとした加藤紀子というのも、うまい 配剤だったんですね。

:そうですね。鋭い!確かに恐かった。どかーん!って。 けど、衝突安全って本当に必要なのかな?これからは、そういう認識になりそうな 気がしません? アクティブとパッシブ。 ぶつかると危ないって思うから、危険回避するのに、今は、まるでぶつかっても 安心みたいな。「おいおい」って思います。
メーカーとして、先にやるのは、「 運転常識とテクニックでしょうがっ」て思うな。 教習所でサーキット走ってみたら?なんて・・・・。


ネーミングとラインナップは?

:あと、あのころ、英数字で名前 付けてましたよね、MX-6とか、いろいろ。 それが悪い意味で話題になってて、ランティスは埋もれていたと思います。 マツダは車のコンセプトっていつも早すぎるんです。
で、売れなくなるといつも一般消費者に迎合したマイナーチェンジしてる。 というか、していた。ランティス発売の前後・・・。
レガシーをご覧なさい、売れてない時代も、いまもしっかりキープコンセプトです。 時代が後押ししてるのもあるけれど、 骨太を感じさせるでしょ、 ああいう生き残り方を、してもらいたいと思います。

編:そういえばランティスも英数字バージョンは出るはず だったらしいのですが・・・ ランティス出荷の頃にはもう、ユーノスとかの統廃合は決まっていたの かもしれませんね。 Astinaで出したら良かったんじゃないかとの声は前に良く聞いたのですが どうでしょう?

:うーん、車格の違いが気になるな。名前の語感は似てますよね。 きっとそういう思惑がマツダにあったのは、確かかもしれませんねぇ。

編:言われてみると「ランティス」と「アスティナ」って似た感じですね・・・ あと「エスティマ」とか「グランディス」とかも似た感じで、 こうしてみると実は売れセンな名前かもしれませんねぇ。
ただ「アスティナ」ってすごくやさしい感じですよね。 クルマもフランス車っぽいというか、あの「ファミリア系列」自体が プジョー205の影響でフランスぽいんですが、 ランティスの目つきが悪いというか昆虫ぽいというか戦闘的なルックスには 合わない・・・
ランティスをアスティナで出したとしても、売れ行きが伸びたとか そういうことは無かったでしょうから「ランティス」というネームについては 間違ってはいなかったと思います。
ただ、セダン/クーペのラインナップとファミリア/カペラとの棲み分け、 のあたりは わかりづらかったんじゃないかと考えちゃいますが。

:けど、もしやるんだったら、 5ドアスポーツフルラインアップなんてのは、 どう?
デミオ、アスティナ、MX-6、ランティス・・・・・。 いまだったら、結構受けると思うけどな。 マツダは昔から、得意だったじゃない、5ドア。 確かに、今も、昔もヨーロッパでは受けてたかもしれないけど、今の日本なら、 ワゴンとスポーツカーに二分してる、その隙間をねらえるんじゃないかな? セダンイノベーションじゃなく、5ドアスポーツフルラインアップ!! だって、ファミリアのSワゴンって評判いいじゃない?
結局、コンセプトが早いんだと私は思います。
やっと、今になって、日本人が自分のスタイルに合った車を選べる時代になった と。
私思うんです。 その車のたたずまいだけで、どんな人が乗っているか 想像できる車。 それって、個性につながると思います。
マツダにはそれが出来ると思うんだけどな。


作り手の気持ちが伝わったのか?

:珍しいですよね、車種別にファンクラブがあるメーカーって。 内緒なんですけど、実は、記事広告の仕事で、本社に取材行った事が あるんです。 その時の主査の言葉、忘れられません。

『車の一生は、事故れば終わってしまうんです。』と。

本来はたくさん売って、儲かる商売なのに、こんな事を言う主査がいる。 車にこんな、愛情をそそげる人 が、メーカーにいる。 いいと思いませんか?
だから、いい車を、生活を潤す車造りをマツダにはしてもらいたい。 ロードスター、セブン、デミオ、フレンディーなど。

編:うーん、いい話ですね。 私はスカイライン(BNR32)の伊東主査の熱さが好きでしたねー。 もう日産辞めちゃいましたが。
結局、クルマって担当主査の色がおおきいんでしょうね。 ランティスは誰だったかな?「〜のすべて」を見て確認してみますが、 けっこう「やるときはやる」な方なのでしょうね。 まさに愛情をそそいで作ったんだろうな、という気がします。 で、そういうマジメに手塩をかけたクルマ(ランティス)が売れない、 というのはどういうことでしょう?

:それは、先ほどいった事と同じです。早かったと。
けど、作り手の想いって、伝わっているのかな?と思う時があります。 一番わかりやすいのが、桜井眞一郎さん。
これからは、作り手の愛情の伝わる広告だぁ! 作り手の顔が見えると、入れ込んでしまうでしょ?

編:ランティスのカタログ見てると、「量産狙いのパブリックカー」と 「スペシャルティカー」と「スポーティカー」がごちゃまぜになっていて 最終的に受け手の感じは「量産狙いのパブリックカー」なんですよ。 プレッソなんかも似た感じですね。
作り手はきっと「スポーティカー」を作ったんだと思うんです。 スポーツカーじゃないけど、コーナーリングマシンですよ。

1人で走らせてる夕刻、少しペースを上げてコーナーに向かい 頭に思い浮かべた通りのラインをトレースして、抜けていく時の快感。
そして、なめらかに射光を反射するエレガントなボディ・・・

そういうのがなぜか伝わってこない。

:そのシーンいいですな。いただき!(笑)
そういうことですよ。
開発者と、広告担当と、ディーラーの思惑が一致しないと、 どういう車かわかんなくなっちゃう
マツダって、不器用だなあって思います。 きっと、消費者の気持ちが解りすぎるのかな?
最近、なんの広告してんだかわかりません。 もっと自信もっていいと思いますよ。いい車あるんですから。 「うちはこう思って車作ってんじゃけん!」ってさ。
あ、けど、FC-3S RX-7初代アンフィニ()のカタログ、知ってますか? かっこいい んですよ。いろんなうんちくを各担当者が、語るんです。 あの立花さんなんて、ブレーキのあたりつけを語っているんです。 愛情感じますよ。
最後の写真なんて、寺田陽次郎さんがブラックマークで アンフィニマークかいてるし、
うーん、かっこいい!
カタログは、昔はかっこよかった!
好きでした。いまだに資料として持ってます。 少なくとも、昔のカタログは作り手の愛情感じますね。


レース成績の影響は?

編:一つ問題としては、JTCCでの成績は忘れてはいけないと思います。 2000cc以下、6気筒以下、4ドアといった「お膳立て」が整った にもかかわらず、充分な開発費が取れずに惨敗した。
これがブランドイメージ?をかなり下げてしまったのではないでしょうか。

:うーん、またうなってしまいました。
わたし、マツダファンですが、あのルマン優勝は御褒美だったんではないか? なんて勝手に思ってます。
ロータリー最後の年に、すごいドライバーや、メーカーからサポートを してもらい、「よしよし。」なんて主催者側が、配慮したと。
いや、いいんです。総合優勝なんてまだ、どこの国産メーカーも してないんですから。それで充分頑張ったと。

編:そんなこと言っちゃ、おこられますよ(笑)
ただ、マツダのル・マンは「ぽっと出」じゃないですからね。 ヨーロッパの人達は、屈辱にまみれつつ長いこと戦ってきたマツダを 良く知っている。

:そうそう、まさにマツダの戦い方って感じ。
けどね、レースって、メーカーの思惑が随分絡むらしいです。 全日本GT選手権は、日産の為のレースらしいし、そんな利権絡んだ事ばっかです。 そんな環境で、なかなか勝てるわけ無いですよ。
確かに、残念な結果でした。 けど、 レースの結果がランティスの人気を左右したとはおもえない なあ。

編:そういえば、あれだけ速かったコロナやエクシヴ、全然 販売に結びつかなかったとか?

:やっぱり、もっとスタイルとか、スポーティーな足回りを強調すべき だったんじゃないかな? ランティスの購買層にとって、あまりレースは関係ないんじゃないかな?
要するに、レースで勝たなきゃいけないのはマツダの場合、ロータリーではないか と。 ロータリーでスポーツイメージを確立して、初めてマツダの復活が見えてくる。 元気なメーカーの物だったら、買おうというか、買ってしまうんじゃないかと。
頑張って欲しいですよ。フォードの傘下に入った事は、これからの車業界で 生き残れるわけですから、想いの深い車作りと、近代経営を学んでもらって 新しいマツダを見せて欲しいというか、感じさせて欲しいと思います。

編:マツダの方々にも聞いていただきたい話ですね。
今日はどうもありがとうございました。

:こちらこそ、楽しかった。 ありがとうございました。これからのマツダに期待しましょ!

Aug. 1998



別府の宮崎さんより、上記対談へのコメントを寄せていただきました。

宮崎@別府です。
5周年特集記事、見ました。

対談の一つ一つのコメントに、うなづき、感心させられました。 特にマツダの不器用さに関するくだりは、 苦笑せずにはいられませんでした。

私自身、初対面の人に自分のクルマを、 「衝突するCMのクルマ」と紹介してきました。
しかし、私だけでなく おそらく、LANTISオーナーのみなさんは、 透明感のあるBGMにのせて 「♪ランティス!ふたつのひかりが〜」(歌詞違ってるかな?) などと歌ってみせたいところでしょう。 (この曲のCDをずいぶん探したが、今となっては幻?)

今のマツダにも言えることで、 いわゆる「クルマが走ってるだけ」タイプの CMや販促ビデオをじっくりみてると クルマの良さが伝わってくるのに 販売戦略とか、「子供にもわかる」ようなCMが あまりにも下手。
「THAT’s MAZDA!」という台詞は誰もが知っているが、 クルマ自体は頭に残らない。

ちなみに 「ドラテク修行のためにFRに乗れ!」 というアドバイスに心動かされ、 現行ロードスターを研究してみたこともありましたが、 地方では試乗車すら置いてない有様・・・。
(展示場はデミオ、カペラ、ファミリアだらけで ディーラーの方が申し訳なさそうでした。 「ランティスより稀少車になるおそれあり」 という某雑誌のコメントもあながち笑えない。)

もっと6MTだとか、他車では味わえない コックピット(あえてこう表現しましょう)におさまった時の 雰囲気の良さを一般向けのCMでも強調すればいいのに・・・。
あるいは、先代に比べ軽快さがアピールできなくなったのなら、 渋めのシックさで推してもよかったのでは?
(おじさん目当てのスカイラインやレガシイでも、 結構若者受けしている。)

ま、あんまり小器用な販売戦略をとったら 一般客が増えたとしても、 我々のような「こだわり」派が去ってゆくのでしょうが。

・・・あんまり””になんなかったですね。



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