2002年 4月29日
HARIの妄想設定

ガンダム無敵神話の虚構を暴く



 その戦力から考えると「信じられない」程の戦果を上げたガンダム、そして「第十三独立戦隊」。
 だが、その裏には「公に出来ない秘密」が隠されていた。

たった1戦隊が上げた、あまりにも大きすぎる戦果
 
 連邦のモビルスーツ・ガンダム、その名を知らない少年少女は少ないであろう。
 あの悲惨な1年戦争において、地球連邦を勝利に導いたエースであり、その名は母艦・ホワイトベースと共に栄光に包まれている。
 ホワートベースは、1年戦争のかなりの期間を単独で作戦行動しており、正式に「第十三独立戦隊」として編成されてからも、それは変わることは無かった。
 (ここではホワイトベース隊を、単独行動していた時期(サイド7からジャブロー帰還迄)も含めて、「第十三独立戦隊」と呼称する。)
 
 一般に知られている(軍が公表した)第十三独立戦隊の戦力は、
 ・ペガサス級揚陸艦ホワイトベース     x1 (注1)
 ・ガンダムクラス モビルスーツ・ガンダム x1
 ・ガンキャノンクラス モビルスーツ    x2 (注2)
 ・コア・ブースタークラス 宇宙船戦闘機  x2 (注3)
 
 である。
 
 (注1) 作戦により、サラミス級巡洋艦が数隻、臨時に編入されるケース有り。
 (注2) ガンキャノンクラス モビルスーツ x1&ガンタンククラス モビススーツ x1にて運用していた時期もあり。
 (注3) GスカイEGクラス 宇宙戦闘機 x2、との説もある。
 
 ペガサス級揚陸艦はマゼラン級戦艦並みの戦力を持っているとはいえ、戦果を考えるとあまりにも貧弱な戦力である。
 1隻の戦艦(の戦力を持った揚陸艦)、3機程度のモビルスーツ、2機程度の戦闘機。
 これだけしかない戦力で、一説には「1年戦争で連邦が撃破したジオンの全戦力」の1割弱を撃破したと言われているのだ。
 確かに、多くのエースパイロットや艦隊が、第十三独立戦隊に敗れている。
 公表されているだけでも、サビ家の指揮官2名(ガルマ・ザビ、ドズル・ザビ)、トップエースパイロット6名(赤い彗星シャア・アズナブル、青い巨星ランバ・ラル、黒い三連星オルティガ/ガイア/マッシュ、キシリアの懐刀マ・クベ)が撃破されている。
 さらに、ジャブローから打ち上げられる連邦宇宙軍を大気圏突破前に撃破すべく編成された「キャメル艦隊」や、対第十三独立戦隊向けに編成された「コンスコン艦隊」を、その搭載モビルスーツ共々、文字通り「全滅」させている。
 また、非公式な情報では、ジオンの「秘密部隊」と交戦、これを撃破しているという。
 (これには、コンペイトウ(ジオン名・ソロモン)周辺で一方的に連邦の艦艇・モビスルーツを撃破し、突然消えたジオンの「ソロモンの亡霊」部隊も含まれる、との説もある。)
 たしかに、この撃墜・撃破のスコアを見れば、ジオン軍の精神的な面まで加算すると「1割弱」は妥当かもしれない。
 これに対して第十三独立戦隊は、その最後の戦いである「ア・バオア・クー攻略戦」で全滅しているが、主要指揮官及びパイトッロは無事生還している。
 確かに、ガンダム登場時点ではジオンに「対抗できるモビルスーツ」は存在しなかった。
 ガンダムが運用したビーム兵器は、ジオンのモビルスーツ主力兵器より射程が長く威力があった。
 だが、あまりにも「ワンサイド・ゲーム」的な第十三独立戦隊の戦果に疑問を抱いた私は、調査を進めていくと意外な事が判明した。
 
 それらを、順に上げてみよう。
 
ガンダム無敵神話の嘘
 
 ガンダムのルナ・チタニウム(後にガンダムの活躍から「ガンダリウム」と改名)製の装甲はザクマシンガンを想定して設計されていた為に強固である。
 初陣でのザクとの戦闘の際、至近距離から放たれたザクマシンガンを弾き返し、ジオンパイロットを驚愕させた戦闘は、ガンダム神話の始まりでもある。
 だが、戦闘に参加したジオンの巡洋艦「ファルメル」(司令官:シャア・アズナブル)の補給記録を見つけた私は、これが「おそろべき誤解」を生み出した原因である事を発見した。
 (オデッサ作戦でのジオン敗北前までのジオンの記録は、信用に値する。)
 その補給記録には、サイド7での戦闘開始時の弾薬として「徹甲弾(APFSDSを含むと思われる)は使い切り、通常榴弾(つまり、HEATも使い切っている)と曳光弾しか残っていない。」事が書かれていたのだ。
 さらに、コロニー偵察部隊には「通常より1/4に威力を半減させた榴弾と曳光弾をザク・マシンガンに装填した」と書かれていたのである。
 これはコロニー内作戦としては当時の標準装備であり、「対モビルスーツ戦」が発生する事を全く考えていなかった事がうかがえる。
 (コロニー内では、榴弾でさえ側壁に穴を空ける恐れがある為、威力が制限されていたのだ。)
 1/4パワーの榴弾では、コロニー防衛部隊の「非装甲戦闘車両」ならともかく、至近距離であっても当たり所が悪くない限りモビルスーツに致命的なダメージを与えるのは難しい。
 だが、「命中しても無傷」であった事から兵士はパニックに陥る。
 この誤解から「ガンダム無敵神話」が生まれたのであろう。
 また、その後シャア自ら出撃した戦闘においても、榴弾を使用せざるおえない(それしか弾薬が無い)状態であった。
 (この時点でジオン側の弾薬は積極的な戦闘を行うには危険すぎる残量であり、指揮官であった「赤い彗星のシャア」自ら「宇宙突撃軍総司令」であるドズル中将に補給を依頼している通信記録が残っている事からも明らかである。)
 
 「榴弾ではガンダムの装甲を撃破できない」という事実が、何時の間にか「ザクマシンガンではガンダムの装甲を撃破できない」伝説に変わってしまったのである。
 
 そして、それはジオンのモビルスーツパイロットにとって「白いモビルスーツは化物だ」というイメージに繋がる。
 その結果、ジオンのパイロットは同系色の連邦のモビルスーツ・ジムをガンダムと誤認識し、撃破されると「木馬(ジオン側の第十三独立戦隊のコード名)にやられた」との報告があがる事となる。
 (実際、同じ日に複数の場所で「連邦の木馬部隊と交戦」したとのジオン軍艦隊の報告記録が残されている。)
 これが、異常といえるほど高い「第十三独立戦隊」の戦果の秘密ではないだろうか。
 
 では、何故連邦はそれを否定しなかったのか?
 星一号作戦まで、連邦は劣勢にたたされており、市民は「英雄」を待ち望んでいた。
 ジオンの感違いを、連邦は利用したのである。
 
ホワイトベースの隠された戦力
 
 ホワイトベースに搭載されていたモビルスーツは、何故あんなにも「原色」を使用していたのであろうか?
 「あまりにも目立つ色」の影に、実は隠された「低視認迷彩」を施したチームが存在していたのではないだろうか?
 ミノフスキー粒子によってレーダーが当てにならない戦場で、ガンダムやガンキャノン、そしてホワイトベースといった「目立つ色彩」にジオンの戦力を集中させ、その影で複数の部隊がジオンを撃破していく戦法である。
 これが事実であるなら、ガンダムに撃破されたものの生還したパイロット達の証言「予想もしない所から攻撃された」「相手に動きを読まれているかのようだった」の意味がハッキリする。
 ガンダムが囮となってジオンのモビルスーツの目を引き付けている間に、「未公表の第十三独立戦隊のモビルスーツ」(多分、ガンダム系のスナイパー仕様であろう)が個別に撃破していくのだ。
 認識している敵以外からの攻撃は、まさに「予想もしない所からの攻撃」「相手に動きを読まれているかのよう」の思えた事であろう。
 この推測を裏付けるもう一つの理由は、ホワイトベースに搭載されている戦力の少なさである。
 連邦軍が公表した「3機のモビスルーツ、2機の宇宙戦闘機」は、ホワイトベースが「揚陸艦」である事を考えるとあまりにも少ない。
 最低でも、この倍の戦力は搭載していたと考えられるからである。
 連邦が公開した「ホワートベース内の写真」では片脚の格納庫内に「3機のモビスルーツ、2機の宇宙戦闘機」が写されている物がある。
 つまり、片側には最低でも「同じ戦力(3機のモビスルーツ、2機の宇宙戦闘機)」が存在していてもおかしくないのである。
 
アムロ・レイは消された?
 
 ここで、本来ならガンダムのパイロットであり、連邦のトップ・エースであるアムロ・レイ氏にインタビューを行うべきところである。
 しかし、連邦軍の「入手できるあらゆる情報」を調べても、現在のアムロ・レイ氏の消息はつかめない。
 彼が実在の人物である事は間違い無いし、ガンダムのパイロットであった事も間違い無い。
 ジャブローでの任官からア・バオア・クー戦までは、記録がある。
 ホワイトベースの脱出ランチにより生還したクルー名簿の中にも、「アムロ・レイ」の名は存在する。
 だが、終戦を境に「公式の記録」からはアムロ・レイの名は一切出てこない。
 「戦死」でも「行方不明」でも、ましてや「退役」でもない。
 文字通り「記載されていない」のだ。
 
 不思議なことに、元・ホワイトベースの乗組員は終戦後に軍を辞めている物が多く、そして何も語らない。
 もしかしたら、それは記録に無いアムロ・レイ氏の最後(「連邦軍の手によって消された?」)を知っているからではないだろうか?
 そして、連邦がエースパイロットを消してまで守らなければならない秘密、それこそがこの話なのかもしれない。
 
 



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