[エンゲルスの定義]
蛋白体の存在様式であり、
本質的に蛋白体の化学的構成分を自己更新する。
[生命論]
[生物の主な特徴と機能]
自分を構成している要素を用いて、自分を構成している要素を生み出す
(自己言及的な)システム。
このシステムは、自分の再生産(複製)に、
自分自身の要素や過程だけでなく、
自己再生産を行う場としての環境が必要である。すなわち、
環境との差異を前提としてのみ機能する開放系システムである。
オートポイエーシスの例として遺伝子がある。
遺伝子は、
蛋白質の構成方法という情報Aと、
遺伝子自身をどのように“複製”するかという情報Bを含む。
つまり、遺伝子は情報Aに従って蛋白質を合成し
細胞を作り上げるが、この時、
情報Bによって細胞は「核分裂による
DNA複製」の機能を持たされている。
外部との熱のやり取りがある、すなわち熱力学的な平衡状態に無い開放系でも
維持される自己組織化された構造のこと。
熱力学第二法則によれば乱雑さの度合いを表すエントロピーは
(ゆらぎの成分を除き)常に増大するが、
散逸構造系においては、
外部からエネルギーを取り込みつつ、系内部で自己組織化された構造を維持するために
エネルギーを消費し続ける(すなわち散逸し続ける)必要があり、
総体としてはエントロピーは増大し続ける。
散逸構造においては動的なエネルギーの消費の継続により
非平衡過程と組織構造が維持され、
ひたすら乱雑さが増して形が壊れてしまうということは無い。
生命現象も、このように定常状態にある開放系として捉えることができる。
生命は、宇宙全体から見ると不可逆的に増大するエントロピーのゆらぎであるが、
一定の空間範囲で一定期間、構造を維持し
エントロピーを減少させることができる。
情報処理により自動的に制御を行う技術の体系。
達成すべき目的に照らして制御の結果の良否を判定し、
制御方法を随時改善し続けることによって
高精度での目標達成を可能とさせる。
目的を達成しようとする主体は、環境変化の中で
常に偶発的事象や機能誤差により軌道修正を迫られるが、
効果的なフィードバック制御により
最短距離の目標達成が可能となる。
目的を持つ主体が自己統御によって目標を為し得ようとする
行動一般を定式化しようとするものであり、その応用範囲は
機械動作、生命活動、社会現象など広範に亙る。
「一つの生物体が持つすべての遺伝情報」
生物の染色体の基本数となる「染色体の一組」をいう。
コムギでは染色体七個が一ゲノム、
ヒトでは染色体二十三個が一ゲノムである。
ふつう一個体は二つ(一対)のゲノムから成り、
三つ以上の場合、その数に応じて三倍体、四倍体という。
ヒトのような高等生物では、
蛋白質に翻訳される塩基配列(エクソン)は、
ゲノム全体のうちの2〜3%に過ぎない。
残り(イントロン)の大半は、生命活動には直接関与しないようにみえる
無意味な配列になっているが、
ゲノムのダイナミックな変化に貢献しているとの見方もある。
DNAから構成される。(DNA鎖が、グチャグチャと絡まって、
折り畳められているもの。)
ヒトの場合、23対(46個)あり、
うち22対は互いが同じ大きさで「常染色体」と呼ばれ、
1対が「性染色体」で、
女の場合X、Xという対であるが、
男の場合X、Yと大きさの違う対になっている。
(X染色体は総塩基対数約1億6300万・遺伝子数1098個であるのに対し、
Y染色体は総塩基対数約5100万・遺伝子数78個であり、
大きさもX染色体の約3分の1と小さい。)
女性の場合で、全ての染色体に含まれる総塩基対数は32億、
総遺伝子数は26,510個になる。
細胞が分裂する際に細胞核の中にある染色質が凝縮して染色体が現われるが、
染色体は二本の染色分体が
セントロメア(動原体)と呼ばれる「くびれ」で繋がり
アルファベットの「X」のような形をしている。
(この事と性染色体のうちの一つがX染色体と呼ばれることとは無関係である。)
細胞分裂の際には二方向から紡錘糸が伸びてセントロメアに取り付いて
染色分体が引き離され、分裂完了後に各々の細胞の中でほどけて染色質となり、
核膜に包まれて各々の細胞の中の核となる。
染色体上にあり「遺伝形質を発現させる部分」。
デオキシリボ核酸(DNA)、
あるいはそれと蛋白質との複合体で、
染色体上に一定の順序で配列されている。遺伝因子。
要するに、DNAの塩基配列のうち、生命の機能に関係する部分を
特に「遺伝子」と呼ぶ。
高等生物になるほど、生命機能とは関係しない(一見無意味な)塩基配列、
すなわちDNAが存在する。
逆に、バクテリアなどでは、殆どのDNA分子領域は遺伝子になっている。
「遺伝子地図」と言えば、染色体の塩基配列上のどこに
「遺伝(因)子」が存在するかを書き示したもののこと。
遺伝子のうち、
蛋白質に
翻訳される塩基配列部分を「エクソン(exon)」、
蛋白質には読み取られない無意味な部分を「イントロン(intron)」といい、
RNAに転写された時にはスプライシング(splicing:切り取り)される。
ヌクレオチドが繋がって
二重螺旋構造を作っている巨大分子。
細胞核の中にある。
DNAが細胞分裂の過程で複製される方式と、
DNA内の情報が読み取られタンパク質が合成される方式は、
基本的に全ての生物において同一である。
二重螺旋の外周と、2本の外周を繋ぐ梯子段の1段だけを取り出してみると、
これは向き合った2つのヌクレオチドから出来ている。
外周部分は「リン酸」+「デオキシリボース」で出来ている。
2つのヌクレオチドは、塩基が向き合って結合しているわけだが、
この塩基の対は、
「アデニン-チミン」または「グアン-シトシン」の
2通りの組み合わせしか許されない。
塩基3文字は1セットで「コドン」と呼ばれ、
アミノ酸に翻訳される。
(DNAの設計図をもとに、アミノ酸が合成されてゆく。)
全ての蛋白質は、
「ATG」という繋がりのコドンから翻訳が開始される。
「ATG」コドンという暗号は、
「メニオニン」というアミノ酸に翻訳される。
「GTA」コドンは、「バリン」というアミノ酸に翻訳される。
こうして、二十種類のアミノ酸が生成され、
これが生命活動の担い手である蛋白質を作り上げる。
ヒトのDNA上の塩基の並びは、三十数億文字程度と言われる。
「リン酸」+「デオキシリボース」(糖)+「塩基」
塩基は、「チミン(T)」「アデニン(A)」「グアニン(G)」「シトシン(C)」
のうちのどれか一つ。
なお、チミン、シトシンは「ピリミジン塩基」、
アデニン、グアニンは「プリン塩基」に属している。
DNAの情報を写し取るRNAでは
「チミン(T)」の代わりに「ウラシル(U)」が用いられる。
チミン
(Thymine)アデニン
(Adenine)グアニン
(Guanine)シトシン
(Cytosine)ウラシル
(Uracil)
C5H6N2O2
C5H5N5
C5H5N5O
C4H5N3O
C4H4N2O2
DNAヌクレオチドの糖は
脱酸素(デオキシ)状態だが、
RNAでは、ちゃんと酸素が存在する。
また、「チミン(T)」のかわりに「ウラシル(U)」を用いている。
それ以外はDNAと良く似ている。
DNAの二重螺旋が一時的にほどかれて、
mRNA(メッセンジャーRNA)に情報が転写され、
mRNA鎖は細胞核から抜け出すと、
細胞内の「リボソーム」を通り抜け、
この時、リボソームがコドンを読み取り、
周囲から対応するアミノ酸を集め、
生成途中の蛋白質に付け加えていく。
こうして、DNAの塩基配列に隠された暗号は、mRNAを介して
リボソームで翻訳され、蛋白質として具体化する。
これが生命体が形作られる仕組みの枠組みであり、
「セントラルドグマ」と呼ばれる。
生物の最も基本的な構成単位。
大体0.01〜0.1ミリくらいの大きさ。細胞核が一個あって、
その回りを細胞質が包んでいる。
(但し原核細胞は細胞核を持たない。)
一番外側を細胞壁(植物)か細胞膜(動物)が取り囲んでいる。
細胞壁(細胞膜)の内側には、細胞の種類によっては、
小胞体、ミトコンドリア、グリコーゲン粒などが含まれる。
細胞核には、遺伝情報を担うDNAを持つ染色質があり、
細胞分裂時には細胞質が凝集した染色体が現われる。
細胞は蛋白質を含み、
生体の構造や代謝の機能を提供する。
多細胞生物の動物は体細胞と生殖細胞(胚細胞)を持ち、
後者は生殖において遺伝情報を次世代へ伝える役割をもつ。
体細胞はテロメアにより分裂回数が制限されているが、
生殖細胞は無限に分裂することができる。
単細胞生物では細胞分裂が世代交代にあたる。
細胞は「生きているもの」の最小単位である。
(DNA、遺伝子は「生きている」ものではない。)
利己的遺伝子が集団を作って、
共同体として生き延びを図った最小単位が細胞である。
「Omnis cellula e cellula(すべての細胞は細胞から)」
ルドルフ・ウィルヒョウ
生物の細胞の原形質を構成する主要物質で、
生命現象と密接な関連をもつ。
αアミノ酸が酸アミド結合で相互に結合しあってできている
高分子化合物もしくはこれを主体とする化合物。
αアミノ酸は、カルボキシル基(-COOH)と
メチル基(-NH2)を持つが、2つのアミノ酸の
カルボキシル基とメチル基が結合する(-CO-NH-)ことを
アミド結合と言い、2つのアミノ酸が結合した分子をジアミドと言う。
これを繰り返すと、長いアミノ酸の連鎖した分子が出来上がるが、
これを「蛋白質」と言う。
なお、蛋白質の中のアミド結合は、特に「ペプチド結合」と呼ばれる。
生体における蛋白質の機能には、例えば以下のようなものがある。
分子中にアミノ基とカルボキシル基とをもち、
たんぱく質の加水分解によって生じる化合物の総称。
このうち、「αアミノ酸」とは、ある炭素(C)に、
アミノ基(-NH2)、カルボキシル基(-COOH)、
水素(-H)と、他の化合物(-R)が結合している化合物のこと。
-Rの部分が水素(-H)だとグリシン、
メチル基(-CH3)だとアラニン、
(-CH2CH2COOH)だとグルタミン酸と呼ばれる。
DNAから蛋白質が
作られるまでの道筋。フランシス・クリックが提唱した。
これは、以下の2つの段階から成る。
コピー時にはDNAの二重螺旋はほどかれ、一方の鎖を鋳型にして
RNAが作られる。
これは「メッセンジャーRNA(mRNA)」と呼ばれる。
メッセンジャーRNAのかなりの部分は、
タンパク質の合成とは関係のないイントロン領域であり、
「スプライセオソーム」というタンパク質によって
このイントロン領域が切り離されていく。
これを「RNAスプライシング」と言う。
この結果、エクソン部分だけが連なった「成熟したmRNA」が、
核膜孔を通って核外に出て行く。
mRNA上の塩基は、3つが1組(トリプレット)となって
一つのアミノ酸を指定する。このトリプレットを
コドンと呼ぶ。
一方、蛋白質を構成するアミノ酸は20種類ある。
ある特定のアミノ酸を頭にくっつけた
「トランスファーRNA(tRNA)」は、その途中に小ループ構造を持ち、
丁度コドンと対をなす「アンチコドン」を持っている。
「リボゾーム」(タンパク質合成工場)では、
mRNA上のコドンを順々に読み取り、
対応するtRNAを引き寄せ、
くっついてきたアミノ酸を繋ぎ合わせていく。
こうして出来上がったアミノ酸の数珠は、3次元構造に折り畳まれて、
完成したタンパク質となる。
あらゆる生物の細胞質に存在する小顆粒。
蛋白質の合成を行う。
セントラル・ドグマの最終段階で、
スプライシングの終わったmRNA(メッセンジャーRNA)の遺伝情報を翻訳し、
特定のアミノ酸を携えた
tRNA(トランスファーRNA)を結合させる。
mRNAのコドンに結合しているtRNAは、
次のコドンに新たに結合してきたtRNAにアミノ酸を渡して、
mRNAから離れていく。
これを繰り返すことによって、アミノ酸が数珠のように繋がっていき、
最終的に蛋白質が合成される。
RNA上の塩基配列は、
3つ1組(トリプレット)で1つのアミノ酸を指定する。
この1組みのことを「コドン」と呼ぶ。
例えば、「GAU」(グアニン・アデニン・ウラシル)というコドンは、
アスパラギン酸を指定する。
各コドンがどのアミノ酸を指定するかは、全て解読されている。
この対応をまとめたのがコドン表である。
「AUG」は、メチオニンというアミノ酸を指定するが、
これはタンパク質合成の
開始地点を示す「開始コドン」でもある。
従って、合成されたタンパク質の頭には、必ずメチオニンがついている。
「UAA」「UAG」「UGA」という3つのコドンは、
タンパク質合成の終了地点を示す「終了コドン」である。
例えば、「AUGCUUAUAGAUUAA」は、
「メチオニン・ロイシン・イソロイシン・アスパラギン酸・(終了)」
というアミノ酸の連鎖を意味する。
(このようなタンパク質が実在するわけではない。
通常、一つのタンパク質は、
数十個以上のアミノ酸から成る。)
動物の個体が「自己」と「非自己」を識別して
「自己」の全一性を維持するための機構。
リンパ球、マクロファージなどの
白血球が主にその役割を担う。
免疫システムがうまく機能せず健康な細胞を攻撃すると、
多発性硬化症やリウマチ性関節炎などの自己免疫疾患が起こる。
血液に含まれる細胞成分の一つ。
顆粒球、リンパ球、単球がある。
外部から体内に侵入した異物の排除を役割とする造血幹細胞由来の細胞。
寿命は4〜5日。
怪我などをした後に傷口から発生する膿は、この白血球の死骸である。
白血球の一種。リンパ芽球から分化する。
胸腺で分化したものがT細胞、
骨髄で分化したものがB細胞となる。
幹細胞に骨髄(bone marrow)でサイトカインが働いて分化した免疫系細胞。
外来の物体を発見すると、急速に自己増殖して抗体を分泌し、
抗体が外来の物体に取り付き、直接その機能を抑えるか、
他の免疫系細胞を引き寄せて破壊する。
多くの外来物質に対応するセンサー(受容体)を構成するため、
受精卵や体細胞では離れた場所にある遺伝子を繋ぎ合わせて
無数のバリエーションを作り出している。
幹細胞に胸腺(thymus)でサイトカインが働いて分化した免疫系細胞。
非自己と認められる細胞に取り付いて破壊する。
全ての細胞の表面には
MHC(主要組織適合性複合体 Major histocompatibility complex)
というタンパク質があり、細胞内で多様なタンパク質の断片を任意に結合する。
T細胞は、このタンパク質の断片を調べて、
正常な自己の細胞か否かを判断する。(つまり、自己を認識する。)
T細胞は胸腺でのチェックを受けてから循環器系に出て行く。
胸腺は自己の細胞で満たされており、
もし自己の細胞と結合するT細胞があると、
そのT細胞は胸腺の中で成長を止めて死ぬ。
T細胞には二種類の受容体
(αβTcR、γδTcR)があるが、
B細胞同様に遺伝子の組み換えを行い多様性を作る上、
後者はコドン暗号を
1文字または2文字ずらして読み込むという離れ業を用いて
限られた遺伝子情報から多くのバリエーションを作っている。
突然変異を繰り返し急激に進化するウィルスに対抗するために
遺伝子読取の原則(セントラル・ドグマ)
を破ってまで多様性を創造するγδTcRは
高等生物における唯一の例外である。
|
|
|
|
1960年にフランク・ドレーク博士が考案した、銀河系内における知的文明の数を算出する式。
記号 説明 N
天の川銀河に存在する恒星間通信が可能な高度文明の数
R*
天の川銀河で1年間に誕生する恒星の数
fp
恒星が惑星系をもつ割合
ne
ある恒星の惑星系の中で生命を維持できる惑星の数
fl
生命を維持できる惑星で実際に生命が誕生する確率
fi
誕生した生命が知的生命まで進化する割合
fc
知的生命の文明が他の惑星系と交信を行えるまでに進化する割合
L
高度文明の寿命(年数)
左辺の示すビジョンの魅力と、右辺の示す分かり易さが特徴。
具体的数値は算出者により1から1億まで様々である。
人間存在が偶然なのか必然なのかという哲学的テーマにも関わる方程式である。