意外とお仕事に関係あるメモ


長い目で見ると仕事に役立ちそうな「考え方」や「名言・格言・金言」を集めておこう。
■目次
■人と組織 human and organization

人間存在がどういうものであるかを認識した上で、 『組織として仕事の成果を出していくには何が必要であるか』 というフレームワークで先ず整理を試みる。by M.HIJK
人間は…
(前提)

  • 間違える/ 忘れやすい/ 曖昧である/ 作業が遅い
  • 嘘をつく/ 勝手に脚色する/ サボる/ 自己中心的である
  • 常に変化する/ 効率が不安定/ 老病死を持つ
  • 衝動に駆られる/ 喜怒哀楽がある/ 欲望が際限ない/ 達成感が必要/ 幸福感が必要
だから…
(手段)

  • 当たり前のことを誠実に守る一人一人の意識が必要
  • 共同体で皆が気持ちよく仕事できるようマナーが必要
  • 遵守事項を明確化し秩序を守るためのルールが必要
  • 安定して迅速に高品質の成果を出すためのツールが必要
  • 知的で高度な成果を出し期待に応えるスキルが必要
  • 変化や問題に対処し、計画通りの成果を確実にする管理が必要
  • 目標に向け全員を整列させるリーダシップが必要
そして…
(目標)

  • 約束を守る、成果を出す、QCDを達成する
  • 従業員満足度(ES)向上、顧客満足度(CS)向上、企業の利益向上と発展
  • 株主満足度向上、社会への貢献

  1. 実際に行動する事に価値がある。
    • 才能よりも努力。 誰でも考えることは同じ。「やらない」か「やり遂げる」かの差。
    • プロの仕事は結果で証明、努力は隠れてするものだ。 残業自慢、不健康自慢は慎むべし。
    • 言い訳よりも実現方策を考える。評論するよりも実行する。 「やれない理由」は、いくらでも用意できる。
    • 分かった事で満足するな。閃いただけで喜ぶな。

  2. 「ここが限界」と思えば、そこが限界。
    諦めたら全てが終わる。 頂上に達するルートは必ず複数ある。 『真剣だと知恵が出る。中途半端だと愚痴が出る。いい加減だと言い訳ばかり。』 人は苦しい時ほど良い知恵が出る。 成功した時こそ反省せよ。

  3. 仕事は「」がするものである。
    誠実さが大事。約束は守ろう。借りたら返そう。 挨拶をしよう。感謝や謝罪の気持ちは素直に伝えよう。 代案も無いのに反対するな。分からないのに頷くな。

  4. 仕事は「組織」でするものである。
    自分一人が仕事を怠ると組織全体が止まる、と全員が思っているのがプロ集団。 やるべき仕事を嫌がるのと同じくらい、 何でも引き受けるのもプロ意識が欠如している。 組織の中での自分の存在価値を考えよう。 自分のことだけしか考えない悪い癖を直そう。

  5. シンプルであれ。keep it simple.
    簡単・明瞭に表現できないようなアイディアは、どこかに問題がある。 真理とは単純なものである。 素朴な疑問に答えられないなら、自分が良く分かってないと思え。 殆どのプロジェクトは元来シンプルであり、 問題が複雑化するのは、大抵、利害関係者のエゴイズムに起因する。

  6. 良い仕事は良い休暇から。
    休暇もプロの仕事。 へたに考え続けているより、休みを取った方がいい。

■ドキュメント document
1990年頃、某社社長様に中国旅行に連れていって頂いたことがあり、 その際、とても貴重な話しを伺いました。その時のメモを再録しておきます。 管理者としての視点が良く表現されていると思います。
  • ドキュメントの版管理や、時系列的数量管理を徹底し、出来れば自動化するべし。 「完成した!」と言った後に密かにリビジョンアップしていたり、 作成中のハズなのに作業が進んでいない項目を見逃さないこと。 また、改版履歴は (1)誰が (2)いつ (3)どの物件を (4)何のために変更したか、 が全て記録されていることを確認すること。
  • プロジェクト管理では、「中身を見ないで」「仕様だけを見る」という態度も重要。 さらに大きいプロジェクトなら、仕様の「枚数」だけを管理するのでも良い。 必要ドキュメント枚数は、概要、詳細、検査を含んで、総ステップ数÷20、 更に高品質を目指すなら、総ステップ数÷14。 また、お客様への提案書に対して、その5倍の量の要求仕様書が来なければ、 要求仕様抜けが有りだと思え。
  • トラブルを避けるために、極力細かいところまで書類化すること。 議事録を作成し、双方で「必ず承認を取る」こと。 承認があれば、以降の要求変更は、仕様変更としてお金を取れる可能性が保てる。 人は、自分から進んで自分に不利になることは言わない。 議事録などを残すことによって、 (1)作業の遅れの理由などを時間を遡って明確化させることができる。 (2)対策を明確に浮き上がらせることができる。
  • 報告書は、「本人が計画に基づいて作業をしていると【自覚】しているか」 に着目して読むこと。 また、報告書にある、本人からの「ヘルプ」の記述を見逃すな! 上級者として、解決策が見つからないとしても、ヘルプを読んだ、 というリプライは即時に行うこと。 ヘルプが必要という自覚よりも「前」に、既に問題は生じていたはずだ。

■問題の先送り postpone the decision
  • 環境破壊、少子高齢化と年金の問題、不良債権問題、 国債発行過多、戦略なき民営化、 義務教育や各種福利厚生の質の低下に始まり、 企業における各プロジェクトのQCD悪化、 組織ガバナンスの鈍化、進まない業務改革、 コンプライアンスへの対応遅れから、 個々人の勉強不足、運動不足、夢がみつからない、 晩御飯の献立が決まらないといった事に至るまで、 それらの問題に通底する、たった一つの原因は 『問題の先送り』である。 大抵の場合、みな、問題に気付かないほど愚かではないが、 適切なタイミングで解決に向けた行動を起こすことが出来ない。
  • 時間が解決してくれる、 間際になってから頑張れば良い、 そのうち他の誰かがやってくれる、 今日を精一杯生きればそれで十分だ、 後の世代がなんとかしてくれるだろう………。 つまり、未来というものが、 あらゆる問題を受け止める 巨大なゴミ箱になってしまっているのだ。 これは、内閣総理大臣から隣のおばちゃんに至るまで、 人間である以上、共通して持っている感覚である。 実際、マネジメントの努力の大半は、 将来へ“ツケ”を回そうとする行為を、 現時点での罰として「見える化」する事に費やされる。 目標や進捗を定量管理することの意義も、ここにある。 人間は、感覚としては、未来のことなど 殆ど分からないからである。
  • 何故、人間は、未来に対して、こうも疎いのだろうか? 我々が感じているものは、実は、 厳密には全て過去の出来事である。 そこから“今現在”にある自我を推定することで 自意識が生まれた。 自意識は、この“過去→現在”という逆流を延長して、 “未来”という概念まで生成し、全部をひっくるめて 物理学でお馴染みの「クロノス的(線形)時間」 という抽象概念を作成するに至ったのであるが、 実際のところ、“未来”は、 “過去→現在”の延長上の単なる概念でしかなく、 絶対にそれを越えるものではいし、過去や現在と等質でもない。 “過去→現在→未来”が、時間軸上に連続的に存在する 一続きのものであるという考えは、 物理学くらいにしか当てはまらない。
  • 人類は、都市の建造や各種開発プロジェクトなど、 定量化し測定できる部分に限っては“未来”を形にしてきたが、 実際のところ、“未来”というものの総体を、 どう扱ったら良いのか、実は良く分かっていない。
    人間存在の根底に端を発する『問題の先送り』を打破するには、 あらゆるものは微視的にも巨視的にも有限であるという、 やはり人間存在の根底に由来する『有限原理』を認識するしかない。 「夢」「希望」「可能性」その他あらゆるものを含めて、 無限なるものはどこにも存在しないことを実直に悟るしかない。 そのことを「原理として」悟るしかない。 そうしないと、個々人の人生は輝くものにならないし、 プロジェクトは成功しないし、国家は衰退するし、 人類は早々に滅亡してしまうであろう。 未来は無限の容積を持つゴミ箱ではない。 あらゆる局面で、例外なく、その事を常に意識させる必要がある。 いつも期限を byDay で示す必要がある。 そうしないと、ヒトは直ぐに未来のことが分からなくなるのである。

■ヒポクラテスの誓詞 The Oath of Hippocrates
「医」を「仕事」、「患者」を「お客様」と読み替えて読んでみましょう。 「プロフェッショナルとは何か」ということが良く分かります。
出典:大前研一『ザ・プロフェッショナル』ダイヤモンド社

ヒポクラテスの誓詞

  • 一、医の実践を許された私は、全生涯を人道に捧げる
  • 一、恩師に尊敬と感謝を捧げる
  • 一、良心と威厳を持って医を実践する
  • 一、患者の健康と生命を第一とする
  • 一、患者の秘密を厳守する
  • 一、医業の名誉と尊い伝統を保持する
  • 一、同僚は兄弟とみなし、人種、宗教、国籍、社会的地位の如何によって、患者を差別しない
  • 一、人間の生命を受胎のはじめより至上のもととして尊ぶ
  • 一、いかなる強圧にあうとも人道に反した目的の為に、我が知識を悪用しない
以上は自由意志により、また名誉にかけて厳粛に誓うものである

希波格拉底的誓言

  • 一、我将以我最大的努力和最好的判断把我的整个生涯奉献给人道(主义)
  • 二、我将非常尊重及感激我的恩师
  • 三、我将以我的良心和威严来行医
  • 四、我将把病人的健康和生命视作第一
  • 五、我将尊重病人的隐私
  • 六、我将保持行医的名誉和尊贵的传统
  • 七、我将视我的同事为手足,不管人种,宗教,国籍,社会地位如何,我都会平等对待我的病人
  • 八、我将尊重人类的生命,视其比受胎伊始更为至上
  • 九、无论遇到何种强制压迫,我都不会为了违反人道的目的而滥用我的知识
上述是以我自由的意志和名誉进行的庄严的宣誓。

■経営

  1. 全ての変革は、人の意識の変革から始まる。
    何を変えようとも、人の気持ちが変わらなければ、何も変わらない。 変化は「待ち構えるもの」ではなく「自ら作るもの」だ。

  2. 戦略とは、より高い目標を実現するために、 手持ちの資源を最適配分すること。
    勇気を持って優先度を決め、然る後、軋轢を最小とするよう調整する。 戦いには大抵の場合、完全勝利も完全敗北も無い。

  3. 楽観的であれ。
    暗いリーダーについていきたいと思う人はいない。 どうでも良いもののために、献身的に努力する人はいない。 細かい事に拘泥しない。 些細な問題は時間とともに解決してしまうことが多い。 ウソでもいいからニコニコしていろ。 大抵の問題は放置しておくと当事者達が解決してしまう。 時間と共に深刻さが増大する問題を、それが小さい内に潰しておけば良い。 心配しても仕方のないものは心配しない方が良い。 後ろ向きの言葉を使うな。「削減」でなく「効率化」「改善」だ。

・窮地になるほど、思考と行動を単純にした方が良い。
  * 5%の削減よりも、50%の削減の方が簡単である。
・一定のルールの中で戦うばかりでなく、ルールをどう変えるかを考えるべきである。
  * 「敵と味方」という構図は、思ったより容易に変わり得るものである。
  * 敵と直接戦うのでなく、敵に別の敵をあてがう、という手もある。
  * 故意か過失か、味方から後頭部に弾丸が飛んでくることがあるので注意せよ。
・リーダーシップ
  * 戦いの勝敗は前線の兵士の士気に負うところが大きい。
  * リーダーシップとは、ゴールを示して全員をその方向に整列させることである。
  * リーダーは自分より優秀な後継者を育てなければならない。
・即決即断をするには、普段から色々な事を考え、優先順位を頭に入れておく必要がある。
・改革は短期間に行わねばならない。 10年も続けているものを改革とは呼ばない。
・高眼低手。視野は高く、しかし、眼に見える身近な改善を大事に。

■プロジェクト管理

  1. 課題は「いつまでに(byDay)、誰が(byName)、何を(byFact)」 を明確に。
    スケジュール、体制と責任、成果物が明確でなければ仕事とは言えない。 以下はNGワード。いつまでに→「今週中」「来月初旬」「早急に」、 誰が→「仕様統括チームで」「有識者各位」「どなたか」、 何を→「漏れが無いよう徹底します」「以降注意します」。 かくして、課題は標語と区別がつかなくなり、 粒度の大き過ぎる課題がいつまでも残存し、解決期限は安易に先延ばしされ、 課題表なのか単なるto-doリストか分からなくなり、 課題が解決されたことが解決されないままウヤムヤにCloseされ、 何が課題なのか誰も分からない状況になる。

  2. Bad News First
    悪い情報ほど早くエスカレーションするべし。 問題が発生しないように進めることも大事だが、 問題の発生時に迅速に対応することも重要。 (最悪なのは誰にエスカレーションしたら好転するのか不明な状況。 組織やプロジェクトの責任分担を見直す必要がある。) 重要な問題は直ちに報告し、プロジェクトの全員で解決していく。 問題が生じるのは当たり前、問題を隠すことを問題視する風土が大事。 特に、重要な問題には、スピードを持った対応が必須。 『結果的にこうなった』では、リカバリが極めて困難で、 最悪は取り返しのつかないことになる可能性がある。 問題の報告は社会人の最低限の責務。 勿論、報告を受ける側も誠心誠意対応策を考える。 適切なタイミングで報告・連絡・相談を。

  3. 必要十分な情報だけ収集しよう。
    管理者が利用し切れないほどの報告を求めてはいけない。 一般に担当者にとって進捗報告は面倒で厄介である。 それでも精度の高い定量的・定性的管理のための情報収集に報告は必須だが、 形式的に情報を集めて活用せず、フィードバックを怠れば 報告活動全体が形骸化し、無駄な工数(費用)が垂れ流しで消えていくことになる。 報告させるからにはフィードバックせよ。 「無くても済むが、あった方が良い資料」を求めるな。 「冗長だったり重複したり相互に矛盾し得るような情報」を無闇に集めるな。

  4. 全ての行動は、「仮説」と 「良い結果イメージ」を持ってから始めよう。
    プロジェクトの本質は「一回限りのもので、誰にも分からないものを扱っている」 という事。だから仮説と検証のサイクルを回し軌道修正し続ける作業が プロジェクト・マネジメントの本質である。 行動して結果が出てから「さて、どうしよう」と考えるのは最悪の非効率。 次の行動に具体的に結びつかないなら、その行動は全くの無駄になる可能性すらある。 また、良いイメージの仮説を持って始めた行動は、 実際にイメージ通りの良い結果を出せる可能性が高くなる。 これは、デバッグでも会議でも人に作業を依頼する時でも、何でもそうである。 なお、「仮説」と「予断」「思い込み」は異なるものである。

  5. 目に見えるものだけを信じよう。
    「大丈夫です」「ちゃんとやってます」「任せて下さい」を 鵜呑みにするようでは管理者の存在価値は無い。 人間の定性的判断は重要であるが、 定量的データが裏付けに無い場合、信頼度は低いと考えるべきである。 また、組織においては、問題は「目に見える形」にしない限り 解決することもない。 作業を定量化して「見えるようにする」のは第一段階。 「見える化」はスタート地点でありゴールでは無い。 ノウハウの蓄積や改善の足跡を目に見えるよう、 作業標準やチェックリストは先ず全て「目に見える」ようにし、 万人の目に見える形で改版する。 「次からは気を付けます」を信じるんじゃない。 改訂されなくなって久しい作業標準を信じるんじゃない。

  6. まず相手の話を聞こう。
    傲慢を避け、異論・異見を歓迎しよう。 部下からの意見に真面目に耳を傾けているか? 「言っていることが分からない」で一蹴、 パソコンに向かったまま相槌・視線すら送ってこない、 忙しい時にイライラした態度で部下に接する、 ろくすぽ説明を聞かず最後に「分からない」と言う……… 挙句の果てに、 あるべき論に終始、精神論を捲くし立て、不合理は攻撃口調で押し通し、 全ての問題を部下の不完全性の所為にする。 「整理しといて」「やっといて」「なんとかして」で終わり、 期待水準や具体的成果を伝えず問題が起きてから 「そうなると思ったよ」「前にも言ったじゃないか」と言う、 その時の気分で判断や発言が大幅に変わる、 背景や理由の説明・翻訳無く、上位指示を部下に丸投げする……… これでは誰もついて来ない。本当の意味での自分の城を築けない。

  7. 失敗は必ず次に活かそう。
    失敗は「改善の余地の発見」である。 大抵の失敗は許容されるが、再発防止の努力を怠ることは許容されない。 問題の真因分析と再発防止サイクル、プロセスの改善が重要。 問題を解決した後、プロジェクトは目に見える形で良くなっていなければならない。

・即効性も無く、導入コストが嵩むような方針 (左図(ii))を決断するのは難しい。 これを、意思を持って「遣り遂げよう」と思えるのは、 将来への想像力があるからであり、 理性と品性があるからである。
・先ず第一に「当たり前のことをコツコツと実行する」のが良い、と悟るべし。
・コミュニケーションは常にプロジェクトの生命線である。
    * コミュニケーションを活発に。メールだけでなく、足を運んで直接会話を。
    * 責任を果たす。約束を守るための全ての努力をする。守れない場合は事前調整する。
    * 問題を発見し、いち早く報告することを奨励する風土を築き上げよ。
      悪いニュースを報告しに来た人を無条件に叱り飛ばすなど、もってのほかである。
・僅かな工夫で効率化できる余地がまだ必ずある。
・プロジェクトマネジメントには経験によってしか学べない部分がある。
    * 窮地に陥った時のマネージャ自身の心理状態の処し方は経験でしか学べない。
    * 利害関係者との困難で属人的な調整や求心力の発揮は文書で表現するのは難しい。
    * 計画を立てる作業と、計画通りに行かなかった部分への対処を、何回か経験
      しないと、定性的なバランスの取り方、リスク管理の匙加減は会得し難い。
・経験・勘・度胸は永遠に重要であり続ける。

■複雑系と管理 complex system and management
  • 組織が、無秩序でもなく、硬直化もしておらず、 「最適に活性化している」というのは、どんな状態なのだろうか。
  • 組織を構成する一人一人は人間であり、生命だ。 生命は、完全なカオス・無秩序の中でドロドロしているわけでも、 鉄壁の秩序の中で安定しきっているわけでもなく、 『最適な乱雑さ加減』『カオスの縁』edge of chaos にある。 周囲と密接な関連を持った多数の要素が、 ある動的な環境の中に置かれた時、それらは全体として『自己組織化臨界』を形成する。 この臨界状態は、大小様々な崩壊を繰り返しながら全体としては形状を維持している。
  • 『砂山のメタファー』を見てみよう。 砂時計のように砂が降り続けると、 そこには ある一定の形の砂山が出来る。 砂が降り続けると、砂山は、大小さまざまな“なだれ”を起こしながら、 結果的に一定の砂山の形状を維持し続ける。 これが『自己組織化臨界』である。
  • さて、システムが自己組織化臨界にある時、“なだれ”の頻度は、 “なだれ”の規模の「べき乗数」に反比例する。 これを「べき乗の法則」と言う。 要するに、小さな“なだれ”は頻繁に起こるが、 大きな“なだれ”は滅多に起こらない、というわけである。
  • さて、ある程度、統計的な捉え方が出来る程度に大きな組織では、 最も環境適応性を持つのも、 『カオスの縁』にある時と考えられないだろうか。 管理が厳し過ぎて平衡状態の中で固定的になるわけでもなく (『軍隊は、何らの付加価値も生み出さない。 』)、 担当を野放しにし過ぎてカオスの中で制御不能になっているわけでもない、 適切な試行錯誤が継続して行われているような状態。 最も競争力のある、環境適応性を持った、発展性を維持し続けられる組織では、 組織に生じる「構造の変革を迫るような問題」が、 「べき乗の法則」に従って起きているのではないか。
  • あまり問題が生じなさ過ぎても、また、 単に問題が生じているにしても 小さな問題も大きな問題も同じような確率で発生してしまっていても、 組織は『カオスの縁』に到達していないように思われる。 これは、組織の発展性に関する定量的な指標の候補と言えるだろうし、 判断の難しいリスク管理の許容基準の一つの ガイドラインになる可能性を秘めているかも知れない。

■ダメ・リーダーの群像
  • 頼みやすい人に頼む
    • 「困ったら何でもAさんに頼む」症候群
    • 合理的な役割・作業分担が出来ず、 特定個人のスキルに依存し結果として負荷集中を招く
  • 育成が下手
    • 怒るばかりで導くことをしない。
    • コーチング、気付きを与えること、人を伸ばすコツを知らない。
    • 山本五十六の『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、 ほめてやらねば、人は動かじ』が出来ない
    • 本人が決めている限界を、外から無理に変えられると思っている。
    • 根気良く魚の釣り方を教えず、いきなり魚を与えてしまう。
    • 本人に何が不足かを知ろうとせず、何かを教えようとし始める。
  • メンバを代表できない
    • PJの最終責任者がプロマネだという自覚が無い
    • お客様先で打たれ過ぎ。 PJメンバの努力・総意を代表した反論・調整が出来ない
    • 独自の文化や成功体験に固執してPJやメンバに柔軟に対応しようとしない。
    • プロジェクト代表としての報告をサボり、メンバの総力が伝えられなくても 「済まない」という気持ちにならない。
  • 会議が仕切れない
    • 会議の目的が不明瞭、こうしたいという意志がない、 事前準備がなく、なんとなく議論して最後に取り纏めるだけ
    • 開始ギリギリまでコピーしている
    • 遅れる場合の連絡が無い
    • 大人数であるほどズルズルと開始しない
    • 議論に必要で無い人を無闇に集めたがる
    • 議長が時計を見ていない
    • 特定の人ばっかりが発言し、その議論に終始する
  • リスクを扱えない
    • お客様やトップマネジメントとリスクを共有しないがために (ひどい場合は隠蔽しようとして) PJメンバ全員を窮地に引きずり込む
    • お客様やトップマネジメントに強要されたことを飲み込むだけで、 それによるリスクを文書に残す努力はしない。"
    • 新しい技術を追いかけることでプロジェクトが背負うリスクを 客観的に把握していない
    • お客様要件は変化・肥大化するのが当たり前。 要件の変化・増加に伴うリスクを扱わないなら プロジェクトを任される意味が無い。

■QCD quality-cost-delivery

■情報技術 information technology

  1. システム・エンジニアはお客様指向であれ。
    • お客様のビジネスが分からないのに、 お客様のビジネスに役立つシステムが作れるわけが無い。 ROIとかTCOと言われて自分は関係ないと思うSEは半人前。 ITに強いSEが優秀だというのは大錯覚。
    • 「まず先端技術」ではなく「まず顧客価値」。 使えるところには先端技術を使おう。 ベストならば枯れた技術でも使おう。
    • お客様への付加価値とならない全ての作業を排除しよう。
      1. 不良品作り: 品質が悪いものは作らない方が良い。
      2. 不要な加工: お客様にとって無価値な加工はしなくて良い。
      3. 待ち時間: あらゆる待ち時間はお客様の価値向上に繋がらない。
      4. 過剰在庫: 作り過ぎて使われないものの保管料は誰のためにもならない。
      5. 動作の無駄: 探す、置き換える、やり直す、数える、片付ける、運搬する…
    • 目標が分からないのに作り散らかすんじゃない。 自己満足のために仕事なんかするんじゃない。

  2. システム・エンジニアはプロセス指向であれ。
    • 検査を強化しても品質保証には限界がある。 『ソフトウェア・システムの品質は、 それを開発し改善するプロセスの品質に支配される。』 - Watts Humphrey
    • 品質やコストに影響の大きいプロセスを識別して重点的に改善しよう。
    • 付加価値を産まないプロセス以外は全て排除しよう。
    • 良いツールは全員で徹底活用しよう。
    • 設計と製造を完全分業化するとプロセス改善が分断される。 詳細設計以降を任せられる仕事の境界を定義せよ。

  3. システムに一番重要なものは人間である。
    • システムがうまく挙動している様子でなく、うまく使われている様子を想像せよ。
    • 全てのシステムの問題は人間に起因している。
    • チームワークが無いのにグループウェアを導入しても機能しない。
    • コンピューターと人間の適材適所を設計できる人がシステム・エンジニア。
    • 人間やルールや既製品や新規プログラムを組み合わせてシステムは機能する。
    • 人間は、時に、信じ難い間違いを犯すものである。

  4. QCD改善の最大の工夫は、 無闇に新しいものを作らないことである。
    すぐにプログラムを書きたがる人は、 プロジェクトの納期・費用・品質に非常に大きな悪影響を及ぼしていることを 実感できていない。 そして大抵、凝りだしたらキリが無くなる。 思いつきでモノを作ってプロジェクトやお客様に迷惑を掛けるんじゃない。 仕様調整や再利用の促進に払わなければならない労力は、 その結果得られる「プログラムを書かないこと」による利益より、 大抵の場合、遥かに小さい。 フレームワークや部品も標準の採用を第一に考える。 採用できないなら改善を提案するか、 新しいフレームワークや部品を標準に登録しなければならない。 自分勝手に新しいものを作るんじゃない。

  5. Garbage in, Garbage out.
    どんなにシステムが優れていても、入力する情報にゴミが混入すれば、 結果として出力されるのはゴミ情報となる。 そして、勿論、入力してもいない情報を、システムが出力することは無い。 大事なのは道具より使い方、そして、使い方より使う目的である。

・有限の手続きではシステムの品質の完全性を証明することは出来ない。
    * 品質が高いほど、更に品質を高める努力の量は飛躍的に大きくなるものだ。
・システムの開発に掛かる費用よりも、システムを保守する費用の方が大きい。
・システム設計には本質の堅牢さと変化への寛容さが両方必要である。
    * ある条件に適合し過ぎたシステムは、環境が変化すると使えなくなる。
・システムの品質とプログラムの品質は異なる。
    * 何か問題があった時の対処が明確である事もシステムの重要な品質である。
    * 何か問題があった時に元に戻せるかを常に考慮すべきである。
    * 人間系の失敗に、どれだけ寛容かが、システムの魅力的品質になる。
・一番弱い箇所を補強しないと、システム全体の強度は上がらない。 
  cf. リービッヒの最小律:「植物の生長は、必要とされる無機養分のうち
                          最も少ないものによって決まる」

■バックアップの法則
  1. 痛い目を見た回数とバックアップを取る頻度は比例する。
  2. 手動で定期的にバックアップを取ろうという決意は、必ず挫折する。
  3. 大抵、そろそろバックアップを取ろうと思う頃に、ディスクはクラッシュする。
  4. 大切なデータを狙ったかのように、そこだけバックアップ媒体が腐っている。
  5. 圧縮保存したバックアップの99%は生涯展開されない。
  6. 懸命にバックアップ媒体を発掘した時、大抵、リストア方法が分からない。
  7. 必要になって初めて、延々と間違った方法でバックアップを取り続けていた事に気付く。

■聖マタイ伝 Gospel of Matthew
(c)copyright MCMXCVIII by 猪俣壮一様
1998年03月07日(土)03時12分44秒電魂盤「理」より無断転載。

  • 神はアセンブリ言語を作りたもうた。人々は福音を得た。 しばらくして人々は気がついた。 5%の民は見事に使いこなしているが95%の民は完璧にルールに 則りながらアセンブリ言語を台無しにしていると。
    人々は叫んだ。神よ我に新しい方法論を!
  • 神は構造化理論を作りたもうた。人々は福音を得た。 しばらくして人々は気がついた。 5%の民は見事に使いこなしているが95%の民は完璧にルールに 則りながら構造化理論を台無しにしていると。
    人々は叫んだ。神よ我に新しい方法論を!
  • 神はデータ中心設計を作りたもうた。人々は福音を得た。 しばらくして人々は気がついた。 5%の民は見事に使いこなしているが95%の民は完璧にルールに 則りながらデータ中心設計を台無しにしていると。
    人々は叫んだ。神よ我に新しい方法論を!
  • 神はOTを作りたもうた。人々は福音を得た。 しばらくして人々は気がついた。 5%の民は見事に使いこなしているが95%の民は完璧にルールに 則りながらOTを台無しにしていると。
    人々は叫んだ。神よ我に新しい方法論を!
  • 神は厳かに曰った。 それは方法論の問題ではない。なぜならば 使いこなしている5%の民はいつも同じではないか。 そして方法論に従って方法論を台無しにするような成果物を 乱造しているのは同じ顔ぶれの95%ではないか。
  • 人々は悟った。
    おお、神よ。方法論の問題では無かったのですね。
    それは一貫してマネジメントの問題だったのです。

■未整理
2008-8-18 (月)
組織に施策を展開しても、なかなかうまく浸透しない。 代表例が、社長室に飾ってあるだけの企業理念や、 集計されるだけで分析されないプロジェクト進捗報告書の山だろう。 数多くの失敗例と、ごく少数の成功例から、 施策展開を成功させるフレームワークの抽出を試みた。 その結果が『2層PDCA+信賞必罰システム』だ。
  1. 施策開始前に、実行者の客観的評価基準を定めること。
  2. 施策開始後に、実行者の評価をし続けること。
    評価結果は確実に給与に反映させること。 (変動額の多寡は問わない。)
  3. 施策開始前に、命令者の客観的評価基準を定めること。
  4. 施策開始後に、命令者の評価をし続けること。
    既定の評価を下回ったら命令者は即刻退場させ、 施策自体を確実に廃棄すること。 (当該の件に関しては、挽回のチャンスは決して与えない。)
…たったこれだけだ。これが全部揃って、その施策は初めて本気だと言える。 どの要素が欠けても、その施策はタチの悪い冗談だし、 決して施策は浸透せず、所期の効果も上げず、早晩風化または形骸化する。 これは、歴史が証明してきたことでもあるし、 言い出しにくいことではあっても、 言われなくても誰でも薄々感じていることでもあろう。 日本型企業で上記の施策を例外なく淡々と行うことが、 どれほど難しいかは、想像に難くない。 だから、日本型企業で「徹底せよ!」と下達される施策は、 大抵どれもタチの悪い冗談に過ぎない。 命令者は言いっ放しでチェックもしない、 実行者は面従腹背で「やったフリ」の技術をひたすら積み上げる。 再度、強調しておく。 『2層PDCA+信賞必罰システム』を備えていない施策は、 発散、風化し、決して根付かない、タチの悪い冗談に過ぎない。 みんなが気づいているのに、誰もハッキリ言わないので、 私が代理でハッキリ示しておいた。
2008-7-31 (木)
よく、経営資源を「ヒト、モノ、カネ、情報」などと 分類したりするが、極論すれば「ヒト」というのは「モノ」の一種であり、 経営レベルから見れば扱いの難しい機械に過ぎない。 また、「カネ」は、もともと特別な存在ではなく、 実は「情報」の一種に過ぎないものである。 ところで、「情報」とは、知性が「モノ」に重ね描く抽象概念であり、 モノが思い通りに動かせない時にも、 比較的自由に操作できるイメージである。 言い換えると、目の前の「モノ」に「情報」を重ねることが 経営の本質なのであり、 もっと簡単に言うと、現実をしっかり見据えた上で そこに夢を重ね描くことが経営なのだ。
2008-6-14 (土)
グローバルビジネスを成功させるための本質中の本質とは、 煎じ詰めれば以下の3つだろう。
  1. ヒト。(価値観、文化、心理)
  2. 媒体。(言語、カネ、情報)
  3. 物理。(距離、時差)
制約と取るか、チャンスと取るかは、構想・ビジョン・戦略次第だろう。 人間の心理の共通性を認識し、各国の文化を尊重し、 語学に勤しみ、経理や財務の国際基準への理解を深め、 情報技術の威力を改めて感じ、距離や時間を防壁としても武器としても使いこなす。 これからの経営者に求められる資質とは、おおよそこんなものであろう。
2008-4-10 (木)
ソフトウェアの使命は、変化への柔軟な対応だったはずだ。
2008-4-4 (金)
社会人は、社会人として振舞っている間は、 一定の制約を受け、一定の責任を負うべきだ。
  • 仕事において、自由に発言して下さい、といわれても、 愚痴を言い連ねたり誹謗中傷をしても良い、という意味ではない。
  • ブレーンストーミングでは何を発言しても良いし 批判をされることもない、とはいっても、 主題に関係ない与太話を勝手に捲し立てても良い、という意味ではない。
  • 今日は無礼講だと言っても、 普段友達にもしないような無礼や狼藉を 上司に働いても許されるという意味ではない。
社会においては、最低限、社会人であることは逸脱できない。 ………逸脱しちゃいけないんだってば。
2008-3-9 (日)
「1:外部から与えられた目標を達成するために努力する」 「2:自己が表現したものへの外部からの称賛のために更なる努力をする」 「3:外部と関係なく自分の人生そのものの実現のために一層の努力をする」
…大抵の硬直化した組織の構成員は、第一段階に留まるか、 その努力すら惜しむために言い訳や体裁作りに勤しんでいる。 活発に改革を実現している組織の構成員の多くは、第三段階にまで至っている。 「KPIによるガバナンス」などというものは、 実際のところ苦肉の策であり、 それのみに頼るのであれば、組織としては自殺行為である。
2007-11-27 (火)
事業ユニットの自主性に任せるべきか。 ガバナンスを効かせて統制するべきか。 アレコレ悩んでも答えは出ない。 ふと、「どの程度キツく縛ったら、 どの程度、生産性が上がったか」を 測定する仕組みを埋め込むことが、 最良の解決策であると気付いた。
2007-5-23 (水)
ソースコードを一部変更して別のプロジェクトで再利用したりすると 著作権法などに抵触する可能性がある。 システムエンジニアやプログラマは、このあたりの事情を考えず 気軽にコードを copy & paste して使っていることも多いだろう。 でも、これも立派な「違法コピー」となり得る。バレたら大変だ。 バレる可能性は限りなく低いが、ゼロでは無い。 更に、無邪気に copy & paste していること自体、 ムダに資産を増やしているかも知れないので、棚卸回転率を悪くするかも知れない。 ソフトウェアベンダにとっても企業の情報システム部門にとっても、 とにかく原則的には良いことではない。
2007-5-29 (火)
うまく回っていないプロジェクトは、大抵、 皆が気付いている最も深刻な課題を先送りにしている。 当然、失敗が露呈するまで抜本的な対策は取られない。 この構造は、悪いニュースを 早く上位にあげる事を奨励する組織文化を醸成しないと なかなか改善されない。 プロジェクトマネージャに何でも押し付ける部門長と、 部門長の責任範囲を正確に理解しておらず 適切なエスカレーションが出来ないプロジェクトマネージャ。 私は、プロジェクト開始時に、 そのプロジェクトにおける部門長の具体的な役割と作業を明文化し、 プロジェクトマネージャと合意すべきだと思う。 体制図にお飾りで名前だけ入っている部門長は、 意味が無いだけでなく、責任を果たさない割には プロジェクトマネージャの失敗の糾弾だけはせっせとやり、 「課題の先送り」を暗に促している という意味において、有害ですらある。
2007-5-30 (水)
物理法則は必ずしも人間に分かりやすく出来上がっているわけではない。 しかし、コンピューター・システムに関するエンジニアリング成果物は、 本来、人間が分かりやすいように、人間が作ったものである。 分からないとしたら、 使う側に分かろうとする気が無いか、 提供する側に分かってもらおうとする気が無いか、 のどっちかである。
2007-6-17 (日)
ある組織全体が、情報の流通や処理能力の欠如でうまく機能していない状態なら、 改善の積み重ねによって色々なことが上手く回り始める可能性はある。 しかし、「こうなったらいいのに」という方向性が、その組織の構成員の 誰の頭の中にも無いようなら、情報の風通しが良くなっても 混乱と迷走の空回りが加速されるだけになる可能性が高い。 大事なことは、誰か一人の「一個の脳」の中に、その組織全体に関する 「良いイメージ」があることだ。 そして、その「良いイメージ」は、組織が内部に抱える問題の山や、 組織が直面している外的環境を、吐き気がするほど「一個の脳」に詰め込んで、 考えに考えた末に、ある時刻の、1000億の脳細胞の100ステップの演算による 0.5秒程度の調和のプロセス、すなわち「ひらめいた!」という瞬間に、 強靭で具体的な現実の意志となるのである。 機械的・科学的な分析の積み重ねだけでは決して得られない、 人間の脳だけが持つ、圧倒的な情報量の海の中で具象と抽象を 無理なく結びつけるプロセス。 現存する超並列コンピューター程度では足元にも及ばない至高の演算能力。 これは、私の「脳信仰」と言っても良い。 組織全体を牽引できるほどの強靭な「良いイメージ」は、 なんとなく会議を開いて皆で創り上げていくものではなく、 明示的にも暗黙的にも、誰か一人の「一個の脳」の中で、 ある時、突然出来上がるものなのだ。