人間存在がどういうものであるかを認識した上で、 『組織として仕事の成果を出していくには何が必要であるか』 というフレームワークで先ず整理を試みる。by M.HIJK
人間は…
(前提)
- 間違える/ 忘れやすい/ 曖昧である/ 作業が遅い
- 嘘をつく/ 勝手に脚色する/ サボる/ 自己中心的である
- 常に変化する/ 効率が不安定/ 老病死を持つ
- 衝動に駆られる/ 喜怒哀楽がある/ 欲望が際限ない/ 達成感が必要/ 幸福感が必要
だから…
(手段)
- 当たり前のことを誠実に守る一人一人の意識が必要
- 共同体で皆が気持ちよく仕事できるようマナーが必要
- 遵守事項を明確化し秩序を守るためのルールが必要
- 安定して迅速に高品質の成果を出すためのツールが必要
- 知的で高度な成果を出し期待に応えるスキルが必要
- 変化や問題に対処し、計画通りの成果を確実にする管理が必要
- 目標に向け全員を整列させるリーダシップが必要
そして…
(目標)
- 約束を守る、成果を出す、QCDを達成する
- 従業員満足度(ES)向上、顧客満足度(CS)向上、企業の利益向上と発展
- 株主満足度向上、社会への貢献
■ドキュメント document
1990年頃、某社社長様に中国旅行に連れていって頂いたことがあり、 その際、とても貴重な話しを伺いました。その時のメモを再録しておきます。 管理者としての視点が良く表現されていると思います。
- ドキュメントの版管理や、時系列的数量管理を徹底し、出来れば自動化するべし。 「完成した!」と言った後に密かにリビジョンアップしていたり、 作成中のハズなのに作業が進んでいない項目を見逃さないこと。 また、改版履歴は (1)誰が (2)いつ (3)どの物件を (4)何のために変更したか、 が全て記録されていることを確認すること。
- プロジェクト管理では、「中身を見ないで」「仕様だけを見る」という態度も重要。 さらに大きいプロジェクトなら、仕様の「枚数」だけを管理するのでも良い。 必要ドキュメント枚数は、概要、詳細、検査を含んで、総ステップ数÷20、 更に高品質を目指すなら、総ステップ数÷14。 また、お客様への提案書に対して、その5倍の量の要求仕様書が来なければ、 要求仕様抜けが有りだと思え。
- トラブルを避けるために、極力細かいところまで書類化すること。 議事録を作成し、双方で「必ず承認を取る」こと。 承認があれば、以降の要求変更は、仕様変更としてお金を取れる可能性が保てる。 人は、自分から進んで自分に不利になることは言わない。 議事録などを残すことによって、 (1)作業の遅れの理由などを時間を遡って明確化させることができる。 (2)対策を明確に浮き上がらせることができる。
- 報告書は、「本人が計画に基づいて作業をしていると【自覚】しているか」 に着目して読むこと。 また、報告書にある、本人からの「ヘルプ」の記述を見逃すな! 上級者として、解決策が見つからないとしても、ヘルプを読んだ、 というリプライは即時に行うこと。 ヘルプが必要という自覚よりも「前」に、既に問題は生じていたはずだ。
■問題の先送り postpone the decision
- 環境破壊、少子高齢化と年金の問題、不良債権問題、 国債発行過多、戦略なき民営化、 義務教育や各種福利厚生の質の低下に始まり、 企業における各プロジェクトのQCD悪化、 組織ガバナンスの鈍化、進まない業務改革、 コンプライアンスへの対応遅れから、 個々人の勉強不足、運動不足、夢がみつからない、 晩御飯の献立が決まらないといった事に至るまで、 それらの問題に通底する、たった一つの原因は 『問題の先送り』である。 大抵の場合、みな、問題に気付かないほど愚かではないが、 適切なタイミングで解決に向けた行動を起こすことが出来ない。
- 時間が解決してくれる、 間際になってから頑張れば良い、 そのうち他の誰かがやってくれる、 今日を精一杯生きればそれで十分だ、 後の世代がなんとかしてくれるだろう………。 つまり、未来というものが、 あらゆる問題を受け止める 巨大なゴミ箱になってしまっているのだ。 これは、内閣総理大臣から隣のおばちゃんに至るまで、 人間である以上、共通して持っている感覚である。 実際、マネジメントの努力の大半は、 将来へ“ツケ”を回そうとする行為を、 現時点での罰として「見える化」する事に費やされる。 目標や進捗を定量管理することの意義も、ここにある。 人間は、感覚としては、未来のことなど 殆ど分からないからである。
- 何故、人間は、未来に対して、こうも疎いのだろうか? 我々が感じているものは、実は、 厳密には全て過去の出来事である。 そこから“今現在”にある自我を推定することで 自意識が生まれた。 自意識は、この“過去→現在”という逆流を延長して、 “未来”という概念まで生成し、全部をひっくるめて 物理学でお馴染みの「クロノス的(線形)時間」 という抽象概念を作成するに至ったのであるが、 実際のところ、“未来”は、 “過去→現在”の延長上の単なる概念でしかなく、 絶対にそれを越えるものではいし、過去や現在と等質でもない。 “過去→現在→未来”が、時間軸上に連続的に存在する 一続きのものであるという考えは、 物理学くらいにしか当てはまらない。
- 人類は、都市の建造や各種開発プロジェクトなど、 定量化し測定できる部分に限っては“未来”を形にしてきたが、 実際のところ、“未来”というものの総体を、 どう扱ったら良いのか、実は良く分かっていない。
人間存在の根底に端を発する『問題の先送り』を打破するには、 あらゆるものは微視的にも巨視的にも有限であるという、 やはり人間存在の根底に由来する『有限原理』を認識するしかない。 「夢」「希望」「可能性」その他あらゆるものを含めて、 無限なるものはどこにも存在しないことを実直に悟るしかない。 そのことを「原理として」悟るしかない。 そうしないと、個々人の人生は輝くものにならないし、 プロジェクトは成功しないし、国家は衰退するし、 人類は早々に滅亡してしまうであろう。 未来は無限の容積を持つゴミ箱ではない。 あらゆる局面で、例外なく、その事を常に意識させる必要がある。 いつも期限を byDay で示す必要がある。 そうしないと、ヒトは直ぐに未来のことが分からなくなるのである。
■ヒポクラテスの誓詞 The Oath of Hippocrates
「医」を「仕事」、「患者」を「お客様」と読み替えて読んでみましょう。 「プロフェッショナルとは何か」ということが良く分かります。
出典:大前研一『ザ・プロフェッショナル』ダイヤモンド社ヒポクラテスの誓詞
以上は自由意志により、また名誉にかけて厳粛に誓うものである
- 一、医の実践を許された私は、全生涯を人道に捧げる
- 一、恩師に尊敬と感謝を捧げる
- 一、良心と威厳を持って医を実践する
- 一、患者の健康と生命を第一とする
- 一、患者の秘密を厳守する
- 一、医業の名誉と尊い伝統を保持する
- 一、同僚は兄弟とみなし、人種、宗教、国籍、社会的地位の如何によって、患者を差別しない
- 一、人間の生命を受胎のはじめより至上のもととして尊ぶ
- 一、いかなる強圧にあうとも人道に反した目的の為に、我が知識を悪用しない
希波格拉底的誓言
上述是以我自由的意志和名誉进行的庄严的宣誓。
- 一、我将以我最大的努力和最好的判断把我的整个生涯奉献给人道(主义)
- 二、我将非常尊重及感激我的恩师
- 三、我将以我的良心和威严来行医
- 四、我将把病人的健康和生命视作第一
- 五、我将尊重病人的隐私
- 六、我将保持行医的名誉和尊贵的传统
- 七、我将视我的同事为手足,不管人种,宗教,国籍,社会地位如何,我都会平等对待我的病人
- 八、我将尊重人类的生命,视其比受胎伊始更为至上
- 九、无论遇到何种强制压迫,我都不会为了违反人道的目的而滥用我的知识
・窮地になるほど、思考と行動を単純にした方が良い。 * 5%の削減よりも、50%の削減の方が簡単である。 ・一定のルールの中で戦うばかりでなく、ルールをどう変えるかを考えるべきである。 * 「敵と味方」という構図は、思ったより容易に変わり得るものである。 * 敵と直接戦うのでなく、敵に別の敵をあてがう、という手もある。 * 故意か過失か、味方から後頭部に弾丸が飛んでくることがあるので注意せよ。 ・リーダーシップ * 戦いの勝敗は前線の兵士の士気に負うところが大きい。 * リーダーシップとは、ゴールを示して全員をその方向に整列させることである。 * リーダーは自分より優秀な後継者を育てなければならない。 ・即決即断をするには、普段から色々な事を考え、優先順位を頭に入れておく必要がある。 ・改革は短期間に行わねばならない。 10年も続けているものを改革とは呼ばない。 ・高眼低手。視野は高く、しかし、眼に見える身近な改善を大事に。
・先ず第一に「当たり前のことをコツコツと実行する」のが良い、と悟るべし。 ・コミュニケーションは常にプロジェクトの生命線である。 * コミュニケーションを活発に。メールだけでなく、足を運んで直接会話を。 * 責任を果たす。約束を守るための全ての努力をする。守れない場合は事前調整する。 * 問題を発見し、いち早く報告することを奨励する風土を築き上げよ。 悪いニュースを報告しに来た人を無条件に叱り飛ばすなど、もってのほかである。 ・僅かな工夫で効率化できる余地がまだ必ずある。 ・プロジェクトマネジメントには経験によってしか学べない部分がある。 * 窮地に陥った時のマネージャ自身の心理状態の処し方は経験でしか学べない。 * 利害関係者との困難で属人的な調整や求心力の発揮は文書で表現するのは難しい。 * 計画を立てる作業と、計画通りに行かなかった部分への対処を、何回か経験 しないと、定性的なバランスの取り方、リスク管理の匙加減は会得し難い。 ・経験・勘・度胸は永遠に重要であり続ける。
■複雑系と管理 complex system and management
- 組織が、無秩序でもなく、硬直化もしておらず、 「最適に活性化している」というのは、どんな状態なのだろうか。
- 組織を構成する一人一人は人間であり、生命だ。 生命は、完全なカオス・無秩序の中でドロドロしているわけでも、 鉄壁の秩序の中で安定しきっているわけでもなく、 『最適な乱雑さ加減』『カオスの縁』edge of chaos にある。 周囲と密接な関連を持った多数の要素が、 ある動的な環境の中に置かれた時、それらは全体として『自己組織化臨界』を形成する。 この臨界状態は、大小様々な崩壊を繰り返しながら全体としては形状を維持している。
- 『砂山のメタファー』を見てみよう。 砂時計のように砂が降り続けると、 そこには ある一定の形の砂山が出来る。 砂が降り続けると、砂山は、大小さまざまな“なだれ”を起こしながら、 結果的に一定の砂山の形状を維持し続ける。 これが『自己組織化臨界』である。
- さて、システムが自己組織化臨界にある時、“なだれ”の頻度は、 “なだれ”の規模の「べき乗数」に反比例する。 これを「べき乗の法則」と言う。 要するに、小さな“なだれ”は頻繁に起こるが、 大きな“なだれ”は滅多に起こらない、というわけである。
- さて、ある程度、統計的な捉え方が出来る程度に大きな組織では、 最も環境適応性を持つのも、 『カオスの縁』にある時と考えられないだろうか。 管理が厳し過ぎて平衡状態の中で固定的になるわけでもなく (『軍隊は、何らの付加価値も生み出さない。 』)、 担当を野放しにし過ぎてカオスの中で制御不能になっているわけでもない、 適切な試行錯誤が継続して行われているような状態。 最も競争力のある、環境適応性を持った、発展性を維持し続けられる組織では、 組織に生じる「構造の変革を迫るような問題」が、 「べき乗の法則」に従って起きているのではないか。
- あまり問題が生じなさ過ぎても、また、 単に問題が生じているにしても 小さな問題も大きな問題も同じような確率で発生してしまっていても、 組織は『カオスの縁』に到達していないように思われる。 これは、組織の発展性に関する定量的な指標の候補と言えるだろうし、 判断の難しいリスク管理の許容基準の一つの ガイドラインになる可能性を秘めているかも知れない。
■ダメ・リーダーの群像
- 頼みやすい人に頼む
- 「困ったら何でもAさんに頼む」症候群
- 合理的な役割・作業分担が出来ず、 特定個人のスキルに依存し結果として負荷集中を招く
- 育成が下手
- 怒るばかりで導くことをしない。
- コーチング、気付きを与えること、人を伸ばすコツを知らない。
- 山本五十六の『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、 ほめてやらねば、人は動かじ』が出来ない
- 本人が決めている限界を、外から無理に変えられると思っている。
- 根気良く魚の釣り方を教えず、いきなり魚を与えてしまう。
- 本人に何が不足かを知ろうとせず、何かを教えようとし始める。
- メンバを代表できない
- PJの最終責任者がプロマネだという自覚が無い
- お客様先で打たれ過ぎ。 PJメンバの努力・総意を代表した反論・調整が出来ない
- 独自の文化や成功体験に固執してPJやメンバに柔軟に対応しようとしない。
- プロジェクト代表としての報告をサボり、メンバの総力が伝えられなくても 「済まない」という気持ちにならない。
- 会議が仕切れない
- 会議の目的が不明瞭、こうしたいという意志がない、 事前準備がなく、なんとなく議論して最後に取り纏めるだけ
- 開始ギリギリまでコピーしている
- 遅れる場合の連絡が無い
- 大人数であるほどズルズルと開始しない
- 議論に必要で無い人を無闇に集めたがる
- 議長が時計を見ていない
- 特定の人ばっかりが発言し、その議論に終始する
- リスクを扱えない
- お客様やトップマネジメントとリスクを共有しないがために (ひどい場合は隠蔽しようとして) PJメンバ全員を窮地に引きずり込む
- お客様やトップマネジメントに強要されたことを飲み込むだけで、 それによるリスクを文書に残す努力はしない。"
- 新しい技術を追いかけることでプロジェクトが背負うリスクを 客観的に把握していない
- お客様要件は変化・肥大化するのが当たり前。 要件の変化・増加に伴うリスクを扱わないなら プロジェクトを任される意味が無い。
■QCD quality-cost-delivery
- 最近、QCD(品質 Quality、費用 Cost、納期 Delivery) について、今更ながら思い悩むことが多い。 これらは「永遠の三角形」と呼ばれ、互いにトレードオフ (あちら立てればこちらが立たず)の関係ある…と言われている。 品質を高めようと思えばお金と時間が必要だ。 費用を削ると品質か納期のどちらかが犠牲になる。 時間を早めようとすると品質を下げるか特急料金をかけるしかない。 既に言い古された感のある「QCD」だが、 何故これが仕事の本質的なトレードオフなのか、 真剣に考えたことはこれまで無かった。 突き詰めて考えるならば、 これは「お客様とメーカー」といった対立関係の中でではなく、 人類全体を自分と捉えて、なぜQCDを同時に満たすのが難しいのか、 という「自分の問題」に置き換える必要がある。 「自分とは何か?」という問い掛けの中で、 「満足度」「犠牲」「時間」の意味を理解する必要がある。 このように整理すると、「満足度」と「犠牲」は 独立なパラメータではないことに気付く。 有限な時空の中で、 犠牲を最小限に、満足度を最大限にする、 一群の方策を見抜くことが重要だ。 「顧客満足度至上主義」では、この最適点を見逃してしまう。
- QCDの問題を深く考えようとすると、これは、 満足度最大を実現する理想的状態に、 いかに最小の犠牲で到達するべきか、という問題に還元できることに気付く。 状態を意味空間上の一点と捉えれば、 これは意味空間上の現状点から理想点への旅である。 宇宙旅行に喩えるならば、 光速度不変の原理 により、長い旅には時間が掛かることが不可避だし、 その範囲で時間を早めようと思えば、限界に近づくほど 激しく多くのエネルギーを集中して注ぎ込まねばならないが、 利用可能な資源も集中させるテクノロジーも限界がある。 人間が人間である以上、現状から理想への旅にも、 絶対に超えられない速度というものがある。 (この速度を超えようというなら、人間であることを やめる必要がある。) 数年程度のプロジェクトであれば利用可能なテクノロジーは 一定であると考えて差し支えないから、 注ぎ込む資源(お金)が決まれば到達可能距離も決まる。 「私の問題」として表現するならば、こうだ。 『人生は短い。一日でやれることは決まっている。 でも、どこへ行きたいんだろう。』
- QCDの問題の根源を突き詰めると、 問題とすべきパラメータは一つしか無いことが分かった。 限り有る生しか持ち得ない“人間”が、 誠実に行動することを前提に集まって社会を構成している場合、 出来ること(テクノロジー)も、 人間にとって意味のある期限も、 まぁ大体、常識的に決まっているのだ。 どんなに声を荒げようが、 たまに何人かが夜中の三時まで頑張ろうが、 実はそれは(プロジェクトが大きくなればなるほど) 然したる効果にはならない。 どこまで遠く旅が出来るかは、大体決まっているのだ。 だから、問題は、「どこに旅したいか」……… それが初めての方角なら、リスクがある、 という事に過ぎない。 結局、QCDの問題は、人間であることによる 根源的な制約を理解する限りは、 大筋「まぁこんなもの」という最適点は おおよそ決まってしまうものであり、全ては 電車で2日以内にどこへ旅したいか、という 目的地の選択の問題(Q:品質の定義) に帰着する。 一度行った場所への旅ならば問題は何もない。 未踏領域ならばリスク管理が必要だ。 しかし、何よりも本質的な問題は、 私達人間は、どこへ行きたいか、 自分達では定義できないほど自由だ、ということだ。
- QCD問題の本質的な困難さは、 トレードオフの問題ではなかった。 要するに、「Q:品質」が、人間には定義できない、 ということなのだった。 サルトルが 言うように、人間は自由であるように呪われている。 人間は、何を満たせばそれでいいかを明確に言うことが出来ない。 費用も納期も、実は大した問題ではない。 何をすれば良いのかが明確でないことが問題なのだ。 「とにかく安く」「とにかく早く」というのは、 一番大事な問題を棚上げにしているだけで、何の解決にもなっていない。 QCD問題の本質は、 「人類は何のために存在しているのか」ということを 問い続ける、原理的に確定不可能な問題 (人類の歴史が終わる時に確定する問題)である、 ということを、明晰に示すことが出来た。 従って、QCDの問題は、あるプロジェクトのスコープを 「何がしたい、ということにしておくか」について ステークホルダーの言質を固める技術に大きく依存する。
・有限の手続きではシステムの品質の完全性を証明することは出来ない。 * 品質が高いほど、更に品質を高める努力の量は飛躍的に大きくなるものだ。 ・システムの開発に掛かる費用よりも、システムを保守する費用の方が大きい。 ・システム設計には本質の堅牢さと変化への寛容さが両方必要である。 * ある条件に適合し過ぎたシステムは、環境が変化すると使えなくなる。 ・システムの品質とプログラムの品質は異なる。 * 何か問題があった時の対処が明確である事もシステムの重要な品質である。 * 何か問題があった時に元に戻せるかを常に考慮すべきである。 * 人間系の失敗に、どれだけ寛容かが、システムの魅力的品質になる。 ・一番弱い箇所を補強しないと、システム全体の強度は上がらない。 cf. リービッヒの最小律:「植物の生長は、必要とされる無機養分のうち 最も少ないものによって決まる」
■バックアップの法則
- 痛い目を見た回数とバックアップを取る頻度は比例する。
- 手動で定期的にバックアップを取ろうという決意は、必ず挫折する。
- 大抵、そろそろバックアップを取ろうと思う頃に、ディスクはクラッシュする。
- 大切なデータを狙ったかのように、そこだけバックアップ媒体が腐っている。
- 圧縮保存したバックアップの99%は生涯展開されない。
- 懸命にバックアップ媒体を発掘した時、大抵、リストア方法が分からない。
- 必要になって初めて、延々と間違った方法でバックアップを取り続けていた事に気付く。
■聖マタイ伝 Gospel of Matthew
(c)copyright MCMXCVIII by 猪俣壮一様
1998年03月07日(土)03時12分44秒電魂盤「理」より無断転載。
- 神はアセンブリ言語を作りたもうた。人々は福音を得た。 しばらくして人々は気がついた。 5%の民は見事に使いこなしているが95%の民は完璧にルールに 則りながらアセンブリ言語を台無しにしていると。
人々は叫んだ。神よ我に新しい方法論を!- 神は構造化理論を作りたもうた。人々は福音を得た。 しばらくして人々は気がついた。 5%の民は見事に使いこなしているが95%の民は完璧にルールに 則りながら構造化理論を台無しにしていると。
人々は叫んだ。神よ我に新しい方法論を!- 神はデータ中心設計を作りたもうた。人々は福音を得た。 しばらくして人々は気がついた。 5%の民は見事に使いこなしているが95%の民は完璧にルールに 則りながらデータ中心設計を台無しにしていると。
人々は叫んだ。神よ我に新しい方法論を!- 神はOTを作りたもうた。人々は福音を得た。 しばらくして人々は気がついた。 5%の民は見事に使いこなしているが95%の民は完璧にルールに 則りながらOTを台無しにしていると。
人々は叫んだ。神よ我に新しい方法論を!- 神は厳かに曰った。 それは方法論の問題ではない。なぜならば 使いこなしている5%の民はいつも同じではないか。 そして方法論に従って方法論を台無しにするような成果物を 乱造しているのは同じ顔ぶれの95%ではないか。
- 人々は悟った。
おお、神よ。方法論の問題では無かったのですね。
それは一貫してマネジメントの問題だったのです。