公開請求しました!(公開請求体験報告)


はじめての公開請求
(市議さんの視察旅行について)

第1報(1998年3月28日)最初の公開請求から追加公開請求とその拒否まで

第2報(1998年5月12日)追加の公開請求拒否に対する異議申立てまで

第3報(1998年8月21日)公文書公開審査会の答申と議会の異議申立て却下まで




おおまかな内容
議員さんは視察旅行では、ちゃんと視察の仕事やってくれているのか。

無作為に、ある視察旅行を選んで公開請求してみました。
でも、視察それじたいに何時間かけたかなどが分かる肝心な資料・文書はありませんでした。
聞けば「そんなものは作っていない。作ったそれらしいものも捨ててしまってない。」とのこと。

そこで、将来的には作成・保存するようにしてもらうための市民側アクションのつもりで、
あえて、そのような文書の公開請求したり、異議申立てなどしてみました。

それなりの成果は生まれつつあるみたいです。

こんな話です。





第1報 (市議さんの視察旅行について ― その1)

      わたしの第1回目の公開請求報告
 
 1.公開請求先

       市川市議会 です。

 2.公開請求する公文書

       請求書の「公開請求する公文書の件名又は内容」欄に、

      「平成9年8月1日以降、最初に議員さんが行った一泊以上の
       公費視察につき、手続上作成された書類および作成されなかったが
       作成が予定されていた書類の用紙」

       と書きました。

 3.動機・目的
  (こんなことを、請求する際に、明示する必要はないですよ。)

     1995年8月に行った数名の市議による公費視察名目の
     北海道ゴルフ旅行が発覚したた際、どのような手続で公費視察が
     なされるのか知りたいので、市議の報告書などを見せるよう
     市民数人で、市川市議会議長に要請したことがあります。

     「議員の書いた文書は拙くて人に見せれたものでない。」
     「また見せたくても、市にはまだ情報公開条例がないので見せることが
      できない。」

     といった理由で断られてしまいました(これホントの話)。

     このようなことがあったので、私の最初の請求は議員さんの視察旅行と決めていました。

 4.公開された公文書から分かった視察旅行概要

      視察旅行期間  H9年8月20日から22日まで
      視察先     北海道の北見市、網走市
      視察メンバー・視察目的
         環境経済委員会委員の2議員・国民健康保険事業について
         総務委員会委員の3議員・財政運営について
         随行の議会事務局職員2名、
         計7名、
          なお、予定では10名であったが、次の3名は直前に取りやめ。
           文教福祉委員会委員の2議員・老人福祉対策について
           建設委員会の1議員・都市計画事業について

      費用  一人あたり・・108,530円
          内訳 運賃・・・65,630円
             日当・・・・9,900円
             (ただし事務局職員は7,200円と6,600円)
             宿泊・・・33,000円
          7人分総額・・753,710円

 5.公開された公文書

  (1)総務・文教・環境経済・建設・文教の各委員会委員長から、
     市議会議長宛に出された、
     視察旅行をさせ欲しいてという「派遣承認要請書」・・・・・・・・6通

  (2)網走市、北見市の各市議会議長宛に出された
    「視察依頼について」という件名の視察に行くのでよろしくという
     市川市議会議長からの依頼文書・・・・・・・・・・・・・・・・・2通

  (3)総務・環境経済の各委員会委員長から、市議会議長宛に出された
    「所管事務の調査について」という見出しの視察実施の報告書・・各1部づつ
    (これらには網走市・北見市準備の全部で110ページに及ぶ資料が添付)

  (4)会計関係の必要で作られた書類
    @10名でこれこれの総額1,079,300円の旅費を使います
     という趣旨の
     議会事務局が書いて、これに会計課長が印を押してある
    「支出負担行為書」という名の書類・・・・・・・・・・・・・・・・1通
    (これには議長が承認した旨で押印してある「派遣承認要請書」6通が添付)

    A収入役から会計課にこれこれの総額1,079,300円の旅費を
     出してあげなさいという「支出命令書」・・・・・・・・・・・・・1通

    B「旅費(概算)請求書」という名の収入役宛で
     10人の氏名と印のある総額1,079,300円の
     請求書と領収書とを兼ねた書類・・・・・・・・・・・・・・・・・1通

    C10人分旅費を受け取っていたが、行ったのは7人なので
     差額325,590円を返却する旨を示した
     収入役までの印が並んだ「旅費精算書」・・・・・・・・・・・・・1通
     中止議員も含む10名の印の並ぶ「旅費精算書内訳書」・・・・・・1通


    D3名中止者が出たので、修正する趣旨の
    「支出負担行為書(戻入)」という名の書類・・・・・・・・・・・・1通

    E修正にともなう3名の返納通知書兼領収書、3通

    F中止議員より返納された旨収入役に通知する「返納済通知書」・・・3通

    G5議員、2職員の出張命令票様の書類・・・・・・・・各1通づつ計8通

  (これら公開された文書の意味については、正直いって、自信ありません。
   どなたか、誤りに気付いたら教えて下さい。)

 6.手続・費用

   1998年2月13日請求
        3月3日公開(この間に都合のいい日時調整の電話連絡あり)

      費用はコピー代(1枚10円)で1500円ほど

 7.追加の公開請求

   公開された資料には
    網走市・北見市で、議員さん達はどれほどの時間をかけて視察の仕事を
    してくれたのかが分かる書類がありませんでした。

   つまり、

    公開受けた報告書はほとんど両市提供資料ファイル集で、
    これにくっついたかたちで、網走市・北見市のそれぞれにつき、
    詳細は提供資料の通りという書かれた
    2ページ半ほどの簡単な市の紹介文書があるだけだったのです。

    議会事務局職員の方に尋ねたところ、「そのような資料はない」とのこと。

   そこで、

    「文書不存在による」公開請求拒否となるのを承知で、
    3月9日に、

     「 H9年8月20日から22日に行った北見市ほかへ
       視察した旅行日程表の詳細を示す書類 」

    と、「公開請求する公文書の件名又は内容」欄に記載して
    改めて公文書の公開を追加請求してきました。

   かくして、

    H10年3月23日付の「文書不存在による」公開請求拒否決定通知書が
    郵送されてきました。

    請求拒否の理由欄には

     「 公文書の不存在
        公開請求のありました上記文書については、視察する議員
        のため、資料として作成してありますが、視察終了後は処分し
        保有していないのが現状であります。            」

    と書かれていました。

   でも、

    市民から集めたお金で、市民のために、なす視察旅行をやろうとするのだから
    どこでどのような視察をどのくらい時間をかけてこのようにやる
    といった内容の、責任者の印が並んだ、従って保存されるべき、文書が、
    視察する議員の便宜で渡される”旅行のしおり”類のものとは別個にあって
    しかるべきでは

   というようなワケで

    本当に不存在なら今後作成するようにとの気持ちも込めて、
    この決定には「異議申立て」というのをやってみようと思ってます。







第2報 (市議さんの視察旅行について ― その2)



 不存在を理由とする非公開決定に対する異議申し立てをしたところまでの話です。

1.異議申立書の提出
 
 次のような理由をつけて、
 不存在を理由とする非公開決定に対する異議申し立て書を、
 1998年4月24日に提出してきました。

  「
   (1)
         決定通知書では、当該公文書が不存在であることにつき、
   「視察する議員のため、資料として作成していますが、視察終了後は処分し保有して
    いないのが現状であります。」と説明しています。

     しかし、
    市民から集めたお金で、市民のために、なす視察旅行を100万円以上も使って
    やろうとするのだから、
    どこでどのような視察をどのくらい時間をかけてこのようにやる
    といった内容の、責任者の印が並んだ、従って保存されるべき文書が、
    視察する議員の便宜で渡される資料とは別個にあってしかるべきです。

     それ故、
    視察にどれほどの時間をかけたかが分かる、そのような文書が、どこかを探せば
    あるとしか考えられません。


   (2)
     また、もし、視察する議員の便宜で渡される資料とは別個にあってしかるべき
    文書は不存在だったとしても、視察する議員の便宜で渡される資料として文書が
    作成されたのなら、いまどき、それは手書きで作成されるはずないのですから、
    なお、フロッピーディスク中のファイルとして残ったはずです。

     そして、このファイルは組織として作成された(だから個人用メモなどではない)、
    上記(1)の文書に代わる重要な意味を持つ、保存しておくべき公開対象資料です。

     従って、消去などされることなく、今なお存在するに違いないと考えます。 


   (3)
     随行した二人の議会事務局職員にとっては議員視察がスムースになされることを
    目的として随行せよとの命令を受けての旅行だったのですから、
    本来の議員の視察が何日の何時から何時までなされたかが分かる復命書の一通も
    作成されていてしかるべきです。

     従って、このような形ででも、当該請求対象文書の存在が十分に考えられます。
                                          」

2.「異議申し立て」の成果(1998年5月12日現在)

   市川市としてはこの制度初の「異議申し立て」であったこともあって、
  新聞数社が、これを取り上げてくれ、議会事務局に取材し、
  地方版にですが、例えば読売新聞では(他紙も似たようなものでした)
  この「異議申し立て」紹介に続いて、

   「 これを受けて、議会事務局では
     『報告書を見れば、視察のやり方が分かると(内部的に)考えていた』
          と話し、今後については、各会派の承認を前提としたうえで、
     『市民に分かりづらいということであれば、視察先や説明相手、
     時間などが分かる新たな文書作成を検討していきたい』としている。 」

  との記事を掲載してくれました。

   新聞という公の場で、当局の前向きの言説を得たわけですから、
  それなりの成果なのでしょうねえ。

   今後は、市議の皆さんの良識を期待しつつ、
  議会の対応を注意深く、見守っていきたいですね。






第3報 (市議さんの視察旅行について ― その3)
      わたしの第3回目の公開請求報告


公文書公開審査会の答申があって、これを受けて、議会が異議申立て却下したところまでの話です。


1.公文書公開審査会の答申 と 議会の異議申立て却下の決定


   平成10年7月29日付け文書で、市川公文書審査会会長さんから市川市議会議長さん宛に
  異議申し立てに対する決定についての答申がなされ、
  同じ日付けの文書で、審査会会長さんから、その写しが私宛に郵送されてきました。
  また、その数日後、市川市議会議長さんから異議申立棄却決定通知書も届きました。

   これらの文書の中で、
  お目当ての文書はないのだから、異議申し立ては「却下すべき」と審査会はいい、
  議会も「却下する」といってます。

   でも、審査会意見として、今後は私がお目当てとしたような文書を作り保存するよう促し、
  そのことは役所としてなすべき常識的なこと、と、お叱りぎみにちゃんと、いってくれています。
  そして、この審査会意見を受け出した議会の異議申立棄却決定の通知書も、
  その末尾の「なお」書き以下はつぎのよう書かれていました。


  「 
     なお、市川市議会は、市川市公文書審査会での答申を踏まえて、
    「視察日程表」については、平成10年度から公文書と位置づけて
    「視察報告書」に添付し保存を実施するほか、随行職員から視察について
     の復命書を提出させる。また、視察に関し今後は、視察日時、説明者、視
     察場所、視察者、調査事項を記載した「所管事務調査結果報告書」を作成
     することとする。


      この決定通知書は、謄本であることを証明する。
      平成10年 8月 7日

                 市川市議会議長 杉沢順一 印

                                         」
   
    




2.公文書公開審査会の答申の全文掲載ほか

   参考までに
  市川市の公文書審査会答申(第1号)の全文を
  ここに掲載しておきます。お暇な方はどうぞ。

公文書審査会答申(第1号)の全文はここです。


   
   作成・保存されるべき文書についての制度改正は、なんだかんだいっても
  最終的には議員の皆さん方の決めるところによります。
  そこで、
  審査会意見が出したレベル以下に決まってしまうことがないことを願って、
  より多くの市川市民の知るところとして欲しく、
  新聞数社に、答申全文をファックスし、記事にしてもらいました。

   新聞でことの次第を多くの市民は知ったことだし、
  市議会議長も異議申し立て棄却通知書末尾で、あのように書いたのだし、
  もう、大丈夫かな。

   この案件はまず、
  9月に各派代表者会議に提出されて取り上げられることになるそうです。
  引き続き、見守っていくこととしましょう。
  

 



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