衝撃の第六号

時代が生んだ問題・歪みを徹底的に暴く


変形武道

 

14年前にイクミン・サムライコア編集部に一通の招待状が届いた

 

変形武道大会を開催します ×月×日 ビックサイト地下10階特設会場にて

 

まるでグラップラー刃牙のような話しで

イタズラだと思い

笑い話で私の中では終わっていた

 

そんな事は忘れていた私にまた 一通の招待状が届いた

 

変形武道大会を開催します ×月×日 ビックサイト地下10階特設会場にて

 

昔もこんなイタズラがあったね

と、編集部一同昔話になった

そんな話の中 編集部員 しんごがひっかかる事を言った

「変形玩具で闘うんですかねー ほんとにそんなのがあったら

前に取材した変形塾とか 出場してるんでしょうねー」

 

私は次の日 獄中の変形塾の塾長に会いに行った

招待状を見せたとたん 塾帳の顔は変わった

「まだ やってるのか」

彼はつぶやいた

「えっ ほんとにやっているんですか?」

「行った事 ないのか?」

「ええ 14年前に招待状が来たんですけどイタズラだと思って ほっときました」

「14年前 そうか あの事件の時だな それ以来 もう2度とやることは無いと思ってた」

「事件?」

「ああ」

「話してもらえますか?」

「変形武道大会っては その名の通り変形玩具で闘うんだ」

「ただあくまでもスポーツとしての武道だ 楽しく玩具でチャンバラしようという」

「・・・14年前の大会 第5回大会の時にそれは おこった」

「実は変形玩具っていうのは徳川幕府の時代からあってな」

「まぁ その頃はからくり玩具と呼ばれていたけど」

「その頃から 変形武道はあったんだ」

「時代も時代だから 殺し合いの真剣勝負だ」

「変形武道だけじゃない 家具で殺しあう武道や ありとあらゆる物があった」

「その頃の からくり玩具武道を受け継ぐものが昭和の世にいたんだよ」

「殺し合いの あらゆる武道は幕末の令で ほぼ影を潜め」

「PL法が出来てから壊滅したと思ってた」

「ところが奴は現れた」

「そいつが 現れたのは決勝戦だった」

「観客席からいきなり2010ガルバトロンを持って・・・」

「一瞬の出来事だった 奴はSFガンに変形させて 決勝進出した猛者2名を・・・」

「その間 3秒もなかったよ」

「そいつは言った からくり玩具武道は遊びじゃない 殺人武道だ」

「俺は からくり玩具を殺人の為に作りだし この世の変形遊びを地獄と化す」

「そういって去って行った」

「流石にこのような形でも死者が出ては 大会も続けて行くわけにはいかないからな」

「もう2度と開催されないと思っていたんだがな」

「その人の 名は?」

「後藤まき プッチモニと呼ばれている」

 

「塾長さん・・・ ここ・・・・」

「・・・・・・  伝言を頼まれてくれないか?」

「はい」

「山梨支部の伴宙太に  時は来た 剥き身の剣となれ と」

「はい」

 

編集部に戻り

この原稿を書いている

私は招待に招かれようと思っている

 

 

変形武道大会を開催します ×月×日 ビックサイト地下10階特設会場にて

後藤まきより

 

招待状の差出し人は彼だった

 

その危険な血を血で拭うその時をこの目で見てみたい

玩具者なら誰でも持つ好奇心

その好奇心に殺されぬよう あなたも注意した方がいい

あなたの持つ そのコブシに変形するトランスフォーマー

回収された箱には からくり変形と書いてあった


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