1999年の夏休み

私がまだ何も知らなかった夏休み、
世界がそれまでとは全く違って見えるようになった。



「一番好きな邦画は何?」と問われれば、
私は迷わず「1999年の夏休み」と答えます。
きれいな音楽、さわやかな風景、甘く切なく痛々しい物語。

公開の頃、当時住んでいた街では劇場で観ることはできず、ビデオで見ました。
一目見たその瞬間、私はその映画の虜になっていたのです。

あれから10年。

遠い未来だった1999年の7の月を、
何事もない日常の中で、昨日の続きとして迎えました。
でもやはりこの年の夏休みは特別な夏休みなのです。

1999年を記念して7月17日からレイトショウがありました。
初めて劇場で会う和彦や直人、薫に則夫。
その感動も覚めぬまま、あの夏を探して、旅をしてきました。




7月20日、佐久平で新幹線を降り、車が最初に向かった先は長野県の八千穂高原です。

雨がポツポツと降っているが、照りつける猛暑よりはよほど快適。

徐々に標高を上げ、白樺の林を抜けて着いた、八千穂レイクは霧の中でした。

八千穂レイクは人造湖ですが、静かないい雰囲気です。

ここは映画の舞台ではないのですが、周辺の白樺やここへ至る風景がすっかり気に入ってしまい、この旅の間、朝に夕に訪れてはぼーっとしていました。




翌日再び訪れた八千穂レイク。

幻想的な霧の風景も素敵でしたが、夏休みには青空と入道雲です。

周囲の緑が湖面に映り込んでとても綺麗でした。




八千穂高原は東洋一と言われるほどに白樺の林がみごとです。

「1999年の夏休み」の風景の魅力を支えているのもこの白樺。

中でも私のお気に入りは、八千穂レイクへ至る駒出池線。車もまばらな一本道が白樺に包まれている様は、どこか夢の中の風景のようでした。

この写真はもう一個所のお気に入りポイント、村営の花木園のスキー場寄りで撮りました。




旅の最終日には碓井湖へ立ち寄りました。

あの桟橋も今はなく、違う未来へ迷い込んでしまったような、平行世界へ飛ばされたような、既視感の中の違和感を味わいました。



このページの写真はカシオQV-100で撮像しています。カシオの色の鮮やかさとともに、35万画素の限界も見せ付けられました。あの美しい風景が少しでも伝わればいいのですが…。興味をもたれた方、ぜひ自分の目で確かめてきてください。

以下に、映画を離れてのおまけの写真を何枚か。


映画のことを抜きにしても、八千穂高原はとても素敵な場所です。

可憐な高山植物や、いろいろな虫達が出迎えてくれます。

子供の頃、虫取り網を手にわくわく過ごした夏休みがよみがえってきます。

これは白樺林の中で見付けた蝉。葉の裏で脱皮して、表側まで動いたのかなぁ。こんなに間近に蝉を見たのは初めてかも。




村営の八千穂高原自然園も、水と緑に囲まれた素敵なところです。

自然を残しつつ、ほどよく散策しやすいように管理され、道案内の看板や草木の案内板もよく整備されていました。

園内の四阿で雨宿りをしていたら、三脚に蝶が雨宿りに来ました。




碓井湖の周辺は、鉄道ファンにとっても特別な土地のようです。

横川駅近くの碓氷峠鉄道文化村にはじまり、丸山変電所跡にはじまり、鉄道遺産が多く残っています。「遺産」にならないのが一番なんだけど、時の流れもあり、せめて古きを知るよすがに…。



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平成12(西暦2000)年7月24日作成