引佐町でみた「文化」の変容


引佐町渋川郷は浜松駅から車で一時間ほどの集落です。その渋川小学校の前にその店はありました。その名は「渋川文化書店」。隣は農協、前は小学校とガソリンスタンドという立地です。


ジュースや菓子も売っているようなので、それらを買いこもうと店に入ったところ、確かに菓子は充実していました。だがしかし、本など、どこにも無いのです。よくパン屋の軒先のスタンドで、ジャンプとマガジンとテレビガイドだけ売っていたりしますが、そういうのも無し。店の奥にノートなどの文房具を売っているコーナーがあり、そこに本屋だった頃のわずかな名残がありました。

店の人に話を聞いたわけでないので、ここからは想像です。かつては小学校の門前で本や文具を売っていた店だったのでしょう。しかし本だけではなかなか商売にならず、同じ子供相手ということで駄菓子を売り始める。更に、子供相手だけでは商売にならなくなり、煙草なども売り始める、そしていつしか本の比重は下がり、ついに本を置かない本屋という今に至ったのではないでしょうか。

出版業界は再版制度が文化を守っていると言いますが、この事例はどう考えたらいいのでしょうか。再販制度があってもこういう厳しい状況なのだから、無くなれば言わんやということなのか。再販制度があろうが無かろうが、本が売れる場所では売れ、売れない場所では売れないということなのか。
モータリゼーションの進展で、隣の商店街よりも遠くのショッピングセンターという傾向が強まっている、一般の「商品」と本も同じ、そういうことかなと感じた引佐町での光景でした。

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平成13(西暦2001)年4月15日作成