2010年3月20日(土)
 

高円寺に昨年オープンした「座・高円寺」を見に行く。外観はテントをイメージしたと思われるフォルムに、まさしく設計者がわかる多くの丸ガラス窓を配した特有のデザイン。設計はまつもと市民芸術館(→2005.10.28)と同じ伊東豊雄氏である。内観は各壁面に散りばめられた丸ガラス窓からの光をより無数に感じられ、ポップで神秘的なムードになっていた。螺旋階段から地階を覗いて、制作マテリアルとしてアレンジしたい目的も含めて写真を何枚か撮りながら2階のカフェ「アンリ・ファーブル」へ上る。こちらも建物と一体になった共通の雰囲気で作られたスペース、タイミング的にひと気も少ない時間帯で広々とした空間がいい感じだった。この施設の構成は3つのホールと書庫とカフェ。なるほど「阿波おどりホール」を設けているのは、運営する主要団体にNPO法人、日本劇作家協会に加えて杉並区文化協会が存在するためだろう。思い起こせば久しく歩いていない桃太郎寿司のある通りを再び駅方向へ戻って今夜の食材のお買い物をする。まとめ売りが有名な青果店、お隣の姉妹鮮魚店、最も美味しい鯵フライ(→2005.9.10)を売るお店、土曜日は行列必須のお肉屋さん(→2008.4.5)と月並みとはいえ堅実なコースを経て庚申通り商店街の喫茶店で一休み。最後はお世話になっている酒屋さんでワインを2本購入。高円寺駅からアパートまで徒歩約30分、重い荷物はラストにと意識しつつも毎度その通りにいかないのがここでの行動スタイルになっている。今日は最初に大降り人参5本100円をつい買ってしまった。


2010年3月12日(金)
 

久しぶりに高田馬場の映画館で映画を観る約束をする。これに合わせて定期的に開催されるシチズン時計ファミリーセールへ案内状を持って2年ぶり(→2007.12.7)に行く。ここは訪れる度に規模が小さくなる印象で、掘り出し物どころか使用中の腕時計よりも気に入った物も見つからずギフト向きの置時計辺りもほとんど無く、20分程度見渡して何も買わずに退散した。会場のシチズンボウルから早稲田通りを東へ歩いて早稲田松竹へ着くまでに、途中本屋に寄って立ち読みした10分程度を含めて35分もかかった。何故なら先日スポーツクラブでプール休業の代わりに2.5kmのジョギングをしたおかげで、左脚の膝付近が筋肉痛らしく普通に脚を曲げて歩く事ができないからだった。ヤワな自分の体にイライラしながら待ち合わせ5分前に着いて入り口外で煙草を吸う。さて今日の映画はギジェルモ・アリアガ初監督の「あの日、欲望の大地で」、原題は「The Burning Plain」。上映最終日でラスト1本800円にもかかわらず観客は座席1/3位と意外に少ない。物語はお得意の時間軸を行き来しながら展開する人間ドラマ、個性的だが映画作品として少々地味な仕上がりだと感じた。舞台ニューメキシコの乾いた大地の風景、シャーリーズ・セロンとキム・ベイシンガーの役柄や演技等々良い部分は多い。因果応報的な人間関係やミステリアスな場面展開の中で、幾つか登場した鍵となる演出も効果が弱くて残念な感じだ。やはりギジェルモという人は脚本で才能を発揮できるタイプで、「アモーレス・ペロス」「21グラム」「メルキアス〜」(→2007.3.5)「バベル」(→2008.1.22)とどれも素晴らしいが、 監督としては物足りないなどと後に友人と談話。邦題はどのような意図なのかと考えながら、早稲田通りを再び西へ駅を通り超え進み友人の知る居酒屋へ。こちらはもつ焼きを中心に、おばんざい的な料理も揃え一品が200円台からと格安、お味の方は悪くは無いけれど値段相応だろう。遅い時間のスタートだった所為か飲むピッチが早くなり日本酒3合で一気に酔って、超満席店内の賑やかさも気にならず、脚の痛みも気にしながらも忘れ西武線へ乗って帰路へ。

   

2010年3月9日(火)
 

「マン・オン・ワイヤー」をDVDで観る。1974年8月7日にNYのワールド・トレードセンター間を綱渡りしたフランス人フィリップ・プティの姿を追ったドキュメンタリー。監督はジェームズ・マーシュ、結果が周知している事実を当時の映像と再現映像により飽きさせず一つの物語として映画化した手腕は巧いと感じた。「史上、最も美しい犯罪」と称された意味が理解できた。映画は当ビルをメインに構成されているが、ノートルダム寺院やハーバーブリッジ等の頂上を細いワイヤーで渡っているビジュアルは風景と非現実的な行為が重なって何とも幻想的で不思議な構図となっている。マイケル・ナイマンの音楽もドラマティックでマッチしていた。彼は非公式を含めこの高所パフォーマンスを実行しているそうだが、場所を選ぶポイントは高さよりも美しく歩ける事だそう。大道芸人のテクニックに芸術性が加わったパフォーマンスである。またこの作品で興味深いのは実現させるためにチームが綿密に取り組んだ計画や練習過程を表している事。最も苦労したのは屋上に道具を運んで不法侵入する手段だろう。入館許可証偽造、偽装取材、ワイヤーの設置など諸々に時間のかかる経緯を積み、チームワークが成功に導いたと言える。現場に居合わせた警備員の証言「人生で二度と見られない物を見た」のコメントや仲間の一人が思い出し感無量で涙ぐむ辺りでその大胆さが伝わってくる。比較するレベルは違うけれど建築労働者(→2010.02.20)の命綱は無し、一秒の狂いが命を落とす自分との闘いだ。それなのにフィリップ曰く「夢を実現させるための死なら本望」とは呆れる程の非凡人。当時世界一高いビルだったワールド〜の全体像やフォルムを改めて知るのも今でこその魅力になっている。


2010年3月6日(土)
  新宿のコニカミノルタプラザでKIKI写真展「Sense of Wonder」を見る。旅先の長崎で捉えた風景、教会やマリア像、草花等を独自のセンスで構成した30点程のコレクション。被写体には彼女の美意識や優しさを反映したようなストーリーがあり、ブックレット仕立てのプリントも合わせて世界観が伝わる内容だった。私達が訪れた頃にちょうどご本人がいらっしゃったが、ラジオや雑誌で見聞きしていたイメージよりも意外に華奢で地味な印象だ。隣接するギャラリースペースでは雑誌「Pen」との共同企画「エコ&アートアワード2010」の入選作品の展示を開催していた。環境活動、文化・芸術の支援活動を目的として昨年から創設した公募展。ブースはアートとプロダクトの2つに分かれ、前者には環境問題をコンセプトに絵画やオブジェやビデオ作品として地形を表した椅子、感熱紙のレシートで作ったエコバッグ、地球や白くまや魚のモチーフ等。後者には小さくなった石鹸を再利用する用具、インクを使い切るボールペン、付箋紙、ボックスティッシュ、ランプ等のアイデア製品がラインナップ。私にはアート作品の方が楽しめ、後者にはどうも観点が小さいというかインパクトのある作品は無かった。さて当企画の協賛はWWFで、募金をするとオーディエンス賞の投票に参加できるというシステム。迷わずただ見るだけの自分、というのもWWFの存在や活動を否定する訳ではないのだけれど、昨年この団体の象徴となっているパンダの保護に莫大な金額を掛けているニュースが記憶に残っている事、それ以前に正直言ってパンダだけは可愛いと思えない所以があるので。などと思いながら、水と二酸化炭素に分解されるプラスチック製の卵に入った花の種子をいただいて容器が開かないまま持ち帰った。