「○○師…?」



 今回のトピックスでは、○○師と言われている、職人について

              触れてみようかと思います。

○○師と○○士の違いは、・・・よくわかりませんが、「師」とはあ

る技術・能力を持った人とあります。数多くの○○師がいらっしゃる

なか、邦楽器に関連した、○○師をクローズアップしてゆきたいと思

います。その第一回目として、「江戸指物師」をご紹介させて頂きま

              ます。

「江戸指物師」



 指物師とは釘を一切使わず、板と板をしっかりと組み合わせること

で作る木工芸を指します。江戸指物師の技術は、江戸時代に幕府によ

って日本全国から呼び寄せ、日本橋周辺などに職人町をつくり、手工

業を発達させるなか、上方から江戸へ流れてきたと言われています。

江戸時代元禄期に発行された「人倫訓蒙図棠(じんりんきんもうずい

)」からも江戸の町に指物師がいたことがわかり、独特なものとなっ

              たのは文化、文政ごろとされています。

ちなみに江戸指物と京指物がありますが違いは、京指物が朝廷・公

家用や茶道用など、材料は紫檀(したん)、黒檀(こくたん)、鉄刀

木(たがやさん)などの唐木細工が多かったようです。対して江戸指

物は、武家用・商人用・江戸歌舞伎役者が多く、材料としては桑、桐

、松、杉などを使用し、木目をいかした淡白な作りで、かつ柔らか味

             があるのが特徴とされています。

 では、邦楽器業界において指物師がつくる物には、どのような物が

あるでしょうか? 代表的なものでは、「合曳」「見台」などがあげ

られます。どの作品も特徴とされている、木が持つ柔らかさと、手づ

くりでしか出すことの出来ない風合い、また熟達した指物師がつくる

見えない部分へのこだわりなど、江戸指物師の粋が見え隠れします。

 私たちが作っている三味線しかり、やはり本物には手作りでのみ出

すことのできる風合い、細かい箇所の正確さ、見えない部分へのこだ

わり。さらに、職人の心意気や魂のようなものが、作品として息づい

              ているのではないかと思いました。