「障害者自立支援法案」に対する参議院本会議代表質問


7月22日、平田議員は「障害者自立支援法案」に対し、参議院本会議で代表質問を行いました。本法案は、福祉
サービスを、障害者種別を超えて一元化すると共に義務的経費とし、複雑な施設体系、施設制度の見直しを進め
るものです。しかし、身体・知的・精神障害の三障害のみを対象としたことや、所得保障が先送りになったこと、
また、肝心な部分がほとんど政省令に委ねられていること等、多くの問題があります。そして、最大の問題点は
一律に応益負担という考え方を導入したことです。平田議員は、国民の優先課題は、社会保障を充実させること
であり、とりわけ後回しにされてきた障害保健福祉をどのような理念で、どこに導いてゆくのかが、社会保障全
体の改革を成功させるか否かの試金石になるとの観点から、小泉総理を始め、四大臣に質しました。



○平田健二君 民主党の平田健二でございます。
 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました障害者自立支援法案に対し、質問をいたします。
 まず、質問に先立ちまして、石綿関連企業において多くの中皮腫、肺がん等の患者及び犠牲者が出ております。
また、石綿関連企業に勤務している労働者のみならず、家族や周辺住民にも被害が及び、アスベスト健康被害は拡
大、悪化の一途をたどっております。
 お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、御遺族に哀悼の意を表しますとともに、健康被害を受けた方々
に対しましてお見舞いを申し上げます。
 アスベスト対策への政府の不作為行為は明らかであり、被害を拡大させた責任は重大です。政府の責任で早急に
徹底した対策を取られるよう、要請をいたします。
 我が民主党は、今回の健康被害に関してプロジェクトチームを設置し、徹底的な原因究明とこうした方々の救済
制度の整備や将来的な対策を含め、抜本的、総合的な対策の確立に向けて全力を挙げてまいる所存でございます。
 次に、法案の質問の前に、小泉総理にお尋ねをいたします。
 報道では連日、衆議院解散・総選挙の文字が躍っております。郵政民営化法案が本院で否決された場合、衆議院
を解散するおつもりがあるのかどうか、明確な答弁を総理にお願いをいたします。
 さて、二十年余り前、国連は、国際障害者年行動計画に、一部の構成員を排除する社会は貧しく、もろいと明記
いたしました。障害者の施策の充実度は、社会の本当の豊かさを示すバロメーターであります。弱者に必要な支援
を行わなければ、幾ら物質的に豊かな経済大国になっても、それは心の貧しい、きずなのもろい社会となってしま
います。
 総理は、郵政民営化法案を最優先課題と位置付け、その成立に向けて邁進されておられますが、郵政民営化はそ
んなに急がなければならない緊急課題なのでしょうか。昨日はロンドンで二度目のテロが起きました。被害の拡大
も心配ですし、警戒も一層強化しなければなりません。また、中国では意表をつく元の切上げが発表され、日本経
済への影響も懸念されます。内外ともに課題山積です。そして、国民が今、優先課題と感じているのは、安心して
この国に住み、安心して人生を送るために欠かせない社会保障を充実させることであります。その社会保障の中で
も、とりわけ後回しにされてきた障害保健福祉をどのような理念でどのように導いていくのか、障害者の皆さんが
我が国の真の豊かさをいかに享受できるようになるのか、そのことこそが社会保障全体の改革を成功させるか否か
の試金石となるのです。
 以上の観点から、総理を始めとする関係大臣に質問をいたします。
 平成七年に策定された障害者プランは、保健、福祉領域の施策にとどまらず、例えば住宅や建築物、交通、情報
分野等におけるバリアフリー社会の推進を包括するとともに、初めて数値による達成目標が掲げられるなど、画期
的なものと評価をしております。今後は、諸施策の拡充に向け、この障害者プランを実効あるものとするため、こ
れまで以上に内閣として取組の強化が必要だと考えます。総理の基本的な方針をお示しいただきたいと思います。
 また、平成十二年に施行された社会福祉基礎構造改革では、従来の措置主義から利用契約主義への大転換、その
ための支援費制度の導入によって福祉制度は大きく変わりました。ところが、今回の法案は、こうした改革の流れ
を逆行させるものではないかと指摘がなされ、多くの障害者の皆さんも危惧されています。
 そこでお尋ねします。本法案は、この構造改革の流れの中でどのように位置付けられるのか、今後の方向性につ
いて総理の見解を伺います。
 我が国では、平成五年の障害者基本法の成立、また平成十五年の支援費制度の創設により、障害者はようやく社
会を構成する一員として地域の中で生きていく権利を与えられました。しかし、日本の障害者は、長年、施設や家
庭で隔離された状況にあり、抜本的な対応も所得を得る手だても講じられないまま、資産を形成するという機会を
持つことができませんでした。
 就労の現状は、三十歳から三十四歳の身体障害者で四六%、知的障害者で五四%であり、四十代後半からは急速
に就業率が低下をしています。精神障害者に至っては統計すらありません。また、知的障害者の半数強が授産施設
や作業所で就労していますが、その工賃の平均月額は一万二千円と極めて低い水準であります。その一方で、大半
の障害者は一月六万円から八万円の障害基礎年金に頼り、経済的に大変厳しい状況にあります。また、大阪障害者
センターの調査によると、障害者の九割強の方々の年金や手当等の公的収入が月額十万円未満であることが明らか
となっております。
 このように、生活環境が大変厳しい障害者の実態について、総理はどのように認識しておられるのか、お伺いを
いたします。
 総理は、本法案の名称にも含まれている自立をどのようにとらえておられるのでしょうか。障害者が求めている
自立とは、施設を出て、地域で、その人らしく、人間らしく生きるということです。政府の解釈は、介助を必要と
せず、一人でできるようになるとも受け取られますが、総理御自身は障害者の自立をどのようにお考えなのか、認
識をお聞かせください。
 国会周辺では、炎天下にもかかわらず、障害者やその家族、支援の方々など、連日数百名の方が法案成立反対の
声を上げておられます。そして、五月十二日には六千六百人、七月五日には一万一千人の方が集まり、この法案に
対する不安をアピールされております。総理、郵政民営化では一億五千万も掛けPR用のチラシを作り宣伝したわ
けですが、本法案では障害者団体との意見交換を行っただけで、障害当事者の声を必ずしも反映したものとなって
いません。
 総理は、私たちのことを私たち抜きで決めないでくださいという障害者の声をどのように受け止められておるの
でしょうか。障害者の生きる権利を脅かしかねない法案について、当然当事者に対する十分な説明を行う責任があ
ると思いますが、総理の御認識を伺います。
 本法案は、その提出を急ぎ、基礎的な調査が不十分なまま統計を取りまとめた結果、障害者部会に提出したデー
タに六種類十一件の誤りがありました。特に、障害に係る公費負担医療制度の概要の資料では、一か月の平均利用
件数の数値が年間利用件数の数値となっており、また所得状況の推計調査では、精神通院医療の利用者以外も含み、
かつ個人の収入調査から世帯の所得を推計するなど、データ自体の信憑性が問われています。さらに、障害者の人
数は、身体障害者、知的障害者については施設入所者と在宅者を一貫性もなく調査したものを集計し、精神障害に
至っては、障害者手帳の所持とは関係なしに、精神疾患の患者数を精神障害者の数として扱っております。
 これでは障害者の実態を正確に把握することなどできません。基礎的なデータがことごとく欠如しており、これ
では何を根拠に法案の制度設計を行ったのか疑問を抱かざるを得ません。障害者施策の大転換を図る法案を提出す
る前に、障害者の実態を正確に把握する調査をまず実施すべきであったと思いますが、総理の御見解を伺います。
 平成十五年からスタートした支援費制度は、障害者自身がサービスを選択、決定できるシステムで高い評価を得
ているわけですが、予想以上に利用量が伸び、毎年予算不足を招きました。予算不足に陥った原因の第一は、基礎
的データの不足に加え、実態を反映していないデータを基に制度を運用したことにあります。第二は、障害者に向
き合ってこなかった結果、潜在的なニーズをとらえることができず、利用量の増加の正しい推測ができなかったこ
とにあります。
 そこでお尋ねしますが、そもそも障害者サービスに係る予算は十分なのでしょうか。私は絶対的に不足している
と考えていますが、総理はどのようにお考えなのか、お伺いします。
 また、予算不足を招いた支援費制度は失敗だったとお考えなのかどうか、支援費制度をどのように総括されるの
か、尾辻大臣にお尋ねをいたします。
 障害者は働きたくてもその機会を得ることができず、大半は年金に頼らざるを得ないのが実態であります。この
ような状況を放置したまま、厚生労働省は障害者自らも制度を支えるべきだと説明していますが、これは政府の怠
慢を障害者に責任転嫁する以外の何物でもありません。障害の重い人ほどサービスを多く必要としていますが、逆
に、働く機会も収入も少なくなります。障害の重い人ほど負担が一層重くなる、これがこの法案の定率負担であり
ます。
 厚生労働省は、障害者のなけなしの年金を半分払いなさいとでも言いたいのでしょうか。総理、障害者にとって
サービスとは、受けなければ生活していけない、生きるために必要なものです。そのようなサービスに定率負担と
いう考えを取り入れれば、結果はおのずと見えてきます。その一つがサービス利用の自制であり、二つ目には家族
の負担増です。このままでは、障害者の皆さんの不安は増えるばかりです。
 障害者が利用者負担も賄え、自立した生活が可能な所得保障制度や低所得者の負担軽減策が確立するまでは定率
負担は導入すべきではないと考えますが、総理の御所見を伺います。
 本法案における利用者の負担について、政府は定率負担という言葉を用いていますが、定率負担とは、利用者が
受けたサービスという益の大きさに応じて利用料を払う応益負担にすぎません。
 しかし、障害福祉サービスに係る益とは一体何なんでしょうか。介護を受けることが益なのでしょうか。グルー
プホームで懸命に地域生活を維持しようとすることが益なのでしょうか。精神障害者の医療受診が益に相当するの
でしょうか。
 私は、障害者に係る福祉サービスは、障害者が社会的な存在として生きていくための最低条件であり、益という
概念からはほど遠いものと考えます。また、障害者の自立と社会への参加を促進すること、そして国や自治体、国
民が一体となって障害者施策を作り上げていくことが障害者にとっても健常者にとっても益であると考えます。障
害者にとっての益とは一体何なのか、総理の御認識を伺います。
 本法案では、定率負担導入と引換えに、サービスに係る費用の国庫補助が義務的経費化されています。しかし、
なぜ定率負担導入と国庫補助の義務的経費化がセットなんでしょうか。財務省は、義務的経費とするために厚生労
働省に定率負担導入を求めたのでしょうか。定率負担導入は義務的経費化の絶対必要条件なのでしょうか。ケアマ
ネジメントシステムの制度化とサービスを計画的に提供する体制を整備し、応能負担の枠組みの中で利用者負担を
増やし、障害者サービスに係る費用を義務的経費化する手法は取れないのでしょうか。谷垣大臣の明確な答弁を求
めます。
 精神障害者は、支援費制度では枠外に置かれてきましたが、三障害の福祉サービスが一本化されることで、よう
やく身体障害者や知的障害者との同一サービスを受けられる体制が整います。しかし、サービスを統一することで
精神障害者の通院医療に関する公費負担制度が見直され、原則一割負担、所得によっては三割負担となります。自
己負担増による受診抑制を招くおそれがあるのではないかと思われますが、尾辻大臣の見解を伺います。
 平成十四年現在、精神病床の入院患者は約三十三万人、うち受入れ条件が整えば退院可能とされる患者が約七万
人とされています。昨年、精神保健医療福祉の改革ビジョンで十年間の数値目標を明示し、この社会的入院の解消
を明記されておられますが、どのように進めるおつもりか、尾辻大臣、具体的にお答えいただきたいと思います。
 さらに、自立支援医療では、給付対象者の重点化が図られ、負担上限額が減額される「重度かつ継続」という考
えが示されています。政府は、重度かつ継続の概念を疾患名の特定をすることで説明していますが、多くの専門家
から、疾病ではなく病態で判断すべきではないかと疑問が表明されています。こうした重度かつ継続の概念はどの
ように考えたらよいのか、尾辻大臣にお尋ねをいたします。
 障害者の社会参加を進め、自立に欠かせない移動介護が、裁量的経費として地域生活支援事業に位置付けられて
おります。支援費制度でも各自治体サービスにばらつきがあることを考えれば、障害者主体の運営がなされるか甚
だ疑問です。なぜ移動介護を個別給付にしなかったのでしょうか。もし、できないのであれば、重度訪問介護や行
動援護の対象を拡大した上で、サービス受給者の範囲を実質的に現状水準とし、障害者の社会参加を保障すべきで
あると考えますが、尾辻大臣の御所見を伺います。
 障害を持った子供が成人しても地域社会で自立して生活していくためには、学校教育における配慮が重要です。
障害児と健常児が小さいときから一緒に学校生活を送ることは、両者にとって大変有意義なことであり、ノーマラ
イゼーションを進めていく上でも必要であると考えますが、中山大臣はどのようにお考えなのか、御所見を伺います。
 障害のある子を持つ親から、今回の法案に対し切実な訴えが数多く寄せられております。例えば、親亡き後、施
設に入らざるを得なくなり、わずかな障害年金の中から、実費と一割負担では、日用雑貨や洋服、余暇に割く費用
はほとんど捻出できず、急な出費があると医療費の自己負担分まで賄えなくなり、十分な医療も受けられないので
はないかというものです。
 不安の声はほかにもまだたくさん上がっております。親の老齢化に伴う不安や障害者が自分の収入で暮らしてい
けるのかという不安に対しどのようにこたえていくのか、総理の明確な御答弁をお願いいたします。
 障害のある人や御家族は、障害者に対する社会の無理解と不十分な福祉施策という大変重い荷を背負ってこれま
で歩んでこられました。そして、ノーマライゼーションの推進と支援費制度の導入という後押しを受けながら、前
向きに精一杯生きていこうと地域で自立生活に努力されてきました。みんなで力を合わせ、作業所や授産施設を立
ち上げ、さらに将来のことも考えながら、生活支援事業やグループホームづくりに取り組んできたのです。正に地
域が一体となった手作りの対策を進めてきたのです。
 多くの方々は、障害者施策の前進に期待をし、今般の議論を見守ってきました。特に、支援費制度の枠組みから
外れた精神障害者は本法案に熱い期待を寄せていました。確かに評価できる側面もあります。福祉サービスを国の
財政負担が明確となる義務的経費に位置付けたこと、障害者種別を超えて一元化されたこと、複雑な施設体系、施
設制度の見直しに着手したこと、そして、精神障害者の分野が身体障害者、知的障害者と同じ土俵で検討されたこ
とであります。
 しかしながら、総合性を標榜しながら三障害のみを対象としたこと、所得保障が先送りになったこと、多くの知
りたいことが政省令にゆだねられていることなど、まだ多くの問題があります。そして、最大の問題点は応益負担
という考えを取り入れたことです。
 本法案は、負担増による財政的抑制論ばかりが目立ちます。福祉という言葉は法案の中にほとんど出てきません。
その代わり、自立支援、給付、負担、事業者などの文言が頻繁に出てきます。まるで福祉サービスを市場で購入す
るかのごとく錯覚を覚えます。真のねらいは、逆進性の高い定率負担を設けることで利用抑制を促すことを期待し
ているのではないかとさえ勘ぐってしまいます。これでは……
○議長(扇千景君) 平田君、時間が超過しております。簡単に願います。
○平田健二君(続) はい。
 自立支援ではなく、自立阻害と言われても仕方がありません。
 日本社会は心豊かで堅いきずなを持った社会であることを示すためにも、是非、障害者の実態をよくごらんいた
だき、十分な審議の上、慎重を期して御判断いただきますよう最後にお願いいたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 平田議員にお答えいたします。
 郵政民営化法案が否決された場合の衆議院の解散についてのお尋ねでございますが、郵政民営化関連法案につき
ましては、現在、本院において連日精力的に御審議いただいており、感謝申し上げます。
 政府としては、審議の中で、法案の内容を含め様々な質問に対して丁寧に説明し、御理解を賜るよう全力を尽く
しているところでございます。最終的に郵政民営化関連法案が成立することを期待しておりまして、否決されるこ
とは考えておりません。
 障害者施策の基本的方針についてですが、障害の有無にかかわらず、国民だれもが相互に人格と個性を尊重して
支え合う共生社会を実現するため、政府は、平成十五年度から、障害者基本計画に従い、重点施策実施五か年計画
に基づいて重点的かつ計画的に障害者の社会参加を推進しているところであります。
 障害者も社会の一員として自立し、あらゆる分野でその能力を最大限発揮することができるよう、今後とも政府
一体となって社会のバリアフリー化に取り組んでまいります。
 本法案と社会福祉基礎構造改革との関係についてでございますが、平成十二年の社会福祉基礎構造改革は、社会
福祉制度について、少子高齢化、核家族化の進展等社会構造の変化に対応して、だれもが家庭や地域の中で自立し、
尊厳を持った生活を送ることができるよう、行政が行政処分によりサービス内容を定める措置制度等の社会福祉の
仕組みを全般にわたって見直しを行うことを目指したものであります。
 この改革の中で、障害者福祉の分野については、障害者が地域において自立した生活を送ることを支援するため、
障害者が自らの選択により福祉サービスを利用する支援費制度が平成十五年度から施行されました。しかしながら、
現在の支援費制度は、精神障害者が対象になっていないほか、福祉サービスの利用に関する地域間格差が大きいな
ど、様々な課題を抱えていると認識しております。
 本法案は、自己選択と自己決定の尊重や、利用者本位といった支援費制度の理念を継承しつつ、支援費制度の各
種の課題に対応し、障害のある方の自立した地域生活の支援を一層推進するものであると考えております。
 障害者の実態につきましては、プライバシーの問題もあり、その把握が難しい面もありますが、これまでも各種
調査を通じて実態把握に努めてきたところであります。この中で、障害者の実態は多様であると認識しております
が、例えば障害者の住まいについて見ると、身体障害者の五%、知的障害者の二八%、精神障害者の一三%が施設
や病院に入所している一方、障害者本人が地域で暮らしたいとの希望が高まりつつあります。
 また、障害者の所得については、例えば年金収入のある身体障害の方々の場合には、年収三百万円以上の方が三
割いらっしゃる一方で、百万円未満の方が二割強いらっしゃるなど、所得の状況は多様であると認識しており、こ
うした状況を踏まえた対応をしていくことが必要と考えております。
 このため、障害者自立支援法案においては、精神障害者を含め支援を必要とする障害者が適切にサービスを利用
できるようにすること、共同の生活の場であるグループホームやケアホームを拡充し、住まいの選択肢を増やすこ
と、利用者負担をお願いするに当たっては、所得や預貯金等の少ない方にはきめ細かく減免の措置を講ずることな
どの対応を図ることとしており、障害者の地域での自立した生活を一層支援することができるものと考えております。
 障害者の自立をどう考えているかということでございますが、障害者の生き方は、その方の意欲、置かれた環境
や状態などに応じて様々であろうかと思いますが、例えば就労する意欲を持つ障害者が支援を受けて企業等で働い
たり、重度の障害者が自己の選択に基づいてサービスを利用し、様々な社会活動等に参加することなどを通じて、
地域の中で生き生きとその人らしく生きることが障害者の自立と言えるのではないかと考えております。障害者自
立支援法案は、こうした障害者の多様な状況を踏まえ、お一人お一人の能力や適性に応じて自立を支援することを
目的としたものであります。
 障害者やその関係者への法案の説明についてでございますが、本法案については、その立案過程から障害者の方
々も参画いただいた審議会で二十回にわたり論議するなど様々な場で御意見をお伺いするとともに、十六年度は、
障害者も含めた関係者の要請に応じ、延べ五百回にわたり説明や意見交換を行うことなどを通じて、様々な御意見、
御要望を承ってきたところでございます。
 今後とも、制度の詳細について関係者の御意見を伺いながら検討を進めるとともに、改革の必要性について障害
者の方々を始め国民の皆様に御理解いただけるよう努力してまいります。
 障害者自立支援法案の提出に当たり、障害者の実態調査を実施すべきだったのではないかとのお尋ねでございま
すが、障害者自立支援法案を国会に提出するに際して、身体障害者や知的障害者の五年に一度の実態調査や、精神
障害者について平成十五年に初めて行った大規模な実態調査などに基づき、障害者の実態を十分踏まえた上で制度
の内容を検討したものであります。
 今後、制度を施行する中で、サービスの利用状況や利用者負担、所得状況などについて、更に実態の把握に努め
てまいります。
 なお、社会保障審議会障害者部会に提出した資料の誤りについては、年間件数と月平均利用件数を取り違えて記
載したなどの誤りであり、既に障害者部会において説明するなど適切に対応したところでございます。
 障害福祉サービスに係る予算でございますが、障害福祉サービスに係る給付費は、支援費制度が平成十五年度に
施行されて以降、新たにサービスに取り組む市町村が増加する中で急速に増大しております。このため、平成十六
年度においては、流用や補正予算により財源を確保し、平成十七年度においては、在宅福祉サービスに係る予算を
平成十六年度当初予算と比べ五割増しの約九百三十億円とするなど、必要な予算の確保を図っております。
 しかしながら、今後も新たにサービスを利用する障害者が増えることが見込まれる中で、必要なサービスを確保
するためには、その費用について、利用者の方々も含め、皆で支え合っていくことが必要と考えております。この
ため、障害者自立支援法案においては、利用者負担の見直しに併せ、在宅福祉サービスに関する国や都道府県の負
担を義務的なものにすることとしております。
 これにより、必要な障害福祉サービスを提供するための予算を確保しながら、制度も安定的に運営できるものと
考えております。
 定率負担の導入についてでございますが、先ほど申し上げたとおり、今後とも、必要な福祉サービスを確保する
ためには、利用者も含めて皆で増大する費用を負担し、支え合うことが必要となっております。
 今回、利用者負担を見直し、定率一割負担を導入することとしておりますが、あわせて、障害者等の家計に与え
る影響を十分に考慮して、月ごとの負担の上限額を設定することや、収入、預貯金の状況に応じて個別に減免する
など、各般のきめ細かな負担の軽減措置を講じることとしており、障害のある方が生活していく上で支障が生じな
いよう配慮しているところであります。
 また、障害者の所得保障については、障害者が身近な地域において自立した生活を送ることができるようにする
ためには大変重要な課題であるとの御指摘があり、衆議院において就労支援も含めた障害者の所得保障の在り方に
ついて附則に検討規定が設けられたところでありますが、これに基づき、今後とも検討してまいります。
 障害者にとっての応益負担にいう益とは何かについてでございますが、障害者自立支援法案により、福祉サービ
スを必要とする障害者が、自己の選択の下で、国や自治体の制度的な支援の下、適切にサービスを利用することが
できる仕組みを実現し、障害の有無にかかわらず安心して暮らせる地域社会を築くことが障害者の益となると考え
ております。
 障害者の不安に対する対応でございますが、障害者自立支援法案は、親亡き後の不安にも対応しつつ、障害者が
地域で自立して生活できるよう、身体障害、知的障害、精神障害にかかわらず、市町村を中心に一元的に支援を必
要とする障害者にサービスを提供する体制を整備すること、働く意欲のある障害者の就労を支援するための新しい
事業を創設すること、サービス量と所得に応じた利用者負担をお願いする中で、所得の少ない方には負担を軽減す
るための様々な措置を講ずることなどを内容とするものであり、今後の障害者施策にとって必要不可欠なものと考
えております。
 また、障害者の所得保障については、障害者が身近な地域において自立した生活を送ることができるようにする
ためには大変重要な課題であるとの御指摘があり、衆議院において就労支援も含めた障害者の所得保障の在り方に
ついて附則に検討規定が設けられたところであります。これに基づき、今後とも検討してまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣尾辻秀久君登壇、拍手〕

○国務大臣(尾辻秀久君) 支援費制度についてのお尋ねがございました。
 支援費制度については、それまでサービスを利用できなかった知的障害者や障害児を中心に、多くの方が新たに
サービスを利用できるようになったことなど、障害者の地域生活を進める上で重要な役割を果たしているものと評
価をしております。
 しかしながら、同時に、現在の支援費制度につきましては、総理からも申し上げましたけれども、支援の必要性
に応じた客観的な基準がないことなどのため、地域における格差が大きいことや、そもそも福祉サービスの整備が
遅れている精神障害者が対象となっていないことなど、解決すべき課題もあります。
 このため、今般、障害者自立支援法案を提案し、支援費制度の自己決定と自己選択及び利用者本位の理念を継承
しつつ、障害保健福祉施策の抜本的な見直しを行うこととしておりますが、これは、今後の障害保健福祉施策をよ
り推進していくために必要不可欠な見直しであり、これにより、必要な財源を確保しながら制度をより安定的に運
営することができるものと考えております。
 精神障害者の通院公費負担医療制度についてお尋ねがございました。
 今回の障害者自立支援法案では、精神障害者の通院医療など、障害者に係る公費負担医療制度について、低所得
の方などに対し、所得に応じた負担の上限額を設定し、これまで以上にきめ細かく配慮することとしており、今後
とも精神障害者の方の必要な医療が確保されるよう留意しながら制度を運営してまいります。
 この法案では、これと併せて、これまで立ち後れてきた精神障害者に対する福祉サービスの提供体制を抜本的に
強化することとしており、今後とも、入院医療中心から地域生活中心へという基本的な考え方に基づき、精神障害
者が地域で安心して暮らせる社会づくりに向けて引き続き全力で取り組んでまいります。
 社会的入院患者の解消についてお尋ねがございました。
 障害者自立支援法案では、受入れ条件が整えば退院可能な方々の退院及び社会復帰を推進するため、精神障害を
含め障害種別を超えて市町村が中心となって福祉サービスを一元的に提供する仕組みに改めるとともに、精神障害
を含め必要な障害福祉サービスの見込み量を定めた障害福祉計画の策定を義務付け、計画的なサービス提供体制の
整備を図るなど、精神障害者に対する社会復帰や地域生活の支援を抜本的に強化することとしております。
 政府といたしましては、地方自治体の障害福祉計画を踏まえて障害者プランの見直しを行うなど、精神障害者を
地域で支えるための基盤づくりを計画的に進め、受入れ条件が整えば退院可能な方の退院促進に全力で取り組んで
まいりたいと考えております。
 重度かつ継続の考え方についてのお尋ねがございました。
 自立支援医療制度におきましては、対象となる疾患の範囲は従来どおりとした上で、原則一割の負担をお願いす
ることとし、低所得の方や重度かつ継続に該当する方については、月の負担額に上限を設定することとしております。
 この重度かつ継続とは、医療上の必要性から継続的に相当額の医療費負担が発生する方について、一定の負担能
力のある場合でも、医療費負担が家計に与える影響に配慮して、月の負担額に上限を設けるものであります。
 この重度かつ継続の対象については、病態で判断すべきとの意見があることは承知をしておりますが、病態と医
療費の大きさに必ずしも相関関係が見られないのではないかなどの課題がございまして、基本的に疾病で判断する
ことが適当ではないかと考えております。
 いずれにせよ、重度かつ継続につきましては、その範囲について様々な議論がございますので、先日、検討会を
立ち上げまして、御議論いただいているところでございまして、結論を得たものから順次対応をしていきたいと考
えております。
 移動支援についてのお尋ねがありました。
 障害者自立支援法案における移動支援については、あらかじめ予測できないニーズに対応するなど、地域の特性
や利用者の状況に応じて柔軟な形態での実施が可能になるよう、個別給付ではなく、市町村の地域生活支援事業に
位置付けることとしております。
 地域生活支援事業として位置付けるに当たりましては、移動支援の重要性にかんがみ、市町村が必ず実施しなけ
ればならない義務的な事業とするとともに、その費用についても国、都道府県が補助することができる旨の規定を
設けることとしており、今後も必要なサービスが適切に受けられるようになるものと考えております。
 なお、重度の肢体不自由のある方や強度行動障害のある方については、常時介護を要するため、外出時には移動
の支援と身体介護を区分することは困難であり、一体として提供する必要があることから、重度訪問介護や行動援
護として個別給付の対象としたところであります。(拍手)
   〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕

○国務大臣(谷垣禎一君) 平田議員にお答えいたします。
 障害者自立支援法における利用者負担の見直し、国の負担の見直し等についてのお尋ねがございました。
 障害のある方が地域で自立した生活を送れるよう支援することが重要であると認識しており、急速に障害福祉サ
ービスが増大する中、制度の持続可能性を確保することが重要な課題であると考えております。
 このため、障害者自立支援法案におきましては、公平なサービス利用のための手続や基準の透明化、明確化を図
るとともに、増大する福祉サービス等の費用を皆で支え合うという考え方に立ち、利用者負担の見直しを行い、ま
た、障害者の在宅サービスに関する国の負担の仕組みを改める等の改革を行うとしたところで、これらの改革を総
合的に行うことにより、より公平かつ安定的な制度の運営を図ることが可能になるものと考えております。
 また、利用者負担の見直しに際しては、低所得者に対し適切な配慮を行うこととしているところでございます。
(拍手)
   〔国務大臣中山成彬君登壇、拍手〕

○国務大臣(中山成彬君) 障害児と健常児が一緒に学校生活を送ることについてのお尋ねでございます。
 障害のある児童生徒と障害のない児童生徒がともに活動することは、双方にとって社会性を養い豊かな人間性を
育てる上で重要な意義を有するものと考えております。このため、盲・聾・養護学校や特殊学級等の教育の中にお
いて障害のない児童生徒との交流や共同学習を積極的に推進し、相互理解を促進しております。
 なお、盲・聾・養護学校の就学基準に該当する児童生徒について、市町村の教育委員会が認める場合には小中学
校に就学できる制度を平成十四年に創設したところであります。
 今後とも、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒の相互理解が促進されるように取り組んでまいりたいと考
えております。(拍手)
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