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史料名 | 著編者 | 成立年代/略説明 | 刊行本 | 史料所蔵機関 |
| 日葡辞書 | 宣教師 | 1603年(慶長8)−本編刊−/宣教師らが製作した辞書で、当時の日本語約32800語をローマ字表記して、ポルトガル語で説明している。これを元にした「日西辞書」「日仏辞書」がある。当時の日本語を知る貴重な史料。原題「Vocabvlario da lingoa de Iapam」 | 『邦訳日葡辞書』『日葡辞書』 | オックスフォード大学、エヴォラ図書館 |
| 医学天正記 | 曲直瀬玄朔 | 1607年(慶長12)/1576年〜1606年までの診療記録。天皇から庶民に至る数多くの患者の詳細なデータ、60種類の病気とその治療法が記されており、当時の病気や医学に関することだけでなく、為政者の様子なども分かる上で貴重な史料といえる。玄朔は二代目曲直瀬道三。 | 『改訂史籍集覧』 |
| 塵劫記 | 吉田光由 | 1627年(寛永4)/中国の数学書「算法統宗」を元に、数学の基本、計算法と共に、商売や土木など生活に応用した計算方法を図解した書。広く世の中に普及し、数学遊戯を記した巻が追加され、41年には改訂されて、問題と解答を付けた小型3巻本も出版された。 | 『岩波文庫』 |
| 唐風説書 | 長崎奉行 | 1644年〜1724年/江戸時代に中国船関係者から聴取した国際情報の記録。オランダ風説書と並ぶ。明の滅亡や、ヨーロッパ人の動きなどを記している。林春斎・鳳岡が「華夷変態」「崎港商説」としてまとめた。 |
| 乾坤辨説 | | 1660年/ポルトガル語の天文書を翻訳した書物。 |
| 後水尾院年中行事 | 後水尾天皇 | 1664年(寛文4)/朝廷の年中行事書。朝儀の衰退を嘆いた天皇がこれを記したといわれる。前半は月日順に、後半は事項ごとに記してある。仮名書き。 |
| 家訓 | 貝原益軒 | 1686年(貞享3)/儒者で教育学者、博物学者の益軒が家庭教育を説いた書物。 |
| 五常訓 | 貝原益軒 | 1688年(元禄元)/五常とは仁・義・礼・智・信のこと。五常についての解説書。 |
| 人倫訓蒙図彙 | 不詳 | 1690年(元禄3)/様々な身分の、様々な職業について説明、所作、使用される器具を図説した書。主に京都を中心としている。挿画は蒔絵師源三郎。7巻。題名は「じんりんきんもうずい」 | 『東洋文庫』 |
| 本朝食鑑 | 人見必大・元浩 | 1697年(元禄10)−刊行−/本草書。食物を中国の書物「本草綱目」を参考に和名中心に分類説明している。説明には、産地、加工、料理法、薬、行事などを入れ、本格的な食品学研究の最初の本とも言える。12巻10冊。 | 『日本古典全集』 |
| 農業全書 | 宮崎安貞、楽軒 | 1697年(元禄10)/農業書。農業、穀菜、草木、生類養法、薬などに分けられ、詳しく説明している。商品作物の栽培を段階的に説明するなど、本格的な農業研究書としては初めてのもので、自ら農業をやった安貞の経験が生かされている。後世に大きな影響を与えた。全11巻。 | 『岩波文庫』『日本思想大系』62 |
| 耕稼春秋 | 土屋又三郎 | 1707年(宝永4)/農業書。十村(加賀藩の農政組織で大庄屋に相当)の職にあった土屋が農業指導を行うために作成したもの。全7巻で、年中行事、稲の種類、商品作物の種類、農業方法、農政法、農機具について記してある。内容から単なる農業法を記したものでなく、農業経済指導書であることが判る。 | 『日本経済大典』『日本農書全集』 |
| 大和本草 | 貝原益軒 | 1709年(宝永6)/本草書。動植物及び鉱物1362種を分類して載せた大作。特に国内の品種は、自ら実地検証したデータを元に分類している。また商品作物に注目している点は、当時の農業経済へ注目した動きと一致する。本編16巻、付録2巻、図譜3巻。 | 『益軒全集』 |
| 括要算法 | 荒木村英、大高由昌 | 1712年(正徳2)/数学者関孝和の遺稿を弟子の荒木らが整理した和算書。関孝和がまとめた数学的業績を多く載せているが、荒木らの学力の結果か誤字脱字がある。 | 『関孝和全集』 |
| 和漢三才図絵 | 寺島良安編 | 1712年(正徳2)頃/百科事典。万物のあらゆる事象を80余りの部類に分けて、図を付けて考証している。和漢の事象を併記したところが特徴的。多くの学者に評価された。105巻81冊。 | 『和漢三才図絵』新典社 |
| 養生訓 | 貝原益軒 | 1713年(正徳3)脱稿/養生の方法について記した書物。全8巻15項からなる。中国の医学書を基にまとめたもので、益軒84歳の著。 | 『益軒全集』 |
| 六諭衍義大意 | 范メ | 1722年(享保7)/教育書。元は明の太祖朱元璋が民衆教化のために作った心得6ヶ条で、順治帝がこれを基に六諭臥碑文を作成して全国に広め、さらに范メがこの6ヶ条の解説書としてまとめたのが「六諭衍義」である。これを琉球王国へ程順則が持ち帰って出版し、教育書として使った。その後徳川吉宗の命で島津吉貴が清国の仕置法を琉球に求め、その返答として本書が幕府に献上され、教育書として荻生徂徠が訓点を、室鳩巣が要訳を命ぜられてまとめられたのが「六諭衍義大意」である。主に庶民の教科書として使われた。 |
| 女大学 | 貝原益軒? | 1729年(享保14)/女性教育書。女性を男性より低く扱い、夫を敬い、従い慎むことを述べている。貝原益軒の著者と考えられるのは、「女大学宝箱」という書物の末尾に名前があることからくる。同著者の「和俗童子訓」第5巻の女性教育論を基にしたと思われる。いわゆる「封建的」な教育論で、明治以降も内容をそのまま受け継いだ書物が多数ある。 | 『東洋文庫』『日本思想大系』 |
| 国家金銀銭譜 | 青木昆陽 | 1736(元文元)〜40年/我が国最初の銭譜 |
| 日本汐路之記 | 辻柳陰子 | 1738年(元文3)/大坂から九州までの航路の距離、各地の様子を記した書物で、これに大坂から江戸、下関から奥州への航路の距離が付記されている。東国部分も詳細に記した改訂版「改正新版増補日本汐路之記」がある。 | 『海事史料叢書』 |
| 大学養老編 | 入江南溟 | 1743年(寛保3)/中国上代の養老制度について |
| 大内裏図考証 | 裏松光世 | 宝暦年間/大内裏図などの伝来している図面史料と古記録を元に考証したもの。 | 『新訂増補故実叢書』 |
| 軍用記 | 伊勢貞丈 | 1761年(宝暦11)/軍事に関する儀式礼法といった故実と、装束、武器について記した書物。伊勢家に伝わった史料をまとめたもの。1843年(天保14)に図を加えて門人らによって出版された。 | 『故実叢書』 |
| 古言梯 | 楫取魚彦 | 1764年(明和元)/「和字正濫鈔」をうけてまとめた仮名遣いの書物。仮名遣いはこれにより確立された。 |
| 改正新版増補日本汐路之記 | 高田政度 | 1770年(明和7)/辻柳陰子の「日本汐路之記」の東国部分を西国部分と同じ詳細な内容に改正した物で、この東国部分を抜き出して簡略化した物が「日本船路細見記」に収録されている。 |
| 翁草 | 神沢貞幹 | 1772年(安永元)/随筆風の百科全書。様々な書物を元に、内容別に分類抄出してまとめたもの。抄録範囲は地歴から文芸、有職故実、宗教など多岐に渡る。また京都奉行所(神沢は京都奉行所与力)の記録より京都で起こった事件を記している。全200巻。 | 『日本随筆大成』 |
| 価原 | 三浦梅園 | 1773年(安永2)/物価や貨幣について論じた書物で、同時代の経済学論としては傑出したもの。また経済論によって政治論にまで及んでいる意味では、梅園の思想を示したものといえる。 | 『三浦梅園集』 |
| 解体新書 | 杉田玄白ほか訳 | 1774年(安永3)/一般に「ターヘル・アナトミア」(クルムス著)と呼ばれていた医学書のオランダ語版の翻訳書。幕府から咎めを受けないよう、先に「解体約図」を出版したり、本書を献上したりするなどし、またいざというときに累が及ばないよう、前野良沢の名が秘されていた。翻訳ではそれまで中心だった中国の医学書にはない名前が多かったために造語を行った。現在使われる臓器の名前などはこのとき作られたものが多い。中国への輸出も想定していたと見られる。出典を明記し、翻訳法、編集法の説明まで付けるなど、それまでの翻訳書に比べて良くできており、初の本格訳書と見る人も多い。図は小田野直武が木版で作成、改訳増補版「重訂解体新書」では中伊三郎が銅版画で作成した。 | 『解体新書』『日本科学古典全書』 |
| 豆腐百珍 | | 1782年(天明2)刊の豆腐料理を紹介した本。約100種類の料理が載っている。「豆腐百珍続編」「豆腐百珍余録」と続く。 |
| 蘭学階梯 | 大槻玄沢 | 1788年(天明8)−刊行−/蘭学指針書。蘭学の発達史と、オランダ語の基本的な解説やその学び方について説明したもの。特に文法が似ている漢文を学ぶ方法と類似させている点が特徴的。入門書として広く流布した。 | 『日本思想大系』64 |
| ハルマ和解 | 稲村三伯、石井恒右衛門ら訳 | 1796年(寛政8)/最初の日蘭辞典。フランソア・ハルマの蘭仏辞典を翻訳して作成した。約8万語を収録。蘭学必携の書。後に作られた「ドゥーフ・ハルマ」に対し、「江戸ハルマ」とも称した。漢字では「法留麻和解」と記す。 |
| 紙漉重宝記 | 国前治兵衛 | 1798年(寛政10)刊/石州半紙の生産法や流通過程について図入りで解説した書物。紙の普及のために記したものか。挿画は丹羽桃渓 |
| 日本山海名産図会 | 木村蒹葭堂 | 1799年(寛政11)/木村蒹葭堂は酒造業者で博物学者。家業関係から酒造より始まり、各地の物産を紹介した物で、蔀関月が挿画を担当している。全5巻。 | 『日本山海名産図会』『日本名所風俗図会』 |
| 農家益 | 大蔵永常 | 1802年(享和2)/農学書。櫨の栽培法、櫨から蝋を取る方法を図入りで説明し、その重要性を取り上げて普及を勧めた。一般にも広く流布した書物。全3巻。やはり櫨の生産に関して述べた後編と続編がある。 |
| 群書一覧 | 尾崎雅嘉 | 1802年(享和2)/大坂の書籍商の手による国内では初の本格的書籍分類・解題書。34門に分類した1700余種の書物について、書名・撰者名・巻冊数・刊本写本の有無・解説・考証を行っている。広く流布し、度々増版した。 | 『日本書目大成』 |
| 渡海新法 | 本多利明 | 1804年(文化元)/航海術を著した書物。航海にとって必要な各種測定、測量法、操船技術を、天文学、地理学、気象学、数学を持って説明している。ただ、著者の知識の関係からか若干の間違いが見られる。 | 『海事史料叢書』 |
| 蘭学事始 | 杉田玄白 | 1815年(文化12)頃/回顧録。刊行されたのは1869年(明治2)。大槻玄沢序の写本では、草稿を玄沢が玄白から依頼されて増補訂正し、題名を「蘭学事始」としたという。「解体新書」の作成の苦労秘話は有名。 | 『岩波文庫』『日本古典文学大系』 |
| 群書類従 | 塙保己一編 | 1819年(文政2)/古書の散逸を危惧した塙保己一が、41年の年月を掛けて集輯し編纂した叢書。1270種530巻666冊に及ぶ。幕府を始め、諸大名、寺社など多くの機関や人々が協力した。分類は「類聚国史」にならったもので、項目25部に分けられる。その後の歴史学、国文学等に多大な影響を与えた。収録史料一覧 | | 温故学会 |
| 続群書類従 | 塙保己一・忠宝・忠韶編 | 1821(文政4)〜1911年(明治44)/群書類従に続いて編纂を行った叢書。しかし塙保己一はまもなく死去し、後を継いだ子の忠宝も暗殺されたため、孫忠韶の代の明治になって完成させた。2103種1150巻1185冊という膨大なもので、「群書類従」同様重大な影響を後の学界に残した。 | | 温故学会 |
| 古道大意 | 平田篤胤 | 1824年(文政7)/日本古来のあり方である古道、古学を講義した内容を弟子が筆録したもの。古道について、古学についてをその基本となるべき書物「古事記」より説明し、これを儒学、仏教、西洋の諸学問と比較している。 | 『新修平田篤胤全集』『神道大系』 |
| 三貨図彙 | 草間直方 | 1825年(文政8)頃/当時の流通貨幣金銀銭の三貨と物価に関する研究書。全42冊で、内容は三貨の部、物価の部、度量衡及び紙幣の部に分けられる。物価関係では天正年間から文化12年までの約250年間の米を中心とした物価の変動を記している。直方は鴻池家に奉公し、草間家を継いだ商人で、経済学者としても知られた人物。本書は貨幣史、物価史の貴重な史料といえる。 | 『三貨図彙』『日本経済叢書』『日本経済大典』 |
| 成形図説 | 曾槃・白尾国柱 | 1831年(天保2)/農業書。薩摩藩主島津重豪が命じて作らせた書物で、農業、穀物、草木、薬草などを和語、漢語、オランダ語の名前を記し、説明を付けている。2度の火災で焼失し作り直された。100巻。 | 『成形図説』(国書刊行会)静嘉堂文庫 |
| 嬉遊笑覧 | 喜多村信節 | 1830年(天保元)/風俗関係の事類。居所、服装、書画や詩歌、歌舞、音曲、祭祀、娼妓、草木といった項目で資料を基に考証している。付録を含めて13巻。 | 『日本随筆大成』 |
| 雪華図説 | 土井利位 | 1832年(天保3)/下総古河藩主土井利位が記した雪の結晶図。利位は家老の鷹見泉石の協力を得て、20年間にわたり雪の研究を行った学者大名。本書には74種類の顕微鏡観察した結晶図と結晶の生成過程について記した研究内容、観察の方法などを載せている。 | 『日本科学古典全書』 |
| ドゥーフ・ハルマ | H・ドゥーフ | 1833年(天保4)/蘭和辞典。オランダ商館長H・ドゥーフがF・ハルマの蘭仏辞典を使い1812年(文化9)から編纂させた。途中ドゥーフは帰国したが続けられ、33年(天保4)完成。幕府にも献上された。蘭学者必携の書。約5万語が収録。「長崎ハルマ」ともいう。医官桂川甫周が改訂し、「和蘭字彙」として前編を55年(安政2)・後編を58年に出版。 |
| 綿圃要務 | 大蔵永常 | 1833年(天保4)/商品作物の綿について、それに合った土や気候、品種、貯蔵法、栽培法などを説明した書物。また綿の産地を紹介している。 | 『日本思想大系』 |
| 窮理通 | 帆足万里 | 1836年(天保7)/博物学書。複数のヨーロッパの物理学、自然学の書物をもとに、万物の理論をわかりやすく説明しようとした書物。 | 『増補帆足万里全集』『日本科学古典全書』 |
| 古今要覧稿 | 屋代弘賢 | 1842年(天保13)/我が国最初の本格的官撰百科事典。姓氏、暦・歳事、冠服・装束、草木、禽獣などの事項に解説を付けている。580巻。幕命によって屋代が主任となって担当したが、その死によって途中で終わった。目標は約1000巻だったともいう。 | 『古今要覧稿』(国書刊行会) |
| 貞丈雑記 | 伊勢貞丈 | 1843年(天保14)−刊行−/有職故実書。貞丈が子孫のために、古書、有職故実の参考書として記した物で、35部で構成されている。清書したのは岡田光大。全16巻。 | 『東洋文庫』 | 東洋文庫 |
| 老農夜話 | 中台芳昌 | 1843年(天保14)/農業書。特に稲の種類について、それぞれの特性が述べられ、また田に関する農作業についても説明してある。図入りで、また和歌を使った説明は特徴的。 |
| 厚生新編 | | 1845年(弘化2)頃/オランダの百科事典「Huishoudelijk Woordenboek」(元はフランスの辞典でオランダ語改訂版)を翻訳した書物。1811年から蕃書和解御用で翻訳事業が始まり45年頃まで行われた。翻訳には当時の多くの蘭学者が参加し、主に自然科学、医学の分野を中心に訳し、注釈を付けている。なお伊達家の所蔵した「生計纂要」は本書の写本。 | 『厚生新編』(葵文庫) | 静岡県立中央図書館葵文庫。 |
| 通航一覧 | 林復斎 | 1853年(嘉永6)/対外交渉史料集。開国に伴い、対外応接のための参考として、三河時代以降異国船打払い令(1825年)に至るまでの対外交渉史に関して、本編350巻に諸国部門と長崎部門の諸史料を、付録23巻に海防史料を載せている。 | 『通航一覧』『通航一覧続輯』 |
| 草木図説 | 飯沼慾斎 | 1856年(安政3)/植物図鑑。草部20巻1250種、木部10巻600種の植物を図に解説を付けて掲載している。リンネがまとめた24綱分類法を使った図鑑としては、日本で初めてのもの。草部のみ刊行され、明治以降も版が重ねられたほどの本格的な内容で、木部は1977年に刊行。 | 『増訂草木図説』『草木図説木部』 |