ED4




15年前に話は戻る。
「マナが、死んだ?」
それは、あまりにあっけない、死であった。
ただの事故。
ただ、階段から落ちた、それだけの事である。
ほんの少し、運と、打ち所が悪かっただけ。
だが人の命などというものは、往々にしてあっけなく終わるものであった。
「マナ、マナ。」
愛する人の亡骸を前に、シンジはただ、泣くことしか出来なかった。







「約束したじゃないか、僕の、お嫁さんになってくれるって。」
むう、いつの間にそんな。
でもチャチャを入れる雰囲気じゃないな。
だが、後ろで控えるミサト、レイ、アスカたちのおでこには、確かに青筋が浮かんでいる。
怒ってる怒ってる。
「しょうがないわシンジくん。何を言っても、死んだものは帰ってこないのよ。」
そう慰めるミサト。
だがそういうミサトの心の中は、実は喜びと怒りが半々であった。
前者はもちろん最大のライバルがいなくなったため、後者はいつの間にかシンジとマナは結婚の約束をしていた、と知ったため。
どっちにしても不謹慎である。
だが、内面はどうあれ、ミサトの言っていることは、実に正論であった、
人はいずれ死に逝くものである。
それが早いか遅いかの違いしかない。
そして例外なく、死んだものは帰ってこない。
死んだものを悔やんでいても、何も変わりはしないのだ。
死んだものにとらわれて、生きているものまで人生を捨てる必要なないし、死んだものとて、そんな事を望んではいない。
だが、確かに正論であっても、それが今のシンジの耳に届いているかどうかは、定かではなかった、
余談であるが、あくまでマナは事故死である。
ミサトが突き飛ばしたとか、レイがATフィールドで弾き飛ばしたとか、アスカがとどめを刺したとか、マヤが一服盛った、とかいう事は、多分、ない。
リツコが何かの実験に使った、とかいう事は・・・否定できないな。






その日を境に、シンジは見る見るやつれていった。
それも無理のないこてであろう。
彼の受けた精神的なショックは、他人にはわりうるはずもないのだから。
だが、いつかは立ち直らなければならない。
そうでなければ、新たな悲劇を生むだけだから・・・
そう、悲劇。
シンジが家事を放棄したため、葛城家の内情は惨澹たるものとなっていた。
え、そうじゃないって?






そして、追い討ちをかけるように、レイが、シンジの前で死んでいった。
マナを失い、自分の殻に閉じこもっていたから。
ただ一人、出撃したレイを、誰も守ることが出来なかった。
使徒の攻撃にさらされて。
それでも街と、そしてシンジを守るために、彼女は戦った。
だが、勝てないと悟った時、レイは一つの決断をした。
使徒を道連れの、自爆。
相討ち。
それしか街を、世界を、人類を、何よりシンジを守る術がなかったから。
だからレイは、迷わずその道を選んだ。
最後に、確かなシンジへの愛を、感じながら。
そして綾波レイは、ただ一人、死んでいった。






「僕のせいだ、何もかも、僕が・・・」
そう慟哭するシンジを、アスカは抱き寄せた。
役得、とアスカが思ったことは言うまでもない。
「自分を責めないで。アンタにはまだ、アタシがいるんだから。」
その言葉は、だが、やはりシンジに届くことはなかった。
うーんシリアス。
それにしても、我ながら、何でこんなシリアスな話にチャチャ入れてるんだろ。






ふと思ったのだが。
何かおかしくはないだろうか?
そう、綾波レイの事である。
彼女は死んでも、代わりはいるはず。
しかし、シンジの前に、レイは2度と姿をあらわすことはなかった。
そこに隠された真実に、シンジと、そして何よりアスカは、気付くことはなかったのである。
それが後に喜劇の元になるという事も・・・
あれ?喜劇?なんで?
その謎は、もう直、明らかになる。




−つづく




<次回予告>
次々に死に逝く人々。
最後の一人の死とともに、シンジの元にはアスカだけが残った。
全ての、悲しみとともに。
次回『最後の、死者』
運命はいつも、そこにある。




あとがき

マナ:この話はコメディじゃなかったんですかー!?
ジェイ:とりあえず文句は、すべて完結してからにして。
アスカ:あと何話?
ジェイ:3話。さあて、どうなるんでしょうねー。
アスカ:なんか、嫌な予感・・・
マナ:でもなんかこの話短いですね。
ジェイ:次回もね。その分、3話同時リリースなの。(補足 2004/6/28 リリースした当時は三話同時でした)
アスカ:そうなの?
ジェイ:8、9話はおまけみたいなものだから。正直読み飛ばしてもストーリーには影響ないくらい。本筋は10話だし。
マナ:7話もおまけ、って事は?
アスカ:ない、ない、なーい!







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