
![]() 「だめです!突破されました。」 現れた、最後の使徒。 渚、カヲル。 だがその存在も、シンジの心を完全に癒すにはいたらなかった。 それでも、一時の心の安らぎを得たシンジの心を、だが彼は、裏切った。 「カヲルくんが、使徒だったなんて・・・」 既に戦う意志のないシンジ。 そんな無気力なシンジを、嘲笑うかのごとく、ミサトが、マヤが、カヲルの前に倒れていく。 だがそれを止めるすべは、シンジにはない。 「許せない、シンジの心を弄んで!」 ただ一人、弐号機で飛び出していくアスカ。 だが、そんなアスカの奮闘も空しく、カヲルはアダムの元へと辿りつく。 そして、 サードインパクトが、起きた。 でも、確か地下にあったのはリリスのはずでは? 何かおかしい。 だがそれは、作者や読者の感想であって、今、この中を生きているシンジやアスカが、それを感じることはない。 「僕の、勝ちだ。今の人類は滅び、新しい人類が生まれる。僕の中から。」 そうするとカヲルがいっぱい。 うーん、想像してしまった。 ちょっち、いやかなり、嫌かも。 「そんなこと、させない!」 その声に、カヲルは驚いて、振り向いた。 そこにいたのは、エヴァンゲリオン弐号機。 その中には、アスカ。 「なぜ・・・」 なせこの中で、ATフィールドが、人のカタチを保っていられるのか。 それは、カヲルにとって驚異であった。 ありうるはずの、ないこと。 だが現実に、アスカは目の前に、いた。まぎれもなく、惣流・アスカ・ラングレーの、その姿で。 「嘘だ、嘘だ。」 全ては定められたこと、例外は、奇跡は起きえぬはず。 アスカの存在。それそのものが奇跡であった。 アスカを存在させていたもの。それは、口には出来ない、けれど確かにいつも彼女の心のうちに合った、シンジへの、想い。 シンジへの、愛。 「嘘だー!」 目の前の事実が理解できず、カヲルは崩壊していく。 カヲルの自我は、アスカの強固な意志に、抗うことは出来なかった。 やがてカヲルの肉体は崩れ去り、同時に世界を満たしていたLCLも、跡形もなく、消えた。 やがて、溶け合った人々も、戻ってくるであろう。 少なくとも、生きていた者たちは。 確かに起きたはずのサードインパクトは、こうして、アスカの手によって消え去った。 戻せないはずの時計の針を、アスカは戻したのであった。その、意志で。 そして碇シンジは生き残った。 世界は、救われた。 だが、今のシンジに、それになんの意味があるのであろう。 世界を救ったのは、そしてシンジを救ったのは、アスカであった。 「あんたはアタシが助けてやったんだから、アタシの言うことを聞くのよ!」 傲慢とも思えるそのアスカの物言いに、裏に隠された本当の気持ちを読み取ることも、そしてその言葉に抗うことも、今のシンジには出来なかった。 かくてシンジは、アスカとともに、新たな時代に生きることとなったのである。 そして15年後。 15年の月日を経て、ようやくシンジは本当の意味での、新しい一歩を踏み出したのであった。 −つづく <次回予告> 明らかになる全ての真実。 そのときシンジは、そしてアスカは。 次回『終わってる、世界』 真実は、常に、一つ。 |