
![]() さてさて、都合3話にもわたる、長い長い勝手な妄想に、LCLの中のアスカが、どっぷりと浸っていた頃、 「ちょ、ちょっと待ってよ。ここまでの話をたった一言で否定する気?」 だって、これが当初からの予定通りだもの。 ちなみに8、9話で矛盾が多いのは、アスカの今現在の知識から構成されていたからであった、 だいたい、この作者が、LASに走る方がよっぽど不自然だ、とは考えなかったわけ? 「夢オチは卑怯よー!」 うるさいアスカはおいといて、6話からの続き。 そう、マユミが転校していったあの日から、実はまだ3日しかたっていなかった。 そもそも、シンクロ率が400%を越えたということは、 「なにこれ?」 「これがシンクロ率400%の正体。アスカのダシね。」 「飲むと若返るとか。」 そのマヤの何気ない一言に、ピクンと反応するミサトとリツコ。 「な、わけないですよね。」 「そ、そうよ。」 「まったく、馬鹿なことを。」 「第一そんなのの飲んだら、性格が歪んじゃうじゃない。」 今でも十分・・・ 「そうですよね。・・・まさか、ほんとに飲もうなんて、思いませんでしたよね?」 ちょっと意地悪そうな言い方をするマヤ。それが自分の首を絞めているなどとは思ってはいない。 『『覚えてなさいよ。』』 そんなマヤの言葉に珍しく意見の合う2人。後でマヤちゃんがどんな目に遭ったか、はご想像にお任せする。 「と、とにかくサルベージよ。」 「猿、じゃなかった、サルベ−ジィ?」 このままアスカがいない方が、静かでいいのに、とはマヤとミサトの共通の想い、いや願いであった。 気合いが入らないので、当然作業などが進はずもない。 リツコだけは真面目に作業を続けていたが、これとて、 「貴重なデータが取れそうだわ。」 という科学者的観点からによるものでしかない。 だいたい、当のアスカが外に出てくる気がさらさらないのだからしょうがない。 気持ちよーく、夢を見ている状態なんだろなあ。 ちょっと不憫かも。 で、当然の様に・・・ 「駄目です!」 「まさか・・・帰ってきたくないの?アスカ・・・」 てゆーか、帰ってきて欲しくないと思っている人が約2名。 だめです、と叫びつつ、妙に顔がほころんでいる、マヤの姿がそこにはあった。 「エントリープラグ、強制射出されます!」 射出されたエントリープラグから、LCLがあふれ出る。 ミサトたちの努力(?)も空しく、サルベージは完全なる失敗に終わった。 「あーあ、もったいない。」 なにが? さてその頃のシンジたち。 そうそう、アスカの妄想の中に、一つだけ真実があった。 マナが、階段から落ちた、ということである。 足の骨を折る重傷であったが、幸い、命には別状はない。 今、マナは病室で静かに眠っていた。 そしてその横に、シンジがいる。 「怖いんだ、ミサトさんも綾波も。」 アスカはもちろん不在、マナは病院、マヤはサルベージでネルフに常駐。 歯止めをかける者がいなかった。 身の危険に怯えながら、シンジは暮らしていた。 なにやってんだか。 「マナぁ、目を覚ましてよ。」 そんな、せっかくぐっすり眠ってるのに、 「あ、そうか。ちゃーんす。」 いやあの、起こしちゃ可哀相って言おうと思ったんだけど。 なにはちゃーんすなんだ、なにが。 シンジくん、ひょっとして性格変わった? そんな作者の戯言に、シンジは耳も貸さず、 はぁ、はぁ、はぁ・・・うっ おーい、だからなにをやってるんだよー。 じっと手を見るシンジ。 「最高、シンジって。」 いつの間にやら目を覚ましていたマナが、そう言ってシンジに抱き付く。 「あの・・・いつから起きてた?」 「あんなことされたら、誰だって起きるわよ。」 あんなことってどんなこと? 「ごめん・・・」 「いいわ、シンジになら。」 「じゃ、もう一回。」 シンちゃん、変わったね。 その時、ケージでも異変が起きていた。 「なに?」 「ア、アスカ!?」 自力で再生するアスカ。 LCLの中から立ち上がるその姿は、さしずめ三原山から復活してきたゴジラのようであった。 どうやらシンジとマナの様子を、その野生的勘で察知したらしい。 「待ってなさいよー、霧島マナ!」 と、一言吠えると、そのままの格好で外へと飛び出していく。 そのままのカッコって・・・あれ、ひょっとして、全裸? 「きゃー見ないで、エッチ、スケベ、へんたーい!」 その叫び声の後には、ぼこぼこにされたゲンドウが横たわっていた。 鼻から出ていた血が、殴られたものか、それとも別の理由によるのもかは、定かではなかったが。 うーん、ちょっとおいしいぞ、ゲンドウ。 「なに?いったい。」 突然の出来事に、ミサトたちは呆然とするだけであった。 「こらー!バカシンジぃー!!」 どかっとドアを蹴破り、病室へとなだれ込むアスカ。 ちなみにその格好は、どこぞで拾ったシーツを体に巻いただけの、かなり危ない、色っぽい格好。 そしてそのとき、シンジとマナはコトの真っ最中であった。 おいおい。 「ア、アスカ、ノックぐらいしてよ!」 「あ、ごめん、ってそうじゃないでしょーが!」 怒りで顔を真っ赤にするアスカ。 「だいたい、そんな貧乳女のどこがいいのよ!」 ちょうど、シンジの手はマナの胸のところにあった。 その光景を見たためであろうか、アスカは自分の大きな胸を誇示するかのように突き出すと、そう叫んだ。 で、密かに傷ついているマナ。 『いいもん。シンジにもんでもらえば大きくなるから。それに子供が出来れば自然と大きくなるもん。』 「だって。」 そんなマナの気など知らないシンジはアスカに口答えしようとする。 アスカに口答え、自殺行為だな。 「だって?」 「胸の大きな女の人とは付き合うなって、母さんの遺言だから。」 そう、シンジの母、碇ユイは、どちらかといえば胸の大きい方ではなかった。 たいしてその夫、碇ゲンドウは、巨乳好きであった。 当然、その事をめぐって、争いは耐えなかった。 もっとも、争いといっても、一方的にゲンドウが蹂躪されるだけであったが。 だが、その凄惨な光景は、幼いシンジの胸に、巨乳は罪であるとの確かな意識を植え付けたのであった。 ああ、何と忌まわしい家庭の事情(笑)。 「そうなんだ・・・ってそれとこれとは関係なーい!!」 関係ない、というか、少なくとも言い訳にはなってないな。今の状況の。 「言い訳はしない。自分で選んだことだから。価値がある、事だから。」 変に真面目に答えるシンジ。 これこれ、ミサトの台詞を取っちゃいかん。 第一ミサトがこの状況で、そんなことは・・・言わんだろうなあ。 それにしてもなんでこんなにシンちゃん、今日は妙にハッキリしてるんだろ。 え?6話のひきを考えたら、むしろ7話のあの唐突な展開よりよっぽど納得できるって? 言われてみればその通り。 だいたいシンジくんという人間は、優柔不断だし、すぐ逃げるし、いじけるし、なのだが、一度こうと決めたら・・・反対方向に暴走するんだよな、この子。 その暴走の結果がこれであり、マナはある意味被害者なのかもしれない。 そうだよなー、あんなことされちゃったんだもんなー。 まあ、当人は幸せそうだからいいか。 「とにかく離れなさい!」 そういってシンジたちの方へ歩み寄るアスカ。 ずんずんと迫り来るアスカ。飛び道具がないのが唯一の救いであろうか。 でも火ぐらいは吐きそうな気もする。 シンジ、絶体絶命の危機。 なんか最近のアスカ、どこへいっても怪獣化してるな・・・ しかし、こういった局面でこけるのが、アスカのアスカたる所以でもある。 窓際までシンジたちを追いつめたまでは良かったが、いかんせん、拾いもんのシーツはサイズが合わず、ありていに言えば長すぎた。それが、アスカにとって不運であったのである。 そしてこういう時に現れる者もいる。 「あ、綾波!」 別にレイはシンジを助けに来たわけではない。むしろその逆であった。 だが、アスカと手を組もうという気もさらさらない。 そしてレイは、アスカの天敵であった。 今まさにシンジに飛び掛からんとしていたアスカの、長すぎるシーツをレイが踏んづけてしまったのは、果たして偶然だったのであろうか? それは、永遠の謎である。 絶対わざとだな・・・ バランスを崩したアスカは、窓の外へと・・・しかも裸だね。可哀相に。 「いや、あのそれ以前に・・・ここ、7階なんですけど。」 「大丈夫、生きてるみたいだから。」 平然と言いきるレイ。無論、自分が悪いなどとは微塵も思っていない。 「そんなことより碇くん。」 地上でつぶれた蛙の様になっているアスカより、シンジとマナの方が重要らしい。 そりゃ当然か。 シンジにとって幸いだったのは、マヤとミサトがアスカのサルベージにかかりっきりで、レイ以外に追求するものがなかったことであった。 更に幸いなことに、レイは男女の仲、それもさっきまでシンジとマナがやっていたようなことに関しては、極めて疎い。 ほんとに疎いのか? 何度かシンジを襲おうとしたような気も・・・ それはさておき。なんとかレイを言いくるめると、病室の外へと追い出すことに成功する。 そんなに二人っきりになりたいのか? どうやらシンジくん、完全にマナにおとされた、じゃなくて惚れてしまったらしい。 そうそう、アスカの妄想の中のもう一つの真実、それは、マナがシンジに「お嫁さんになる。」と言ったことであった。 正確にはシンジがそう約束させられた、とも言う。 たいてい、この手の言葉を口にされると、男というものは一歩ひくものであり、シンジもまた、例外ではなかった。 だがそこで、6話のラストのあれ、そしてマナの怪我、である。 えてしてこういうきっかけがあると、自分の本当の気持ちに気付く、とかいろいろあるようで、シンジは、マナへの思いを知ったのであった。 え、ミサトやレイに襲われそうで、マナに逃げ込んだだけじゃないのかって? それは言えてるかも。 でもまあいいじゃない。シンジくんがそれでいいって言うんだから。 「シンジ・・・」 「マナ・・・」 瀕死のアスカの事はとりあえず忘れ、シンジとマナは愛し合った。 さてそのつぶれた蛙、じゃなかったアスカは、残念ながら一命を取り留めた。 そして、マナと同じ病室にいる。 変なことをしないための監視のつもり、だったのだが・・・ 「駄目よシンジ、アスカさんが見てるわ・・・」 「いいじゃないか。」 既にアスカなどお構いなし。 ちなみにマナも足を骨折してるって、シンジくんわかってる? 動けないのをいいことに好きなことしてないか? 「別に私はいいですけどね。シンジになら。」 あらそう。 そんな光景を目の当たりにされてアスカが黙っているはずもなく、 「フガ、フガ、フガー」 黙ってないだけだった。 全身複雑骨折、包帯ぐるぐる巻きのアスカに、なす術があるはずもない。 それにしてもシンジくん、いい度胸である。 でもね、アスカが復活した時の事、考えてないでしょ。 案の定、アスカの退院と同時に、なぜかシンジが入院する羽目となったのだが、その原因もまた、分かっていない。 その時シンジの胸に残ったのは、アスカへの恐怖と、甲斐甲斐しく看病してくれたマナへの想いと、差し入れと言ってミサトがむいてくれた、芯だけの林檎だったという。 うーん、お約束。 −つづく <次回予告> そして、7年の月日が流れた。 今度こそ、夢でも、妄想でもなくて、ほんとーに。 ようやく得た幸せの中、シンジは過去を思い返していた。 次回『真実の、結末』 最終回も、サービスサービス。 |