
![]() 「起きなさい!バカシンジ。」 そういうアスカの声で、シンジは目を覚ました。 なぜ唐突にこういう展開かと言うと、最終話なんだからやっぱり学園エヴァを入れないと・・・ 「今まで散々本編を無視してきたくせに。」 いいじゃん。やりたいんだから。 と言うわけで、夢オチと知りつつ、しばしシンジくんのいうところの、"別の可能性"にお付き合いいただくとしよう。 目は覚ましたものの、いささか寝ぼけているシンジ。いきなりとんでもないことを口走る。 「キスしてくれたら起きるよぉ。」 「な、な、な、なに言ってるのよ!」 顔を真っ赤にし、文句を言いつつも、しかしアスカはシンジに顔を近づける。 うーん、おいしいぞ。 だが、次のシンジの一言が、アスカを凍り付かせた。 「いつもしてくれてるじゃないかぁ。」 誰に? 無論アスカ、ではない。 となると、中学生にもなって、母親のキスで目覚めているのだろうか? それも考えられない。 シンジの母、ユイならそういうことはしかねないかもしれないが、シンジの方が恥ずかしいだろうし、何よりそんなことをゲンドウが許すはずもない。 となれば、可能性は、そう、一つ。 「なんだ、アスカか。」 さすがに何かおかしいと気付いたらしく、シンジは正気に戻ると、アスカの顔を見つめ、そういった。 「なんだとはなによ!」 そう言ってアスカはシンジの布団を引っぺがす。 そしてお約束通り。 「きゃー!エッチ、痴漢、変態!」 そう言うよりも早く、手が出る。 当然、シンジに弁解の余地などはない。 「しょうがないだろ、」 朝なんだから、と赤く腫れた頬をさすりながら、言い訳をしようとしたシンジの言葉は、第3者によって遮られた。 「そうよね、きっと私の夢を見ていたんだから。」 そう言って出てきたのは、当然のように、霧島マナ。 で、シンジがマナの夢を見ていたかと言うと・・・実はしっかり、かなりHな夢を見ていた。 シンジくんの弁護のためにいっておくと、だいたいが、一つ屋根の下にこれだけの美少女が住んでいて、挙げ句その少女が自分に好意を寄せ、誘惑してくるという現実があれば、妙な妄想を抱かない方が不自然である。 が、事実としてどんな夢を見ていたとて、それを口に出して言えるはずは・・・ない。 しかし、それが如実に顔に出てしまうのも事実で、 「信じらんない!」 かくしてシンジは両頬をはらして登校する羽目となったのである。 「まったくしょうがないわね、シンジは。せっかく毎朝アスカちゃんが迎えに来てくれてるていうのに。」 「ああ。」 お約束通りの、碇夫婦の会話である。 「あなたも、新聞ばっかり読んでないで、さっさと支度してください。」 「君の方はいいのか?」 「はいいつでも!まったく、会議に遅れて冬月先生にお小言を言われるの、私なんですからね!」 「君はもてるからな。」 どうやらその辺、シンジは母親似らしい。 「羨ましいな、シンジ。」 なにが羨ましいのかは良く分からんが、その一言は余計だった。 そして当然、それをユイが聞き逃すはずもない。 「あなた、なにが羨ましいんですか?」 「あ、いや、それは・・・」 ちなみにゲンドウも結構もてる。 が、ユイの存在がある限り、当然浮気などが出来るはずもない。 だが、出来ないからこそ尚更したいと言うこともあって・・・ 「おいこら作者、余計なことを言うんじゃない。」 「あ・な・た。」 優しそうに語り掛けるユイの頭には、確かに2本の角があった。 阿鼻叫喚の地獄を後に、シンジたちは学校への道を急いでいた。 「そう言えば、今日、転校生が来るんだってね。」 全力疾走しながら、いき一つ切らさず会話するシンジ。実は結構すごいのかもしれない。 「ここも来年は首都になるんですもの。人は増えていくわよ。」 「かわいい子だといいなあ。」 素手に両手に花状態で、これ以上なにを望む? 「えーでも、マナはともかくアスカは・・・」 そう言おうとしたシンジと、それに対し蹴りを入れようとするアスカであったが、 そう忘れてもらっちゃ困る。例の曲がり角。 なぜだか危険を感じたマナはシンジを引っ張り、ついでにアスカを蹴飛ばす。 「危ない、シンジ!」 キャラクターが物語りを先読みしないように。 けられて黙っているアスカではないが、文句を言おうとしたその瞬間。 ドシ〜ン と何かにぶつかる。 当然、そこに倒れているのは、綾波レイ。 「いたた・・・」 倒れた拍子にスカートがまくれあがり、チラッとではあるが中が見えている。 ただし、アングルの関係上、アスカにだけ。 それに気付き、慌ててスカートを押さえるレイ。 「残念、いててて。」 悔しがるシンジの手をマナがつねる。 「見たいなら私がいつでも見せてあげるから。」 こっちで脱線している二人はさて置き、 「ごめんね。」 と言ってレイは立ち上がると、そのまま駆け出す。 ちなみにアスカはまだ倒れたまま。何が起きたかも把握していない。 把握していたら・・・血の海かも。 「ほんと、ごめんね、まじで急いでたんだー。」 どうやら本能的にアスカの危険性を察知したらしく、逃げるように去っていく。 「かわいい子だなぁ。」 「浮気者!」 とい後ろの二人の夫婦漫才など当然耳に入らず、アスカはレイへの怒りに燃えていた。 「で、なんでシンジがぼろぼろなんだ?」 「聞かないで・・・」 アスカの怒りは当然、真っ先にシンジとマナに及んだ。 で、女の子は守らなきゃ、という意識がシンジにあったかどうかはわからないが、結果として、そのアスカの怒りはシンジ一人がひきうける羽目になったのである。 「ごめんね、大丈夫?」 さすがに心配そうにマナはシンジの手当てをしていた。 「大丈夫だよ、マナ。」 こういう風に優しくされると、そこまでの経緯も忘れてしまうのが悲しい男の性。 「優しいな、マナは。」 そうなのかなあ。 「しっかしなぁ、朝っぱらから・・・運の悪いやっちゃ。」 そう言うトウジくん。君も決して運のいい方ではないぞ。 「鈴原!馬鹿なこと言ってないでゴミ捨ててきて!週番でしょ!」 「い、いたい、委員長。」 割って入ってきたヒカリに、耳を引っ張られるトウジ。 どうでもいいけどトウジっていつも週番の様な気がする。 「尻にひかれるタイプだな、トウジって。」 そんな光景を目の当たりにし、そう感想を漏らすシンジ。 自分は関係ないと思っているらしい。だから、 「あんたもでしょ。」 というアスカの突っ込みに対し、 「なんで僕が尻にひかれるタイプなんだよ!」 と本気で抗議する。 違うのか?と突っ込みたいのは、脇で見ているケンスケだけではないだろう。 ただ、この話においては、シンジには一人、強力な味方がいた。 「別に、シンジは尻にひかれるようなことはないと思いますけど。」 「なんでよ。」 そうシンジに助け船を出すマナを、アスカが睨む。 「だってほら、私って旦那様を立てるタイプだし。」 「あんたねえ!」 まあマナちゃんがシンジくんの奥さんになるってのはいいとして、 「いいわきゃないでしょーが!」 まあまあ。 そもそもマナちゃんが一番シンジくんを尻にひいているような気が・・・ 「えー、そんなことないですよー!私はこんなにシンジのことを、想ってるのに。」 想いは認めるけどねえ。それとこれとは話が別だと思うんだけど。どう思う?シンジくん。 「ごめんなさい。僕が間違ってました。やっぱり僕はどう転んでも尻にひかれるタイプの様です。」 「ほらね。」 「ひどーいシンジ、それじゃまるで私が・・・」 「あ、いや、その、別にマナを責めてるわけじゃ・・・」 それが尻にひかれてる、っちゅーねん。 さてそんなやり取りを横目で見ていた、ケンスケ。 「平和だねえ。」 その一言に多少、いや多大なるやっかみが含まれていたことに、気付く者はなかった。 「お、」 最初にその車に気がついたのは、もちろん一人外を眺めていたケンスケである。 その真っ赤なスポーツカーは駐車場に停まると、中から一人の美女が降り立つ。 「「「ミサトセンセー!」」」 そう言って手を振るシンジたちに、その女性、葛城ミサトはVサインを返す。 当然、教室では。 「「「なによ3馬鹿トリオが。ばっかみたい。」」」 マナ、ヒカリ、アスカが嫉妬に燃えていた。 それにしても、シンジやトウジはともかくケンスケって可哀相。なんで相手もいないのに嫉妬に巻きこまれにゃならんのだか・・・ 「喜べ男子ー。今日は噂の転校生を紹介するー!」 教室に入ってきたミサトの第一声がそれであった。 当然、その言葉は転校生が、女の子、それもおそらくはかわいい子であることを示していた。 そしてミサトは一人の女生徒を教室へと招き入れる。 その少女の顔を見て、 「あー!」 驚いて立ちあがったアスカの顔を、レイの方でも気付いたようで。 「あー!今朝のパンツ覗き魔!」 すげえ誤解を招きそうな発言。 「そうか。アスカちゃんはそういう趣味があったんだね。」 なぜかいる渚カヲルが、アスカにそう言う。 こいつにだけは言われたくねえだろうなあ。 「そういう趣味ってどんな趣味?カメラとか料理とか?」 当然、そういうことには疎いシンジ。ボケるボケる。そりゃケンスケと委員長の趣味だって。 「うーん、簡単に言うとね、赤木先生と伊吹先生みたいなもんかな。」 マナちゃん、的確な説明、どうもありがとう。 「なるほど。」 しかし、それでシンジにまで理解されてしまうってことは・・・一体どういう関係なんだか、あの二人。 「アタシはそんな趣味はなーい!アタシが好きなのはシンジだけなのー!!」 ありゃりゃ、爆弾発言。言っちまったよ。流石は夢だ。 それに対してシンジは。 「え、そ、そんなこと言われても・・・僕が好きなのはマナだけだし。」 こちら、もっと爆弾発言。 「シ〜ン〜ジ〜!?」 当然、その台詞をアスカが聞き逃すはずもなく、 「た、助けてー!」 そのままシンジの意識は、冷たい闇の中へと堕ちて、もとい落ちていった。 「・・・ンジ?シンジ!?」 ハッ、と誰かの呼ぶ声でシンジは目を覚ます。 やれやれ、ようやく現実へと話が戻ってきたか。 「大丈夫シンジ?なんかうなされてたみたいだけど。もしかしてまたアスカさんの夢?」 「うん、怖いんだ。アスカが。」 どうやらシンジくん、前回アスカに入院させられたことが相当のトラウマになっているようである。 実はそれ以外ににももう一つ理由があるのだが、その辺は外伝を待て、ということで。 なんかやり方が田中良樹みたいだ。 ちなみにあれから7年の時が過ぎていた。 マナ、という心の拠り所のおかげでシンジはカヲルに魅入られることも、サードインパクトを起こすこともなく、平和なときを迎えていた。 渚カヲル。この話では出番は1行だけ。なんて不憫な。 母ユイも戻ってきて、今ではゲンドウと、そして娘として引き取ったレイとともに、幸せに暮らしていた。 そのレイであるが、シンジとは結ばれなかったものの、"妹"として側にいられる分、アスカよりは幸福そうであった。 マヤも今では青葉夫人となり、既に2児の母である。 さすがに一番の良識派、いつまでも暴走している誰かさんたちとは違う。 もっとも、いまだ独身である赤木博士との噂が、消えることもなかったが。 「大丈夫よ、シンジ、私がいつも側にいるから。悪夢なんて怖くはないわ。」 シンジは優しく語り掛ける妻の顔を見、そのまま胸に顔を埋める。 おいおい。 「ちょ、ちょっとシンジ。だめよ。こんなこと・・・」 シンジは予定通りマナと結ばれ、今は二人、幸せなときを迎えていた。 「マナぁ。」 だめ、と口では言うものの、マナがシンジを拒むはずもない。 そのまま素直に、マナはシンジを受け入れる。 シンジとて、大人になり、マナを守れるほどに強くはなった。 だが、その胸の奥にはいまだに消えないアスカへの恐怖(笑)が潜んでいた。 そしてマナもまた、そんなシンジをわかっているから拒むことなどなく、優しくシンジを包み込む。 お互い、そんな気持ちはとうの昔に通じ合っており、互いの愛情を疑うこともない。 だから、だめ、という言葉を受けても、シンジはマナを求めることをやめようとはしない。 そのままマナを押し倒すと、強引に唇を奪う。 珍しく荒っぽいシンジに戸惑いつつも、マナはシンジに体を預ける。 ・・・しかしまあ、飽きないね、この夫婦は。 書いてる作者も同じか。 実のところ、個人的にはマナちゃんとシンジくんのラブラブシーンは書いてて楽しいのだが、これでは笑いが取れない。 シンジくんとマナちゃんは末永く幸せに暮らしました、めでたしめでたし、ってとこで、舞台をお笑い班へと移すことにしよう。 「誰がお笑い班よ、誰が。」 ここは葛城邸。 シンジ、マナ、マヤという家事の出来る人間がいなくなったこの地は、さぞや惨澹たる・・・って、あれ?やけに片付いてるな。 表札を見ると"加持"と書かれている。 どうやらこの家の家事は加持が一手に引き受けているらしい。 加持が家事、洒落になっとらん。 さてさて、今でもこの家に居候しているアスカであったが、本来ならはっきりいって邪魔者なのだが、実は結構重宝されていた。 無論、家事をするわけではないのだが、子供の面倒を見てくれるからであった。 当然、子供が出来たからとて、その面倒を見るミサトではない。 一人二人なら加持一人でもなんとかなったのだろうが、何しろ5男4女。 よく産んだね、それにしても。 そして、20そこそこ、結婚どころか彼氏すらいないというのに、アスカは所帯じみていた。 「アスカおばちゃーん、おなかすいたー。」 「誰がおばちゃんよ、誰が。」 とはいえ子供の言うこと、我慢、するはずもなかった。 「いたい、いたーい!」 「まったくミサトに似て口の悪い子なんだから、マナは。」 マナ、加持家の4女である。 年齢は今年4歳。 なお子供の名は上からシンジ、リツコ、マヤ、マコト、シゲル、トウジ、レイ、マナ、ケンスケ。 手抜きもいいところである。 シンジとリツコが双子(何かこの表現いや)、その下が3つ子、4つ子と続く。 次は5つ子かと期待されたが、どうやれら打ち止めだったようだ。 まあ高齢出産じゃ・・・ 「あたしはまだ36だー!」 念のためいっておくと、手抜きをしたのはミサトであって、決して作者ではない。 ちなみに4女の名は、アスカ、というのが候補だったのだが、アスカの猛反対にあって結局実現しなかった。 じゃあ他の名前はいいのか、というと、許可も何もなく、勝手に、さっさとつけてしまったので、文句を言う暇がなかっただけの事である。 「アスカも大変ねー。」 と言って子供を抱きかかえてて来たのは、今や鈴原と名を変えたヒカリ。 ちなみに抱いているのは自分の子、名はツバサという。ちなみに男の子。 やっぱり新幹線か。 サッカーがうまいかどうかは・・・知らない。 「あ、ヒカリおねえちゃんだー。」 「なんでヒカリがお姉ちゃんでアタシがおばさんなのー!」 怒ったところで子供がそんな事情を考えるはずもない。 子供とはえてして理不尽な生き物なのである。 「おばさんがいやならばあさん。」 「レ〜イ〜。」 3女レイ、4歳。 4歳の子供から見れば、って4歳の子供がばあさんとか言うなよな。 名前がレイだからしょうがないか。 「シンジだけね、いい子なのは。」 そういってアスカは長男のシンジ、ちなみに6歳、を抱きかかえる。 どうやら名が体をあらわしたようで、シンジだけはアスカの言うことを良く聞いた。 その分、マナとかレイはまったく言うことを聞かなかったが。 「ぼくねえ、おおきくなったらアスカおねえちゃんとけっこんするの。」 「ありがとう、シンジ。」 ちなみにアスカ、思いっきり本気である。 「シンジおにいちゃんはわたしとけっこんするの。」 「だめ、シンジおにいちゃんはわたしとひとつになるの。」 とはマナとレイ。 「アンタたちゃ兄弟でしょーが!」 「なにいってるの、うちのパパとママよ。血がつながってるほしょうなんてないじゃない。」 妙に冷静に怖いことを言う長女のリツコ。 やっぱ名前が悪いよ名前が。 しかも当たってそうだけに尚更怖い。 「とにかくシンジはアタシのものなのー!」 相手は6歳だぞ、6歳。 隣で何も言えないヒカリ。 でもきっと、こっちのシンジにも捨てられるんだろうなあ。 人は、同じ過ちを繰り返す。 まったく。 −おわり |