![]() 演目:白雪姫 脚本:赤木リツコ 監督:葛城ミサト 昔々、あるところのそれはそれは美しいお姫様がいました。 雪のように白い肌(アルビノともいう。はい、白雪姫が誰だか判りましたね。)をしていたことから、そのお姫様は白雪姫と名づけられました。 しかし、白雪姫の幸せは長くは続きませんでした。 白雪姫のお母様、つまりお妃様は大変美しい方でした。 しかしそれ以上に嫉妬深い方でもありました。 「美しい、ってのは納得するとして、何でアタシが嫉妬深いお妃なのよ!?」 「お妃様にアスカを据えたのは結構はまり役かもね、リツコ。」 「そうね、ミサト。でも、本当は死んだ母さんならもっとはまり役だったのに…」 「あらリッちゃん、それが実の母親に向かって言う言葉?しかも勝手に殺さないで欲しいわね。」 「か、母さん、いったいどこから出てきたのよ。」 「リッちゃん、あなた親に対する話し方がなっていないようね。」 「育て方が悪かったのよ。大体ほったらかしにしといていまさら母親、もないでしょう?」 「少なくとも生んでやったのは私よ!」 「誰の子かもわからないくせに!」 「少なくとも碇所長ではないわよ!」 「それはよかったわ!」 なんだかねぇ。 「アスカ、アホ親子はほっておいて先進むわよ。」 「へいへい。」 お妃様は魔法の鏡の前で、こう尋ねるのが日課でした。 「鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだぁれ?」 「そ、そんなこと僕に聞かれてもわからないよ。」 「そうじゃないでしょバカシンジ!台詞ぐらいちゃんと覚えなさいよね!!」 「えっと…、あ、世界で一番美しいのは白雪姫です。」 「アンタバカァ?のっけからそうじゃないでしょう!最初はアタシって言わなきゃ話にならないでしょうが!!」 「え、そうだったっけ?」 「あんたアタシが嘘ついてるとでもいうの?アタシがあんたを落とし入れたり、虐めたりしたことがあった?」 そりゃもういっぱい、とは言えないよなぁ。 「う、うん。ごめん。」 「いい、最初っからやり直すわよ。コホン、…鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだぁれ?」 「それは、惣流・アスカ・ラングレーです!」 「そうじゃないでしょうが!!!」 どつきながら、結構嬉しいアスカであった。 そんなある日の事、今日も、いつものようにお妃様は鏡に尋ねます。 「鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだぁれ?」 『今度は大丈夫。』 どっからその自信が出てくるんだ。と思ってよく見ると、舞台そでに霧島マナがスケッチブックをもって待機している。 ようするにカンニングペーパーを使うわけね・・・ 「コホン、それはもちろん、マナに決まってるじゃないか?、と見せかけて実は綾波レイ?でもなくて?アタシよアタシ?馬鹿そうじゃない、あ、ミサトさんてこと?そうそれでいい、ってジェスチャーしてる場合じゃなくって、伊吹マヤにも清き一票を?でもなくて、母さんと言いなさい、って何で母さんまでそこにいるの!?」 「アンタたちどさくさにまぎれてなにやってんのよっ!!!」 すでに舞台裏は修羅場。 「ちょっと、カンペ出すのは私の役なんですけど!」 「あなたが変な事を書くからよ。」 「だいたいなんでマヤまでここにいるのよ!」 「それを言うなら葛城さんなんて監督なのに、なんでここにいるんですか!?」 「うるさいわね、監督はなにしてもいいのよ!」 そんなわきゃあない。 「シンちゃん、どうして母さんって言ってくれないの?」 「お母様、申し訳ないんですけどシンジの恋人は私・・・」 「あら、マナちゃん。そんな事じゃ碇家の嫁として認めるわけにはいかないわね。」 「世界で一番美しいのはお母様です。」 「ユイさん、そう言うやり方は汚いんじゃありません?」 「シンジのお嫁さんを決める権利は私にあります。」 「碇司令は?」 「あの人にそんな権限があるわきゃないでしょう。」 そんな修羅場の中に、ずんずんと歩み寄るアスカ。 「うるさい!!!」 「「「「「すいません。」」」」」 あらら、アスカの一喝で黙っちゃった。やっぱりお妃ってのははまり役だったか。 「とにかく、しきり直しよ!。ここは白雪姫でいいの!」 「あ、そうなんだ。」 「・・・っとに馬鹿なんだから。鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだぁれ!」 「それは、白雪姫です。」 「なんですって。」 「そう言えっていったじゃないか!?」 「馬鹿、演技よ演技。」 「あ、そうか。」 「続けるわ・・・」 「そう、碇君は私のことが好きなのね。」 「よ。ってなんでファーストがここで出てくるのよ!」 「私は白雪姫だもの。」 「アンタの出番は後!」 「碇君は私のこときれいっていっていってくれた。だから碇君は私が好き。」 「なにミスマル・ユリカみたいな短絡思考なこと言ってるのよ。大体これはお芝居!とっと下がる!!」 「ああ、碇君。」 レイ、退場。 さて、この一件で(必要以上に)怒りを覚えたアスカ、じゃなくってお妃様は、白雪姫の抹殺を計画します。 「殺してやる、殺してやる、殺してやるー!」 そしてお妃様は部下に、白雪姫を殺すように命ずるのでした。 「やーっておしまい!」 それじゃドロンジョだよ・・・ 「つーわけで、ボヤッキー青葉です。」 「同じくトンズラー日向です。」 「「なんで俺たちこんな役・・・」 「つべこべ言わずにとっとと行く!」 「「あらほらさっさー。」」 二人は白雪姫にいたずらをすべく、じゃなかった白雪姫を殺すため、森へと連れて行きます。 しかし、そのあまりの美しさに、二人は白雪姫を殺す事はできませんでした。 「なんかこれじゃ俺たちロリコンみたいじゃないスか。」 「まったく、碇司令じゃあるまいし。」 「ああ、白雪姫がマヤちゃんだったら。」 「葛城さんだったら。」 「葛城さんはどっちかっていうと白雪姫っていうよりはお妃様だろう。」 「それは言えてる。」 『覚えてなさいよ、あの二人・・・』 ミサトの心の声が届いたのかどうか、ともかく役に戻る二人。 「白雪姫、お逃げなさい。」 「なぜ?」 「なぜ、って、そうしないと俺たちは君を殺さなきゃいけないわけで・・・」 「私が死んでも、代わりがいるもの。」 「それじゃ話が続かねぇ。」 え、えっと、とにもかくにも逃げ延びた白雪姫は7人の小人のところに居候する事になりました。 「ハイホー、ハイホー、って何でこの私、完全無欠、絶対無敵のヒロインのはずの私が小人役なの!?」 「しょうがないわよマナ、白雪姫とお妃以外はくじ引きなんだから。」 「しょうがなくない、ヒカリだって白雪姫やりたいでしょ?」 「そ、そりゃ、鈴原が王子様で、なんて、きゃっ。」 「どうでもいいですけど、マナさん、なんか言ってる事がアスカさんみたいになってきましたね。」 「がーん、マ、マユミ、それは酷すぎるわ。」 「でも、私も白雪姫やりたかったなぁ、碇君が王子様で。」 「マユミちゃーん。どさくさにまぎれてずいぶんすごいこと言ってくれるじゃない。私にケンカ売ってるの?」 「そ、そんなんじゃあ。」 「シンジは私の!」 「しくしく。」 「どっちにしろ碇君は鏡の役なんだから、論議しても無駄だと思うんだけど。」 「ヒカリ、それ言ったら鈴原くんだって小人役なんだし。」 「つーわけで小人Dこと鈴原トウジ。」 「同じく小人E相田ケンスケ。」 「「はぁ、こんな役とは。」」 落ち込むな落ち込むな。 「ついでに小人Fの伊吹マヤです。」 完全に人数あわせになったきたような。 あれ、でも一人足らないな。 さてさて、白雪姫が死んだと思ったお妃様、今日も鏡の前に立ちます。 「鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだぁれ?」 『はぁー、早くおわんないかなぁ』 既に上の空なシンジ。 『今度の休みどうしよう。また、マナと一緒に湖でも行こうか。』 「鏡っ!!」 「マナ・・・」 「ほほう、次に抹殺するのは霧島マナね。」 「え、ってなに言ってるんだよアスカ!?」 「アンタこそなにボケボケーっとしてたのよ。大方あの女の事でも考えてたんでしょう!?」 「な、なんでわかるの?」 「誰でもわかるわっっ!!!」(バキッ) こうしてお妃様の逆鱗に触れた鏡は、粉々に割られてしまいました。 「あのスカポンタンどもー!」 とりあえず部下をどついた(なぜかミサトも加わって)お妃様は、ついに自ら白雪姫打倒に立ち上がります。 文句言うなら最初からそうすりゃいいのに・・・ 「なに!」 なんでもないっす。 えー、お妃様は老婆に化け、白雪姫に毒林檎を食べさせようと画策します。 そして、小人たちの留守を狙って、白雪姫の元を訪れます。(投げやりなナレーション) 「お嬢さん、おいしい林檎はいかがかね。」 「ありがとう。はじめての言葉。あの人にもいった事のない言葉・・・」 疑う事を知らない白雪姫は、あっさりと毒林檎を口にしてしまいます。 「おかわり。」 「へ?」 「もうないの?」 「あ、ああまだあるよ。」 シャクシャク。 「もう一個。」 「あんたよく食べるわねえ。」 こうして白雪姫は、30個はあった毒林檎を1人でたいらげてしまいました。 そして、 「ああ、」 と抑揚のない声を出して、白雪姫は倒れてしまいました。 「ふっ、これでエヴァのヒロインの座はアタシのものよ。」 なんか主旨が違ってるんですけど。 小人たちが帰ってくると、白雪姫が倒れています。 「あ、白雪姫が死んでる。」 「ヒカリ、どうして倒れてるだけで死んでるって決め付けるの。まず脈を診て、瞳孔が開いていないかチェックして…」 「マナさんマナさん、そういう話じゃないんですってば。」 白雪姫の亡骸の前で、小人たちは泣きつづけます。 「で、王子様の登場と。」 「それでもってキスシーンね。」 「はあ、私も碇君と。」 「マユミ〜?」 「な、なんでもありません。」 「ま、いいわ、キスぐらいした事あるし。」 「碇君と、ですか?」 「他に誰がいるのよ。」 「はぁそうですか。しくしく。」 なぜ泣く。 ちなみにそのシンジは、 「あ、あれはその場の雰囲気で、」 「問答無用!」 お妃、もとい、アスカにどつきまわされていた。 さて小人たちが(あんまり悲しそうではないが)泣きつづけていると、そこに王子様が通りかかります。 「あ、前言撤回、私、白雪姫じゃなくてよかったわ。」 「マナさん、私もです。」 「碇司令が王子様じゃあねぇ。」 「綾波さん可哀相。」 そんな小人たちの感想とは無縁に、お話は続きます。 「おお、何と美しい。」 「でも、死んどるで、それ。」 「す、鈴原、そういう言い方じゃ駄目でしょうが。」 「何にせよ、キスをすれば生き返るのだな」 「まあ、そういう事になってますね。」 「非科学的だよな。」 「あ、相田君まで…話をぶち壊さないでよ。」 「いくぞ、レイ。」 そこで、ふと、王子様の動きが止まります。 「ユ、ユイ。なぜそこにいる。」 「あら、気付きませんでした?私が小人の7人目なんですけど。」 「こ、これはあくまで役柄としてだな、べべべ、別にレイとキスをしたいなどという事では・・・」 「そんな事わかってますわよ。さ、どうぞ。」 そういうユイの声は、容赦なく冷たい。 「で、では改めて。」 ユイは怖いがレイとはキスしたい、じゃなかった、話が進まないのでゲンドウ、もとい、王子様は白雪姫にくちづけをしようとします。 し、か、し、 唇が触れようとするその瞬間、白雪姫はパチリと目を覚まします。 「あ、あれ。」 白雪姫は、ただお腹がいっぱいになって眠っていただけだったのです。 え、毒林檎はどうしたって?使徒にそんなもの効くわきゃないでしょう。 「レ、レイ?」 「どいて。」 「待ってくれ、レイ!」 「ダメ、碇君が呼んでる。」 「私を見捨てないでくれー!」 そして白雪姫はいずこかへと去っていきました。 「さて。」 「な、何かね、ユイ。」(びくびく) 「先ほどの台詞について、少々ご説明願いましょうか?」 「あ、あれは、その、」 「あ〜な〜た〜」 こうして王子様は7人の小人(の1人)によって半殺しの目に遭わされてしまいました。 めでたし、めでたし? |