2月12日(月)おすすめの一冊
久々、心にジーンとしみてくる本と出会った。
年末、私が入院していたときに、お友達のミミちゃんが差し入れてくれた本。
「リトル・トリー」フォレストカーター著(和田 たか男 訳)
出版社(株)めとりまーく
著者フォレストカーターは遠くチェロキーインディアンの血を引く。
リトル・トリー(ちいさな木)とは、著者が祖父から名づけられたインディアン
ネームだ。
両親が死んでしまい、リトル・トリーと呼ばれる主人公の少年は、インディアン
の祖父母に育てられる。
大自然の中、少年は祖父母からインディアンの教えや生き方を学んでいく。
その教えや生き方というのが、現代の我々が忘れてしまった大事なことに思えて
ならない。とっても素敵ないい台詞がいっぱい出てくる。
「なにかいいものを見つけたとき、まずしなくちゃならないのはね、それをだれでも
いいから出会った人に分けてあげて、いっしょに喜ぶごとなの。そうすれば、
いいものはどこまでも広がっていく。」
・・これって、今話題の映画「ペイフォワード」のような発想に近いのかな。
いいものがどこまでも広がっていくという発想が素敵だなあ。
「森を切り刻んだりせずに、いっしょに生きること。そうすりゃ、森はわしらにいつ
だって食べ物を与えてくれる。」
「大地からは必要なものだけしか取ってはならない」
・・現代人には耳の痛い言葉だね。
これを読んだとき、“地球温暖化”という単語を思い浮かべ、去年の夏のあの
モルディブの海を思い出していました。
昔の人は、ちゃんと自然と共存していたんだよね。
ある時、インディアンへの偏見から少年リトル・トリーは祖父母の元を引き離され
孤児院へ引き取られる場面がある。
「どんなところにいても、夕方になったら天狼星を見るのよ。わたしもおじいちゃん
もあの星を見てるからね。わたしたち、いつだっておまえのことを思っているよ。」
・・この台詞を読んで泣いちゃいました。一昨年亡くなった母も、どこかでちゃんと
見てくれて思ってくれているんだろうなぁって..人の心と心が繋がっていく
というのはこういうことなのでしょうか。
「だれでも2つの心を持っているんだよ。ひとつの心はね、からだの心(ボディ-マインド)
〜中略
でもね、人間はもうひとつ心を持っているんだ。からだを守ろうとする心とは全然
別のものなの。それは霊の心(スピリットマインド)。」
「(要約)からだを守る心を悪い方に使って欲深になったり、ずるいことを考えたり
人を傷つけたりしているとスピリットマインドが縮んでいって、しまいには豆粒み
たいになって、そうなったらもうスピリットをなくしたのと同じだ。生きてるくせ
に死んでる人ってことになる。」
「霊の心(スピリットマインド)ってっものはね、ちょうど筋肉みたいで、使えば使うほど大きく
強くなっていくんだ。どうやって使うかっていうと、ものごとをきちんと理解するの
に使うのよ。」
・・ボディーマインドは生きていくために必要なもの。
でも、人間らしさというか、人間にとって大事なスピリットマインド。
情緒とか精神世界、思いやりとか愛とかハートフルな世界。
いっぱい使って、大きく強くしたいです。
「からだが死ぬときにはね、からだの心(ボディ-マインド)も死んでしまう。でもね
霊の心(スピリットマインド)だけは生き続けるの。そして人間は一度死んでも、また必ず
生まれ変わるんだ。」
祖父の最期の言葉:
「今生も悪くなかったよ、リトル・トリー。次に生まれてくるときはもっといいじゃろ。
また会おうな」
・・死生観。輪廻転生。そうだね、生まれ変わるんだよね、きっと。そしてまたきっと
出会えるんだ。そう思うと肉親や愛しい人との別れを受け入れていくことができる
気がします。
脚本家の倉本聰さんが熱いメッセージを帯に書いているのも印象的。
大自然の中、フワッと風に吹かれたような気分になるおすすめの一冊です。
By Toshiko