姫野カオルコさんという人をご存知でしょうか。辛口エッセイを書く女性
です。彼女がある雑誌のコラムでこんなことを書いていた。
『ある男性と初めて食事をした時、彼が「トマトとキュウリがダメなんです」
と言った。「ギョッ!」内心そう思った。それまで、彼のことが好きだった
が、それを聞いたとたん何かが崩れていった。「地球人だと思っていたのに
宇宙人だったのね」という感情に近い。』と。
彼女もそのコラムの中で書いているが、例えば、青い魚やエビ・カニを食
べると湿疹がでてしまうという人がいる。本人は食べたいのに、魚貝類で
アレルギーを起こす人がいて、こうした理由で食べられないのは仕方がな
い。体質ですもんね。お酒が飲めないっていうのと同じですよね。
また、TVの企画番組などで、いわゆるゲテもの・・イモムシの天ぷらと
か、蟻の油いためとかが出て来る。こうした物も、我々の食生活に馴染ん
でいないから、食べられないというのもわかる。
しかし、トマトもキュウリも、我々の食卓に普通にのってきた食べ物だ。
私の身近にも、生野菜がダメ、ピーマンがダメ、鳥肉が、ニンジンが..
食べ物の好き嫌いのある人が、いっぱいいる。中には、この人いったい何
を食べてるんだろうと思うくらい、食べられないものを挙げる人もいる。
これは、いったい何故なんだろう。
『なにも好物であるべきだとも思わぬが、口に入れられないという感覚が
わからない。「トマトはいや!」と言って、済んできた環境で生活してきた
ことに対する異物感を感じる』と姫野氏はつづけている。
幸いなことに、私もダンナも好き嫌いは全然ない。何でも食べるが、全て
の食べ物が大好物な訳ではない。実は、私は『高野豆腐』が、あまり好き
ではない。しかし、懐石料理などで出てくれば、食べる。だから、私も
「食べられない」「口に入れられない」という感覚には??という感じだ。
つい最近、こんなことがあった。私の友人と彼女の小学校3年生の娘と一
緒に食事をした。ちょっとした行動をみていても、この娘、ちょっとワガ
ママで、甘やかされてるなぁと感じていた。案の定、「この娘、野菜はダメ
なのよ。お肉もダメ。お魚ならいいのよねぇ。」と母親がのたまう。
ちょっと〜、ソレ違うでしょ!娘が野菜や肉を食べないなら、それを食べ
させるのがアンタの役目でしょ!! (先輩なので、そうは言わなかった
が...)
私も子供の頃、ピーマンが苦手だった記憶がある。母親は、ミジン切りに
したり、ハンバーグに混ぜたりして、好き嫌いをしてはいけないとこを教
えてくれた。(感謝!!)姫野氏が書いてる、「トマトはいや!」と言って
済んできた環境というのは、母親の影響が大きいのかもしれない。
世の中には、いろんな味覚がある。いろんな美味しい食べ物がある。それ
を「キライ!」の一言で口にしないのは、楽しみを減らしてしまっているよ
うで、かわいそうだなぁと思う一方、何がダメ、かにがダメといっぱい言
う人って、ちょっと子供っぽいなぁとも思う。
私も、子供ができたら、ピーマンを食べさせる工夫のできる母親でありた
いと思う。
By Toshiko