お蔭様で、無事「ロンリーハート」の公演が終了しました。見に来てくださった方々、あり
がとうございました。
休憩はさんで、2時間半近い舞台でした。長時間お付き合いいただきありがとうございま
した。いくつか、ウラ話を...
劇の冒頭、私演じるチックがストッキングを履き替えるシーンがあります。そう、なんと
舞台上でのナマ着替え。ご覧になってドキドキされた方もいらっしゃったようですが...
まあ、チックは艶っぽくなく履き替えるのが役どころ。いかに素早く着替えるか。当然、
ロングスカートです。ミニでは艶っぽく(?)なってしまいます。というか、70年代の
アメリカ南部ですから、婦人はふわっとしたロングスカートがメインの衣装。
鏡を前に練習しましたよ。いかにしたら、ふっとい足を見せずに、ささっと履き替えら
れるか。
脱ぐのはいいんだけど、履くのは結構大変。っていうか、ちゃんと上までパンストを
たぐり寄せるのには、かなりスカートをめくらないとダメなの。だから、実を言うと、
腿のあたりまでしか履けてません。あの場が終わって退場した後、楽屋で履き直してました
...へへへ。
話変わって、あの劇中では、いくつもの差別用語がでてきます。
私のセリフの中にも、「足が不自由な人」のことを差別するような用語があり、かなり私と
しては抵抗がありました。他の登場人物も、人種差別や婦人病についてもかなりキワドイ
言葉を使っています。
当初、私としてはちょっと問題があるのではないかと、演出家に問いただしたのですが、
作家の描く70年代の南部アメリカは、実際そうした裏と表の部分を持っていたということ
で、作家の意向を尊重するという演出方針で、原文のまま使用することになりました。ご覧
になった方でそのあたりが不快だった方がいらっしゃいましたら失礼しました。
今回の舞台は消えもの(演技中の食事や飲み物、タバコ等再び使用できない小道具の総称)
がメッチャ多い。だから、毎回舞台の仕込みが大変なの。
クッキー、コーラ、レモン、リンゴ、バーボン、タバコ、ローソク、コーヒー、切り取る新聞
履き替えるストッキング、オートミール、くるみ、水、そしてケーキ。
各自使用者が責任を持って仕込むんだけど、いろいろあるから、楽屋でみんな心配になって
開場直前、もう一度舞台へ確認しにいったりしてました。
次女メグは飲み食いが多い(コーラ、リンゴ、レモネード、バーボン、ケーキ)ので、楽屋
では、彼女お昼や夕飯は軽めにしてました。
さて、ラストシーンに登場するケーキ。掲示板でも書きましたが、私の作品です。
最初、試作品として、35センチ径くらいのぬか漬けの丸いプラスチック樽をひっくり返し
その周りに白い紙粘土、上部分はロウソクを指すため油粘土という構成で、飾りに赤い紙
粘土でバラの花を作りました。この試作品が思いのほか好評で、稽古中はずっとこのぬか
漬け樽ケーキを使っていました。
しかし、本番ではもう少し大きいものをということになり、四角い発泡スチロール(よく
魚介類が入ってるような)を適当な厚さに切って、同じく紙粘土と油粘土で作成。より
ケーキらしく見せるために、生クリームの絞り出し口を使って、紙粘土を絞り出し、それを
ひと回りボンドでくっつけました。
ケーキを切って食べるシーンがあるのですが、これは「ウェディングケーキ入刀」と同じく、
食べるとこだけ本物ケーキを毎回仕込んでいます。しかし、厚さが12センチくらいある
ため厚さ6センチのスポンジを焼き2段にしています。通し稽古・ゲネプロがA・B班あり、
本番が6ステージ。全部で10回分の大型ケーキを焼くのは大変。もう1人にも手伝って
もらいまいしたが、厚く焼くので時間もかかり、稽古帰宅後の深夜や、小屋入り前の朝に
苦労して焼いていたの。
スポンジの粉は、ホットケーキミックスにココアパウダーを混ぜふるいにかけました。
本当はバターや卵、牛乳をふんだんに入れると美味しいのですが、それでは経費がかか
って大変なので、そうしたものはほんのすこしだけ、ほとんど水で混ぜました。でも味は
まあまあだったみたい。そして本番前に生クリームでデコレーション。
実際には、3分の1くらいしか食べないんだけど、毎回、ゴミ袋に捨てるのは、なんか
ちょっと哀しいものがあったわね、仕方ないけど。
私は最後、ホウキで追い払われてしまう役なので、ケーキを食べることはできないの
だけど、記念に写真を撮ってもらいました。
ケーキと私
ケーキの裏側
By Toshiko