10月25日(日)ある日のできごと


先日、関西方面に出張した帰りのこと。
実は、静岡で見に行きたい舞台があった。知り合いの演出家の方が、頼ま
て演出をしていたのだ。「野外劇」だという。
最近、地方には立派なホールや劇場ができ、地元の劇団ができ、地方での
演劇活動が盛んに行われている。
この静岡の場合も、地元が抱える劇団の公演だった。それなりにお金をかけ
てる舞台だというし、見に行きたい!しかも静岡ならば、ちょうど出張帰り
に新幹線で通るし...
しかし、夜7時からの公演ということで、帰りのことが気になるので、主催
している所へ確認したら、8時30分頃に終わって、終演後静岡までのバス
が出ますと言われた。駅までは混んでなければ20分程度。
早速、時刻表で調べたら、9時18分の「こだま」があった。静岡を停車する
「ひかり」は少なく、「こだま」も本数は少ない。しかし、8時半に終わって
バスで20分かけても、9時18分なら余裕だろうと、事前に指定券を購
入した。そして、いざ静岡へ。

会場までは、駅前からバスが出るというので、指定の時刻にバスを待った。
しかし、だんだん雲行きが怪しくなってきて、ポツポツ降り始めてきた。
バスに乗り、会場へ着く頃には、本格的に降ってきてしまった。
傘をさせないので、貸し出されたカッパを着ての観劇となった。
実は、今年春に見たクナウカという劇団の「野外劇」も、大雨だった。
「野外劇」での雨は、観客ももちろん大変だが、役者も大変。特に、今回は
衣装が着物だったので重くなるし、舞台は滑るし...演目は「源氏物語」。
登場する女性を全て男性が演じるというものだ。
とても面白い舞台だったし、装置もよかったし、最後には雨もあがり、舞台
後方にある本物の木々とかが生かされたステージだった。
雨の中、遠路はるばる行った甲斐がありました。

さて、帰り。時計をみたら既に8時45分!!雨でスタートが予定より遅く
なったらしい。ダッシュしてバス停へ。静岡行きのバスを見つけ一番乗りに
乗り込んだ。

「すみません、このバス、何分に発車するんですか?」
「いや、お客さんが集まったら出るんだよ」
「えっえ?!!あのぅ、私、8時半に終わるというので、9:18のこだま
のチケット買っちゃったんですけど...」
「えっ!!う〜ん...(無言)」

焦った...お客さんはひとり、またひとりと乗ってくるが、なかなか一杯
にならない。でも、チケットを買ったのは、私の勝手な訳で、ひたすらバス
が発車してくれるのを待った。
ようやく8時55分過ぎ、バスが発車。でも道が空いてても20分。着くの
9時15分か..しかも、私、荷物をロッカーに預けているので、荷物を出
す時間も必要だ。ダメか..

すると、運転手さん、飛ばす飛ばす。バスがこんなスピード出していいの?
って思うくらいビュンビュンだった。途中、道に飛び出そうとする車がいる
とプップーとクラクション鳴らして...
心の中で、ひたすら感謝。「運転手さん、ありがとう、私のために」

9時5分頃、バスは街中に入った。
そこで運転手さんが一言。「お客さん、もう大丈夫ですよ」
「あ、ありがとうございます!!」

私も、緊張しているもんだから、一番前の席に腰掛け、でも、片足は半分立ち
上がり状態。目の前のバーをギュッと両手で握り締め、かなりリキの入った状
態。でも、運転手さんのその一言で、ちょっとホッ。

結局、駅には9時10分頃に到着。20分かかるところ、15分で運転してく
れたのでした。本当に、本当にありがとうございました!!
お蔭様で「こだま」に乗って、無事に東京へ帰ってくることができたのでした。


By Toshiko