先日、関西方面に出張した帰りのこと。
実は、静岡で見に行きたい舞台があった。知り合いの演出家の方が、頼ま
て演出をしていたのだ。「野外劇」だという。
最近、地方には立派なホールや劇場ができ、地元の劇団ができ、地方での
演劇活動が盛んに行われている。
この静岡の場合も、地元が抱える劇団の公演だった。それなりにお金をかけ
てる舞台だというし、見に行きたい!しかも静岡ならば、ちょうど出張帰り
に新幹線で通るし...
しかし、夜7時からの公演ということで、帰りのことが気になるので、主催
している所へ確認したら、8時30分頃に終わって、終演後静岡までのバス
が出ますと言われた。駅までは混んでなければ20分程度。
早速、時刻表で調べたら、9時18分の「こだま」があった。静岡を停車する
「ひかり」は少なく、「こだま」も本数は少ない。しかし、8時半に終わって
バスで20分かけても、9時18分なら余裕だろうと、事前に指定券を購
入した。そして、いざ静岡へ。
会場までは、駅前からバスが出るというので、指定の時刻にバスを待った。
しかし、だんだん雲行きが怪しくなってきて、ポツポツ降り始めてきた。
バスに乗り、会場へ着く頃には、本格的に降ってきてしまった。
傘をさせないので、貸し出されたカッパを着ての観劇となった。
実は、今年春に見たクナウカという劇団の「野外劇」も、大雨だった。
「野外劇」での雨は、観客ももちろん大変だが、役者も大変。特に、今回は
衣装が着物だったので重くなるし、舞台は滑るし...演目は「源氏物語」。
登場する女性を全て男性が演じるというものだ。
とても面白い舞台だったし、装置もよかったし、最後には雨もあがり、舞台
後方にある本物の木々とかが生かされたステージだった。
雨の中、遠路はるばる行った甲斐がありました。
さて、帰り。時計をみたら既に8時45分!!雨でスタートが予定より遅く
なったらしい。ダッシュしてバス停へ。静岡行きのバスを見つけ一番乗りに
乗り込んだ。
「すみません、このバス、何分に発車するんですか?」
「いや、お客さんが集まったら出るんだよ」
「えっえ?!!あのぅ、私、8時半に終わるというので、9:18のこだま
のチケット買っちゃったんですけど...」
「えっ!!う〜ん...(無言)」
焦った...お客さんはひとり、またひとりと乗ってくるが、なかなか一杯
にならない。でも、チケットを買ったのは、私の勝手な訳で、ひたすらバス
が発車してくれるのを待った。
ようやく8時55分過ぎ、バスが発車。でも道が空いてても20分。着くの
9時15分か..しかも、私、荷物をロッカーに預けているので、荷物を出
す時間も必要だ。ダメか..
すると、運転手さん、飛ばす飛ばす。バスがこんなスピード出していいの?
って思うくらいビュンビュンだった。途中、道に飛び出そうとする車がいる
とプップーとクラクション鳴らして...
心の中で、ひたすら感謝。「運転手さん、ありがとう、私のために」
9時5分頃、バスは街中に入った。
そこで運転手さんが一言。「お客さん、もう大丈夫ですよ」
「あ、ありがとうございます!!」
私も、緊張しているもんだから、一番前の席に腰掛け、でも、片足は半分立ち
上がり状態。目の前のバーをギュッと両手で握り締め、かなりリキの入った状
態。でも、運転手さんのその一言で、ちょっとホッ。
結局、駅には9時10分頃に到着。20分かかるところ、15分で運転してく
れたのでした。本当に、本当にありがとうございました!!
お蔭様で「こだま」に乗って、無事に東京へ帰ってくることができたのでした。
By Toshiko