掲示板に登場してくれる浅草在住のうさぎさんから、「印傳(いんでん)」「かちむし」という言葉
を教わった。2つ前の日記に書いた浅草の「奥山風景」も彼女に教えてもらった。
そこで「印傳」についてちょっとネット検索...
印傳とは鹿皮細工のことで、名前の由来はインディヤもしくは印度伝来から来ているらしい。
正倉院の宝物にもあるそうだから、かなり歴史は古い。
印傳の技法は大きく分けて2つある。
ひとつは正倉院にあるような鹿の皮を燻すとき柄のところに糊を置いて藁の煙で燻す方法。
「くすべ」と言われる手法だ。手間もかかり、商品の値段も圧倒的に高い。(注文で合切袋という
B5サイズの袋を作ると4万4千円とか..)
煙で燻すことによって、
・革がしなやかになる
・水に濡れても革が硬くなりにくい
という特徴があるそうだ。戦国時代には武将の甲冑にも用いられたという。
もう一つは上原勇七(印傳屋というメーカーの遠祖)が考案した、型を置いて漆で模様をつける
方法。これは「甲州印傳」といわれる。今から400年ほど前のことらしい。
現在、「印傳」として出回るのは鹿革に漆で柄付けした革製品がほとんどみたい。
四方を山で囲まれた甲州(山梨県)は、古くから漆があり、鹿もたくさん居たらしいけど、
今は鹿皮は中国から輸入しているそうだ。
詳しい作り方は↓
http://www.ikeda8.com/inden/aboutinden/gihou_urushi.html
うさぎさんがこの「印傳」の「かちむし」柄の財布を「奥山風景」で買ったと掲示板にカキコして
くれた。いったいどんなものだろうと、浅草へ遊びに行ったとき「奥山風景」へとまた足を運んだ。
「かちむし」とは「トンボ」のことだそうだ。
昔から、真っ直ぐ前に進む「トンボ」は、勝虫(かちむし)として好まれたらしい。
とんぼ返りと言われるように、戦国時代の武将は「勝って帰る」縁起のいい虫として、兜の下の
模様にも好んでこのトンボ模様を使ったといわれている。
「奥山風景」にあったその出店は「前川皮革工芸」という製造元だった。ネットで調べたが、前出
「印傳屋」のようにHPは持っていない。よくデパートの催事場などで行われる物産展などで工芸品
として出店しているようだ。
いかにも「職人!」というようなガンコおやじみたいな人が奥に居た。そして「おかみさん!」と
いう感じのキップの良さそうなおばさんが店前に立っていた。
「ウチはよそへは卸してないのよ」「デパートとかでしか売ってない」って言っていた。ふ〜ん..
「印傳」の「かちむし」柄の財布は、ひと目みて「まぁ、ステキ!」という代物だった。和風で渋いの
だけど、かわいい!!手触りもよい。
実は一旦は値段を見て引き上げたのだけど、浅草の他の店でみかけた「印傳」の財布よりも、作り
が良さそうだったので、結局、kuriさんと色違いで買ってしまった!!
(他店よりも3,4割高だった...)kuriさんがグレー、私が赤の「かちむし」柄。
それがコレ↓
赤がうまく出ない..
もっとキレイな赤色なんだけど..ちなみに背景は母の形見の帯を引っ張り出してきた。
他にも、今の私たちが知らない日本文化、伝統工芸、いろいろあるんだろうなぁ。
もともと着物の文化で畳の生活で...今の私たちって全く違うライフスタイルだものね。
そうしたものが、どんどん忘れられていってしまうのかなぁ...(なんか淋しい)
ひょんなきっかけで知ることになった「印傳」。
ちょっとだけニッポン文化に触れることができた気がして、ちょっとうれしかった。
着物を着たときに似合いそうなお財布です。
By Toshiko